わざわいのまがたまっ!!   作:緋枝路 オシエ

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なん...だと...(おっぱいを見ながら)


災厄の...妹...??

「俺のターン! ……うぅ、何もすることがない……ターンエンド……」

 

「はぁ……手ごたえがないのぉ、わらわの番じゃ、こやつにエネルギーを付けてこのカードを使う、こうして、ああして、ではトドメを刺すとするかのぉ♪」

 

 シャルルは娯楽への適応性が異常に高かった。

 

 どれだけ複雑なルールでも瞬時に覚えて、あらゆる遊びでアムトを打ち負かしているのだから。

 

 予め断っておくが、現在プレイ中のカードゲーム、アムトは趣味で集めていたが大会にも参加する事があり、かなり安定して好成績を残せる構築と技術を備えている。

 

「サイドカードを全部取ったぞ! まぁ~~たわらわの勝ちじゃぁ! ざっっっっこじゃのぉ♪ 話にならぬわ♪」

 

「ぬぐぐぐぐぐっ……ううううぅ!! 初心者どころかルール覚えたての筈なのにっ……連敗してるから何も言い訳できない……」

 

 カードの引きは悪くなかった、それどころかシャルルが組んだデッキとは相性が良かった、負ける要素など僅かにしか無かった筈なのに、その〝僅か〟を通されてしまった。

 

 アムトは部屋に飾られていた、カードの大会で優勝した証であるトロフィーを、シャルルへ手渡しながら悔しがる。

 

 囲碁でも勝てない、花札でも勝てない、TRPGでも無理だしテレビゲームでも無理、豪遊していただけあり遊びのセンスは確かなようだ。

 

……しかし、2000年も封印されていた〝災厄〟が、現代に蘇ってFPSしたり格ゲーでコンボキメまくっているなど、かつての同胞達が知ったらどう思うのだろうか……?

 

「もう一回やろっ! 今度はこっちのカードで!」

 

「ふあぁぁ~~……弱すぎて眠くなってきたぞ……ハンデじゃ、わらわは初期手札一枚でよいぞ、それでも負ける気がせんわ」

 

 流石にそれは舐めプすぎると、先行を取ったアムトは次々とデッキを回したのだが……

 

「召喚、こいつとこいつを素材にして、ほれっ、さらなる大型を召喚じゃ、攻撃すればお前のライフは消し飛ぶが……何かあるか?」

 

「……………………………………………………何もない、です」

 

「そうか、じゃあ死ね」

 

 まさかの後攻ワンターンキル、しかもソリティアされまくっている間、妨害の全てを貫通されてしまったので後半になると、アムトはただただ虚無顔のまま盤面を眺めている事しか叶わなかった。

 

「カザナとAiの方がいくらかマシじゃ、おっと、こんな時間になってしもうた、ざぁぁぁこは放っておいてわらわはアニメを見るぞ♪ 全部片づけておけ!」

 

 現代の暮らしにも少し(娯楽は大いに)慣れたシャルル、カザナとAiは名前で呼んで貰えるようになったのに、アムトは未だに名前で呼ばれない。

 

 正確には彼女の寝起きでは100%、寝言でも偶に呼ばれてはいるのだが……悲しさは否めない。

 

 今季激バズなアニメをクッション抱きしめ、クロスワードパズルをしながら視聴しているシャルル。

 

 足をパタパタさせて大変機嫌がよろしい、短いスカートが捲れ上がるので背面に回れば下着なんか余裕で見えるだろう。

 

 あれだけ災いがどうたら、世界滅亡がどうたら口にしていたのに、すっかり現代娯楽に順応してしまったシャルルは、仕事も何にもしていないので傍から見れば、アムトにパラサイトしているニートである。

 

 これも予め伝えておくが、ポケモンは無理して職に就く必要はない、社会に貢献するかどうかはポケモン次第、カザナはバイトでAiはメイドこそが職業。

 

 別にシャルルがニートしていようが何ら問題はないが、世界征服はどうしたんだと突っ込みたい気持ちは毎秒ある。

 

「わらわは腹が減ったのじゃ、おい人間っ~~! わらわの為にアレを持って来い、フワフワで甘くて美味いアレじゃあ♪」

 

