ロストマンのセイリング・デイ(王直→ホーミング 番外編) 作:アズマケイ
「王直、今から始めようじゃねえか、暴力の世界を!」
ロックス・D・ジーベックはなにからなにまで嘘だらけだったから、なにが本懐だったのか最期までわからない男だった。
なにせ海賊にとって名刺がわりになるはずの手配書すらロックスしかないのに、D・ジーベックと書いて賞金額すら偽造した男だ。デービーバックファイトとのちに呼ばれることになるやり方で集められた奴らはとんでもない男の下についたことすら黒歴史にするほどだった。
「えらいせっかちだな、800年まだたってねえぞ。まだ生まれてねえぞ、古代兵器」
王直の独り言に不思議そうな顔をしていた時点で王直は金儲けが目的だなと思った。実際はわからない。なにを当たり前のこといってんだこいつ。待ってたら全盛期すぎちまうじゃねえかバカなのか?海の王になるにはこれしかないんだよと思われていたかもしれない。
目的は不明だが基準は決まっていた。
非加盟国出身であること。特にシャボンディで奴隷リストになるような奴らが集められた。リンリンは巨人族ではなかったが、どうみても巨人族だから妥協したらしい。あとで聞いたらしいリンリンに殺されかけていた。
ジーベックは戦争で金儲けをしたがっていた。
あとは魚人か人魚が欲しいといっていた。そうすれば、どこをどうみても非加盟国出身者による反乱だ、あるいは王国側に反乱を起こした太陽十字という宗教でまとまり、かつて多民族とDが起こした革命騒ぎの再来である。船長であるDを名乗れば世界政府は意味深な名前に深読みして交渉の座につくだろうとジーベックは考えていた。
200年前、リュウグウ王国を加盟国にした背景を考えれば、とんでもない武力で歴史の本文を知る者達が攻めれば世界政府が交渉に応じるだろうと。
そのためにはどうしても人魚、もしくは魚人が仲間に欲しかった。こいつだけは歴史的な背景を考えれば王族でなければならなかった。なにせリュウグウ王国だけが加盟国だから、世界会議で発言権がある。人魚姫がポセイドンかどうかなんてどうでもよかった。
加盟国170のうち世界会議参加国50に非加盟国を加えた泥沼の戦争の導火線になりたがっていた。
「おれが世界の王になり、王直が裏から牛耳る商人になる。そんで、他の奴らは好きなように戦争をする。リンリンはエルバフ攻めてもいいし、シャクヤクはリュウグウ王国と国交結んで反逆してもいい。黒炭はワノ国に復讐してもいい。ジョンは好きなだけ掠奪してもいい。カイドウは巨大な王国を復活させて、そっちの王になってもいい。なんせおれが世界の王だからな、今の世界政府みてーにおれがいいといったら全てが合法化されるはずだ。どうだ、すげえ儲け話だろう!世界政府からしたら、おれ達はテロリストだ。200年前の再来だ。いいか、おれが王になれるかどうかは、てめーらにかかってる。途中で電気切れして力尽きた兵器みてーなことしたら許さねえからな」
この瞬間にロックス海賊団はジーベックだけは守らなければならなくなり、殺せなくなった。当時賞金額0ベリーの男は格がちがった。
そして、リュウグウ王国の王族オトヒメ(当時8歳)を仲間(もしくは騙してスポンサー)にすべくロックス海賊団はリュウグウ王国にいった。なぜか快諾してくれたオトヒメと終始難しい顔をしたまま護衛でついてきてくれたネプチューン隊長と共に彼らはそのままゴッドバレーを目指した。そこはこの世の縮図みたいな胸糞悪い場所なのはだいたい察しがついていた。それでいいのだ。オトヒメやネプチューンに世界政府への不信感をあおらないとスポンサーにはなってくれないから。
そして、ゴッドバレーは地図から抹殺されてジーベックだけ死んだ。ロックス海賊団は黒歴史として口を閉ざすことになる。