ロストマンのセイリング・デイ(王直→ホーミング 番外編) 作:アズマケイ
「ティーチ、不機嫌だったよ。今からバナロ島行きたいんだけど後からじゃだめなのかって」
「バナロ島か」
「レイリーさん知ってるのか」
「きみが海賊王を目指さないなら詳細はいえないが、空白の100年に関係ある場所だ。下手をしたらそれから今に至るまで何回も舞台になってきた」
「......おれがピンとこないから、なおさら怒ってた。Brag Menはうそつき達という副題がつけられて発行されたこともしらねえのか、ポートガスの末裔のくせに。なんで母親がエースってつけたのかもわからねえのか、トーンダイヤルまでもらったくせに。先祖含めた冒険家達を貶めた本に憧れて旅に出るとか会った頃から嫌いだったんだっていわれた。なにもなければ自慢話のまま意味が通じたのにって」
「......そうか。だが、きみはマリンフォードから始まる新時代の幕開けに手をあげて成し遂げたんだ。再起できるさ」
「ああ、次は負けねえ。空島バロンターミナルで発行されてる新訳の方も読んだからな、やりたいこと全部ルフィに先越されちまった」
「まったくだな、ロジャーは君にしてほしかったはずだ。せっかく末裔達のいる国8カ国も回ったのにな、先越されないよう原稿出す羽目になったから何回目だ推敲は?彼女はなかなか厳しそうだな」
「元天竜人だからかな......」
「まあ頑張れ」
「ほんとだよ!ドレスローザの凶弾は嫌な思い出しかないんだよ、あやうくスペード海賊団全滅するところだったし!ドフラミンゴの弟ってことになってるからめっちゃ謝られたけど。なのにベラミー頭よすぎるだろ、末裔の監修つきとか考えたことなかったよ!!」
「北の海のノーティス出身だそうだ、裕福な国だな」
「......なんで海賊してんだよ」
「世界政府の許可なく海に出たらみんな海賊だ、仕方ないさ。ドフラミンゴに憧れてドレスローザにいき、黄金伝説を証明する入団試験に受かったそうだな。末尾に書いてあるだろう」
「あ、ほんとだ。だからカボチャ沢山売られてたのか」
「トンタッタがいるドレスローザが発祥だ」
「!?なんでドフラミンゴ教えてくれなかったんだよ!」
「きみが冒険家になりたいっていわないからだ」
「スペードならわかるだろ!?」
「きみが言わないとミーハーかわからないからな。オハラから始まった真の意味での大海賊時代はミーハーばかりだから、そこまでわかる者達の方が少数派なんだ。だから、ロジャーやロックスと具体的な名前を出してまで意思を継げといったんだろう、白髭は。いずれも世界政府のせいで無理やり海賊として名を残さざるをえなかった者達だからな。海賊旗に意味を込めて夢を掲げる奴らだけが新世界にいけたはずなんだ、昔は」
「......なんでベラミー傘下に入れたんだよ、絶対わかってないやつがつくる海賊旗だろ」
「さあなあ」
「いや、ここまでのことしたから、ドフラミンゴは認めたんだろうけど。ルフィも一緒に冒険するとか、どうせ全部読めてたんだろうなあ......」
エースは頭をかかえている。
「どうする、エース君」
ニヤニヤしながら、レイリーは何枚かの紙を一出してきた。
「?」
受け継がれる意志、時代のうねり、人の夢。これらはとめる事のできないものだ。人々が自由の答えを求める限りそれらは決してとどまることは無い!!
世界は・・・そうだ! 自由を求め選ぶべき世界が目の前に広々と横たわっている。終らぬ夢が・・・お前達の導き手ならば、越えて行け!!己が信念の旗の下に!!!
「冒険家としてのロジャーの草稿の一部だよ。君と同じ国を回った。海賊王とレッテルを貼られたから世に出せなくなったがね。代わりにあの一言を一年かけて考え抜いたんだ」
「......だからどこいっても、どっかで会ったことないかって聞かれたのか。みんなニコニコしながら話してくれた。海賊王じゃなくて、冒険家のロジャーを知ってる人達がいたんだ」
エースはうつむいたまま、泣き出してしまった。
「......おれはいいよ、助けに来てくれるのわかってたから。でも、シャンクスに聞いた。みんな見当違いな罪で罵声して、耳塞いで泣いたバギーにも麦わら帽子かぶって堪えてたシャンクスにも、みんなそんなに嬉しいのかよかったなっていったって。肩まで叩かれたって。それを耐えていったんだろ、あの一言を。大歓声に変えたんだ。世界を変えたの意味がやっとわかった」
「シャンクスが話したのか?あの日のことを?驚いたな、わたしも初めて聞いた」
「えっ、そうなのか?おれが教えてくれっていったんだ。最後の日の音はトーンダイヤルで聞いたから知ってる、教えてくれって。あの場所にいたかどうか。ドフラミンゴがロジャー海賊団の一部を教えてくれたから。ルフィがお世話になったお礼もあったけど。笑いながら泣かせちゃったけど、おれが冒険記書きたいんだっていったら喜んでくれた」
「それはそうだ、私もうれしいからな」
「どうするかな.....新訳以上の冒険譚なんてもう......」
エースの視線の先には修行でぐったりしたまま、そのまま寝入ってしまったルフィがいる。
「なんて言って乗せてもらうか、考えなきゃな?」
「世界最強の男で、一番海賊王に近い男。冒険譚書くには一番だと思ったんだよ。親父が書きたいくらいの男なのはわかった。海賊王になりたいやつと最果ての地で雌雄を決するために待ってるだけだなんて知らなかったんだよ」
「挑戦者の方が筆が乗るだろう?」
「親父には決戦の日までは好きにしろっていわれてる。だからいいんだ、おれも好きにする」
レイリーはニヤニヤしている。