愛鳥少女とキンヨク生活のすすめ。   作:田舎犬派

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82羽 憧れ

 

 湖上で発生した瓦礫の崩落は連鎖するように次々と引き起こり、その発生回数は数十にものぼった。早々に監督係であるカザヨミが避難指示を出した事でけが人はおらず、危険な目にあったカザヨミもユナたちが救出したチームだけだった。

 

 例え瓦礫が直撃し、さらに湖面に激突していたとしてもカザヨミである少女たちならば当たり所が悪くなければ致命傷にはならない。けれども彼女たちはまだ飛ぶことを覚えたばかりの幼いカザヨミであり、今回の事件が彼女たちの精神を酷く揺さぶったのは事実だろう。

 場合によっては今後、それがトラウマのようになって空を飛べなくなるカザヨミが出てくるかもしれない。将来性を期待されているカザヨミが集まっているこの場において、それは何とも頭の痛くなる問題だ。

 

 しかし、そんな事を考えていた監督係の予想はいい意味で裏切られる事になる。

 

 

「……ユナちゃん、集中してまスね」

 

「ああ。周りの子たちも、あんなことがあった後とは思えんほどの集中力だ」

 

 現在合同訓練はソアリング訓練を中止し、午前最後の訓練を行っていた。事故の原因調査と現状の報告の為に数名の監督係が都市へと向かったが、この後の訓練に関しては予定通りに行われる手筈となっている。事故発生の連絡を聞いた先生は中止もやむなしと考えていたが、奇跡的にけが人が出なかったこと、被害にあったカザヨミを含めた多くの参加者が続行を希望した事、さらには都市管理部がイスカの参加している訓練の中止に難色を示したなどの理由から合同訓練自体は続けられる事になった。

 

 最後の訓練は屋内で行われるもので、動く事さえほとんどないという特殊な内容だったのも合同訓練が続行される理由の一つと言えるだろう。

 

 

 カザヨミたちは畳の上で目を閉じ思い思いの体勢で静かに息を整えていた。お寺の中の、畳の上という雰囲気からか背筋を伸ばして瞑想するような姿勢の者もいれば体を横にしてほとんど寝ているような状態の者も居る。

 

 数名はこれが何の訓練なのかと疑問に思いながらも監督係に従い、ほとんどの下級は休憩時間だと判断して脱力しているようだ。

 

「……これは少し難しかったか」

 

「でスね。確実に"掴んでいる"のはユナちゃんくらいっスよ。違和感持ってるのはセキレイちゃんと……イスカちゃんスね」

 

「私達でさえ僅かに感じられる程度だ。違和感を抱けるレベルなら十分だろう」

 

「先生も一応の確認だって言ってたっスね」

 

 この訓練はカザヨミの集中力を見るための訓練という説明がされたが、実際は空気中のエーテルを感じ取れるかというテストのようなものだ。ミサゴが都市より訓練の為に持ってきた小さな純停滞結晶。それに誘引される周囲の希薄なエーテルと、その流れを感じ取れるかというテストなわけだが、事前に何の説明もせずに始まったため、ほとんどの下級は集中力を見るための訓練だと信じている。数名のカザヨミは停滞雲や雲海の中でのみ感じられる違和感を抱き、不思議そうに首をかしげている程度。

 ユナは訓練開始前よりミサゴが隠し持つ結晶の存在を把握していたらしく、最初こそミサゴへと顔を向けていたが、この訓練の内容を理解したのかそれ以降は特になんの反応も見せなかった。

 

「にしても……予想外なような、予想通りのような感じっスね……」

 

 ヒタキの視線の先には目を閉じ集中している様子のユナと、その周りで同じように目を閉じ難しそうな顔をしている下級のカザヨミが数名ほど見られた。この訓練はどのような体勢でも良いと説明しており、何処で行っても良いとも説明してある。なのでユナの周りに集まっている下級たちは、自らの意思でユナの傍へと近寄ってきた者たちという事になる。

