ロストマンのセイリング・デイ(王直→ホーミング 番外編)   作:アズマケイ

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ゴッドバレー2

海軍の軍艦に完全に包囲されているゴッドバレーが見えてきた。奴隷や先住民が逃げ出さないようにするために万全の体制を構築しているようだ。胸糞悪い話である。

 

ゴッドバレーに上陸するにはこの胸糞悪い包囲網を突破しなければならない。そういうわけでロックス海賊団が最初に襲いかかったのは海軍の艦隊だった。

 

白ひげのグラグラの能力で津波を起こし、軍艦を転覆させ、金獅子のフワフワで転覆した軍艦を浮かせて別の軍艦につっこませるのだ。これだけで半壊した。さらにビッグマムや銀斧達が次々とゴッドバレーに上陸すると天竜人を守るために大将達や神の騎士団が防衛に回り始めたのである。

 

ワプワプの能力で移動した私は秘密裏に大将の軍艦に潜入し、機密情報を抜き出して、あとから別ルートでゴッドバレーに上陸することとなった。

 

「悪魔の実を奪われた?誰に?先約がいたのか?」

 

「奴隷のガキだったね。ウオウオだけは死守できたが別のガキがニキュニキュをその場で食いやがってそのまま能力を使われちまったよ」

 

いっぱい食わされたとリンリンは悔しそうだ。

 

ニキュニキュの実は超人系の悪魔の実だ。図鑑によれば肉球肉球で触れたあらゆるものを弾き飛ばすことができる能力であり、物体や生物だけでなく、気体・自然物なども弾き飛ばすことができる。

 

肉球を応用すれば、自身や触れたものを光速で弾き飛ばしたり、衝撃波を生み出したりすることもできる。大気を弾き飛ばせば、衝撃波として発射することができる。自身を弾き飛ばすことで、瞬間移動のような超高速移動として扱うこともできる。

 

巨大な大気を掌サイズに圧縮させ、それを解放させれば大規模な爆弾のような攻撃としても扱える。相手の人体から「痛み」や「疲労」などを弾き飛ばすことで回復させ、弾き出したダメージを他者へ与えることができる。自身を含む生物や物体を遥かに遠く離れた自身の定めた場所に弾き飛ばすことも可能。

 

能力者の能力のコントロールと実力次第では、数千km以上も遥かに遠く離れた場所まで弾き飛ばすこともでき、下手をすれば「世界の裏側」まで弾き飛ばすことも可能だ。

 

リンリン曰く、ガキどもは突然姿を消したように見えたそうだ。たしかにそれはニキュニキュの力だろう。人間がこの肉球に触れても弾き飛ばされ、この場合、目にも留まらぬ速さで飛ばされるため、傍から見ると触れた瞬間に消滅してしまったかのように映るはずだ。私がワプワプの能力者である以上この世界にニキュニキュ以外に瞬間移動できる力は他に考えられない。

 

「おい、お前ら!よく聞け!ニキュニキュは奪われちまったがほかの宝箱はこうして確保できた!おれ達流の掃討大会をはじめるぜ!ルールは簡単!天竜人と海兵も殺してもポイントが入ることにするだけだ!宝箱の分前はその結果で決めようぜ!!」

 

げらげら笑いながらジーベックが沢山の武器をばら撒いていく。

 

「この意味がわかるよなァ、奴隷ども!お前らにも武器を貸してやる。殺して殺して殺しまくれ!生き残ったやつだけが勝者だ!復讐に走るもよし、逃げ回って勝ちを拾うもよし、この瞬間から一方的な虐殺は終わりをつげたわけだ。立ち上がれ、生き残れたら船に乗せてやってもいいぜ!!」

 

おそるおそる奴隷達が武器を手にする。ニヤニヤとジーベックは奴隷達を焚き付けるための魔法の言葉を紡いでいく。あいかわらず見ず知らずの他人をその気にさせるのが得意な男だ。私は苦笑いした。奴隷達の目に正気が宿るのが見えた。もしかしたら正気という名の狂気に火をつけられてしまったのかもしれないが、そこまではわからない。

