ロストマンのセイリング・デイ(王直→ホーミング 番外編) 作:アズマケイ
ゾロは、クライガナ島「シッケアール王国」跡地へと飛ばされる。 満身創痍となったゾロはそのまま昏睡してしまうが、実は、この島には先客としてゲッコー・モリアの部下ペローナがいた。なんと先のスリラーバークで同じくくまによってかの地に飛ばされていたらしい。当初は先の戦いでの遺恨を晴らさんと考えた彼女も、一人ぼっちでいるのが寂しかったこともあり、王国の居城の中でゾロを介抱した。
また、この城の現在の持ち主は、かつて東の海でゾロと対決したミホークであった。 マリンフォードから戻ったミホークから、そこで起こった海軍七武海と白ひげウミット海運連合軍による頂上戦争の顛末と、ルフィの兄エースの救出を知らされる。
ルフィの元に駆けつけるべく、ミホークから小舟を譲り受け、重傷を押して海に出ようとするも、人間の技と野生の力を持つヒューマンドリルの群れに歯が立たず、海岸に到達する事も叶わなかった。
その後、ペローナから受け取った新聞でルフィの起こした『16点鐘事件』の記事を見て、彼の無事と『3D2Y』のメッセージの意味を理解。ゾロはルフィの期待に応える為、そして世界一の剣豪となる為に、恥を忍んでミホークに頭を下げ剣の指導を嘆願。
ミホークもはじめは「敵に頭を下げるなど見損なった」とゾロを見限ろうとしたが、彼がミホークに頭を下げる上ですでにヒューマンドリルを全て打ち倒した事を知ると、野心やプライドを捨て、他者の為に強くなろうとしている意志を理解し、この申し出を承諾した。
ただ、非常に間が悪かった。ゾロは知る由もないのだが、鷹の目はポートガス・D・エース処刑の折に、七武海召集命令に応じてマリンフォード頂上戦争に参加。 戦争開始直後、白ひげエドワード・ニューゲートに試しの一振りを仕掛けたが3番隊隊長ダイヤモンド・ジョズによって阻まれる。
「さて運命よ…あの次世代の申し子の命ここまでか あるいは…この黒刀からどう逃がす……!!!」
戦争半ばでは、ルフィと再び対峙し圧倒したが、5番隊隊長花剣のビスタに足止めを食らう。その場にいる者たちを味方につけていくルフィの脅威度を改めて感じていた。
しばらくビスタと斬り結んでいたがパシフィスタによる挟撃策が始まるとビスタに勝負を預けるよう提案し、ビスタが互いの利点のためにそれを受け入れる形で勝負はお預けとなった。
ルフィが「覇王色の覇気」を無意識に発動した後に、再度追撃し、ルフィを庇ったダズ・ボーネスを一太刀で切り伏せるが、今度はクロコダイルにより阻まれ、ルフィを逃す。
そして、ミホークは、かつて最強の剣豪として名を欲しいままにしていた伝説の大海賊金獅子のシキと相対することになる。金獅子が四皇から陥落したエッドウォーの海戦は、今から27年も前だ。
当時14歳だったミホークである。当然ながら金獅子と一戦交えるのが初めてだったのだ。その激闘はミホークがかつて赤髪との決闘の日々を思い出させるには十分だったが、金獅子はミホークより他のことに興味があったのか、真剣勝負とはならなかった。
金獅子としてはロックスかぶれで自分好みな制度を全世界に強いていた元天竜人のホーミングに用があった。
しかし、ホーミングは見聞殺しを駆使して、歩いてではあるが最短ですでに処刑場にいた。しかも空には空島ウェザリアがいる。
20年前にできた七武海という制度をジンベエやクロコダイルから聞いてはいても、最初に出てきたクロコダイルが金獅子の嫌いなミーハー海賊団の代表格だったために、あんまり興味がわかずにろくに話を聞いていなかった。ちゃんと聞いていれさえすれば、ミホークの名に興味がわいていたかもしれないが。
そういうわけで、ミホークからしたら、あしらわれた、と勘違いするには充分な状況が完成してしまった。
しかも、ルフィ達を助けたのは、なんと王下七武海に入るだろう脅威度を見せつけてきた天夜叉ドフラミンゴの弟分。天夜叉が隣で後継者や自分を超えようとする者の存在を自慢してくる状況だった。
その矢先にシッケアールに帰還したら、ゾロが弟子入りを志願してきた。鷹の目が笑った意味をゾロが思い知るのは、数時間後のことになる。
金獅子のシキ、インペルダウン脱獄。あらゆるメディアの号外が全世界を震撼させてから、元四皇が準四皇と呼ばれるようになるには、それほど時間はかからなかった。
かつて大艦隊を率いていた金獅子が陥落したエッドウォーの海戦。実は空島ウェザリアとウミット海運が世界政府への再三の直訴にもかかわらず世界政府に無視され、海軍の英雄ガープが見かねて手を貸してくれて成し遂げた事件だった。マリンフォード頂上戦争は、かつて世界経済新聞だけがすっぱ抜いたニュースが本当だったのだと知らしめた事件でもあった。
それを教訓に、金獅子のシキは艦隊を率いるのをやめた。フワフワの力を鍛え直し、制空権をとる戦いに特化することにしたようだ。
まずは偉大なる航路に存在する秘境、メルヴィユがまず陥落した。元々は雲にも届く塔のような場所だったが、金獅子のシキの支配後は「フワフワの実」の能力によって、宙に浮く複数の島々と化した。独自の生態系を築き、地上にはない特殊な動植物が生息している。ここに住む人間は腕に羽が生えており、空を飛ぶことができる。
メルヴィユに降り立った金獅子のシキによって島は支配され、住民の多くが捕まり強制労働させられている。
しかし、誰も手が出せない。空島ウェザリアのように自由自在にフワフワの力で動く。空島ウェザリアと似たような高度にあるため、ウェザーエッグが使えない。ウミット海運や空島の人々は防衛に徹していた。攻撃に転じることはできなかった。それほどまでに金獅子のシキは、頭の舵輪以外に弱点がなかった。
四皇達はただちに制空権をとりにくる金獅子達への対応に追われるはめになった。空を飛べるカイドウやビッグマムはともかく、金獅子のあとに四皇に座った赤髪のシャンクスは、より警戒をすることになる。しばらく、酒は飲めそうになかった。