ロストマンのセイリング・デイ(王直→ホーミング 番外編)   作:アズマケイ

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ウオウオの実と王直

今思えば、前の世界と違って、私がウミット海運を通じて長年多額の資金援助をして血統因子やクローン技術を熱烈に欲しがったため、MADSの世界政府の買収が2年遅れたのが意図しない形での分水嶺だった。闇金王はギリギリまで世界政府との取引を遅らせてくれた。MADSの発明、特にベガパンク博士の発明はかたっぱしから買い取ったのがよかったんだろうか。

 

悪魔の実の秘密を提供できる立場というのもベガパンク博士からの心象をよくしたのかもしれない。あるいは前の世界と違いツキミ博士という同志がいたベガパンク博士は、私がその全てを引き継ぎ、故人の意志を継いで世界政府から隠匿の道を選んだからだろうか。

 

色々理由は考えられるが、本人に聞こうにも世界政府の所属になったベガパンク博士とはオハラ以降は公的に会うことはできない。資金援助とひきかえに研究の横流しはしてもらえるが、面会できる立場ではない。

 

ただ、私がロックスかぶれだとエルバフで知ったベガパンク博士は、MADSに送った際にちょっと待ってクエーサーといって私を呼び止めたのだ。完璧主義者であるベガパンク博士的には本物と違って色が黒いだけでも失敗作だからプライドが許さないが、私がロックスかぶれだから特別に売ってやるといったのだ。

 

それは私が前の世界でもずっと探していたが、とうとう見つけることができなかったカイドウの血統因子で作られたはずの人造悪魔の実、ウオウオの実だった。カイドウがあの日世界政府に拉致される理由はそれしかなかったからだ。それが私が闇のシンジゲートに加担するきっかけでもあった。世界政府の闇の秩序に食い込めば、いつか手に入ると思ったのだ。

 

ゴッドバレーがウラヌスで地図の上から抹殺されロックスが壊滅したとき、リンリンとカイドウは別行動だった。私達が合流したときにはすでにリンリンはすでにウオウオの実を特定の果実にうつす段取りを終えていて、カイドウは食ったあとだった。その意味をリンリンは後継者だとみなしていたから、カイドウが失踪したとき恩知らずとキレていた。

 

今思えば、ゴッドバレーにフルメンバーで挑めなかったせいでああなったし、カイドウとリンリンと私達で明らかな温度差が生まれたのかもしれない。

 

しかし、別行動はほかならぬジーベックの船長命令だったから、今回はなにもいうなと船長命令が下されていた私はどうしようもなかった。ひとりでなんとかするしかなかった。いつもならニューゲート達に助けてもらえたのに。

 

ウオウオの実がこの世界でどういう意味を持つのか知っていた私はジーベックが言外に死んだら渡すといっていたのが本気だったのだ、と悟った。ハチノスに帰還したとき、どこにもいないカイドウに青ざめたのだ。

 

そして見聞色が使えなくなっていた私は発狂してウミットに助けてくれと連絡をいれたのだ。一生ウミットの下請けでもよかった。あの時の私は悪魔の実の能力者は世界に1人しか存在できないと信じていたし、カイドウが殺されると思っていた。それにウオウオの実がどんな形であれ世界政府に渡るということ自体が耐えられななかった。

 

そして、意味を知るハチノスの傘下達と研究所を襲撃したが空振りし、私より年上の部下達は半壊した。結局カイドウはルナーリアと共に海賊をたちあげてハチノスに顔を出すことで無事を知らせてくれた。ほんとうに嬉しかったが、その時発覚した血統因子と人造悪魔の実を実現させかねないオハラ級の特異点であるベガパンク博士が世界政府にいるという事実が私を長年苦しませることになる。

 

結局、私が死んだ後、あのウオウオの実を手に入れた世界政府、あるいは海軍の誰かがいたのかと思うと気が気ではなかった。

 

だから、ベガパンク博士が世界政府所属になるまで必死にコネを作ってきたわけだが、こうもあっさり手に入ると拍子抜けしてしまった。やっぱり青色じゃないからカイドウと取引あるお前さんの目には敵わんか?とベガパンク博士はしょんぼりしながら仕舞おうとしたから、あわてて倍の値段で買い取ったのをおぼえている。

 

MADSから全てを世界政府所属の研究所をうつすのは2年ほどかかったそうで、実際はパンクハザードでこの実は生まれたそうだ。

 

血の気が引いたのを覚えている。

 

海軍パンクハザード第6研究所。略してPH-006。当初、この島は美しい緑豊かな島であったが、世界政府が研究所を置くとそこの動植物を使って実験が繰り返されるようになり、ついにはよそから囚人を連れて来て人体実験なども始めだした。

 

