ロストマンのセイリング・デイ(王直→ホーミング 番外編)   作:アズマケイ

41 / 105
ロックスの儲け話2

カイドウにとってロックス海賊団は黒歴史だからあんまり思い出したくない過去である。

 

あえていうなら、ロックス海賊団はうたう海賊団だった。もっとも殺し合いをしている時に、挑発がわりに王直がよく歌っていたため、仲良くて放牧的な意味では断じてない。そのタイミングでいつも金獅子やリンリンがマジギレするため本気の殺し合いになった。イタズラにいのちをかけるような男だ、味をしめたんだろう。よこせとか何処にあるとか口論によくなっていた。王直は大笑いしていた。その意味を知ったのは海賊を旗揚げしたころだ。海賊王という概念がない時代から、リンリンも金獅子も海の王になるといってはばからなかった。歴史の本文を継承している王直の統治するハチノスを狙ってきていたのは間違いない。

 

ビンクスの酒は、王直がいうように、過去と現在とをつなぐ唄、本来なら上陸する前にうたう海賊なら誰でも知っている有名な歌だ。一方、ビンクスの名前の由来やモデルは不明で、ビンクスという言葉が「人名」なのか「国名」や「地名」なのか、一体これが何を指しているかも不明だ。「ビンクス」という言葉が何を意味しているのか、わからないならお前は海賊じゃないなとミーハーじゃないだけマシだな見習い君呼ばわりされていた。今ならその意味がよくわかる。

 

ロックスが崩壊し、カイドウが世界政府に拉致されたとき、発狂した王直がかつて自分を嵌めたウミットにルナーリアを護送した研究施設をはじめとした全てをよこせ、下請けになると契約した。ハチノスの襲撃で施設は8割が焦土と化した。残りの2割は腹いせにカイドウ達が破壊して脱走したから完全なる行き違いだった。

 

そのころ、世界政府の実験施設で耐久実験を受けていたところを施設から脱走しようとしたカイドウと遭遇し、アルベルは仲間の誘いを受ける。

 

「お前は世界を変えられるか?」という問いに対して「おれにしか変えられねェ!!!」と答えたカイドウの “強さ”に惹かれ、仲間になることを承諾。2人で施設を破壊し逃走した。

 

“キング”という名は、逃走した際にその強さを認めたカイドウが付けた名であり、本名である“アルベル”はこれ以降名乗らなくなった。

 

更に、カイドウは逃げても政府から狙われる立場にいたキングに対して「おれの陰にいろ!! 誰にも渡さねェ!!」と匿う事を約束し、居場所を与えた。

 

上記の出会いからか、カイドウこそが“ジョイボーイ”であると信じていたが、カイドウが「おれの作ろうとする世界とお前が願う世界は同じなのか?」と質問をして来た際には、キング自身は既にそういった野望を求めておらず、手を差し伸べてくれたカイドウを海の王にする事だけを目標としたと明かしている。

 

数年後、ハチノスで再会したとき、王直の発狂を目の当たりにして、ある種の吐き捨てたくなるような誤解(カイドウからすれば誤解じゃない)から解放された(カイドウからすればそのままの方が良かった)。リンリンからカイドウはルナーリアの息子が欲しいからよこせと言われた(だから嫌だっていってんだろうがババア!王直のやろう、なんつーことしてくれたんだ、いい加減にしろよ殺すぞ)嫌ならすぐ返すといわれた。

 

カイドウは外見だけは超絶美人な姉貴分に心底ドン引きした。まだキングは10代前半だったのだ。

 

「バカいえ、血統因子が欲しいんだ。クローンなら作れるだろ」

 

「おれ達はすでにとられてんだぞ、MADSが取引に応じるわけねえだろ」

 

「じゃあ一生よこせ。つーかおれの本当の弟になれ。それが一番いいな」

 

「ふざけんじゃねえ」

 

定期的にキングをよこせ、つーか部下になれと金獅子がロジャー海賊団にケンカをうるようなノリで襲撃にくるリンリンと撃退するカイドウが犬猿の仲と言われるのにそう時間はかからなかった。キングは終始居心地悪そうにしていた。

 

「なに偉そうな口聞いてんだ。お前、おれにデカい借りがあるよね?」

 

「うるせえ、昔の話だろ」

 

「一生の恩さ」

 

そのネタを出されるとカイドウはそれ以上言い返すことができなくなる。ロックス時代もそうだし、ゴッドバレーのこともそうだが、ロックスが滅びた日にリンリンがゾオン系ウオウオの実幻獣種モデル・青龍を与えた事を言っているのだろうとカイドウは考えている。

