ロストマンのセイリング・デイ(王直→ホーミング 番外編) 作:アズマケイ
今から16年前に遡る。ドレスローザが七武海、天夜叉ドフラミンゴの中立地帯宣言により、誰も手が出せない安全地帯となったその年のこと。
ドレスローザのリク王とトンタッタ王国国王トンタ長サンチョを伴って天夜叉ドフラミンゴは、空島バロンターミナルに向かった。そしてドフラミンゴは、空島ビルカの族長と14年ぶりの再会をはたす。
そして、彼らは、空島ビルカの族長の口から、悪魔の実がこの青い星にどのような経緯でもたらされたのかを知る。そして、その秘密の一部が14年前に空島バロンターミナルの安全保証とひきかえに世界政府に明かしたこと。悪魔の実の研究が進み、人工的な量産を四皇や世界政府が模索していることをドフラミンゴから明かされる。それは空島ビルカの民にとっては、信仰のため技術的には可能であるが禁忌であることを知る。
「このままだと世界政府や四皇に市場を独占されちまうんでな。ドレスローザが占拠されたら、お前らはなにも知らないまま人造悪魔の実をつくる羽目になってただろ。せめて、その意味を知ってから、お前らには育てて欲しいと族長がいうんでな。おれが全ての取引の仲介に入ってやるから、なんか言われたらおれに言え。ホーミングかおれがなんとかしてやる」
その日から、トンタッタ族は2種類の人造悪魔の実を栽培することになる。
ひとつは、シーザー・クラウンが研究の末に開発したとされる「人造悪魔の実」。 こちらはドレスローザの地下施設で栽培している。シーザーが秘密裏に製造している薬品「SAD(エスエーディー)」を流し込んだ水をリンゴのような果樹に吸収させる。
トンタッタ族の面々曰く「とても不自然な果実」らしく、あらゆる植物を育てられる栽培能力を持つ彼らが育てて実際に使えるようなものは全体収穫量の10分の1以下しか採れない。
完成したSMILEは裏ルートにて売買され、最大の得意先である百獣海賊団はこれによって500人を超える能力者の獲得に至っている。
なお、失敗したSMILEの一部は悪魔の実の弾丸として流用されている。
もうひとつは、大量量産できないものの、オリジナルの悪魔の実にかぎりなく近い製造方法ができる人工悪魔の実だ。これは自然な果実なのだが、SMILEと違ってオリジナルのように悪魔の実が能力者を選ぶため、闘技場の景品にして能力者に相応しい人間に渡さないと裏ルートを通じて脱走してしまう。こちらは空島バロンターミナルの機密施設にて栽培している。
オリジナルとの一番の違いは血統因子やビルカの技術を使って生体部品を作り出し、そいつを能力者にしてから悪魔の実をつくるため、死者が出ないという特徴があることだ。血統因子を採取した時期により能力者の練度が引き継げるのだが、オペオペの実は10歳のローの血統因子から作られたため、本当に能力者になったばかりの練度しかなかった。奥義に至るかどうかは忠義あるドラム出身の医者の努力次第だろう。
「バギニンドの練度を引き継いだまま、グツグツの実は生まれたれす。いいのれすか、ドフランド。部下にあげなくて。あれはバギニンドの魂と願いがこもってるんれすよね?」
当時9歳だったレオはもう25だ。
「仕方ねえだろ、あれはおれが初めて見たオリジナルだ。うちの量産品みてえに能力者を選ぶんだ。ホーミングによれば800年間脱走しつづけた実もあるらしい。めっちゃ怒ってたが今度はなにやらかしたんだろうな、赤髪のシャンクス。それより、バロンターミナルに実ったんだ、世界政府んとこには実りたくなかったんだろうよ。なら適合者に届けてやるのが、おれができる唯一の弔いであり義務だ」
人工悪魔の実の以外で初めて実ったオリジナルの悪魔の実。自分より年上でかなり頼りにしていた部下の死を改めて突きつけられた形のドフラミンゴは色々な意味でかなりつかれていた。仕事をぜんぶ秘書と右腕を通じて部下達に再分配して休みをとるくらいには堪えていた。
「もう見てられないれす、ドフランド。お師匠さまのところに帰ってください。わたしたちはたしかになにもできないけど、いやれす...... 」
涙目のマンシェリー姫にいわれるがドフラミンゴは苦笑いした。
「馬鹿いうな。おまえらが奴隷になったら、おれが失望されちまうじゃねえか」
それをいわれるとレオもマンシェリー姫もなにもいえなくなってしまうのだった。
「どうせお前らもリク王も最後まで戦うっていうんだろ?王族が死んだら国が死ぬんだぞ、なんでわからねえんだ。てめえらが死んだらいよいよ戦争は落とし所失って泥沼化するんだぞ。わかれよ。いいかげん。なにが国は人だ。さっさと戦争終わらせるのもてめえらの義務じゃねえか、履き違えんじゃねえぞ。なんのために30年かけてホーミングが亡命先作ったと思ってんだ、勘違いすんじゃねえよ」
「いたいれす」
「たたかないでほしいれす」
「アラバスタのビビ王女のがよっぽどわかってんじゃねえか。今度の世界会議んときに勉強してこい」