ロストマンのセイリング・デイ(王直→ホーミング 番外編) 作:アズマケイ
ネプチューンが王に即位したのは26年前であり、ロジャー海賊団をトラブルの種を持ち込みそうと頭を抱えながらも一族が守り続けた2つの歴史の本文(ポーネグリフ)へ案内した。
それを光月おでんに読んでもらいそれがジョイボーイという人物の謝罪文であり、魚人島にあると教えられた古代兵器「ポセイドン」が数百年に一度王族に生まれてくる人魚のことだと知る。
さらにシャーリーがその人魚が10年後に生まれると予言しその時授かる自分の娘がその力を得るのだろうとロジャー達に結論つけられた。
人堕ちホーミングが奴隷に関する儲け話を持ち込んできたのはそれより前だ。ネプチューンはまだ王太子だった。
そして、ホーミングからある提案と密約を交わされたのは20年前である。そして16年前、ES事件を経て、ホーミングとネプチューン王の和解が済んだその時の会談で、いよいよその全貌が明かされた。
ジョイボーイ。その単語が出た時点で、ネプチューン王は、目の前の男の本気を悟った。ジョイボーイは900年前~800年前にあたる「空白の100年」の間に実在した人物とされており、魚人島の王族にその名が伝えられている。
その歴史の本文には、ジョイボーイという人物から当時の人魚姫に宛てた謝罪文という、既存のそれとは違う異質な内容が記されていた。
ホーミングが20年前にエルバフから借りてきたという本には、「想像と幻想の不思議な世界―エンサイクロペディア・ファンタジア」という本に「ジョイボーイ(JoyBoy)」という人物が記載されていると教えてくれた。
その内容を要約すると、「踊り、歌い、歓喜の声をあげたいという人間の欲求を具現化した西インド諸島の人物であり、人間が抱える欠点や問題を笑い飛ばし、絶妙なリズムで太鼓を叩くことで人間の苦悩を癒やした」とされる。
ジョイボーイの音楽を聞いた人たちはそのリズムにあわせて踊って歌いたくなり、最終的に抱えていた苦悩は消えてしまうようである。
ちなみにこの由来が記された本はエルバフにしかないため、入手困難である。
太古の昔に奴隷達が「人を笑わせ、苦悩から解放してくれる」と信じた伝説の戦士との共通点が多いという。先代のニカがジョイボーイではないかとホーミングから聞いたネプチューン王は息を吐いた。
「オトヒメのためにどこまで堕ちる気じゃ......ホーミング」
「なに、繰り返してきた歴史にまたひとつ刻まれるだけでしょう。私は今ある秩序でオトヒメの夢を叶えるために長年支援してきました。
世界政府は動かない。むしろ裏工作をしている可能性がある。それどころか、新たに署名した私の親戚すら抹殺しようと動いている。ならばもう物理的にするしかありません。マリージョアは破壊されるでしょうが、悪く思うなよとしかいいようがありませんね。私としてはなにもないことを祈るしかありませんが、私の見聞色は16年後の世界会議で世界政府がしかけてくると教えてくれました。どうせまた同じ年に起こるんだ、遅いか、早いかの違いでしかない」
「それがお前の見た悪夢の未来か」
「変えてくれる人間が現れたら、考え直すんですがね」
そして世界会議を控えた今年、またネプチューン王とホーミングは言い争いをしていた。
「エース達が変えてくれたんじゃないのか」
ホーミングは笑った。
「あなた方はなにもしなくてよろしい。前と同じように署名を提出し、世界会議に臨んでください。だから30年かけて私は空島バロンターミナルをはじめとした空島の人々をつなげてきました。傘下の非加盟国と密約結んだあなた方加盟国を避難させるための宇宙船を真っ先につくりました。宴で聞いた話しか知らないんでね、信憑性がどこまであるかわかりませんが、準備に越したことはありません。なんのために世界最大の運輸会社にしたと思ってるんだ」
「だからって800年周期の100年戦争を先に起こすまでしなくてもよくないか」
「いいじゃないですか。どうせ200年前も似たような状況だったんでしょう、歴史の本文をみるに。下手したら前のジョイボーイも。なにか違いがありますか?」
言外にそれ以外の加盟国や非加盟国はしらん海に沈めという殺意をみたネプチューン王は首を振った。
「ジョイボーイは待てんのか?おまえの見聞色ならもう誰かわかってるんじゃろう?」
「彼は風穴をこじ開けるだけで国をどうにかしてくれる存在じゃありませんのでね。聖人じゃない、海賊だ。いいかげんにしろ、自分で立ち上がれと何度言わせれば気が済むんだ、貴様。おれ達バハンは王族ができないことをするために始めたのが起源だと何度言えばわかる。おれがやってもお前がうごなきゃまた失敗するんだぞ!」
「分からず屋はどっちだ!だから、何でお前はそう巨悪に突き進むような道を選ぶんだ、ホーミング!なにもしらんオトヒメにバレるぞ、いいのか貴様!」
「だからどうした」
「いいかげんにしろよ、おれがお前の儲け話にのったのはお前を止めるためだ!天夜叉みたいに止めてやるからな、覚悟しろ!」
「やってみろよ、腰抜けが」