38年前のあの日、カイドウが世界政府に拉致されて自力で脱出する際に、腹いせに壊滅させたはずの研究所の名前だった。あの島がルナーリアとカイドウの人体実験に使われていたのだ。

 

皮肉にも今も世界に名を馳せる最強候補の一角である海賊団の始まりの場となってしまったわけだ。笑うしかなかった。

 

ベガパンク博士が教えてくれたが、ウオウオの実にインスピレーションを刺激されたらしく、護衛用にドラゴンを模した人工生物を作りたいそうだ。世界政府に提案したら、完成した暁には、いずれ天竜人にお披露目するそうだ。

 

元来は想像上の生き物とされているドラゴンは、翼で空を飛び、口からは火を吹く。頑丈な鱗や強力な牙を持つ。どんな環境にも適応できる存在だ。

 

エルバフにあるオハラの書籍である「怪物図鑑」によれば、骨はカーボンに近い性質で、丈夫なだけでなく強い気流に耐えて飛べるほどの軽量さを併せ持つ。体内に発火とガスの生成を担う火炎放射器のような器官があり、自らガスを生成可能。唾液は可燃性で油に近い性質を有している。火を吐くために必要な酸素を一気に取り込むため鼻の穴が大きい。 ちなみに食える。

 

ゆくゆくは進化型である小型の竜をつくり、機動力と耐久力を上げたいらしい。ただ、性格の制御が難しいらしく、凶暴で、鎮静剤を使わないと扱いが難しいと頭を悩ませていた。

 

この世界において竜という存在がなにを意味するのかなにもしらないでよくここまで冒涜的なことができるなと思った。これが学者のサガなのか。オハラの学者と一緒だな。知らないからできるのかもしれないが。世界政府は知っていてわざとやるからタチが悪いが、ベガパンク博士とどちらが冒涜的なのかといわれたら、私には答えることができない。

 

かつての歴史の本文の番人だった私とは違い、今の私は科学の代理戦争を世界政府にしかけた身だ。偉そうな口がいえる立場ではないのはたしかだった。

 

ベガパンク博士によると天竜人からウオウオの実やパンクハザードの竜(ドラゴン)をリクエストされたそうだ。天竜人の要請で研究しているという。

 

天竜人の紋章の竜は飛ぶのではなく「駆ける」のだ。翼ではなく発生させた焔雲を掴んで飛ぶ龍こそが相応しいと言えるのも確かだろう。

 

龍(竜)とは天竜人にとっての象徴的な生物か?そんなわけないだろう。

 

海底に楽園があるならリュウグウ王国の竜宮城であるべきだ。王宮の屋根にあるのが龍の像であったとしても、今や人間達に迫害されて魚人島に住まざるを得なかった者達の王宮の屋根に、天竜人が自らの象徴(天駆ける竜)とするかの様な像を戴く違和感に気付ける者はどれだけいるのか。

 

敵味方に関係なく空白の100年において重要な生物だったと考えられる者達がどれだけいるのか。ロジャー海賊団以外にいるとは思えなかった。

 

 

・鬼ヶ島の正面

・スカイピアの古地図

・王家の墓の地下

・竜宮城

 

龍(竜)のあるトコロにはポーネグリフがある。ポーネグリフのある場所に関連するモノには龍(竜)の伝説が眠る。こう見る事が可能なのかどうか。もちろん全てのポーネグリフに龍(竜)が、とは言わない。ゾウでは見つけられていない。それを踏まえた上で4つの例があるという話だ。

 

龍(竜)というのは、そもそも「ある巨大な王国」に密接な関係のある生物だったのはたしかだ。それを天竜人が自分達のモノとして奪っていることに問題があるのだ。あるいは今の神が。

 

その王国が滅んでからは龍(竜)というのは外敵として登場するばかりなのだが、元々はそうではなかった。こういう事だ。カイドウのそれとは大違いで、龍(竜)というのはもっと平和的な伝説を持つ生物であった。

 

それを知らないのに、ベガパンク博士が今度はピンク色ができたからと高値で売りつけてきた時にはさすがに笑った。おでんの息子がもものすけというらしいからあげた。黒炭のババアと組むようなわかってない見習いになってしまったカイドウには海賊王の称号は安くないんだよクソガキが。

 

「......あれ?」

 

なぜか中立地帯にしろと言ってきたティーチに奪われてやしないか不安になって訪れたハチノスに隠してあった海の秘宝がない。王直の野郎、あんだけいったのに誰かに奪われやが......。

 

「......やりやがった、あの野郎。どこでかぎつけやがった?いやグラグラが手に入らねえから標的を変えやがったか?運のいいやつめ。海の王になるっていうからジーベックがなんの能力者か教えなかったのにたどりつきやがったか。ニューゲートを警戒してジーベックは明かしてなかったから安心してたんだがな......」

 

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