 

 彼女たちはユナによって助けられたカザヨミたちだ。崩壊する瓦礫の落下よりユナたちに連れ出された彼女たちはユナたちにお礼を言い、そのまますんなりと受け入れられた。

 

 焦ったように頭を下げるカザヨミたちに驚いたように戸惑うユナ。間に瀬黒とセキレイが立ち入り、雑談を交えて互いの話をして、そうしていつの間にかユナは下級のカザヨミたちと仲良くなっていた。

 

 ユナがハヤブサであることも手伝って両者の話は思いのほか盛り上がった。特に空を飛ぶ時の話をすればまだ経験の浅い下級にとっては十分に勉強になるような話ばかりで、幸いにも向上心のあった下級たちもユナの話に強い興味を抱いていた様だった。

 

 もっと話を聞いてみたい、会話を楽しみたい。下級の中でも将来有望とされ合同訓練に参加するよう指示されたカザヨミたちはユナへの警戒を緩やかなものにし、そうして距離は縮まっていった。

 

 そうして現在、ユナの隣には下級のカザヨミが並んだという訳だ。

 

「確かに。これほど早く受け入れられたのは予想外だが、ある意味ユナに興味のある者たちばかりだ、予想通りではあるな」

 

 そういってミサゴは笑い、隣同士で目を閉じ並んでいるユナとカザヨミたちを見つめる。

 

 ミサゴの記憶が正しければユナと仲良くなっていたカザヨミたちは比較的空に対する欲求が高い者たちだ。飛行欲とまではいかないが、空を飛ぶことに楽しさを見出している子たち。そして恐らくはユナに憧れを抱いた。

 

「やっぱりリーダーの影響もあるんスかね?」

 

「かもしれないな。とはいえ、そのリーダーがどう思っているかは別問題かも知れんがな」

 

 ユナと親しくなった下級カザヨミたち、ユナに救われた彼女たちのチームリーダーは瓦礫の崩壊の際、必死に周りへ助けを求め、何とかメンバーを助けようとしていたカザヨミだ。自身の力が及ばなければ無意味なプライドをかなぐり捨ててでもメンバーを救おうとしていた優秀なカザヨミ。

 

 リーダーである彼女はチームメンバーがユナへと素直に感謝を示しているのに対し、少し遠いところでユナとメンバーを寂しそうに眺めていた。

 

「大丈夫っスかね……イスカちゃん」

 

「こればかりはな……本人の気持ちと、ユナの気持ちもあるだろう」

 

 ユナに助けられたチームのリーダー、イスカはユナから視線を外し、再び目を閉じた。その後、イスカが訓練中ユナへと視線を向けることは無かった。

 

 

 

 上級カザヨミが結晶を仕舞い、午前の最期の訓練はそれで終了した。多くの下級は一体何の訓練だったのかと疑問に思いながら、そうして合同訓練の影に隠れた合同昇級試験は密かに終了した。

 

 午後より行われる最終訓練で問題が無ければ上級の目に留まった数名が後日昇級証書を受け取り正式に級を一つ上げる事になる。四級が三級へ、そして三級は上級の枠組みである二級へ。

 

 今後、合同訓練はこれまでの形態から少しずつ変化を経て昇級試験を伴った形へと整えられていくだろう。

 空を飛ぶ能力だけでなく、カザヨミとして活動していくうえで重要と思われる才能や能力が評価され、瀬黒のようなカザヨミも上級として認められていく。多様なカザヨミを上級として認めていくのは多様な雲海模様を渡る為に有用な手段となるはずだ。

 

 これまで画一的な雲海探索の様相はそうやって徐々に多様化を辿っていくのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 訓練が終了し、お昼の時間がやってきた。各自持ち寄った食材を調理し、昼食を作るための時間だ。これも訓練の一環であり、中継地点すらない長距離を飛行する時のための訓練と説明がされている。

 

