ロストマンのセイリング・デイ(王直→ホーミング 番外編) 作:アズマケイ
ドレスローザにて、七武海となり公的に海軍に追われなくなったハートの海賊団は、今日もモネの手伝いに追われている。全てはローが少しでも船員達を強くするためであり、海戦でより強くなる訓練もかねていた。海賊王になるためにすべきことを調べ上げ、仲間に全て伝えてあるために、ハートの海賊団は非常に士気が高かった。あとはローも強くなりながら、海賊王になるための道に邁進するだけである。
本気で四皇をとりに行くため、ローは情報が欲しくてドレスローザに居座り続けているのだ。ドレスローザの凶弾から、そんなにドフラミンゴの首が欲しいのか恩知らずとあやうく船を沈められそうになったが、七武海の肩書きがモネの仲裁を呼んだ。全て予定通りだ。
死の外科医は昔世話になったドフラミンゴを何らかの理由で不倶戴天の敵レベルで嫌い抜いている。世間一般の評価はこれからを考えたら大事な手札のひとつだ。ローは真面目にドフラミンゴと対面した瞬間に軽く殺しかけるような奇襲をかけるくらいは徹底していた。全て読んでるドフラミンゴは律儀にちょっとしたド派手な挨拶を演じてくれた。おかげでドレスローザでは異様に肩身が狭いが構わなかった。ドフラミンゴはわかってくれてる確信があるからだ。
七武海の特権を利用し、ローはドレスローザの機密を知った。あとはパンクハザードだ。あちらはなかなかに手間がかかりそうだった。だから七武海入りをはやめて行動を開始したわけだが。
今、ドフラミンゴとローは王立図書館にいた。
人堕ちホーミングは20年前にベガパンクがオハラの遺した大量の書籍やポーネグリフを訳すの手伝った。それだけでなくウミット海運の船の一角を貸し出してまで協力した。その一部がエルバフに戻されずに残ったのは、それに対する感謝の気持ちなのだ。マリンフォード頂上戦争の知られざる最大の貢献者は、その過程で得た沢山の情報から、そんなことを考える。
その書籍はウミット海運の人堕ちホーミングの船に書斎ごと残っている。ウミット海運と繋がりが深いドフラミンゴは、図書館みたいな気軽さでいつでも読むことができる。気に入った書物はドフラミンゴの船の本棚に並ぶこともある。
そう、フレバンス滅亡計画が完遂して、ローがドフラミンゴファミリーの船に密航した時には、特におあつらえむきな本があるだろう。本来知り得ないはずの情報ばかりが掲載されているあのフレバンスの本とか。
ようやく長年の疑問がとけたローである。
スワロー島での最終日の満月の夜にドフラミンゴの本を片っ端から読んでいた時にローが歴史の本文に関する書物を見つけるのも。ドフラミンゴに触るなと激怒されて取り上げられるのも。オペオペの力で入れ替えてなんとかメモだけ残したのも。ハートの海賊団をたちあげて、たまたま上陸した遺跡でやたら目につく文字があのメモと一緒だと気づいたのも。意識的に写本を集めたり、遺跡を回ったりしていた日々も。ここまでくると偶然とは思えない。ローは少し感動していた。
怪僧ウルージに渡して歴史の本文を訳してもらったから、ローはようやく麦わらと同じステージにたてている。
あの日から時間はたち、今やドフラミンゴファミリーの拠点は今やドレスローザで中立地帯だ。あらゆる勢力が共存をしいられる街だとた。
いろんな本がある。中立地帯だから自由に読むことができる。そこにはしれっとローが昔たまたま見つけたポーネグリフの本がある。ウルージ達がポーネグリフ読めることをすでに超新星達は知っていた。どのみちもう早い者勝ちでしかない。
肝心のポーネグリフはやっぱり四皇(あるいは準四皇)しか持ってないのでいつかはぶつかる。ロックスかロジャーかで対応違うんで選んで戦えとまで調べたらわかる。
ドレスローザは、ローみたいな海賊にとってはまさに楽園みたいな場所だった。
「ここを作り上げられるアンタですら、あんなヤバいものに手をつけないといけないのか、ドフラミンゴ」
「物流会社からしたら悪魔みたいな男なんだよ。バロンターミナルやウェザリアを落とすと気軽に脅し文句に使いやがるくらいにはな」
「......そうか。それが四皇......。そして、これが絶対に誰にも奪われないアンタだけの財産なのか、ドフラミンゴ」
「そういうことだ。手を出すやつが誰であろうがおれは許さん。それはそれとして、ちょっと待てロー。おまえ、それ......どこで聞いた?」
「火拳屋がいってた。アンタには感謝してるって。あいかわらず身内には甘いんだな」
「............出来の悪い弟ばっかだ、兄は心配がつきねえんだよ」
「そうか」
「いっとくがお前は入ってねえからな、勘違いすんじゃねえぞ小僧」
「......?なにいってるんだ、あたりまえだろ?あの日、おれは海賊王になるっていったんだ。傘下にも部下にもならないっていったはずだ」
「わかってんならいい。お前なりに、海賊王になるにはどうしたらいいか考えて、何をすべきか考えて、やりたいようにやってるのはよくわかった。結果的に、おれのまわりをうろちょろすることになってるのもわかった。......それが非常にめんどくせえことになってるわけだが」
「だから何の話だ、ドフラミンゴ」
「今度の七武海の会議に出たら一発でわかるぞ、ロー。お前が世界政府と海軍にどう思われているのか。世間からどう評価されてるか。思い知るといい。楽しみにしとけ、おまえの初会合」
「いやだから、今教えてくれ。そんなこと言われると怖すぎるんだが」
「なに、今更怖気付いてんだ、ロー?わかってるから麦わら一味と同盟組んでまで、おれにあんだけの啖呵をきって、マリンフォード頂上戦争でひっかき回したんだろ?すべて掻っ攫ったのはおれだが、お膳立てしたのはお前だ。世界は知らないがおれは知ってる。ホーミングにつながる奴らも知ってる。これはでかいアドバンテージだ。お前の判断はあってる。その副産物を知ることになるだけだ。このまま突き進んでけ。おれがいえるのはそれだけだ」
「..................?ありがとう」
「おう」
ドフラミンゴは不意に窓をあけた。
そういうわけだから、ローは傘下には入らねえんだよ。ベラミーんときみたいに賭けをする暇があったらさっさと働け。見聞色に覇王色を乗せ、ピンポイントで届くように殺意をこめる。首謀者の秘書の女をはじめとした幹部達はイタズラがバレたみたいな顔をして笑っている。あとで全員呼び出して説教しなければ。