ロストマンのセイリング・デイ(王直→ホーミング 番外編)   作:アズマケイ

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王直とドフラミンゴ(原作時空)

おれがドンキホーテ・ドフラミンゴと知り合ったのは、ドフラミンゴが七武海に入ってからだ。おれ達ロックス連中が作り上げた闇の秩序、闇のシンジゲート、北の闇、色々言われてはいるがそういうものが完成したあとに現れた久しぶりの新規参入者だった。

 

ドフラミンゴはこの世界の仕組みがよくわかっている男だった。七武海になるまで最適解な行動を最短でして、四皇カイドウとビジネスをするには、対等な地位を得るにはどうしたらいいかよくわかっていた。ドンキホーテと天夜叉ですぐ元天竜人とわかった。だからここまで違うのかと思っていた。あるいは奴隷の父親か母親がよほどの逸材でちゃんと教育してくれたか。

 

この頃はすでに互いに過去に触れないのは暗黙の了解だったから、おれはよくしらない。

 

偉大なる航路での出来事だけだ。各国の天竜人への貢ぎ金「天上金」の輸送船を襲撃し、政府を脅迫し七武海に加盟。同時期に、ドレスローザのリク王に脅迫と同時に能力による悪謀を仕掛け、国民からの信頼を失墜させ、リク王に代わりドレスローザの王位に就任。

 

即位後、富を与える事でドレスローザ国民の信頼を獲得し、裏ではトンタッタ族とシュガーの能力でオモチャにした者達を奴隷にして地下で働かさせ長年ドレスローザを支配。

 

世界会議では元天竜人としての独自の人脈(世界政府すら動かすなにかを握っているらしい)と七武海という立場、王座についたため、発言権がある。下手をしたらアラバスタ並みに発言権があり、砂漠の英雄から提案されたのか積極的に闇の秩序に有利なことばかりいうコブラ王とよく提案をしていた。そして可決された。

 

闇の仲介役はドフラミンゴにしかできなかった。七武海だから全ては合法化され、王としての立場から外交は全てビジネスになった。戦争をしたがる国は自動的にドフラミンゴの支配下になり、過半数は余裕で通るまでになる。なにせ世界政府の思惑と一致するようにしか動かないのだ。

 

おれ達はドフラミンゴは世界政府の窓口だと思いながら仕事をしていた。ビジネスだけで七武海をやっているレベルだった。おれはビジネスでしか会わないから、海賊としての実力はよく知らなかった。ドフラミンゴとクロコダイルが仲が悪いから、バレットみたいに海賊王になりたいのに履き違えているか、夢を持たない男だということしかわからなかった。

 

よく勘違いされることだが、カイドウにとってどうかは知らないが、少なくてもドフラミンゴにとってはカイドウはあくまで取引相手でありたい相手だった。

 

ドフラミンゴはカイドウの傘下ではないが、四皇と七武海ではあまりにも勢力として不均衡だった。それでもビジネスにおいては対等だった。裏でしか牛耳れないカイドウと違い、表の顔が下手をしたらクロコダイルより強固だったのだ。しかも取引相手との契約を履行することを大事にしていたから、重宝されたのだ。ロックス連中からはかなり評判はよかった。

 

逆を言えばそれしか方法がないから必死だったはずだ。なにせ最大の取引相手であるカイドウは、百獣海賊団に入れば全て許すという寛大な処置を与える四皇だ。世界最高の戦争を求めるカイドウにとって百獣海賊団の戦力アップは何より求めるものなのである。味方になれば全てを許すというカイドウの思想は何をしてでも味方を増やすという意味でもある。

 

ドフラミンゴが世界政府とカイドウの保護から外れたとしても、カイドウの百獣海賊団やその傘下に入れば命だけは安泰だった上に、実力も十分にあるドフラミンゴならばそこそこの地位を得ることもできたかもしれない。

 

しかし元天竜人故の選民思想を持ち、ただ頭上に人がいるだけで「おれの頭上に立つとは気分が悪い!!」と言ってのけるドフラミンゴが、相手がいかにカイドウであろうが服従を選ぶとは思えない。

