ロストマンのセイリング・デイ(王直→ホーミング 番外編)   作:アズマケイ

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受け継がれる意思

東の海にある美しすぎる島、シクシス。そこは脱出不可能といわれている無人島であり、天国に一番近い島という者もいた。なにせ一度足を踏み入れたら最後、普通は2度と出られない島だからだ。

 

珊瑚が美しい海だった。エメラルドグリーンに輝く遠瀬の海の向こうには、特殊な海流がある。近づくものを島へ引きづり込むのだ。それはさながら海の蟻地獄。このせいで島に入った者達はみな、強制的に人生最後のバカンスを楽しむ羽目になる。

 

この島こそ、白ひげに100回挑戦したエースの決断で傘下に入ったら、なぜか2番隊にそのまま吸収合併されたスペード海賊団結成の地である。

 

はじめこそ、ホーミングの息子だからとやっかむ声も多く黒ひげ達が世話役についた。3年後、その世話役がエースにとっても自分にとっても親友なはずの男の仲間殺し、禁を犯しても堪えた。ホーミングへ白ひげからの注意喚起の伝令をした。

 

ウミット海運と手を組んでワノ国の友達のために黒ひげと百獣海賊団に落とし前をつけにいって負けたが生き残った。

 

マリンフォードの新時代の幕開けを告げる導火線の役目を成し遂げて生還した。とうとう海賊王ロジャーの息子だと発覚したため、誰も2番隊隊長に文句をつける者はいなくなったらしい。

 

最初にエースの仲間になった青年はエースの冒険譚を書きたがっていたが、この島で意気投合したエースに先を越されたと怒ってもいた。どうやら影響をあたえまくったことに自覚はないようだから教えてやったら、固まっていた。

 

「ここか」

 

「そうだな、船長、間違いない。話のとおりだな」

 

目印のヤシの木がある。海風がやさしく頬を撫で、むせかえるような潮の匂いがする。

 

海賊だった。さびついたピストルがあり、豪華な指輪がひかる。もはやこれまでと自殺した後、環境の関係できれいに白骨した遺体が残っていた。野鳥がいるのに食い荒らされていないのが奇跡だ。

 

「......」

 

「船長?」

 

「だからミーハーは嫌いなんだ。なにが海賊だ、海兵じゃねえか。ガープの上司だな」

 

「えっ!?」

 

「帰れなくなったんだよ、メラメラを持ち帰る任務中だったんだろう。飢餓に耐えかねて食べてしまい、責務に耐えかねて自殺。こんな指輪、つける海賊があるか。海軍将校がつける勲章みてえな指輪だ。ガープの上司はドラゴンを海兵にしたがってた、こんなに海兵に向いてる実もねえだろうに......。さしずめ任務失敗だから後任者のために解体したやつをエース達が組み立てたから船がねえわけか。なるほどな、エースは悪いことができねえ海賊だ。スモーカーと決着つくわけねえだろうが、あいつは海賊になるべきなのに海兵してるやつだ。考えうる限り最悪のパターンがきたな、エースのメラメラの実は海兵の矜持に反することをすると力が出せなく成るタイプだ」

 

「そんなことまでわかるんだな」

 

「全てには原因があって過程があり結果につながるんだ、イール。己に課せられた役割を果たさせねえやつが死ぬんだ。今まで力が出せたのは、ガープの教育のおかげだな。よく黒ひげに太刀打ちできたと思ってたが、そうか。迫害されてる女の子を助けるために内乱が続く国で圧政を強いるやつらから解放するために決闘を挑んだからか。素晴らしくヒーローだな」

 

「いうのか?」

 

「いうとも、最果ての地で雌雄を決するんだ、海兵もいた方がバランスが取れていいだろうさ」

 

近くを探すとメラメラの実が成る環境が整っていたことがわかった。

 

悪魔の実とは、その実を食べた者に特殊な能力が身につく「海の悪魔の化身」といわれる希少な果実のこと。食べた実の種類によって様々な能力を得ることができる海の秘宝だ。

 

いくつかルールがあり、1つの悪魔の実から複数の能力者が誕生することはない。能力者が別の悪魔の実を食べると体が跡形もなく飛び散って死ぬ。同じ悪魔の実が同時期に世界に2つ存在することはない。能力者が死ぬと世界のどこかにその能力を秘めた悪魔の実が復活する。悪魔の実には「悪魔」が宿っていて、口にすると実から飛び出した悪魔が体の中に宿るといったいいつたえがある。

 

悪魔の実が宿る場所に関しては、ヨミヨミの実の能力者ブルックの存在がヒントだ。なにせ骨だけの存在であるブルックに悪魔の実が宿っているということは、悪魔の実が宿る場所は肉体や臓器ではないことが分かる。彼をこの世に生かす”力”は魂なのだ。ややこしいことに、この世界で万物は大切にされると魂が宿る。イール達を含む人類は肉体と精神と魂でできている。

 

つまり、能力者が死ぬと魂は肉体から離れて「黄泉の国」へ行く。そして、魂だけ蘇生され、強制的に近くの対応する果実に宿るのだ。食べたら最後、その魂は次の能力者が死ぬまで解放されないのだ。まさに悪魔の所業でできている果実なのである。

 

悪魔の実を一口かじると悪魔の実に宿っていた前任者の魂が飛び出して新しい能力者の魂に宿る。これが、悪魔の実の能力者の基本の状態だ。

 

悪魔の実に宿る前任者の魂が1つなので、1つの悪魔の実を複数人で分けても能力者になるのは1人というルールもこれで説明がつく。誰かが食べ残した悪魔の実を食べても能力者にならないのも同じ理由だ。

 

この世界には「悪魔の実の図鑑」が存在することから、それぞれの悪魔の実の元となる果実は決まっている。この島にはやはり、メラメラの実が成る果実があった。一本だけだ。

 

だから、巨大な王国と繋がりがあった島はかつて温暖な気候であり、果実が成るような環境があったはずなのだと船長がイールに教えてくれたとおりだとわかる。この島もかつては国だったのだ。あとでわかるがニッケルがよくとれる。発がん性がある。資源をめぐり争いが絶えない国で最後まで世界政府に国として認めてもらえないまま滅びたようだ。

 

「どうする、船長」

 

「もちろん、ウミット海運のシマにするとも。世界政府が認めない国だ、私たちがなにをしようとなにもいわんだろうさ。メラメラの前任者を連れて帰ろう。彼のおかげでエースはマリンフォードを生き抜いた。歴史がかわった理由がようやくわかった。ガープも心配しているだろうからな。だが指輪はガープにたたきつけてやる」




シクシスの元ネタはおそらくニューカレドニア、死んでいたのは発見者のキャプテンクックと呼ばれるべき人、イギリス海軍の英雄です。
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