ロストマンのセイリング・デイ(王直→ホーミング 番外編)   作:アズマケイ

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王直とニューゲート2(原作時空)

その日もニューゲートはヤケ酒を飲んでいた。海賊王処刑が決まる記事をわざわざ王直が持ってきたからだ。ハチノスからわざわざやってくる古馴染みに息子達もすっかり顔馴染みになっていたから、ふたりだけで話したいという王直に誰も口は挟まなかった。おかげで周りは誰もいない。

 

「いちいち当てつけに持ってきやがって。今だに根に持ってやがるな、王直」

 

「おまえは盟友だが許すわけないだろ、こんくらいのいたずら許せよ」

 

「まあな......現役の頃なら息子達が皆殺しにあってたろうから、甘んじてうけてやる」

 

けらけら笑う王直にニューゲートは肩をすくめた。

 

「やっぱ気づいてたか」

「あたりまえだろ、ジーベック失う瞬間までおれの見聞色は使い物になってたんだ。でなくても、てめえがロジャーに肩入れするなんざ目に見えてた。実際ライバルになったじゃねえか。そこにリュウグウ王国のネプチューン王、のちのオトヒメ、天竜人、奴隷、この世の縮図みてーな奴らがゴッドバレーに集まるとなればもう誰がどう見たって結果はわかってたろ」

 

「じゃあなんで教えた。いつもみてえに作戦教えた。わかってたなら見せねえこともできたはずだ」

 

「てめーの仁義がねえと、おれの見聞色が機能しねえんじゃねえかと思うくらい、精度に落差が出るからだ。おれは直前まで落とし所を探してたんでな、どうにかできねえか必死だったんだよ」

 

「......だから間に合わなかったんじゃねえのか、欲張りすぎたな」

 

「うるせえ、ばーか。助けられるやつは多いほうがいいだろうが、おれはロックス海賊団が好きなんだ」

 

「それで一番助けたいやつ死なせちゃ世話ねえな」

 

「仕方ねえだろ、どんなにこっちが頑張っても死ぬ分からず屋はいるんだよ。こいつだってハチノスに来たとき、おれの未来予知は自由とは真逆だってんで、耳塞ぎながら逃げやがったからな。ほんと、どうしようもねえやつしかいねえな、Dってやつは。だから嫌いなんだ。残されたやつのことなんざ考えもしねえんだ」

 

「それについては同感だ」

 

ニューゲートはぽつぽつとロジャーとの思い出話をはじめた。

 

ロックス海賊団壊滅後、ニューゲートは自身の海賊団を立ち上げ、ロジャーと幾度も死闘を繰り広げる好敵手関係になった。

 

ワノ国に漂着し、九里の大名・光月おでんと出会う。 船に乗せてくれと懇願するおでんを彼の家臣と共に結託して拒んだが、自らが課した「3日間、船の鎖を離さなかったら自分の船に乗せる」試練に耐え抜いたことでその人柄を認め、「弟」として仲間に迎え入れた。また、一緒に付いてきたイゾウ、ネコマムシ、イヌアラシ、天月トキの四人も船に迎え入れる。

 

海軍の部隊と交戦… もとい一方的に叩き伏せていたロジャー海賊団と3日3晩の激戦を繰り広げる。 ロジャーとは好敵手であり、双方の海賊団自体も「殺し合い」という名目で三日三晩にわたる総力戦を行った上で、その後互いの船員全員で楽しく酒を酌み交わしながら交易(財宝や物資等の物々交換。レイリー曰く「奪い合いがすっかりプレゼント交換」)を行うなど、実際はケンカ友達のような感じで意外と良好な関係性であった。

 

お互いが規模の大きい海賊団を率いていながらも、船長である白ひげが敵船の見習いでしかなかったシャンクスとバギーについても「顔馴染み」と言い切れるほどの親しみを持っていたのも、こういった友好的な交流も少なからず持っていたからなのかもしれない。

 

その後、ロジャーからおでんを1年貸してほしいと懇願され、自身にとっては“家族”を奪う事にも等しいこの発言に怒りを見せるも、おでんは実質引き抜かれる形でロジャー海賊団に同行してしまい、それでも最後まで納得せず、おでんの見送りにも顔を出さなかった。

 

(皮肉にもおでんとトキはのちにカイドウと百獣海賊団に殺害されるため、これが最期の家族のやり取りとなったが、白ひげは生涯それを知ることはなかった)。

 

そしてロジャーが海賊王となった後、死期が近い彼と最期に一緒に酒を飲み、Dの一族の意味について教えられた。

 

「あっはっは、そいつは大変だな!歴史の本文を継承するおれみたいな立場でもなく、ロッキーやロジャーみてえなDでもねえのに!よりによって、海賊王に世界で1番興味がねえおまえに託しやがったのか、ロジャーは!そりゃ責任重大だなァ、がんばれよ。世界最強の男。ハチノスでは世界最強生物とどっちが強いかでよく賭け事になってんだ。そこんとこ、どうだニューゲート」

 

「お前だってワノ国と手を組んだ瞬間に、あんだけ可愛がってたカイドウとはビジネスの話しかしなくなったじゃねえか。似たようなモンだろ」

 

「あー、あれか?よりによってあの黒炭のババアと手を組みやがったからだ、あのアホンダラ。あいつにだけは死んでもやらん」

 

「それだけで海賊王への道は遠くなりにけりだな」

 

「リンリンはどうなんだよ?おれは非加盟国巻き込んでる国の体制はもちろんだが、そもそもエルバフに危害加えた時点で論外なんだが」

 

「おれの故郷が標的になるかカイドウの暴力の世界も気に食わねえが、リンリンの目指す世界もダメだな、おれ好みじゃねえ」

 

ふたりとも、死んだら後進に譲るつもりではいるが、伝説が時代を遅らせる道を選んだのは間違いない。そうでなければ、ジーベックの死の遠因がニューゲートな以上、王直が盟友と呼び続けるだけの理由は存在してなどいなかった。

 

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