 

カイドウはキングと出会うまでの数年間は海賊としてソロ活動していたが、そのソロ活動は青龍の能力無しには語れない。また、百獣海賊団結成から四皇と呼ばれるまでの力をつけ、今に至る経緯にも青龍の能力は非常に役に立った事は間違いない。カイドウの今日があるのはリンリンのお陰であると言え、リンリンはそれを自負し、カイドウもやはり恩には感じているから、リンリンにあれ以上言い返す事は出来なかった。

 

それはそれ、これはこれだ。

 

いくらリンリンはカイドウを弟のように思っているとはいえ。二人の出会いからしてリンリンがカイドウを気に入り、可愛がっていたし、戦いでも息があっていたし、二人が姉弟のような関係にあった事は嘘ではない。

 

しかし、リンリンは自分が産んだ実の子達すら自分の所有物として扱うようなとんでもない女だ。カイドウからすれば、いくら弟のように思っていたとして、何の狙いもなく、ただ与えたようには思えなかったし、実際その予感はあたっていた。

 

実際にそれがあったから、それが二人が袂を分かつ事になった。問題はリンリンがそれを大したことがないことだと考えていることだった。

 

なにはともあれ、カイドウは百獣海賊団を結成。その後は個人の強さのみで凶暴な海賊達の尊敬を集め、四皇まで上り詰めた。

 

28年前(当時31歳にしてヤマトが生まれた年)、ゴッドバレー事件から10年が経ち、この頃には武力の化身と呼ばれたカイドウは黒炭ひぐらしと手を組んでおり、ひぐらしからは「弱肉強食こそが自然の姿」「これからはロックスの残党達が台頭してくる」と伝えられ、鎖国国家であるワノ国を武器工場とする計画を明かされたことでワノ国に招かれる。

 

ひぐらしの先導でワノ国に入国したカイドウはワノ国への復讐を企む将軍黒炭オロチと協力関係を結びオロチからはワノ国の優れた武器を供給してもらう代わりに、外敵からオロチを守り百獣海賊団への指揮権を与えワノ国の支配体制を築き上げた、はずだった。

 

なぜかロジャー海賊団と白ひげ海賊団にバレていて、激怒したおでん達が襲撃にきて、計画は完全に破綻した。おかげでカイドウがワノ国から奪いたい歴史の本文も古代兵器もどこにあるかわからないままだ。

 

最初は王直の仕業かと思った。26年前を境に海賊島ハチノスからビンクスの酒は姿を消したからだ。しかし、王直がいうには人堕ちホーミングから儲け話がもちかけられたからだという。

 

今ならわかるが大海賊時代の到来がその役目にとってかわると判断したからだろう。それを理解したのは新聞を読んでからだ。

 

例えば、ビンクスの酒の最後の歌詞は【果てなし あてなし 笑い話】。ラフテルはLaugh Taleであり、【笑い話】という意味中なる。そのためビンクスの酒とは「ラフテルに到達するまでの旅路」が描かれた歌詞だった可能性が高いとカイドウ達、海の王、もしくは海賊王を目指した者達は考えるのだ。

 

だから、真の意味で理解した者たちは歌わなくなった。見習いから海賊をはじめるのがあたりまえだったロックス時代から廃れ始めたビンクスの酒は継承されなくなり、いよいよ海賊王の処刑で過去のものとなった。

 

かつて24年前にゴールド・ロジャーは【自らの処刑】を演出してラフテルへ行くように全世界の海賊をけしかけたように、かつての誰かも【ビンクスの酒】という歌を残してラフテル(当時はまだ名前がない)へ行くように海賊をけしかけたのではないか。

 

まさに受け継がれる意志だ。

 

そのためカイドウはビンクスの酒を作った作曲家・作詞家は「ラフテルにロジャーよりも先に辿り着いていた人物」だと疑っている。果たして、空白の100年以前に存在した伝説的な海賊こそがビンクスだったのか?それとももっと前なのか?

