ロストマンのセイリング・デイ(王直→ホーミング 番外編)   作:アズマケイ

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ロックスの儲け話4

ロックス海賊団の裏工作は予々順調だった。リンリン達が好きにあばれている間にジーベックと王直とニューゲートが世界加盟国170のうち世界会議で発言権をもつ50の国に対して儲け話を持ちかけるだけでよかった。マネマネ覚醒者である黒炭のババアがリュウグウ王国の国王の真似をした。許可は得ていた。

ロックス海賊団の計画がうまくいけば世界は変えられる。ならばそれに備えて先に動かなければならない。国内を充実させて国民を一致団結させるべく注力しなければならない。なにせリュウグウ王国が真っ先に世界政府に狙われるのは間違いなかったからだ。

 

だいたいの善良な国王は空白の100年から始まる世界政府がしてきたこと、その世界政府に加盟するために義務付けられていることがなにを意味するのか説明したすると嘔吐した。気分が悪くなって会談が中断した。そりゃそうだ。生まれたときから選べないのだから。

 

「どちらがいいか、選ばせてやる。おれは世界政府と違って血は流れるし、国同士はいがみ合うだろうが、国内は団結できる世界がいいと思ってる。今よりは確実に世界は荒れる。戦争になるだろうが知ったこっちゃねえ。おれ達は国すら滅ぼされたんだからな。おれに王になってほしかったら、次の世界会議んときに、リュウグウ王国の提案に賛成してくれ」

 

「だが、お前が世界の王になるってことは、我が国は前と変わらずヒトヒトの実もオペオペの実も医者も渡さなきゃならん。なにが違うんだ」

 

「選ばせてやるっていってんだろ。気に入らなきゃてめえらが世界の王にふさわしいやつを擁立しておれを追放すりゃいい。おれが王になりてえのは古い法を合法的に撤廃してえからだ。王がいなくなったせいで世界が変わっても古くなった法を変える手段がねえじゃねえか。いったろ、おれ達は戦争がしてえんだよ、加盟国なんざどうでもいいんだ」

 

まだ後継ぎに恵まれないことに悩んでいるドラム王国の賢王は頭をかかえた。

 

「なんでお前達のような奴らが非加盟国に生まれたんだ。私達の国にさえ生まれてくれたら、お前達は海賊にならなくてよかったじゃないか」

 

「しるか、そんなもん。その国に相応しいやつとして生まれることができなかったからに決まってんだろ。誰だって危険な海なんか出たくねえよ、好きで海賊やるやつなんかいねえ。いる奴らは冒険記読んだミーハーだけだ」

 

「リュウグウ国王、このような逸材をどこで見つけてこられたんですか、あなたは。海賊に身を落としていた才能の塊じゃないですか」

 

リュウグウ王国の国王の顔のまま黒炭のババアはどこの国も後継ぎに恵まれなくて悩んでいる加盟国をみては冷笑していた。

 

ダイナ岩というものがある。

 

古代兵器にも匹敵するという巨大なエネルギーを持つ鉱物。酸素に触れ衝撃が加わると、島一つが消し飛ぶほどの大爆発を起こす。そのため全てのダイナ岩は海軍により厳重に管理され、普段は特殊な容器の中に保管されている。赤犬によれば、海賊たちからエンドポイントを守るための切り札である。

 

ロックス海賊団の脅威はとうとうエンドポイント破壊まで世界政府に決断させたようだ。

 

エンドポイントとは新世界に3箇所あるマグマ溜り。3つ全てが破壊されると、新世界の海全体を焼きつくすほどの「大破局噴火」が起きるとされる。調査によりこの伝説が真実であることを知った世界政府は、悪用する者が出ることを恐れて事実を隠蔽し、世間に対して伝説は嘘であると情報操作を行った。真実を知るのは、政府と軍の上層部の一部のみ。

 

ファウス島は、エンドポイントの一つ。ダイナ岩が保管されている海軍基地がある島。

 

セカン島は、エンドポイントの一つ。観光業が盛んな温泉島。

 

ピリオ島は、エンドポイントの一つ。巨大なカルデラ火山がある無人島。

 

ドック島は造船会社「シマナミカンパニー」がある小さな島。セカン島とは海列車で結ばれている。

 

その全てが海軍にも世界政府にも多数のスパイをかかえる王直にバレていた。その全てをリンリン達につたえた王直は、いつもみたいに新聞を見ながら、あるいは地図を見ながらコーヒーを飲んで最低限の注意すらしなかった。王直が動く時はヤバい時だ。

 

「おれが出る」

 

「マーッハッハッハ、ずいぶんお怒りだね、王直。アンタが出てくるってよっぽどじゃないか。なにがみえた?」

 

「カタクリ達を拉致しておれ達を誘き出し、ダイナ岩で吹き飛ばそうとしてやがる。覇王色を感知してくる中将がいる。立案者はそいつだな」

 

「あいかわらず海軍てやつは仁義がねえのか!?海賊にだってやぶっちゃならねえ仁義ってもんがあるだろうに!」

 

「15の子供をスパイにする連中だ、血も涙もないに決まってるだろ」

 

ダイナ岩をワープさせて戦艦ごと壊滅させようとする王直を怒り心頭に発するリンリンはとめた。

 

「今回はあたしの戦場だ。カタクリ達に手を出すってなら容赦しねえ。それでも死ななかったらアンタの好きにしな」

 

もちろんダイナ岩はロックス海賊団が詰めるだけ詰めた以外は大爆発を起こし、海軍側は全滅した。

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