ロストマンのセイリング・デイ(王直→ホーミング 番外編)   作:アズマケイ

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非加盟国のあの日のこと

偉大なる航路の新世界以外では、一般的に覇気とは、物事に積極的に取り組もうとする意気込み。あるいは人の上に立とうとする強い意志。野心。野望をさす。

 

新世界では実在する力だ。かつてジーベックがデービーバックファイトで集めた連中は、200年の再来が最終目標だと世界政府に宣告するため、あるいは革命の火の指標として、覇王色が使えることが絶対条件だった。

 

覇気は全世界の全ての人類(この青い星に住む人々という意味だ、人間だけではない)に潜む「意志の力」だ。「意志の力」とは、気や精神力に該当する様々な目に見えない感覚の総称である気配・気合・威圧・気迫・殺気・闘争心・感情等目に見えない感覚。それを操ることができる者達を覇気使いという。

 

 

武装色の覇気、見聞色の覇気、覇王色の覇気の3色の覇気は、必ず自分や相手が潜在的に持つ覇気が発生源となって発動する。覇気にも必ず強さ(大きさ)というものが存在する。実力者の多くは、基本的な2色の覇気(武装色・見聞色)を修得しており、強者になると3色の覇気全てを修得している。

 

 

欠点としては、誰もが持つ力だが、覇気は体内に潜んでいるため、多くの人間はその力に気づいておらず、或いは引き出そうにも引き出せないこと。覇気は使用し続けると消耗するため、長期戦になると不利になる場合があること。強者は覇気を膨大に使用すると、大き過ぎる覇気によって、周囲にいる関係ない人間にまで影響を与えてしまう可能性がある。

 

強大な覇気の持ち主である場合、あまり覇気を暴発させてしまうと、莫大な覇気によって、遠く離れていても「見聞色の覇気」使いに探知されやすくなる。コントロールできることが最低条件だった。

 

 

3色の覇気は、基本的に効果や技術の違いで区別しただけに過ぎないため、覇気の定義ではない。

「悪魔の実の能力者に対抗する」は、覇気による効果の一つに過ぎないため、覇気の定義ではない。

 

私はワノ国が嫌いだから詳しくないが、おそらく流桜は、あくまでも覇気そのものを指した言葉だろう。

 

強者との闘いでは、全身から覇気を爆発的に使用した際、使用者の身体能力が上昇しているように体感的に感じることはあるが、覇気にもそのような扱い方があるのかは不明だ。経験則で知っているだけだから。

 

体の一部や武器から衝撃波を波動のように発射、或いは衝撃波を弾丸のように発射することができる。それも鍛錬の先に会得したから私達は覇気と考えているが、その正体が覇気なのかはわからない。

 

麻酔薬と同じだ。原理はわからないが使い方がわかるから使う。悪魔の実と同じだ。だから私は覇気、悪魔の実の使い手でありながら、自分が一番信じられないため、いつも最悪の未来を想定しながら動く羽目になる。それが一番外れてくれると安心できるからだ。

 

ジーベックは、覇気は青い星にいる全ての人類(人間以外も含む)に潜む意志の力を武器と化す技術だと考えていた。

 

あくまで全ての人類が生まれ持つ潜在能力の一つなので、外的要因によって後天的に齎される特殊能力の類ではないし、「魔力」「魔法」「呪力」「霊力」といったスピリチュアルであったりオカルトな能力の類とも異なる。 覇気の存在を知らない者からは「特殊能力」「超能力」「悪魔の実の能力」等と勘違いされることが多い。

 

覇気は、気や精神力に関連する様々な目に見えない感覚を指す言葉であるため、声(心の声を除く)・音・電磁気などは、覇気には該当しない。

 

だからジーベックは覇王色を仲間の条件にしたのだ。神である世界政府に支配されたこの青い星にいた人類の唯一の証明だから。カイドウはツノが生えていたからスムーズだったが、ニューゲートが入れたのは今はなき非加盟国出身と覇王色だけが根拠だった。

