-図書室での出来事-
「アムトくんだ♡ いらっしゃ~い♡」
現代の知識をもっと取り入れたいと、真面目なメイユィはまず図書室に行きたがっていた。
エントランスホールの時点で、既にかなりの本が自由に閲覧可能として解放されているのだが、図書室はその比ではない量の本棚に囲まれることとなる。
二人が「パルデアの頭脳」と称されるほどの、圧巻な本と本棚の数にポカンとしている最中、素早くトイレを済ませたアムトが図書室へ戻ってきたら、なぜかメイユィが椅子に腰かけ眼鏡をかけていた。
「読書家に見えるかなぁ?」
形から入りたかった、のかもしれない。ただ座っているだけなのにデカすぎおっぱいがテーブルに乗っかり、他の生徒達を魅了しているエロさに、磨きがかかってしまっているが。
「買っておいたのそれ? あ、レンズ入ってないんだ」
「伊達眼鏡、Aiさんから借りてきたんだよ、どうかな? 似合うかなぁ?」
Aiは最近、というかシャルルが現れてからは、レシピ通りにしか作れなかった料理レパートリーのバリエーションを増やすために、データダウンロードに頼らず独学で料理の修行をこっそり行っていたのは、おやなのでもちろん気が付いていた。
勉強といえば眼鏡なのだろうか、確かにその時のAIもなぜか付けていたので、なるほどとアムトは頷いた。
「知的な感じがいいね」
「えへっ……♪」
女の子の扱いは長旅の影響もあり、それなりに心得ている。
……だが、メイユィは喜びすぎであろう、愛情表現としてアムトに抱きつくのはテンプレだが、ここは学園内……しかも沈黙を貫くのがマナーである図書室だ。
(それ以上は不味いから……せめて家に帰ってからでっ!)
アムトは両手で口を塞いで声量を殺している、つまり今の彼は無防備に等しい。
(ちょっとだけ、ちょっとギュッ~~てするだけ♪)
男なら断る理由の存在しない、低身長爆乳ムチムチ美少女とのハグを、やんわりとお断りする苦労人にして英雄のアムト。
それはもう色々な部分が大変な事になるし、生徒達が凝視してしまっているのでハグをし返せば、アムトにだって何らかの処分を下されるし、生徒達からも冷たい視線を浴びせられ続けるだろう。
一応イーユイである彼女らは現世に蘇ったばかりなので、慣れてないことが沢山あるとは学園中に伝えてはいるが、色恋沙汰はあくまでもプライベートの問題であり学園に持ち込んではいけないのだ。
(むぅ~~……分かった)
まぁ、メイユィはどっかの誰かと違って非常に素直なので、アムトを求めてしまっている状態でもちゃんと諭せば、すぐに納得はしてくれる。
その「どっかの誰か」は、テーブルに突っ伏して豪快に昼寝している、ダラけきってる彼女に学生としてのスケジュールは、手厳しいものなのだろう。
逆に言えばシャルルがお昼寝しているからこそ、注目する者達は大勢いるが、止めてくれる者は誰もいなくなってしまっている……
(……っ!? メイユィ!?)
(こっちで我慢するね♪ はぁぁ~~……♪ アムトくんの太もも♪ 膝♪ お姉ちゃんみたいにここでお昼寝してみたいなぁ、いいかなぁ?)
テーブルの下に潜りこんだメイユィは、アムトの股に顔を埋めるようにして、太ももをスリスリしたり、膝を触ったりとこのまま致してしまいそうな積極的なアプローチを試みてしまっている。
このまま始まるのか? ウソだろと、生徒達は鼻血を出し固唾を飲みながら二人の行動を見守ってしまう、図書委員長の生徒すらも注意よりも「二人がここからナニをするか」気になって、止めたくはないのだろう。
(……しちゃおっか? 私はいいけど……♡)
(ナニをっ!???? しないからねっ!! 図書室だし学園内だしでそういうのは冗談でもダメ! ほらっ、皆ガン見しちゃってるじゃない! ダメったらダメっ!)
姉妹には甘いアムトもこれには立腹である、怒る時にはちゃんと怒らなければただ甘いやつだ。
(シュンッ……ごめんねアムトくん……お家に帰ってからならいいかな……?)
