ロストマンのセイリング・デイ(王直→ホーミング 番外編) 作:アズマケイ
SWORD。それはマリンフォード頂上戦争の責任をとり辞職しようとしたセンゴクとガープを引き止めるため、コングがその存在を明かした海軍の機密諜報部隊だった。
海兵は秘密裏に辞表を提出し、その代わりに世界政府に許可を取らなくとも四皇を始めとした新世界でしのぎを削る海賊に挑むことが許される遊撃部隊。かつてゼファーが提唱し、表向き海軍の新しい機動部隊として設置された海賊遊撃隊が、さらに改良や発展を重ね、形を変えて秘密裏に出来上がった遊撃隊だった。
彼らは辞表を提出し、海兵の証であるマリンコードを返上しているため、所属する者達は海兵であって海兵ではない。世界政府にいわれてもすでに海兵ではないとすぐに首をきれるいう建前を手に入れた存在だった。
まさに海軍にとっての未来の理想形だった。
歓喜したのはガープ達だ。海軍の矛盾に長らく向かい合う羽目になっていた彼らは、自らの後継者や家族、あるいは親類の中でも将来有望な人材で信頼できる人間に限定して声を掛けた。
もちろんガープはロシナンテにも声を掛けた。ガープ達の海軍の未来を率いるのは海賊になった父親の真実を知り、自ら志願した逸材のドレーク。ロシナンテが救出しておつるの部隊に保護を要請したあのドレークだったからだ。
ロシナンテは二つ返事で承諾した。
ただし、ひとつだけ問題があった。ロシナンテの実兄ドフラミンゴは、ドレスローザを守るために自ら七武海に入ると同時に天竜人の傀儡として、25のときから世界政府の不都合な存在を消す地位に身を置いていた。明らかに敵対勢力である。ぶつかれば間違いなく殺し合いになる。そこに落とし所など存在しない。さいわいドフラミンゴは事前に情報を流してくれたため、なんとか落とし所を見つけられそうで、ガープは安心していた。それを話したら、次の日からガープは空島バロンターミナルを出禁になった。
「センゴクが奪ったあの子がいた組織の後継におれの許可なくよくもいれやがったな、拳骨のガープ。だからてめーは嫌いなんだ、しね!」
「そういうな、ホーミング。ロシナンテはもう38じゃろ。自分で志願してくれたぞ?」
「何もわかってねえじゃねえか、このアホンダラ。お前らがSWORDなんか作ってロシーいれるから息子二人が殺し合いする羽目になってんじゃねーかしね!貴様としてはお願いだったろうが、ロシーはそうは思ってなかった。泣いてたんだぞ、わざわざ電伝虫をよこしてきてまでだ!どう責任とるつもりだ、貴様。指令のつもりじゃなかっただと?貴様はロシーの育ての親で恩人だ!ロシーはそもそも海軍に忠誠ちかってないしお前らのかかげる正義そのものを信じてないのを忘れたか!消去法で入ったんだ。そんなやつに辞職しろっていってみろ、辞令だと受け取るにきまってるだろうが!!だから海軍は嫌いなんだ!!」
「がっはっは、立派に父上しとるじゃないか、ホーミング!安心せい、ロシナンテは甘えとるだけだ!やっと大丈夫だと思ってもらえたと喜んでおったぞ。ドジっ子ロシーが隠れ蓑になるなんて、おれかっこいいと感動していたやつが今更海兵の矛盾に苦しむわけないだろうが!それより世界経済新聞みたぞ、世界政府め、今度は革命軍を標的にしおったか。助かったぞ、ありがとう」
「金は高くつくからな、覚悟しろよ」
「わかっとるわい。それより、何で今更ハチノス中立地帯にするんじゃ、ホーミング。黒ひげにくれてやるんじゃなかったのか?まさかなんかあるのか?あの海賊島に」
「事情が変わっただけだ、気にするな」
「アホか、気にするわい!ロシナンテもドフラミンゴも困惑しとったぞ!?まさかまた死のうとしとるんじゃないだろうな?ただじゃおかんぞ、お前」
「そんなんじゃねえ、ただ過去が復讐に来ただけだ」
「!!まさかコビーにまだ手を出そうと考えとるんじゃないだろうな!?いくらお前でも許さんぞ!?未来は変わったんだから悪夢はもうみないっていったのは、おまえだろうが!!もうおれはおまえの罠に嵌められて、殺さなきゃならん状況に陥るのはいやだぞ、ホーミング!不倶戴天の敵でも嫌い抜いた相手でも結構だが、事前に言え!びっくりするだろうが!!」
「うるせえ、静かにしろ。そんなに慌てなくても海軍の英雄としての内面と外見が全然あってねえ、あのチグハグなコビー大佐と今のコビーはまったく別の成長をしてる。今更利用するには骨がおれるからやらねえよ。だから安心しろ。もっとめんどくせえやつだ」
「全然安心できんわ!!しかし、めんどくさい?ローの方か?」
「まあ、似たようなもんだな。ドフィとロー見てると思い出す」
「???」
ホーミングは頑として口をわらなかった。誰が明かすか家の恥なんてと思っていたのをガープは知る由もない。