ロストマンのセイリング・デイ(王直→ホーミング 番外編)   作:アズマケイ

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ロシナンテとコビー

通称PX、正式名称人間兵器平和主義者(パシフィスタ)。海軍の天才科学者Dr.ベガパンクが開発した人間兵器で、開発にあたって王下七武海バーソロミュー・くまが志願して実験台として使用された。このくまに対して行われた改造が後のパシフィスタに丸々流用されているため、パシフィスタの姿はくまと瓜二つである。

 

自我はなく、懸賞金がある海賊を海軍のデータバンクと照合して判定する力がある。これで偽物の判定や変装が暴けるようになった。手配書や写真以外は海軍内の情報と海兵個人の勘だよりだった照会が省略可能になった。迅速な捕縛までのタイムラグが一挙に解消された。海軍内の世代により受け入れに大きな差が出たが、今の海軍に必要なものだった。

 

海軍本部科学部隊に所属しており、ベガパンクのボディーガードで大将黄猿の部下でもある海軍本部科学部隊隊長戦桃丸が指揮している。

製作には軍艦1隻分もの費用が掛かる。

 

 

銃や刃物のような並みの攻撃では通用しない頑丈な身体を持ち、鉄を溶かす程の高熱のレーザー光線を両掌と口から照射する事ができる。

 

一見するとロボットやアンドロイドの類いにも思えるが、血を吐くことから生体組織もある。

 

マリンフォード頂上戦争で、白ひげ海賊団に対する囲い込み作戦を、戦桃丸指揮の下、プロトタイプのパシフィスタ軍団が参戦したことで知られる。

 

もし兄上の先手がなければ、頂上戦争終結直後のゲッコー・モリア暗殺時に複数体のパシフィスタが作戦に導入され、匿うことは不可能だっただろう。なにせ七武海を含め、インペルダウンに一度でも入った犯罪者は血統因子がとられている。ベガパンクから父上に流れている研究が全てだとは誰もが思っていない。未確認の技術で即席の偽物はバレてしまう可能性はいつでもある。それなら確実に準備できる決闘因子から抽出した人工臓器を持ち込んだ方が確実だ。

 

カタログ通りの説明と搭載している兵器について説明するロシナンテに、おずおずとコビーがてをあげた。

 

「あの......パシフィスタって、人間なんですか?」

 

「頂上戦争の時はそうだったよ。くまもだけど、自ら志願して兵器になった。彼らの決意を無駄にしちゃだめだよ、その犠牲の先におれたちはいるんだから」

 

実際はベガパンクと革命軍幹部のくまとの間にどんな密約が交わされたか、ロシナンテは知らない。海軍ではそういうことになっている。ロシナンテは、悲壮な顔をしているコビーにうなずいた。

 

「今回から実戦投入されるパシフィスタは、少し違うんだ。なんていうのかな。コビーの腕とか足とかを全部コピーしてもう1つ用意して、またくっつけるっていうか。クローンていう技術なんだけど。そこに自我はない。そっくりさんの人形的な。人間を兵器にするより安いし、まだ人道的だからおれは好きだよ、今回のこいつらは」

 

「え?」

 

実際はクローン技術自体はこの世界にすでにあったが、実用化するまでに時間がかかった。ウミット海運側がパーツしか用意できないのと同じだ。あちらは医療部門に最優先に転用しているから、軍事的なニーズに応えきれていないせいだ。世界政府の方が軍事的な技術では先を行く。

 

「興味あるなら読んでみる?」

 

ロシナンテはパシフィスタの海軍内部で共有予定の資料をコビーに手渡した。海軍の全体的な士気はいつの時代も優先事項だから、このての建前は海軍は昔からしっかりしていることをロシナンテは知っている。

 

父上がジュエリー・ボニーが世界政府に捕縛されたと聞いて思わず沈黙したと兄上がいってたことを思い出す。ベガパンクに会ったことはないが、父上のもとには多額の資金援助と引き換えに研究が横流しされているから、自動的に兄上を通じてロシナンテにも入ってくるのだ。情報が。

 

ベガパンクがついに自分を実験台にクローンをたくさん作り、役割に特化した分身を大量につくる計画が上がっていた時点で予感があったのか。父上の見聞色は何を見たんだろうか。

 

その分身の中に大喰らいの美女がいて、ベガパンクのあらゆる欲望に特化した役目を負うと聞いてロシナンテは思わず閉口した。さすがにその分身の素体や血統因子に何が使用されたかくらいロシナンテもわかる。

 

口に出して言わなければ父上はわからないから何も言わなかったんだろう。火薬を糧に花を咲かせる発明で世界的な賞を受賞し、世界政府から表彰された。そのお祝いの電話をしたときに、ベガパンクはぼそっと言ってたそうだ。

 

「あっち側になれたら」

 

本人すら自覚がなかった。ベガパンクは革命軍やホーミングに協力的なほど天竜人を嫌っている。しかし、分身達はどうだろう。特に世界政府を嫌うくまの娘のクローンを素体に作られたベガパンクの欲望を全て請け負う役割をおったその分身は。愛を含めた欲望だけは誰にも制御できないと、30年にも及ぶ計画を阻止された父上が実感を持っていっていた。

 

パシフィスタは海軍の全体的な戦力向上につながるだろう。でも、ベガパンクが不安材料すぎる。やっぱり最後は自分の力が頼りだ。

 

「コビー」

 

「はい、なんですかロシナンテ准将」

 

「いくらパシフィスタが投入されても、相手はだんだん慣れてくるし、戦場なんて何が起こるかわからないからさ。やっぱり最後に一番頼りになるのは、自分の経験からくる判断力だと思うんだ。これからも鍛錬はかかさないようにね」

 

「はい、ありがとうございます」

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