 

そしてカイドウに服従しない者たちは度重なる拷問の末に心が折れて遂に自ら従うようになるか拷問に耐えられず死ぬかのどちらかである。

 

つまり、ドフラミンゴはカイドウとの対等な関係を捨てるわけにはいかなかったのだ。

 

その急所として、ドフラミンゴへの謎の仇討ちにもえるローと何故ハチノスを狙ったのか目的不明なティーチに狙われたのが闇の秩序の一角を担うおれだったわけだ。

 

そういう意味では申し訳ないことをしたなと思っている。調整役を担ってきたドフラミンゴが逮捕されたら、裏社会のコントロールが失われた新世界の海は四皇、最悪の世代、七武海、海軍、革命軍による群雄割拠により荒れるだろう。そこに世界政府の思惑が働けばどうなるかなんてロックス連中はみんなわかっていた。

 

せっかくあれだけ世界政府に搾取され放題で隙あらば加盟国が非加盟国に転落する無法地帯だった新世界に秩序や安定をもたらしてやったのにと思うが、かつてを知らない世代に講釈たれても仕方ないだろう。シャーリーのいうジョイボーイを拝めないのは残念だがこれも運命だった。

 

「何度言わせりゃわかるんだ、ドフラミンゴ。おれはてめえみたいな礼節をわきまえ無いようなクソガキは世界で一番嫌いなんだよ。ちゃんとしやがれ」

 

カイドウと対等な立場でいるためにビジネスでは絶対に隙をみせないことで必死だったドフラミンゴに制裁を加えたのは何度目になるかわからなかった。

 

「あんたはおつるさんみたいで苦手だ」

 

意地でもさん付けも敬語も使わなかったドフラミンゴがぼそっといったのは笑った。

 

「おつる......ドフラミンゴ、今いくつだ」

 

「あ?31だ」

 

「若手の頃に追いかけ回されでもしたか?おつるなら、管轄は北の海なはずだ。北の海の非加盟国にでも降ろされたのか?大変だったな、あいかわらず世界政府はえぐいことしてくるだろう?」

 

「......よくわかったな」

 

「偉大なる航路生まれじゃなく、若くして台頭してくる田舎者は、北の海って相場が決まってんだよ。世界政府がよく考えそうなことだ」

 

「......あんたが父親じゃなくてよかったぜ」

 

「おれだって、てめえみたいな息子はいらん。情や憎しみに縛られてるのはみてられん」

 

「......」

 

「なんかいえ」

 

「うるせえ」

 

「おつるみたいな母親がよかったか」

 

「......」

 

「おつるを慕う奴らは、ようやく恵まれた我が子可愛さに両親から度を越して甘やかされて海賊になってから苦労したか、仲間が大人ばかりで忠誠や全肯定という形で甘やかされたやつって相場が決まってんだ。覚えとけ」

 

「......うるせえ、ばーか」

 

「一回自首したらどうだ。そういうやつは再起できるぞ」

 

「今更できるか、ここまで来たんだ」

 

「そうか、忠告はしたぞ。おれはもって10年だ、あんまあてにすんなよ」

 

「......病気か?」

 

「さぁな、未来は刻一刻と変わってくもんだからわからねえが。頭の片隅にでもいれとけ」

 

「......」

 

母親似らしい目を隠すサングラスはもはやドフラミンゴのアイデンティティなのかもしれない。

 

おつるとは追い追われの間柄ではあったものの、長い付き合いであったがために、案外母性のような特別な感情を抱いたりしていたのだろうか。

 

基本的に格上でも、年上でも、天竜人だろうが四皇だろうが海軍元帥だろうが誰にも尊称を使わず呼び捨てにするドフラミンゴだが、ただ一人おつるにだけは、彼女と会話するとき「おつるさん」と、さん付けしているあたり、相当したっていそうだ。

 

「なんで泣く」

 

「うるせえ、しね」

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