ロストマンのセイリング・デイ(王直→ホーミング 番外編)   作:アズマケイ

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ロックスの儲け話6

偉大なる航路の新世界に存在する、のちにロックス海賊団が結成された海賊達の楽園海賊島「ハチノス」にて。これは古代の強欲な海賊、デービー・ジョーンズにちなんで行われる海賊同士のゲームだと、ハチノスに突然現れた謎の男ロックス・D・ジーベックは海賊達にゲームをもちかけた。

 

勝者は敗者から仲間や海賊旗を分捕れる。

 

様々なジャンルの試合を奇数回行うことによって勝負を決め、例えば第1試合で海賊団Aが海賊団Bから構成員のbさんを強奪したとしても、第2試合で海賊団Bが勝てばこれを取り返せる。しかし、海賊旗は例外で、一度でも奪われたら二度と掲示できない。

 

試合は参加する海賊団の船長同士が試合数に応じたコインを海に投げ込み、銃を天に向けて発砲することで開始される。これは船長命令のため、仮に船員のあずかり知らぬところで開始の儀式が行われていても船員は必ず参加しなければならない。

 

なお、他の海賊から挑まれたこのゲームを拒否する事は海賊として生き恥を晒す行為とされる。一人1回参加できる。

 

ゲームへの出場者の変更は認められず、仮に先の試合で出場予定者が取られても補填は効かない。ただし、次に控える1vs1のゲームの参加者を奪い、次戦を参加者不在=不戦勝扱いにして勝利を強奪する戦法は「ピーナッツ戦法」と呼ばれ、ルール上に問題は無いが海賊の美学に反する行為として敬遠されている。

 

なお、観客はプレイヤーへの攻撃の自由が認められている。無茶苦茶としか思えないが、ウソップが言うには「海賊のゲームで相手の妨害は常識」。しかし妨害に参加するか否かは観客の自由であり、その時のノリやゲーム内容などにもよる。

 

海賊として応じないわけにはいかない劇物もののゲームだった。

 

なにも知らない者たちからすれば、勝敗を反故にしてもその際生じるデメリットは不名誉のみである事から、"このゲームに参加したとしても勝敗を反故にしそう"といわれそうだ。

 

実際問題、この勝負に完敗したとしても洗脳されるわけでもないので名誉などに無頓着な連中はそれらを反故にしても違和感はないように思われる。

 

たが、実はこのゲームの勝敗を反故にするということには不名誉以上のリスクが付きまとってくる。

 

まず、そもそもこのゲームは海賊、つまり、立派な裏稼業のゲームであり、言うならばロシアンルーレット等の「やるメリットが欠片もないはずのゲームに興じ蛮勇や度胸を示す」ゲームと同質のものである。

 

そしてこれは双方の合意でしか始まらない。本当に名誉に頓着していないのならば合意せず砲撃を仕掛けるべき。なので、双方合意の度胸試しによる勝敗を反故にした場合今後どんな実績や大義を示そうと「いざ不利になるとデービーバックファイトの勝敗すら反故にして投げ出す無責任で不義理な最低野郎」という評価が前提となる。

 

これは大抵の海賊団が同盟を組んで事に当たる後半以降の海において完全な致命傷であり、名誉に頓着していなくとも"いざというときに誰も協力してくれない"等という事態は可能な限り避けるべきである。

 

反故の事実の隠蔽のために敵構成員を皆殺しにしたとしてもそれを誰も見ていないとも限らず、万が一目撃者が居たり殺し損ねた者が出てしまった場合上記デメリットが発生し、しかも隠蔽しようとした事実が追加されさらに風評が悪化してしまう。

 

また、そもそもの話としてファイトをしている=お互いの構成員が全員集結している状況であるため、こちらに損害なく勝利かつ皆殺しにするのは余程の実力差か兵器がなければ不可能であり、それが可能なほど実力差がある場合そもそもゲームで負け越すわけがなく、ゲームに応じる道理もない。

 

前述通り初めから合意せず攻撃して全て奪い取ればいいので結局「力ずくで勝敗を反故」にするのは現実的ではなくなってしまう。

 

宣言された場合即座に手出しをやめ、お互いの船長同士による交渉が強制される。 交渉中の攻撃は決して許されず、仮に決裂してもお互いの船長が船に戻り、体制を整えてからでなければ戦闘の再開は行われない。

 

これが宣言されるということは「これ以上の戦闘はお互い無益」と判断されたか「見逃してもらう代わりの用意がある」ということになる。

 

「おれの船は目的さえ一致してる間は乗ってていい。イヤなら降りろ、海賊は自由じゃなきゃならねえからな。おれの目的は世界の王になることだ」

 

おまえらに世界の仕組みを教えてやる、とジーベックはデービーバックファイトでかきあつめた仲間たちにそう宣言した。

 

まずは世界政府にとって邪魔な国の孤児をひきとる慈善活動といって孤児院をはじめる。リンリンのマザーカルメルは騙されてたんだろう。その孤児院からエージェントやサイファーポールに昇進する逸材を見つけ出し、世界政府や海軍に昇進させる。そして、かつての故郷に潜入あるいは赴任させる。おまえの国や海賊は悪だと思想を植え付けて。

 

どうなると思う。内部工作から国は内乱を始めて紛争が絶えなくなる。世界政府加盟を拒否すると国民はテキーラウルフの終わらない橋づくりに拉致される。国は必死だ。天上金を払えなきゃ非加盟国に転落するから、国民か周りの国に無理を強いるしかなくなる。国は荒れる。国民は失望し、権威が失墜する。

 

そして無政府状態になるか、荒廃し、やがて滅亡する。

 

「おれはぜんぶ見てきた。待ってたんだ、世界の仕組みを理解できるまでずっとな。まさか世界政府もエージェントにまで昇進したおれが別の思想をもってるなんて思いもしなかっただろうさ。愛する国を滅ぼしてしまったことに気づいたエージェントが嘆き悲しんで、お前だけは幸せになってくれと手紙を残して自殺したエージェントの子供が復讐を目論むようになるなんて夢にも思ってないだろうよ。おれだって信じたかったさ。失望させたのは世界政府だ。だから、おれがゴッドバレーまでお前たちを連れて行くまでの7年間、エージェントのおれに騙されたふりをしてくれるとありがたい。頼んだぜ、おまえら」

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