 

海の王を目指すために、カイドウもビンクスの酒を参考にした。

 

真っ先に目をつけたのはロックス時代に知り合ったババアから聞いた「光月家」の家紋だ。光月家はポーネグリフを800年前に作った石工のワノ国の将軍家の一族。ポーネグリフは古代兵器プルトンなどの在り処も記載されており、主に過去の歴史を後世に伝えるための絶対に壊せない石碑。

 

そのため五老星といった世界政府はポーネグリフに関する研究を固く禁じているが、光月家とDの一族はかつて深い交流があったことは明白だ。

 

この光月家の家紋は九曜紋が刻まれた「鶴のような鳥」と、その周囲に円が描かれたデザインになっている。一方、ビンクスの酒の歌詞には【空にゃ 輪をかく鳥の歌】とある。輪とは円を意味するため、光月家の家紋を表し てた歌詞だったのではないか。

 

続いては「エニエス・ロビー」。

 

別名は司法の島とも呼ばれるエニエスロビーは、かつてロックス時代にも襲撃した場所だからよく覚えている。海軍や世界政府にとって重要な島だけあって、エニエス・ロビーの周囲は海底が見えないほど深く割れていた。

 

人工的に海を割っているのか、もともと海が割れている場所にエニエス・ロビーを建築したのかは不明だが、ビンクスの酒の歌詞にも【我らが海賊 海割ってく】という歌詞がある。まさにエニエス・ロビーの周辺環境を表していたのではないか?

 

ついでにいうなら、エニエス・ロビーはENIES LOBBYと書く。この言葉はわからない。世界各地を探し回っても言葉の語源が見当たらないから、なんらかの略称か、頭文字をとったのだろう。この世に意味のない名前などない。何の玄関口なのか。

 

カイドウはこう考えた。ラフテルへ導く”4つの島”の頭文字を取った「エニエス」。そしてその謎を解いた者だけが「エニエス・ロビー」の

「ロビー」の本当の意味に気付く事ができる。

こういった考え方をすると、「エニエス・ロビーはラフテルの玄関口」。エニエス・ロビーの大穴の下には何があるのかわからない。もしかすると「大穴の下には”ラフテル”もしくは”ラフテルに繋がるなにか”」が隠されているのかもしれない。Dに加担して海底深くに沈んだ「魚人島」があるんだからありえない話じゃないはずだ。

 

とりあえず書いたやつは見聞色が凄まじいのは間違いない。「金波銀波」という歌詞に注目すると、これに続く歌詞は「しぶきにかえて」とあるため、まさにウォーターセブンの「海列車」を言い表している可能性もある。なにせ当時海列車は存在しなかった。単純にかつてある王国では海列車で世界が繋がっていたのかもしれないが。なにせ海列車を作り上げた男が魚人だ。

 

カイドウは白ひげの支配下にある魚人島に手が出せず、そのつながりからウォーターセブンには非常に警戒されているため、古代兵器プルトンに関する設計図には手が出せないでいた。だからババアは声をかけてきたわけだが。

 

他にもビンクスの酒の【千里の空に波がおどるよ】という歌詞は、そのまま「空島」を言い表している可能性が高い。

 

千里は実際の距離に換算すると約4000メートルになります。それに対して、空島は上空1万メートルに位置しているため、距離という点では厳密には異なるもののさほど大きな問題ではない。

 

何故なら、【嵐】という歌詞は「ノックアップストリーム」を表しているはずだ。空島に行くためにはノックアップストリームに乗って上空まで飛ぶ必要がある。逆に【おくびょう風に 吹かれりゃ最後】とは「空島から脱出する際」が書かれているか。

 

更に同フレーズに書かれている【波がおどるよ ドラムならせ】という歌詞もだ。

 

この意味はキングが教えてくれた。ルナーリアに伝わる「解放のドラム」のことだ。解放のドラムはヒトヒトの実モデル・ニカが覚醒する前に流れる心臓の鼓動音。追い込まれるカタチで覚醒し、最終奥義を体得する。かつてのジョイボーイもニカの実の覚醒者だった。

 

26年前、息子が家出をした瞬間に父親をしなくなってよくなったからか、ロックス連中を訪ねて回っているホーミングは、やはりカイドウのところにも現れた。さすがに不気味すぎて部下もヤマトも遠ざけた場所で会合は行われた。

 

「人堕ちホーミング、てめえ、なにもんだ......?」

 

初めて会った元天竜人が得体の知れない化け物なのは理解していた。この男は非加盟国を滅ぼしてから、最短でビンクスの酒に出てくる場所と交流を深めはじめていたのだ。

 

「フィガーランドか?」

 

「よりによってその名を出すな、殺すぞ。私はドンキホーテだ。いずれ息子ロシナンテはその下になる」

 