 とはいえ下級が料理など出来るはずもなく、監督係は"料理出来ないのならその状況でのお前らの食事はこれだぞ"という脅しの意味もこめて携帯食料と水を配る。非常時の食事に慣れておくのもいい経験だというミサゴの言葉と共に手渡されるのは量だけはある味気ない食事。

 

 それが嫌なら料理くらいは出来る様にしろという言葉を浴びせられる下級をよそに瀬黒たちのチームは食事を受け取る事無く部屋から出ていく。両手に持った食材と共に目指すはチクブの拠点で唯一調理器具が揃っている場所だ。

 

 

 

 合同訓練の拠点であるチクブのお寺には当時使われていたであろう炊事場がそのまま残っている。島自体には電気が通っているが最低限しかなく、湖水を浄化した水道が通っているだけなので基本的に便利な電化製品というものは存在しない。冷蔵庫や電子レンジはもちろんガスも通ってないのでコンロも無い。

 

 人が生活していた当時はそれらのインフラは万全に備わっていた。発電機を用いて電気も使えたし、ガスを用いた調理器具も動かせた。しかし降害発生と共に人の居なくなった島において、これらの設備が現在も万全に稼働している訳もなく、現在使えるものと言えば家電の代わりに(かまど)、電気ガスの代わりに薪、という有様。炊事場は現代の若者、とりわけ料理をしたことの無い下級カザヨミにとって全くの未知の領域と化していた。

 

 多くの下級は不平不満を愚痴りながらも上級が用意していた食事を受け取っているが、セキレイはあらかじめ持ってきていた食材を炊事場の机に並べ、何やら目を輝かせて高らかに宣言した。

 

「今日はカレーをつくるよ……!」

 

「おお! セキレイちゃんが張り切ってる!!」

 

「そんなに感動的な場面なんですこれ?」

 

 今日一番の大きな声を出すセキレイの様子を、涙をにじませながら瀬黒が感動して声を震わせている。

 

 そんな様子を呆れ半分困惑半分の表情でいるユナを置いてけぼりにして、セキレイは手始めに人参をまな板に置き、炊事場の奥にしまい込んであった包丁を手に取った。

 

 そして、ぴたりと止まるセキレイの手。恐る恐る頭を動かし、瀬黒へと視線を向ける。

 

「……セキレイちゃん?」

 

「みれー……、料理、出来る……?」

 

「うえ!? わ、私……!? だ、だってセキレイちゃんが作るって言い出して……」

 

「作ってる動画は……見たこと、ある!」

 

「どうしてそんなに自信満々なんです?」

 

 思わずツッコミが止まらないユナ。

 

 合同訓練に参加する以前より、チクブの調理施設がこのような有様であることは何度か参加している瀬黒も把握済みだったので他のチームと同じく上級が用意した料理でも食べようかと考えていた。

 

 だがセキレイがカレーを作ると言い出して持ち物の一角を野菜や香辛料で埋め始めた時に瀬黒はその考えを放棄した。代わりにセキレイの鞄に入らなかった食材の一部を受け持つ覚悟を決めた。

 

 セキレイがこのような行動に出たのもある意味ユナがきっかけだったと言える。セキレイが寝食を忘れるほどに見続けていたユナの配信ではよくユナの好物について語られ、その美味しさを話すユナの幸せそうな表情に思わず料理に興味を持つ視聴者も居た。その中でも料理の"調理過程"に興味を覚える視聴者は意外と多く、調理など適当で良いから食べられれば良いと考える都市外の住人と、調理などせずとも料理が出てくる都市内の住民は特にその傾向が強かった。かく言うセキレイも実際に自身の手で調理した料理を食べたいと考えており、今回絶好の機会と考えていたのだ。

 

 だが、そんなセキレイに決定的に足りなかったものがある。それは調理の経験だ。

 