謝罪したけど全然懲りてない、ブレないメイユィはテーブルの下から抜け出しているが、耳元で囁きながらおっぱい押し付け誘惑してくるので、アムトも叱る気力がグングン奪われていく。
(しょうがないな……帰ってからなら考えます)
アムトとしても求められるのは嫌ではないが、TPOは弁えて欲しいだけだ。
感謝の言葉とともに、おっぱいで後頭部を挟んでくるメイユィ、イチャラブしに一日入学しただけあり自重という文字が、彼女の頭からは消えてしまっているのかもしれない。
「アムトくんと学生生活……送りたかったなぁ……」
「頼むから少しはおとなしくしてくれって……」
耐えきれなくなったので、シャルルを起こしてから別の教室へと移動する。
「ふわぁ……なにかあったのか? あやつらがやたらと赤面しておるが」
「さぁ……冷房が壊れちゃったんじゃないのかな」
シャルルが寝ていてよかったのか、悪かったのか。
起きていたらメイユィの色欲暴走を止めてくれていただろう、それができる唯一のポケモンなのだから。
その代償として、図書室が火葬場になってしまう可能性も高かったので、やはり寝ていた方がよかったのかもしれない。
-学生食堂での出来事-
「ミョホホホホッ♪ これも食わせろっ! わらわが全て食ろうてやるわっ! あむあむあむぅ! んもっんもっ! んまはぁぁ~~♪」
これが「洋食は口にしたくない」と、断言していたロリ巨乳少女の「堕ちた」姿である。
一日限定と言えども、彼女は「学生」になっているので無料で学食が食べられる。
アカデミーの学食は一般開放が望まれるほどに、美味しい食事がズラッとラインナップされているので、2000年前から豪遊しまくっていたシャルルにとっては、正に自分の為に存在する無料食べ放題エリアなのだ。
「ほぉ、ジョウトから取り寄せた食材を使用した……この字は読めぬがまぁいい! 丸くてホクホクで美味しいのじゃ! タコが入っておるぞ! なんじゃコレ! なんだっていいのじゃ! 美味ければいいのじゃぁぁ~~!」
乳カーテンを作り上げる古風なしゃべり方のロリ巨乳美少女が、たこ焼きを頬張って頬をヨクバリス以上に膨らませている。
食べては笑う、食べては高笑い、食べてはバカ笑い、歯に青のりが付いているが気が付いていない。
他の生徒達は謎のポケモンの食いっぷりと、美貌とおっぱいに男女問わず魅了されてしまったり、嫉妬されていたりするが注目されるのはもちろん、嫉妬は彼女のエネルギー元なので一度で二度おいしいとはこの事だ。
「天国じゃぁ……わらわの新しい家はここにするぞ!」
流石にテーブルに寝そべろうとするのはやりすぎなので、アムトと妹に全力で食い止められた。
そんな事したらパンツが丸見えであろうが、今のシャルルはそんなのどうだってよく、とにかく美味しい学食をいっぱい食べておきたいとしか頭にない。
「お姉ちゃん……いじ汚いんだから……」
「黙れっ! 食えるうちに食っておく! 何が悪いのじゃ! タダじゃぞタダ! タダより安いものなどないっ!」
口元になんか色々くっ付いてる姉へと、呆れるメイユィ。
彼女が生まれたのはシャルルが封印から解放されて以降なので、祠の中で2000年も飲まず食わずだったシャルルの気持ちの全ては理解できない。
それはそれとして……いじ汚くみんなの学食を独り占めしているのは確かなので、いつものようにズバッと一刀両断しようと、眉を落したままボソリと一言。
「こんなんじゃ2000年前の人達も……同じ災厄の宝にだって笑われちゃうだろうなぁ……お姉ちゃん無職だもんね、アムトくん達に養って貰って消費するだけ、そういうのね……こくつぶしって言うんだってさ、お姉ちゃんに対して作られた言葉、だね?」
相変わらず姉に対してだけは容赦がない、少なくとも口論では絶対にシャルルは勝てない、勝ったことがない。
それでいて戦闘力(おっぱいの大きさではない)は互角なのだから、どうあっても姉妹で決着はつかないのがタチ悪い。
さて、普段ならばブチ切れてカタストロフィでも撃ってくるシャルルだが、ジョウトゆかりの食事が美味しいからなのか、頭部を真っ赤にして血管だらけのバケモノフォルムになりつつも、なんと技を放って来なかったのだ。
(すぐにでもメイユィのバカに土下座させてやりたいっ……が、この場で力を使うと食事が全て吹っ飛んでしまう、それは避けなければならぬ……耐えるのじゃわらわよ! 帰ってからあいつの額を地に擦らせてやればよかろう……)
シャルルは がまんを おぼえた!
