ロストマンのセイリング・デイ(王直→ホーミング 番外編) 作:アズマケイ
世界会議における任務を全てやり切ったと言うサボによると、革命軍の目的は大きく3つであった。まずは天竜人の”象徴シンボル”の破壊による『宣戦布告』。つぎにでき得る限りの奴隷達の解放と『くまの奪還』。最後は神々の地の『食糧庫の破壊』。海軍の重要な戦力も巻き込んだことを世界経済新聞が余すことなく暴露したため、世界が充分に注目するという結果になった。
その間には、革命軍の息のかかった12の国で市民が反乱を起こし、8つの国で「革命」が成功、世間では「8か国革命」と言われている。その一つのルルシア王国は謎の消失をしたものの、革命が成功した「7か国」は現在、政府への「天上金」の上納・資源の輸出を全て拒否している。
「失敗した4の国のうち、2国は軍に鎮圧され、1国はCPの潜伏が判明したため粛清ののち撤退。作戦の練り直しが必要ですので、しばしお待ちを。1国はもうすぐ亡命していた対立勢力の指導者が帰国できそうなので、ルルシアの代わりにその国が入りそうですね。反乱の火は止まりませんよ、ご心配なく」
さらりと補足するホーミングにイワンコフは首を振る。
「急進派が主導すると流れなくていい血まで流れるからヴァナタの作戦は好きじゃないわ......」
「別に好かれるためにやってませんからねえ、私達は。あなた方が失敗するから悪い。尻拭いとはいいませんが待ってやったんだから文句を言われる筋合いはありませんよ」
実際問題、革命軍の作戦が失敗する、もしくはどうしても手を広げられない国地域にロックス急進派が入り込むと、血みどろで泥沼な革命騒ぎになることが多い。思想犯だけでなく凶悪犯まで解放してしまったり、王族を皆殺しにしたため国を回す適任者がいなくなり、困り果ててウミット海運の傀儡に成り果てたり。
そうやって30年間ウミット海運という名前のマフィアは勢力を広げてきた。
「革命軍」は世界各地で政府の運搬船を襲い、マリージョアへの物資の流れを止めているとイワンコフはいう。”高さ”のせいで「無敵の要塞」と言われているマリージョアだが、”兵糧攻め”には耐えられまいというわけだ。
「思い知れ 金も食糧もない暮らし!!!」
全ての物資を止められているわけではないものの、着実に彼らを苦しめ始めているはずと手応えを感じている様子のドラゴンに、ホーミングはうなずいた。
「ケーキしかないと嘆いていたそうですよ」
「ざまあみろ!」
しかし、当然それに黙って耐える様な相手ではないため、ドラゴンは神の騎士団が動き出してからが戦いだと続ける。
「ミョスガルド聖はうちで保護していますのでご心配なく。あてつけのように処刑しようとしていましたよ、フィガーランドは。魚人を庇った上、オトヒメを奴隷にしようとした天竜人の殺人未遂犯を庇ったあげく、逃した罪でね」
「よかった、間に合ったのか」
「嫌な予感がしたのでね、拉致させてもらいました。納得いってないようですが、彼にはこのまま英雄になってもらいますよ。構わないですよね?」
「ミョスガルドさん無事なんですか、良かった。神の騎士団に拘束されたってあったから心配してたんです」
そして灼熱のサボが炎帝のサボになったことに話はうつった。
世界政府がコブラ王を暗殺したにもかかわらず、サボが実行したことを本人は苦い顔をしていた。彼らの目的はあくまでも神である天竜人やイム、五老星の打倒だ。これではロックス急進派である。
事実は別にして「コブラ王暗殺」の件がサボをヒーローに仕立て上げた。アラバスタのコブラ王は、仁徳のある優れた君主として有名な男だったが、世間の反乱分子からすれば「世界政府」に関わる者達は皆ひとくくりであり、情報は正しく伝わらないものだ。
サボはため息をついて、「コブラ王には悪いけど」と口にしつつも、”革命の炎”が燃え上がるのならそれでもいいと言い放った。
「ホーミングさん、8つめの国はいつ頃王がすげかわりそうですか?」
「そうですね、あとひとつきもすれば」
「5月か」
「それがどうかしましたか?」
「いや、なんでもないです」
さすがにルフィの誕生日がもうすぐだから、20になるんだなって思ったとはいえないサボであった。脈略がなさすぎる。
もし口にしていたならば、ジョイボーイでありニカであるルフィが20になると聞いたホーミングは、800年前から不治の病を治すためにトキトキで単身未来にやってきた光月トキが、過去に置き去りにしてきた付き人から聞かされた光月家への伝言を思い出していたに違いない。
「月は夜明けを知らぬ君、叶わばその一念は二十年(はたとせ)を編む月夜に九つの影を落とし、まばゆき夜明けを知る君と成る」
現在語訳すると月は夜にしか出ないため朝を知らない→今のあなたみたい。叶うならば、20年後に9人の使者を遣わし、夜明けを教えてあげる。
意訳すると、あなたは月みたいに夜明けを知らない。叶うならば。20年後の未来に9人の使者を遣わし、夜明けを教えてあげたい。
ジョイボーイが20になるとき、Dの一族、もしくは意志を継ぐ者が現れるということだろうかと思いを馳せていただろう。
今のところ、Dがつく一族は8家ある。モンキー家、ポートガス家、ゴール家、マーシャル家、ハグワール家、トラファルガー家、ロックス家、そしてネフェルタリ家。この一族の意思を継いだり、生き様に感化されたりした者達をホーミングはよく知っている。
時代のうねりはたしかに訪れている。最後のDは誰なのだろうか、光月を三日月と捉えるならDといえるかもしれないが。