 どれほど動画や座学で勉強しても実践を経験しなければ上達はしない。カザヨミとしての訓練を重ねる二人ならばその程度よく理解しているものだが、都市所属カザヨミという地位に居る二人が料理をしなければいけない状況に置かれる訳もなく、結局実践訓練を行わず本番に挑むことになったのだ。

 

「えと、じゃあ野菜は任せてください。瀬黒先輩はお肉を、セキレイさんはお鍋を見ててください」

 

 だが、そんな時に現れた救世主たるユナ。日常的にクラコの手伝いをしているユナにとってカレーはそれほど難しくないメニューだ。何ならクラコに見守られながら一人で作った事さえある。

 

「ああ! ありがとうユナちゃん! 食材が無駄にならなくてよかったよぉ」

 

「神様仏様ハヤブサ様」

 

「ふふ、なんですかそれ」

 

 二人の慌てようがおかしくて思わず笑みがこぼれるユナは慣れた手つきで包丁を動かしていく。都市外で手に入る食材と比べ鮮度の良い食材たちは瑞々しく、感じられる重量や見た目の美しさも品質の良さを際立たせる。

 

「……」

 

 これが都市とそうでない場所の差だ。そう感じさせるほどに何気なく持ち寄られた食材でさえ、差があるように見える。

 そして、その差を瀬黒とセキレイは知りもしないのでは無いだろうか……? 都市の内と外に住んでいるだけの違いで、それ以外は何も変わらないのだと根拠なく考えていたユナにとってその考えは二人への複雑な感情を抱かせる。

 

 同じチーム、もっと言うなら友達のような存在だったはずの瀬黒とセキレイがいやに遠くに居るような感覚が去来する。恐る恐る視線を向けた先の瀬黒は、なぜか誇らしげにユナへ語りかけた。

 

「ねえねえユナちゃん、この野菜すごいでしょ?」

 

「え」

 

「ツグミ先輩の両親、野菜作ってる。料理するって言ったら、送ってもらえた」

 

「あ……」

 

「すっごいよね。私料理ってしたこと無いけど、いい野菜だなってのは分かるよ」

 

「このまま食べてもおいしそう……いや、流石に玉ねぎは無理かも……」

 

「いやいや、他の野菜も無理だと思うよ?」

 

「……ふふ、」

 

 ユナの考えは結局は只の杞憂でしかなかった。瀬黒もセキレイも自身がカザヨミであり特別な環境で生活している事を自覚している。そして、都市の外には自分たちの環境とは異なる生活を送る者たちがいることも、当然知っている。普通の下級カザヨミならば考えもしない都市外の常識を、瀬黒とセキレイは十分に理解している。

 

 瀬黒が誇らしげに語る野菜たちの貴重さも、それらを育てる者たちへの敬意も。本来下級が……いや、都市の住民なら蔑ろにするだろう思いを二人はしっかりと理解してくれている。それが都市の外で暮らしているユナにとってたまらなく嬉しいことだった。

 

「私、激辛がいい」

 

「えー、私は甘い方が良いんだけどなあ」

 

「みれーはお子様……」

 

「おおう? いつまでも机の上を片づけられないセキレイちゃんがなんか言ってるねえ?」

 

「む……」

 

「あの、どっちも作りますから落ち着いて……」

 

 しばらくするとカレーの匂いに誘われ仲良くなった下級カザヨミや監督係のカザヨミたちが集まってくる。最初の警戒を露わにした雰囲気はもはや無くなり、何をしているのかと興味津々に集まってくるカザヨミたち。

 

「あれ? ユナちゃんなんか作ってるー?」

 

「料理も出来るとかすげーな……ワタシもやってみようかな」

 

「ん~なんかいい匂い~」

 

 続々と集まってくる仲良くなった下級とユナたちに注目している上級のカザヨミたち、そこへ遠巻きにしていたカザヨミたちが恐る恐る近づいてくる。流石に会話に割り込んでくるような者はいなかったが、どうにか交流を持ちたいと考えているカザヨミたちが集まってきたようだ。

