ロストマンのセイリング・デイ(王直→ホーミング 番外編) 作:アズマケイ
5歳のロシナンテを引き取った義父が真っ先にしたこと。それは、5年前に起きたゴッドバレー事件から始まる海軍の英雄の特権をフル活用して入手したナギナギの実を食べさせることだった。
無能力者の義父がその使い方を教えるのは大変で、ロシナンテも苦労はしたが、スパルタのおかげかなんとか形にはなった。義父からは絶対にダダンの家から出るな、ただのロシナンテとして過ごせ、ダダン一味の名前と顔を完全に覚えて、知らない奴が現れたら隠れてナギナギの力を使えといわれた。
えらくゴツイ体つきをしているが、結構美人な女盗賊、カーリー・ダダンに預けられた。
詳細は不明だが、義父の古くからの知人であり、実力に加えて山賊稼業を見逃してもらっている事情から頭が上がらず、一味共々「ガープさん」と呼んでいる。
いきなり元天竜人の子供の面倒を見る羽目に陥ったが、15になるまでロシナンテの育ての親になってくれた。
半ば強制的に押し付けられた節があって、かなり疎んじられたが、義父から預かっているだけあって保護者として最低限の生活を与えてくれた。
義父はたまに帰ってくると海兵にするためとかなりスパルタな訓練をロシナンテに課した。非加盟国に残るか、海兵かの2択でどちらも選べなかったロシナンテは、自動的に海兵になる道しかなかった。
10になるとダダンのところから、フーシャ村までなら行ってよくなった。なぜかすでにロシナンテが元天竜人だとバレていたが、誰も危害を加えては来なかった。なにもないところでドジを踏み、あやうく死にかけるロシナンテは、そのうちドジっ子ロシーと言われるようになった。無害だとわかると友達ができた。ロシナンテは、友達を作る才能があった。
12のときだ。エッドウォーの海戦が載っている新聞。憧れの義父の活躍を華々しく報道する三面記事を見ていたロシナンテから、義父は取り上げてしまった。そして、そのまま新聞で頭をしばかれた。
「何のためにフーシャ村に預けてると思ってんだ、見るなそんなもん。お前が見るべきはこっちだ、こっち」
差し出されたのは、母上が匿ってもらっているモルガンズの発行する世界経済新聞だった。ロシナンテは母上が働いていると知っていても、あんまり好きではなかった。
他の新聞と違って話題性重視で平気で飛ばし記事を書くし、父上がなにをしたのか必ず載っているから嫌だった。あの日から豹変したように非加盟国にある犯罪組織のリーダーを殺害していく父上は、飛ばし記事を実現するために動いてるみたいで怖かった。ただの飛ばし記事なのに、予言書みたいだった。ウミット海運が血の掟で誰を処刑したのか必ず載っていた。
「おれの友達のことを勘違いしてるのは大目に見てやる。だが目を背けるのは論外だ。ちゃんと見ろ。それがどっちも選べずに、消去法で海兵を選んだお前にできることだからな」
義父はいつも父上の肩をもつ。二口目には選べなかった、あるいは逃げたという。そこだけは嫌いだった。
しぶしぶエッドウォーの海戦についての記事を読んだロシナンテは、あれ、と思った。ウミット海運と書いてある。他の新聞はウェザリアと義父が手を組んであの金獅子を捕まえたって書いてあるのに、この記事だけはウェザリアとウミット海運が再三世界政府に直訴したのに、人堕ちホーミングを理由に無視して、見かねた義父が手を組んだと書いてある。
「おまえの母上は覚悟を決めたんだ。もう12になったんだから、そろそろお前も覚悟を決めろ。おれに預けられた程度で、天竜人が普通に生きられると思うなよ。おれが守るべきもののなかにお前を入れるべきかどうか、今もずっと悩んでるんだからな」
義父に引き取られてから7年目にして、ロシナンテは義父が世界で一番嫌いなのが天竜人で、世界で初めて友達になりたいと思った天竜人が父上なのだと知ることになる。
「これ、みとけ。他言無用だぞ」
義父から渡されたのは、ウミット海運の右腕になった父上か、14ですでに北の海で名を馳せていた兄上が誰か殺した写真だった。リストはその写真の枚数分あった。ものすごい量だった。
「ホーミングとは海軍入隊まで黙ってる約束だったが、もう我慢できん。非加盟国を滅ぼした父上が怖いだ?海賊になった兄上がわからない?そのおかげで守られてるくせになに抜かすんだ、ロシナンテ。そこにあるのは、おれがここにこれない間に放たれるはずだった殺し屋か工作員共の死体だ。おまえをひきとってからずっと7年分もある。全部目に焼き付けろ。お前の父か兄が代わりにぜんぶ殺してるじゃないか!」
絶句するロシナンテに、義父は一喝した。
「それが選べなかったお前が選んだ道だ、ロシナンテ!お前の母上は覚悟を決めて戦うためにペンをもった。お前はどうなんだ。何で2歳しか違わないのにドフラミンゴとここまで違うんだ、ロシナンテ。ほんとにホーミングの次男坊なのか?おれを慕って厳しい修行に耐えて道を踏み外してほしくないおれの願いを叶えるために頑張ってるのはうれしいが、それとこれとは話が別だろうが!」
ガープは天竜人が不倶戴天の敵なレベルで嫌いでホーミングの息子だから預かった。ドフラミンゴはすでに豹変した父上戻すために必死、母上はモルガンズが暗殺者殺してくれるのみてるから、守られてて覚悟決めるのロシナンテだけ遅くなってしまった。