ロストマンのセイリング・デイ(王直→ホーミング 番外編) 作:アズマケイ
「儲け話に一番縁遠いはずの赤髪に可能かどうかはさておき。カイドウを上回る儲け話があるなら考える。今はなんともいえないから保留にさせてもらうとな。白ひげの対応をみてから決めさせてもらおう。いい儲け話を期待しているよ」
人堕ちホーミングからの手紙は、要約するとこんな感じだった。使者であるロックスターは、白ひげの返事次第ですねといっていた。大幹部クラス以上の人間達はここからが正念場かと意気込んでいた。
しかし、赤髪のシャンクスだけは受け取り方が違っていた。やっぱりそうなるのか、と天を仰ぎたくなった。一眼みたときからわかっていたが、人堕ちホーミングとシャンクスは、何というか、合わないのだ。思想的にも性格的にもなにもかもが。もちろん、それは第一印象にすぎないが、シャンクスはそこから先に進めないでいる。
人堕ちホーミングは人となりをよく知らないと騙されてしまう強固な建前を武器にこの理不尽な世界と戦い続けている男だ。この男を見聞色でみようとしても、見聞色ごろしで封殺されてしまう。そこにあるのは、とりつく島すら粉砕するほどの拒絶だ。
それだけ許せないのか、ロックスかぶれの人堕ちホーミングの中にある王直としての記憶は、あるいは人格は。ロジャー海賊団の見習いだった自分が今紆余曲折へて四皇に座り、麦わらのルフィを待つ今の世界が、自分が、周りをとりまくなにもかもが。
これはあくまでも予想でしかない。ずっとシャンクスは自分がなぜここまで嫌われているのかすらわからないでいる。
ロジャーの時代からよく知る赤髪だからこそ、この手紙に込められている激情が手に取るようにわかる。
なにがそうさせるのかはわからない。本懐を知ろうにも、赤髪のシャンクスが人堕ちホーミングが嫌うミーハーではないと16年前から知っているはずのホーミングは、あいかわらずシャンクスと会おうとしない。接触する可能性の芽の段階から遮断してしまうのだ。長年かけてなんとか交流をもとうと使者でようやく相手にしてくれたと思ったらこれだ。
「合法的に世界をひっくり返す儲け話を上回る提案を一番縁遠いはずのクソガキができるかはさておき、おれの計画にのってくれたカイドウを引かせるだけの儲け話があるなら考える。止めたきゃ白ひげを説得しにいけ、お前らの生きてきた人生とはレベルが違う!!!ガキと遊んでるヒマはねェんだ帰れ!」
人堕ちホーミングのことをよく知らない赤髪のシャンクスにだけしか読み取ることができない、彼からの手紙だった。
「......なんか地雷でもふんだか......?」
王直が大海賊時代から海賊始めた非加盟国出身とか正当な理由で海賊初めてない奴らをまとめてミーハー呼ばわりして嫌ってたことは知っている。
クロコダイルあたりに嫌がらせしてたのはそのせいだ。だからクロコダイルも嫌いなのだ、白ひげとも仲良いから尚更。
そんな男とぐちゃぐちゃになり、人堕ちホーミングは出来上がっているのだ。
気持ちはわかる。ミーハーは非加盟国出身者が喉から手が出るほど欲しくても手に入らないものを初めからもってるやつらがおおいから、海賊王がミーハーしかなれないとしても王直は許せないのだろう。
せめてロックスの時代を知る奴らを倒せないと海賊王として認めたくないのだろう。気持ちはわかる、わかるのだが。
「アンタも天夜叉にD(ロー)を託してるじゃないか、お互い様だろう?なんでそこまでおれにまで嫌がらせしてくるんだ、アンタは......?」
2年後、七武海になったバギーが海賊派遣業を始めても平然と取引するのを目の当たりにして、ますますシャンクスはわからなくなるのであった。