ロストマンのセイリング・デイ(王直→ホーミング 番外編) 作:アズマケイ
「お前はガンゾウに会えなかった上に黄金に目がくらんじまったウーナンだ、テゾーロ」
「ウーナン?」
「おれがお前をここまで貶めた最大の理由だ。おれがどんなに必死で探したと思ってやがるんだ、ゴルゴルの実を。あんな真似しなくてもゴルゴルの実はテメェを選んだんだ。なんで闘技場に参加しなかった。そしたらここまでしなくてよかった。そうじゃねえと、ゴルゴルが真価を発揮する段階まで、てめえは正気にもどらねえじゃねえか」
「話が見えないんだが、ドフラミンゴ。初めから話してくれないか。たしかにいまの境遇は悪くないとは思ってるが......」
ドフラミンゴはため息をつきながら教えてくれた。
ウーナンはかつて“東の海”で活躍した「伝説の黄金の大海賊」だ。ゴルゴルの実の能力者でもあり、テゾーロの前任者でもある。懸賞金6000万ベリー。
赤い炎に囲まれたドクロというシンプルデザイン。ドクロの後ろには、十字架を形成する2つの骨がある。ウーナンが幼い頃に製作した。
この旗は彼の最大の宝物であり、ウーナンの元に残った最後にして唯一の宝物になった。悪人からしか略奪をしないといわれ、決して民間人には手を出さなかった。そのため、民間人からの人気も高かった。
海軍との交戦経験はあったのかは不明。まったく無かった、という訳では無いのだろうが…。
「やすくないか?」
「どんだけ昔だと思ってやがる。偽物や影武者が出るくらいだ、手配書なんか更新されてねえよ。ソウルキングみてえなもんだ」
「消息不明なのか」
「違う、海賊としては死んでる。海賊は いつ死ぬと思う?心臓を銃で撃ち抜かれた時か?不治の病に冒された時か?違う。海賊旗を破られた時と人に忘れられた時だ」
「なるほど......おれもドフラミンゴファミリーとして認めてもらえたみたいだからな、覚えておこう」
「ああ、そうしろ」
ウーナンは、首領クリークさながらの大海賊団を指揮して黄金を集め続け、ついには世界の黄金の3分の1を手にしたとされ、船団に積まれた黄金は夜の海を昼さながらに照らしたという逸話がある。
しかし、ある時を境にぱったりと姿を消しており、集めた黄金を小さな島に隠して死んだと噂されていた。
実はおでん屋の岩蔵とはかつて兄弟同然に育った仲だったが、共に海賊になって黄金を手にしようと誘うも黄金に価値を感じない彼と衝突して死別同然の形で生き別れになっていた。
なお、黄金にこだわったのは金鉱掘りの父親が僅かな黄金しか手に入らずにこの世を去った人生を恥じている事に起因しているが、岩蔵の方はおでんの作り方を教えてくれたウーナンの父親を尊敬しており、それ故に黄金を求める事を優先するウーナンに対して「黄金は笑わねえ、酒も飲まねえ、歌も歌わねえ、涙も流さねえ、まるで石ころと同じだ」と指摘していた。
そういってくれた親友がいたのに喧嘩別れして崖に落ちて死んだと勘違いした。
莫大な黄金を手にした後に失踪したのは海賊になって世界の3割の黄金を手にしたとき。悲劇はおきた。
ローカイという男がいた。手にフック、海賊帽、コート、眼帯のこの男は、かつてはウーナンの影武者として戦っていた。影武者ではあるが、本当の兄弟のように喧嘩をしたりバカ騒ぎをし、共に海をかけ宝を集めることに執念を燃やしていた。
しかしローカイは『古の黄金』という宝に惑わされてしまう。そしてウーナンを裏切り、海賊団を一度滅ぼした。その後、ウーナンはどこかへと消えていった。
代わりにそこにいたのは、怪人『スカルフェース』という『古の黄金』に潜む悪魔にローカイが取り憑かれ、『古の黄金』の番人なってしまったのだ。乗っている船は『南の海』製の『黒き死の船』。水車を使い、高速で移動できる。
悪人から金の3分の1を獲得していたため、かなり強力な仲間たちであったと推測される。彼らは剣と拳銃を使っていた。ゴールド・ロジャーやロックス・D・ジーベックなどの強豪海賊団と同じである。なのにローカイに敵わなかった。
この失踪が数年前を境にウーナンは消息が途絶え、ある島に黄金の全てを隠したと言う噂として広まっており、海賊らを呼び寄せることになる。
死の黒い船に乗る古の大海賊にやられて自分以外全滅し、改心して死期を悟ったためであり、黄金をすべて元の持ち主に返したうえで、島の地下に掘った部屋の中でひとり死を迎え白骨死体と化していた。
