エスコン好きのJK、転生しアリコーンの艦長となる。 作:岡村優
乗艦許可を出した樟美は艦長室で迷っていた。アリコーンのスペックとその投射火力、場合によっては戦争の火種となりかねないからだ…
「どうしよう…」
「…艦長、私とこのアリコーン330名は貴女と地獄の縁までお供いたします。自分自身を信じてください。」
「そうね…」
コンコン、
「ブルーマーメイドの方々をお連れしました」
「通して。」
失礼します。
「ブルーマーメイド所属、きかいじま艦長の高島みゆき3等監察官です。」
「潜水艦アリコーン艦長…山口樟美です…」
「単刀直入にお伺いします。山口艦長、この潜水艦はどこで建造されたんですか?」
樟美が口を開こうとしたが、副長が名乗り出た。
「その問いには私がお答えしましょう…艦長では会話に支障が出てしまうかも知れませんから。」
「…いいでしょう」
「このアリコーンは他の世界の日本海軍によって建造された潜水艦です。」
「はい?」
「正直に申し上げます、アリコーンはこの世界にとって全くもって必要ありません。なにせ、戦争がありませんから」
「…どういうことですか?」
この問いに答えたのは樟美だった。
「…アリコーンは私にとっては形見ですが…この世界においては無用の長物です…なにせ、これには戦艦のような防御力と火力、潜水艦のような潜水能力と雷撃能力、駆逐艦のような速力を持ち、その戦闘能力は一個艦隊を殲滅できる攻撃力を兼ね備えています。」
「そんなことが…」
「水中速力30ノット。魚雷発射管12門、250センチ砲2門を備え、防御力は戦艦大和の主砲弾をたやすく防ぎ、駆逐艦のように海を颯爽と航行する。このような艦艇…戦争の火種にしかなりません。」
「………」
「ですが、貴女がたがこのアリコーンを鹵獲し自分達の戦力としようとするならばアリコーンの雷を持って貴女方に対して宣戦を布告し、全力でこの艦を守ります…たとえ矢つき刀折られたとしても…それがこの艦を任された私の責任です。」
とても16歳の少女の言葉ではなかった…それはまるで沢山の戦場を経験してきた戦士のそれであった。
「山口艦長…」
「データを取ってこの艦を量産するのも厳禁です。そしてこの艦が世界を敵に回した場合…すべての国がその戦闘能力に刮目することでしょう。」
あまりの覚悟に気圧された高島監察官は天井を仰いだ。
「…上の判断を仰ぐしかないわね…一度戻っても?」
「ええ…いつまでもお待ちしております…サブマリナーが海中に潜む忍者であるように…何年でも」
「分かったわ…あと、これは私の感なのだけれど貴女とは肩を並べて戦う日が来そうね。」
「そうなることを…祈っています」
「ええ…また来るわ」
こうして互いに分かれた…そして運命の歯車はゆっくりと回ってゆく