「じゃあ何で北の海で名を馳せはじめたてめえの弟子は天夜叉なんだ。王直がいってたぞ、毘沙門天て神は「財宝を守る神」として知られてるって。夜叉はその部下らしいな。もし天竜人がひとつなぎの大秘宝を守る存在としたら、てめえはまさに裏切り者だ。よりによって魚人島のオトヒメに感銘受けやがった。だから非加盟国に下されて、署名を無効にされたんだろう。天や神は天竜人しかいねえ。どうせ天夜叉もお前の息子なんだろ?」

 

「だからてめえは見習いなんだ、いいとこまでいくのにその先にいけねえ。いつまで経っても。それだけでも虫唾が走るってのに、よりによって非加盟国まで巻き込む暴力の世界なんか掲げやがって。誰が渡すか、てめえにだけは死んでもやらん」

 

その言葉でカイドウはホーミングの中に王直がいると悟るのだ。

 

「何しに来た?」

 

「もし、お前が、その時が来ても、海賊王になれなかったらの儲け話だ。あらためて手紙を書くから、乗るなら返事をよこせ」

 

なにがロックスかぶれだ、レッテルはったどおりの世界政府を狙って武力で世界をひっくりかえそうとしたロックスが再来するだけだぞ喜べよという本音がダダ漏れの儲け話だったのは間違いない。

 

こっちから戦争をしかけるのが合図だ。古代兵器がでてくるまで秩序を崩壊し尽くすが、ゴッドバレーの二の舞になるのは困るからしっかり準備をしておきたい。儲け話に乗る気があるならそのつもりでいろ。堕落は許さん。

 

そんな儲け話を持ち込んできたくせに自殺未遂は意味がわからなかったが、トーンダイヤルを聞いて理解した。30年は頭がおかしかっただけなのだ。

 

だから、王直時代からなにかと支援してくれてた世界政府が不倶戴天の敵のはずの男がいきなり七武海や革命軍庇い出すのをみてもカイドウは驚きはしなかった。絆されたんだろうと残念に思った。

 

リンリンが笑いながらあいつはロックスんときから商売と非加盟国しか考えてないって教えてもらって、ようやく理解するのだ。なるほど、秩序が完全に崩壊したら商売ができなくなるではないか。

 

800年周期の100年戦争を先に起こしたい利害は一致しているが、秩序をほどよく残すかどうかでカイドウとホーミングは対立しているにすぎないのだ。

 

ホーミングなりに今ある秩序でオトヒメの夢を叶えるために支援してきたのだ、30年も。しかし世界政府は動かない。むしろ裏工作をしている可能性がある。それどころか、新たに署名したホーミングの親戚すら抹殺しようと動いている。ならばもう物理的にするしかない。30年も待ったんだ、自動的にマリージョアは破壊されるだろうが、悪く思うなよという殺意を見た。

 

フィガーランドは混乱しているはずだ。16年前に互いの素性はバレている。ホーミングにしろ王直にしろ、天夜叉がしたいことからしても、全くおなじことを夢みているはずだ。思想が違うのが目的ならローいるからお互い様だろ。なんでモルガンズに金獅子が五皇なんて記事をかかせ、金獅子が四皇に相応しいか試してやるってくる嫌がらせをするのかと。

 

カイドウからすれば地雷しかふんでない。

 

平等という概念について「この世界に平和や平等なんてものは存在しない」と本気で「平等」そのものを目指す王直を否定するような発言する。

 

互いに地雷踏み抜いてるし似たもの同士で思想的にもあわないから、あったら殺し合いするしかないから全力で避けてるんだろう。

 

そもそもフィガーランドがロジャーに拾われたように、王直はジーベックに救われた。その時点であうわけがないのだ。王直がロジャーを助けようとしたのは、盟友を罪悪感から解放してやりたいだけで他意はない。挙げ句の果てにロックスを亡霊扱いはもうだめだ。ジジイ呼ばわりまでしたのか。

 

なお、カイドウは海賊王を目指しながら、儲け話にのることにした。

 

頂上戦争でホーミングがやろうとしてたグリーンブラッドの雨+バブルシールドの地獄をカイドウは世界会議でやろうと考えている。だからNEW MADSを設立させた。ホーミングは医療的な防衛固めなきゃならないかは、仕方なく豪水やESの研究を委託してきた。ベガパンクは政府にいるため依頼できないから、苦肉の策だろう。

 

最悪なことにシーザーは毒の専門家だ。世界会議は放置してたらえぐいことになり全部革命軍のせいにされる。さすがにそれは放置できないから動いたと新聞で知る。

 

カイドウは笑った。協定を先に破棄したのはてめーだ、馬鹿野郎。悪く思うなよ

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。