 

「天竜人1人100万点、少将以下の海兵1人は5万点、少将以上の海兵は10万点だァ!今から参戦しても余裕で逆転できるぜ!神の騎士団のガーリング聖が今トップを独走中らしいぞお前ら!どうすりゃ逆転できるか、もう言わなくてもわかるよなあ!!」

 

奴隷達の歓喜はいつのまにか怒号に変わっていき、次々と奴隷達や先住民達が武器を手にかけだしていくのがみえた。あいかわらず口のよく回る男だと思う。

 

私はこの掃討大会に参加する気は微塵もない。ワプワプの能力者だからウオウオの実を食べることができない時点で景品の魅力が半減だからだ。

 

さて、私はゴッドバレーに眠る資源の調査と利権書の回収に急ぐとしようか。ここが世界政府直轄の領地になる前にこの混乱に乗じて資源をありったけ積まなくてはならないかもしれないからな。資源だけあっでもダメだ。加工技術が必要だから先住民の中に職人達がいるだろうから勧誘も視野にいれなくてはならない。

 

世界政府はあいかわらずアホで困る。資源だけあってもそれを活かすことができる人間まで皆殺しにしようとしているんだから。やれやれ、族滅する前に間に合ってよかったぞ。

 

私は街に広がる工業地帯に残っている先住民がいないか探しにいくべくワプワプの力を使うことにした。さっさと職人達を避難させなくては。

 

 

天竜人を殺せば1人100万点。掃討大会に追加されたスペシャルルールにより、武器を手にした奴隷あるいは先住民達の標的は大人より子供、男より女とわかりやすいくらい弱者に向くことになる。命の危機にさらされた掃討大会の見学に来ていた一般の天竜人やその家族は我先にと停泊している船に避難を始めた。

 

もっともその船は上陸前の大暴れで半壊し、とてもではないが全員が避難できるような状況ではない。殺到する天竜人達に護衛代わりに来ていた海兵達も奴隷、あるいは先住民の暴動ともいうべき反逆の餌食になるだろう。

 

天竜人を殺すことが許された以上、今までの鬱憤ばらし、あるいはこのまま殺されるくらいなら差し違えてでもと考える人間は多いはずだ。天竜人は奴隷達をそう扱ってきたんだから因果応報というやつだろうか。

 

ゴッドバレーの資源と工業地帯に残っていた職人達をワプワプの力で私の船に乗せてやった。

 

「これで私のすべきことは終わりました。ジーベックのところにいくから待機してください」

 

「了解」

 

「待ってくれ」

 

「なんですか?」

 

「おれも、おれも行かせてくれっ!!ゴッドバレーがそんなことになっているなら、おれも参加したい。いやさせてくれ。娘が生きたまま焼き殺されたんだ!天竜人を殺せる機会なんてもう2度とないだろうから!これも天からの贈り物に違いない!たのむ、このとおりだ!!」

 

土下座してくる男に私は軽く笑う。

 

「わかりました、なら一度ゴッドバレーの中央に行きましょうか。ジーベックがいるはずですから、今どうなっているかの確認も兼ねてね」

 

「ありがとう、感謝する」

 

「参加するなら武器がいりますね。銃と剣、どちらにしますか?」

 

「じゃ、じゃあ銃で」

 

「わかりました、こちらが手配しましょう」

 

私は近くにいた部下に命じて素人でも比較的使いやすい銃と弾丸を持ってこさせ、そのままくれてやった。簡単に使い方をレクチャーしてやる。他に行きたい人間はいないか確認をとったが、どうやら命が惜しい人間ばかりのようだ。みんながみんな掃討大会に参加されるとこちらが困るから助かる。

 

「船長!12時の方向にロジャー海賊団の船が見えました!」

 

「ガープの船が3時の方向に!!」

 

「わかりました、報告ありがとうございます。ちょうどよかった。ジーベックのところにいくところでしたからね。とりあえず急いだほうがよさそうだ」

 

職人の男性をつれて私はふたたびワプワプの能力でゴッドバレーに上陸した。

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