2000年以上生きていてやっとがまんできた! ご飯のパワーとは恐るべしである!
「……アムトくん、私達はあっちで食べよ♪」
他の学生達に謝罪をしながら、何とか学食を手に入れたメイユィがアムトの袖を掴む、男心を擽る手段を心得すぎている、生まれたばかりとは思えぬ誘惑は一体どこで学んだのだろうか。
アムトも彼女に好かれるのに悪い気はしないが、シャルルも放っておけないので少し困ってしまう。
「お、おーいシャルルー!」
マナー違反を承知で大声を出しても、食べることに夢中なシャルルに無視される。
しょうがないのでメイユィに付き合うしかないのだが……学食のマグロたたき定食、シャリタツとは無関係なのは知っている……が一つしか用意されていなかった。
「あれ? メイユィの分は?」
「私はいいの、少しだけ食べられるならそれで……アムトくん! あ、あ……あ~~ん♡」
(うわぁ……やっぱり来たよ……これってやらないと……ダメだよなぁぁ!)
もはや簡単に予測はできるのだが、回避できるとは言っていない。
恋人同士のコミュニケーションではお約束の、あーん……である、彼らは恋人ではないが、積極的にそれっぽい事をしようとするのがメイユィである。
「食べてくれないの……?」
(そんな目で見ないで……俺が悪いことしてるみたいじゃん……)
上目遣い、涙目、おっぱいゆさゆさ、おっぱい強調、ブラをチラ見せ。
やりたい放題、誘惑し放題、観念したアムトは一口食べたら、まるで自分が作った料理かの如くメイユィは朗らかな笑顔になる。
「えへぇ……♪ おかずとご飯を交互に、ね……♪ お味噌汁もどぉかな?」
彼女のいない、もしくは異性への触れ合い経験がない男子生徒は、殺せるものならアムトを視線だけで殺せていただろう。
女子達だって羨ましがっている、「あんなラブラブな事をいつかしてみたい」と。
羨ましいとは即ち嫉妬、これが狙いだったのかは永遠の謎ではあるが、メイユィも一石二鳥を摂取してしまっているのである。
「………………………………オイ」
あれだけ無視してバクバク食っていたのに、突然アムトの背後に回っていて肩を掴んできたシャルル。
ゴーストタイプよりもゴーストしてるムーヴ、もう少しでも力を加えたら肩が砕けそうな握力、高らかに笑っていた時と正反対に低い声、明らかにメイユィに罵られた時よりブチ切れていた。
片手にはたこ焼きの刺さった楊枝を持っていたりはするが、イチャコラしているのが面白くないらしい。
「ここは神聖な食堂だ、不純異性交遊は慎め」
「シャルルの口から絶対出ない言葉が出ちゃったよ……」
〝神聖〟なんて言葉を一度も使ったことがない災厄そのものが、ちょっとイチャ付いてただけでコレである。
メイユィはぽかんとしているが、アムトは生きた心地がしない、こうなる事は分かっていても回避はうんぬんだ。
「……あーんだ」
「ハイ?」
「鼓膜が破れているのか? もう一度だけ言う、あーん……だ!」
プルプルした手でたこ焼きを、アムトの口に近づける。
全てを災厄の炎に包んできたシャルルには、最も似合わない姿にメイユィは笑いをこらえるのに必至だ、対抗心で動いているのがバレバレだし、ブチ切れているのとは別案件で顔が真っ赤になっているのだから。
「食わぬならわらわが口に放りこんでやる」
「待って! 食べるからっ! あぢぢぢいいいい!! アツアツだから火傷するってえええぇ!!」
「ミョホホ……お前の為に用意してやったのじゃ、楊枝ごとたっぷり味わえ……」
(全く、お姉ちゃんたら可愛いんだから……)
4つのデカいたこ焼きでアムトを囲み、たこ焼きとマグロのたたきを交互に食べさせる。
傍から見ればハーレムだが、中心にいるアムトは一刻も早く解放され……
(おっぱいが……俺の視界と口をふさいでくる……間違っておっぱいを食べちゃいそうじゃないかっ……!)
……たくはないのかもしれない、学食よりも美味しそうな4つのたこ焼きは、残念ながらお召し上がりにはなれなかったが、柔らかくてたぽたぽしているのだけは十分に伝わっている。