 

 ユナたちは出来上がったカレーを羨ましそうに見ていたカザヨミにおすそ分けしながら出来栄えに満足そうな笑みを零し、耳元で煌くピアスを愛おしそうに撫でながらも、瀬黒とセキレイと共に自慢のカレーを味わった。味の決め手である香辛料等はセキレイが都市からカレールーを持ってきていたので実際にユナとクラコが作るカレーとは異なる味付けだったが、それでも作り方は大きく変わらない。

 

 ハヤブサの投稿動画でちょくちょく名前が挙がる、恐らくはユナの好物であろうカレーの存在に引き寄せられたカザヨミたちは椅子と机を持って集まり、ちょっとした宴会のような雰囲気が出来上がっていた。

 机の上に並ぶのはカレーと監督係に手渡された携帯食料。それだけだったがカザヨミたちは楽し気に食事と会話を楽しんでいた。カレーの美味しさを語るところから始まり、料理ができるユナについての話題へと流れ、徐々に互いの事を話し出す交流の場へと変化していく。そうして最初からユナと仲良くなりたいと思っていたカザヨミたちは遠慮がちに会話に混ざっていき、ユナも快く受け入れていった。

 

 だが、そんな一団の様子を忌々しそうに睨み付ける者たちも居る。ユナをバカにした発言をしていた者や明確に格下だと勘違いしていた者。

 

 そして、イスカにすり寄ろうとするもの。

 

「……」

 

「イスカさんあんなの気にしない方が良いですよ」

 

「そうですよ。そもそも都市のカザヨミじゃないのに訓練に混ざってるってのが可笑しいんですから」

 

「ホント、調子に乗らないで欲しいですよね」

 

 イスカの周りに集まってきたカザヨミはイスカのチームメンバーではない。全員がこぞってユナを非難しながらイスカを持ち上げるような言動を繰り返している。全員がイスカの顔色を伺い、イスカが求めているであろう言葉を発していく。そういった言動が鼻についたからイスカは彼女たちをチームメンバーとして勧誘しなかったのだが、彼女たちはそんな事にも気付かない。

 

 彼女たちは都市管理部側に所属するカザヨミたちだ。カザヨミ管理部の厳しい訓練よりも都市管理部の甘く幸せな生活を選んだ者たち。都市管理部からの"配慮"によって三級として登録されているが、実際は四級にも満たない。都市管理部がその強権を存分に発揮して(こしら)えた最新鋭の装備によって何とか雲海を飛び回れる彼女たちは自身を"訓練をしなくても雲海を飛べる天才"と思い込んでいる。

 

(クッソしょーもなー……)

 

 そんな都市管理部側のカザヨミに囲まれているイスカはため息を噛み殺し、穏やかな笑みを湛えながら周囲のカザヨミが喋るたびに内心で舌打ちを連打している。相変わらずの性格だがそれを表に出さない程度の常識を身に着けたイスカは周囲のカザヨミの言葉に同意することも否定することもせず楽し気なユナたちを静かに見つめていた。

 

(……美味しそ)

 

 香しいカレーの匂いと楽し気な声。午前の訓練で疲れ果てているはずのカザヨミたちは皆ユナとの会話を楽しんでいるような気がする。元々ハヤブサであるユナを尊敬していただろうカザヨミたちなのだから、こうなることはそこまで不思議ではない。

 

 だが、瀬黒が橋渡しをすることでユナの印象はかなり良好なものに変化したのは確実だろう。BWの中で異常な飛行技術を見せつけた異様な存在ではなく、見た目相応の無邪気な少女という印象が強く残った結果だろう。

 

「……まあ、私には何の資格もないんだけどね」

 

 その場を後にするイスカと慌てて追随する下級たち。イスカが気分を害したのかと慌てた様子の下級たちがご機嫌を取ろうとさらに言葉を続けるがそれにイスカが何かしらの反応を示すことは最後までなかった。

 

 

 

 

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