ロストマンのセイリング・デイ(王直→ホーミング 番外編)   作:アズマケイ

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ロシナンテ

ロシナンテは15のとき海軍学校に入り、ゼファー教官の指導をうけて18で東の海支部ローグタウンに配属された。北の海出身のヴェルゴは同期だ。大海賊時代が始まり数年の配属のため、ローグタウンは海に駆り立てられた海賊達でごった返していた。

 

ナギナギの実の能力者にして、海軍の英雄ガープ中将の指導を受けた元天竜人。しかも自ら海軍に志願した。ガープ中将から指導をうけたこともあり、海軍学校でもあたまひとつ飛び抜けた才能をみせたロシナンテに海軍は期待していた。ロシナンテが入隊前から積極的に情報を拡散した義父や同期達、上層部の思惑もあり、東の海支部において、いきなり難易度が高いローグタウンに配属された。

 

大海賊時代、海軍学校があるとはいえ、荒らくれどもを捕まえるのに弱者はいらない。海軍の世界は完全実力主義だった。ある程度格闘技に長けており強ければ能力者でも昇進しやすい。覇気や六式を使えれば鬼に金棒だ。

 

義父から才能の有無関係なく一通り叩き込まれたロシナンテなのだが、本人が感受性豊かで慈愛に満ちた性格。しかも部屋に入ると転んだり、タバコに火をつければ全身に火が回るなど、ドジな一面があり、とてもユーモアのある、憎めない性格をしている。

 

さいわい、戦闘中など集中しているときはドジはなりを潜めたが、気を抜いたらダメだった。そのため、ずっと集中していなければならず、側から見ると仕事になると冷酷で冷徹な人格に豹変したように見られた。いつものロシナンテをしる先輩達には可愛がられながら仕事をこなし、仕事中しかしらない海賊達には悪魔みたいな襲撃をしかける男にみえていた。

 

戦闘は主に六式含む格闘術と手榴弾などの小道具を使っており、実力は保証されていた。ガープ中将のおかげでかなり頑丈になっていて、盾役もいけた。ヴェルゴにいわれて、覇気取得をはやめるようにした。

 

そのうち海軍本部に栄転した。23のときだ。本部と支部では肩書きが2段階も違うのだが、ロシナンテも慣例にしたがい、肩書きの名前は下がったが、実質昇進だった。

 

兄上は17で物理的に北の海を制してウミット海運の支配をより強固にしてから、偉大なる航路へいき。25で七武海になっていた。奇しくも海賊をはじめた兄上が秩序側になった。ロシナンテはものすごく喜んだ。あいかわらず父上からはずっと無視されているが、兄上は手紙だけはくれていた。

 

しかし、立場が立場だからとガープ中将にいわれ、今までこそこそしていたから、数カ月に1通だったのが毎月になった。ようやく手紙が一方通行ではなくなったから、嬉しかった。七武海会議のついでに顔を出した兄上は、父上の豹変の理由をずっと調べるために今の地位に落ち着いたことを教えてくれた。ものすごいショックだった。

 

数日に一回父上は海軍本部のセンゴク元帥を訪ねて、定期報告を行う。毎回報告会後の雑談は、表立って話ができない話題ばかりだから、ロシナンテが呼ばれた。息をするように簡単にナギナギをつかえるようになっていたロシナンテは、いつしかお抱えの中佐から大佐扱いされるようになった。

 

ローの一件でオペオペの機密をもらしたことがガープ中将にバレたときは爆笑されたが、その能力者が破竹の勢いで活躍し始めるとうわあという顔をし始めた。七武海は秩序側だ。秩序側にして、中立地帯ドレスローザをつくりあげるバランス感覚を評価していたガープ中将にとって、海賊王を目指すDを育てるのは禁止カードらしい。兄上は七武海の会議のたびに怒られていた。傘下じゃないから知らんが兄上の返事だった。

 

兄上が七武海になったおかげで母上もロシナンテも公的に会うのがすごく楽になった。父上だけは手紙の返事すらくれなかった。

 

そこから昇進と降格を繰り返し、なかなかあがれなくなる。気づいたらヴェルゴの部下と地位が同じになってしまっていた。

 

「覇気使いじゃなけりゃ、マリンフォードも参加させなかったんだがな」

 

ロシナンテは笑った。

 

「集中力きれる前に復帰と離脱をしなきゃならないのは面倒だけどさ。おれだって頑張ってきたんだよ、兄上。父上見つけられたのはおれのおかげなんだから、感謝しろよな」

 

ナギナギとの相性もあり、主体が体術なこともあり、しかもずっと集中しなきゃならない都合上、見聞色と武装色を鍛えてきたロシナンテである。見聞殺しを使われたらわからないけど、ロシナンテは心が聞こえるタイプの見聞色使いだった。おかげで周りの心の声に振り回され、なかなか昇進できないでいた。

 

しかし、マリンフォード頂上戦争の極限状態がようやくロシナンテを覚悟させた。心の声が聞こえない、海底の底みたいな静けさを伴う場所を探すだけでよかった。あちこちが死者が続出する戦場である。むしろ兄上がいうように見つけやすい環境だったのはたしかだ。父上のことだ、わざとなんだろうけど。銃すら抜くのは大将クラスの攻撃をかわす時だけだとロシナンテがいうと、兄上はうへえという顔をしていた。

 

「おいこら、バブルシールドの性能違うじゃねえか。弾き返しやがったぞ」

 

「えっ、うそ!?大将アオキジの技、落として対応してたのに!?」

 

「偽装工作かよ、めんどくせえな」

 

兄上は舌打ちをした。ロシナンテなりに頑張っているのだが、カイドウとの戦争最前線の兄上は、ナギナギの力しか評価してくれない。それだけがロシナンテは不満だった。

 

マリンフォード頂上戦争後、ようやくロシナンテは昇格できた。親友のヴェルゴは覇気使いとしては格上なためか、あるいは腐れ縁だから精度が鈍るのか。今だにドフラミンゴファミリーのスパイだとは気付けないのがロシナンテなのかもしれない。

 

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