そこに遺していた遺書を通して、岩蔵の末裔とようやく再会を果たすことが出来た。
黄金を返したのは、「黄金は笑わねえ、酒も飲まねえ、歌も歌わねえ、涙も流さねえ、まるで石ころと同じだ」という岩蔵の最後の言葉から、自分が本当に欲しかったのは黄金ではなく、それを手に入れるまでの冒険であったことに気づいたからであった。
そういう意味では、ウーナンと海賊王は表と裏を象徴するコインのような存在と言えるのかもしれない。なにせワンピースは実在するのだから。
ガンゾウはウーナンの実家をついで水上のおでん屋をしていた。かつては世界で一番うまいおでん屋だった。なにせワノ国では秘伝のレシピだ。真相が明らかになった後、遺体は岩蔵の末裔が建てた墓に埋葬された。
なお、ワノ国をおさめるのがおでんで、彼の得意料理もおでんであり、ガンゾウのおでんのレシピである暴暴鳥の卵、コニャンク、海ダイコンをワノ国が律儀に守っている理由は不明である。
コニャンクは800ベリー、海だいこんは800ベリーで買えるが、暴暴鳥は岩場や火山など、好んで荒れ地に巣を作るジュラ鳥の亜種。滞空するとき、ボウボウと聞こえることが名前の由来と言われている。羽根に熱気が宿っており、巻き起こす旋風にも炎が混ざって獲物を丸焦げにする。卵も肉も美味で、料理人魂に火をつける極上の食材。料理の素材に使われる。
なぜワノ国でリトルガーデンのような鳥がいたのかは不明だ。
「まさか保護した空島ワフルドに生息してるとは思わねえじゃねえか、暴暴鳥。固有種だ」
「!?」
「な、おもしれえだろう?世界は繋がってたんだよ。200年前に空島スカイピアに世界政府が奴隷をもとめて侵攻してこなけりゃな。400年領土問題で内紛してた国になんつーことすんだ、あのアホどもは。死罪になって当然だ。青海人嫌いになったせいでエネルにつけ込まれるしよ。そいつらのガリオン船が麦わら一味の前に落ちてきたんだ。まあ、200年の流刑は果たされたんじゃねえか?さて、今回の興行隠れ蓑に、金脈をさぐるついでに深海に沈んだ冒険家達の足跡を探った結果はどうだった、テゾーロ」
「......それは......」
「いってみろ」
「......今の立場が借り物なことにこれだけ感謝したことはない、ドフラミンゴ。これを隠れ蓑にすればおれはどうやっても稼げるんだな、先行投資として使わせてくれるなら、倍にして返せる」
「だからおれはいったはずだ、めんどくせえことしやがって。今ならわかるだろう、その意味が。世界政府は理解してねえからこの青い星に眠る数多のエネルギー資源や鉱脈、商機に気づいてねえんだよ。だから平気で無人島になるまで放置するんだ。冒険家達は気づいてた。世界政府が空白の100年に気づいたらどんなに恐ろしい目に会うか、オハラまで知らなかった。そのせいでたくさん死んできたんだ。わからねえんだ、世界秩序を守ることしか考えてねえ世界の仕組みをしらねえから」
「だから今まで戦わせる方向で黄金の使い方をおれに考えさせてきたのか、ドフラミンゴ」
「そうだ、この世界を渡るには無知も雑魚もいらねえからな。お前はその境遇から無知じゃなかった、だから強くするだけでいい。やっとみつけたゴルゴルの実は、伝説の大海賊ウーナンの意思を受け継いでる。それに沿わないやつは力を発揮できねえからな。やっとおれの求める水準に到達したんだ、おまえは。今ならわかるだろう、ゴルゴルの意味が」
「ああ、わかるよ、わかるとも。ゴルゴルは黄金を生むんじゃない、金を生む体にするんだな」
「そうだ、商才がおれ並みにあるお前ならいくらでも稼げるはずだ。いってみろ、今のお前ならいくつ儲け話をもってこれる?」
「ステラにはどう足掻いても間に合わないことだけはわかる。軌道に乗せるのに何年かかるんだ?」
「フッフッフ、だからいったはずだぜ。期待持たせないようにな。長年の莫大な富を約束する代わりに下準備がいるんだ、ゴルゴルを儲け話に使うにはな」
「ガンゾウのレシピはどうするんだ?」
「ワノ国が平和になったら考えるって父上はいってたぜ」
「え、ち、父上!?」
「そうだ、おれはホーミングの息子だ、テゾーロ。殺すか?」
「その場合、おれは何回死ねばいいんだ?」