ロストマンのセイリング・デイ(王直→ホーミング 番外編)   作:アズマケイ

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AS見聞録2 アバレスバーレス 月と太陽
あばれすばーれす
Avs S
Avarves S
varves 年縞


AS見聞色4 アバレスバーレス月と太陽

ただいま、おれとサボは待ち合わせていたとおり、東の海ゴア王国領にある場所に向かっていた。

 

そこは貴族街の外にあり、貴族の街との壁が築かれている貧民街、スラムでありゴミ捨て場のような存在。 貴族の街でいらなくなったものを破棄する場所。通称「不確かな物の終着駅」。

 

大掃除のため火が放たれることもあるが、今まで人々が無事だったのはここを統治しているブルージャム海賊団が貴族に賄賂を贈ることで事前に情報を得ていたからだった。

 

この金はみんなの命がかかってる大切なものだ。それを盗もうとしていたバカが隣にいるサボで、それをぶん殴って止めたのがおれだった。それが最初の出会いだ。ブルージャムが口封じにサボを殺そうとして、サボが貴族が嫌だから逃げてきたおいてくれと叫んだのだ。

 

ここは貴族街との基本出入は自由で街へ逆に持ち出されたりすることもある。 不衛生かつ医者もいない上に治安組織すら存在しない劣悪な環境下にあるが、後ろめたいことをするには最適で、ゴア王国は初めから無くす気なんて微塵もない。逆を言えば改善する気もない。なにもしないをしている場所だった。たしかに身を隠すにはうってつけだろう。

 

幼少期のおれはどうしてもダダンのアジトにいるには危ないからと、ブルージャム海賊団に匿われていた時期があるのだ。おれがここにいるのがバレたら掃除と称して貧民街に火を放たれてしまうから、1人で何でもできるようになってからは近づきたくなかった。でも、そんなこといってられない事態が迫っていたのだ。

 

「ほんとなのかよ、サボ」

 

「まちがいない、はっきり聞こえたんだ。天竜人がくるから、ここを焼き払うって」

 

「おれ達が近づいてないのに!?なんだよそれ......天竜人の誰かが綺麗にしろっていったな!?これだから嫌いなんだ、自分の立場の責任がない!何も知らない天竜人もそれを強要する世界政府も嫌いだ!」

 

「───────......ごめん」

 

「なんであやまるんだよ」

 

「......おれもそうだし」

 

「サボがスパイしてくれるからわかったんだろ」

 

「へへ」

 

おれ達を久しぶりに見た貧民街の人達に聞いたらすぐにわかった。ブルージャム海賊団は前と同じ場所を拠点にしていた。

 

「......ほんとか。天竜人がきやがるのか」

 

サボが渡したトーンダイヤルを聴き終えた二人は難しい顔をしていた。

 

「おい、今すぐ隠し場所の金を別の場所に移すぞ。これ無くしたら数年は寝られねえ日を送ることになる」

 

「おれ達も手伝うか?」

 

「それより、他の奴らに知らせろ。準備ができたやつからコルボ山やフーシャ村に逃す」

 

「ありがとうな、エース、サボ。戦場で生き残るのは…『強者』と『臆病者』だ『勇者』は死ぬと相場は決まってる。これはかしこい臆病者だ、お前らの判断は正しい」

 

うなずいたおれとサボは手分けして貧民街に声をかけて回った。その帰り道のことだ。海賊貯金もうつすことになり、ダダンのアジトに運んでいた。

 

今日のノルマの家事をおえる。

 

コルボ山は赤ちゃんの頃から育ってきたおれにとっては庭みたいなものだ。ダダンの家付近は各色の果実や竹系が手に入る。10になるまでガープに叩き込まれてきたおれは、ロジャーから受け継いだポテンシャルを伸ばした。海の王として10年間ぽんこつなのにならなきゃいけなくて、必死に勉強してきた知識がある。

 

実がなっている丈夫な木を叩くと効率よく集められた。熟れた青い実、熟れた赤い実、熟れた褐色の実が狙い目だ。きのこ、しなやかな竹、なにかの卵、ローヤルゼリー、甘い樹液、ゴールデンまつたけ。動物は狼やただのクマしかでない。虫もヘラクレスオオカブトとアトラスオオカブト。

 

吊り橋付近にはクマやゴリラが出現する。金の卵がたまにある。ゴールデンヘラクレスがレアだ。ダダンに渡すと少しは金になるし、料理にもつかえる。

 

「はああああっ!?なんだよそれっ!?それじゃあ、エースはなにか。10年間の努力はぜんぶ無駄だったってことかよ!?あんまりじゃないか!そんなんだから意味わからないっていわれるんだぞ、太陽十字はっ!!」

 

「だから迫害されてきたんだよ、お前達みたいなやつに。そんでやめろって気軽にいうんだ。生半可な気持ちで人の歴史に入ってくるなよ、貴族のくせに。おれからすれば、こうやって口開けて笑わない方が気持ち悪いんだよ」

 

「───────っ、やめてくれ!!」

 

「ほら、そうなるだろ?無理にやめろとかいうな。ほっといてくれよ。それだけでいいのに、なんで近づいてくるやつが現れるんだ。なんか押し殺したみたいに笑ってさ。ほんとこの世界はいかれてるよな」

 

「───────............ごめん」

 

「ゆるさない。絶対ゆるさない。ごめんはだめだ、ゆるさなきゃならない。強要するなよ、そんなんだから貴族はきらいなんだ。謝ればすぐ住むと思ってる」

 

「......」

 

「天竜人ですら笑ってはいけないって古い法律に苦しんで、天夜叉は思い切り笑うために、わざわざ空を飛ぶんだってじいちゃんいってたのにさ。みんな、みんな、古い法律に苦しんでるから、かえようとしたのに、さあ」

 

おれは泣きながら笑っていた。この下になるともう条件反射だった。

 

「大将火犬のエースが太陽十字教徒を皆殺しにするんだからな。父さんと母さんがつけてくれた名前だし、大切な名前なのはわかってるのに、みんな、嫌いで好きな名前になっちゃったんだよ。最悪だよ」

 

「......でも、エース。話がちがうぞ!?おまえが海の王にならなきゃいけないっていうから、おれはずーっとやりたくもない貴族してるってのに!!あーもう決めた!おれ海へ出る!この国を飛び出して自由になる!広い世界を見て、おれはそれを伝える本を書きたい!航海の勉強なら何の苦でもないんだ!!もっと強くなって海賊になろう!!」

 

「きっと、これから現れる海賊王は、これまでの誰よりも遠くへ、それどころか、人間が行ける果てまでいくんだ。おれは行きたいね。それで、おれは冒険譚を書くんだ。そして、同時に父さんが出せなかったっていう冒険譚を完成させる。きっと売れる。海賊王の汚名を冒険家としての名声でぬりつぶしてやるんだ」

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