 

おれ達は世界がなぜこんなに歪なのかを考えたとき、神がいるからだと考えた。世界政府の成り立ちや加盟国、非加盟国、世界会議のシステムは特に問題はないようにみえた。問題は法の上に絶対にいちゃいけないはずの神がいるからだ。王国しか認めないのもよくない。

 

なにせ、天竜人の存在が全てのノイズなのだ。あいつらさえいなければ世界政府はちゃんと機能する。世界会議で世界政府の政策は撤回されたり、提案が採用されたりしてきた。海軍だって世界政府だって下はまともなのだ。会議したりする。行政機関としては成り立っている。たくさんのスパイ達がおれ達に教えてくれた。

 

おかしいのは天竜人とエニエス・ロビー、つまり司法のあり方だ。世界政府がなにか隠しているのは明らかだった。

 

だから、おれはエニエス・ロビーにあるなにかを暴露して、天竜人を皆殺しにすれば世界は変えられると考えた。

 

ジーベックは世界の王になって古い法律を変えて世界がめちゃくちゃになってもいいから、非加盟国の奴らが奴隷制度の対象から外れるか、やめたいと考えた奴らが報われる世界にしたいと考えていた。王をすぐ取り替えられるシステムの導入を考えていた。

 

おれはどっちでもよかった。非加盟国さえ犠牲にならず、戦争さえ起こせれば奴隷商売よりよっぽど儲かるからだ。

 

だからゴッドバレーでかつての神や天竜人を殺したことに後悔はないし、奴隷もいたから、子供がどっちの子供かわからないから、ニューゲート達がやらかしたことは見過ごしたにすぎない。なにを勘違いしたのか赤髪のシャンクスは勘違いしているがおれはまごうことなき親の仇だ。もしジーベックが今も生きていたらルナーリアを庇ったことに激怒して、いよいよカイドウもニューゲートも殺したがったはずだ。

 

ルナーリアが支配する世界から奴隷解放を条件に巨大な王国と連合国が手を組み世界は平和になった。奴隷をめぐり、それぞれが争い、巨大な王国が敗北して、連合国が神の真似ごとを始めた。そう、ジーベックは信じていた。おれもだ。

 

そんなおれが歴史の本文の継承者としての伝説に幕引きして目が覚めたら、非加盟国に下された天竜人になっていた。あの時わかれたオトヒメが13歳にして才女になり、署名活動から嘆願書を送る革命の火となり始めたことは本当に嬉しかった。天竜人がなにを勘違いしたのか人間だといいだして非加盟国に降ろされるまでの過程は笑ったが、笑えたのはそこまでだった。

 

ダメもとで銃を扱い始めたら、神であるはずの天竜人が覇気をつかえたのだ。人類しか扱えないはずと信じている覇気をだ。

 

おれは、天竜人が神だから天竜人だと思っていた。天翔る竜の蹄はそういう意味じゃないのか?月の民の末裔か混血だからじゃないのか?だから巨大な王国を騙して裏切ったんじゃないのか?あれだけ弾圧して今なお、おれ達を迫害しつづけているんじゃなかったのか?天竜人が人類なのだとしたら、ゴッドバレーには世界政府に飼われている哀れなルナーリア以外人類しかいなかったことになるが。

 

覇気がつかえるのは人類の証だとその時までのおれは信じていたが、信じられなくなった。天竜人、そうか、お前達もこの世界の歪みの犠牲者か。おれ達はなんのために生きてきたんだろうな、ジーベック。できることなら38年前にもどりたかったよ、おれは。

 

それができないなら、ロックスの再来はまた考え直さなきゃならない。わからないことが多すぎる。世界政府の敵意の根幹はなんだ?なにが世界の歪みの根源なんだ?世界をひっくり返すには敵を知らないとまた潰されてしまう。それだけは嫌だった。

 

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