ロストマンのセイリング・デイ(王直→ホーミング 番外編)   作:アズマケイ

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月の民会議

青海でいう世界会議の真似事ではないが、定期的に行われている空島バロンターミナルの会合にて。初めて父親に連れてきてもらったワイパーは、それぞれの一族が歩んできた歴史や今の状況について知る機会に恵まれた。ワイパーは、おなじ月の民の末裔でも歩んだ道が全く違うことに戦慄していた。

 

ワイパーの一族は、402年前の突き上げる海流で当時のジャヤはドクロのような形をしていたのだが、突き上げる海流によりジャヤは東半分上顎に当たる箇所が丸ごと分断された。

 

ノーランドが最初に訪れた時期に大きな地震があり更にそれによる地割れに飲み込まれた彼は割れ目から這い出ようとして地面を傾けていたので地盤が弱くなっていたと思われる。

 

はるか上空まで大地そのものが吹き飛ばされた。そこに待ち受けていたのが雲の化石「積帝雲」であり、内部に聳え立つ「巨大豆蔓(ジャイアント・ジャック)」にジャヤは突き刺さって固定されてしまった。

 

空島「スカイピア」の住人たちは行き過ぎた大地信仰からジャヤを天からの自分たちに与えられたプレゼントだと解釈し、先住民族シャンディアとの400年に渡る領土問題が勃発することとなったのである。

 

そしてそのシャンディアの住まう所こそが、クリケットの先祖モンブラン・ノーランドが発見した黄金郷シャンドラであった。 海底を探し続けても証拠が皆無だったのも当然だったのである。 400年ずっと黄金郷は空を飛んでいたのだから。

 

シャンドラの話を聞いた国の王達を連れて再来したが既にシャンディアやシャンドラは消えており、島の変貌に混乱するノーランドに財宝目当てに着いてきた王は問答無用に責め立て航海の収穫が無かった腹いせにこれまでの功績まで虚言とでっち上げる。

 

虚言罪により処刑台に立たされるも素晴らしかった都市とそれを守ってきた民達の存在を無かったものにしたくなかったノーランドは黄金郷の存在を否定せずに処刑された。

 

ルフィは空島を滅ぼそうとする偽りの神・エネルを倒し、大鐘楼を鳴らす。400年ぶりに鳴ったその鐘の音は、猿山連合軍の耳にも確かに届いた。 島の歌声は、ノーランドの冤罪とカルガラの戦いの終わりを告げる鐘の音となったのだ。

 

そのエネルがかつての末裔同士が争う現実に失望して世界政府に堕とされる前に堕としてやろうとしたゆえだとエネルの父親から聞かされた時には何とも言えない気分になった。

 

ワイパーは空島スカイピアを守るのが夢だ。あとはいつか青海に行きたい。歴史の本文を防衛しなきゃならないから、それどころじゃないが。

 

「堕ちなくてよかったな、堕ちた空島の末路は悲惨だぞ」

 

そういったのは、ドフラミンゴファミリーの右腕に強制的に就任させられた男だ。青海だと公的には死んだことになっている本名を名乗ると世界政府にいよいよ抹殺されるためコラソンでいいといってきた。

 

なにせ情報提供だけで1億ベリーだ。空島が青海におちて一族のほとんどは死んだが、生き残って混血が進んで純粋な月の民ですらなくなっている自分ですら、そこまでの高額ではなかったが、でっちあげの罪で犯罪者にされ、古代兵器の機密をかかえているために追われてきた。さいわい、同族が自分を売ろうと毒をもってきたから逆に嵌め、そいつの名で世界政府のエージェントになった。その民はもう自分しかいない。古代兵器が人工知能だから、妹みたいなもの。ウミット海運やドフラミンゴファミリー、あるいはロックス連中の庇護下にある中立地帯だから世界政府は手が出せないだけ。

 

そいつも麦わら一味と仲良くなったから助かったらしい。ちなみに夢は世界政府への復讐。

 

「おまえ達のジョイボーイは麦わらのルフィなんだな。おれはカイドウさんだ。それもいいだろう、巡り合わせだ。いつかはぶつかる」

 

おそらく世界最後の月の民の性質をすべて継いでいる男はそういった。

 

国を守るために逃げろといわれて全てを捨てて逃げた王族の末裔の後継者は月にいってしまった。族長は空島ビルカが息子に滅ぼされ、空島バロンターミナルで再興した今、今更巨大な王国を復興したいとは思っていない。一部、海賊王や海の王の復活の使命に目覚めた奴らがいるが黙認している。

 

結果として、国を守るために最後まで青海に残った戦士の末裔はこの男だけだ。この男は信仰も故郷の復興もどうでもいいし、世界政府に恨みはない。カイドウがぜんぶ背負ってくれるから。

 

キングも偽名ではない。かつての自分を全て捨てた男の今の名だ。38年前のゴッドバレーで9歳にして全てを失った男だ。世界政府に拉致されてパンクハザード第6研究所にオハラの生き残りと同じ年齢で実験体にされ、カイドウに助けられた過去をもつ。それからはカイドウが暴力の世界を実現するために海賊王をめざすため、ずっと右腕をしている。

 

ジーベック亡き後のロックス海賊団は、天竜人が月の民の末裔だと信じていたからルナーリア虐殺に加担したのがそもそも間違っていたことに気づいた。だってそうだろう、宇宙服を着ているんだから。キングから月の民について聞いたときの衝撃は計り知れなかったはずだ。

 

それでも、ジーベックがいたからまとまっていたにすぎない仲間たちはバラバラになった。それぞれが壊れながらも夢をおいかけたわけだ。

 

それをホーミングは5年後にまとめた。利害が一致している間は一緒にいればいい。嫌なら殺し合いになるが邪魔してもいい。ロックスはそういうものだと世界政府がいうのだから。王直は世界の王はジーベックにしたかったがもういないから、世界政府と落とし前はつけたい。海賊王にしたい奴はいるけどあからさまに贔屓はしない。それより100年ほど戦争したいから準備をしてほしい。彼らはそういわれている。

 

「おれ達だけでも海賊王にしたいやつが違うんだ。青海は大変だな」

 

「国をつくりたいやつと海賊でありたいやつ、今の秩序を守りたいやつがいるんだ。なおさらややこしいだろう。カイドウさんは国も世界政府も信じてないから暴力の世界を目指してる。カイドウさんの夢がそれならおれはかなえるだけだ」

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