「はいはい、チーズスフレでございますね」

 

 もう封印から解いて逃げ出されたあの夜すら懐かしい、ダラけまくった彼女にツテのある洋菓子専門店、ムクロジから取り寄せた一日限定50個しかないケーキを手渡した。

 

(本当に太る気配がないんだよなぁ)

 

 都合の悪い成分は全て胸にいく、豪語するだけありロリでお肉が足らない身体を維持しながら、着物が張り裂けてしまいそうなデカ乳も維持し続けている。

 

 二つの立派な球体にクッションが飲み込まれており、態度もデカけりゃ胸もデカいシャルルの成長記録に、また「胸はやっぱり現状維持」と、書く事となった。

 

 

 

 

 

 昼過ぎ、シャルルがリクエストしたエビフライとコロッケが添えられ、デミグラスソースのかかったオムライスを食べ終わり、各自が休日を楽しんでいた。

 

 シャルルは毎日が休日……とのツッコミは受け付けていない。

 

 Aiはシャルルが食べたがっている、新しいお料理レシピをインストールさせながら、ログハウス内のお掃除。

 

 メイドである彼女にとって、家事はお仕事でもあり趣味なのだ。

 

 カザナは〝たからさがし〟をしていた時に撮り溜めた、写真をアルバムに収めながら憧れの先輩へ電話中。

 

「会えるんですか!? わァ~~! やったぁ! 嬉しいですヴィヴィ先輩っ!!」

 

 制服のデザインも憧れの先輩を模している、近いうちに会えるようになったらしく、カレンダーの予定日に色々デコレートさせ嬉しさを溢れさせている。

 

 アムトはポケモンリーグやアカデミーへ、提出する資料を制作しながら家計簿アプリを開いて、ちょこちょこと打ち込んでいく。

 

 どっかの災いロリ巨乳のお陰で、短い期間にかなりの金額が減ったが、蓄え自体はまだまだある。

 

 つい先日にお給料をいただいたばかりなので、今日は特に豪勢な料理にしてもらい、シャルルが手持ちになってから〇〇日記念パーティでもやろうと思いつく。

 

 ぶっちゃけ、キッカケなど何だってよかった、彼女がまだ知らない美味しい料理を食べて欲しいだけだ。

 

「提案が急だけど買い物は間に合いそうだ、Aiと一緒に……いや、悪いけどAiだけに任せるか」

 

「おい人間、わらわとゲームするぞゲーム♪ 腹ただしい事にオンラインでボコボコにされたのでな、お前が倒される事でわらわの機嫌が戻るのじゃ! 早くわらわの部屋に行くぞ!」

 

 トタトタ、シャルルの足音が聞こえるのは、決まって妙にタイミングがいいのだ。

  

 見計らっていたかのように、ノックもせずに部屋に入り込んでアムトの袖を引っ張り出す。

 

「カザナとやればいいじゃない」

 

「黙れ、お前はおやなのだろう? 拒否権などないわ」

 

 唯我独尊(唯我独占?)な彼女には、何を言おうが無駄である。

 

 本当はシャルルと遊ぶとなれば、例えもう少しでお仕事が終わるとしても即座に打ち切り、あらゆる娯楽道具でグチャグチャにされている。

 

 負けるのは好きじゃない、どちらかと言えば負けず嫌い、でもシャルルとは……

 

(一緒にいるだけで楽しいし……)

 

「…………? 何か言ったのか?」

 

「ううん、何でもないよ。よ~し! 今日こそは勝つからね!」

 

「フンッ♪ ざぁこが吠えるのぉ♪」

 

 言葉では挑発していても、表情は朗らかであった。

 

 アムトが指摘すると、一瞬でカタストロフィを放とうとする激おこ顔になって、誤魔化そうとした。

 

 この一連の流れも可愛いし、そろそろ慣れてきたものだ。

 

「そういえばわらわの力の大半は、忌々しい杭と鎖に封じられているが人間、わらわを戦わせればレベルとやらは上がるのだろう? ふむっ、なら行くぞっ! わらわを戦わせるのじゃ!」

 

 ゲームをするつもりが急に戦わせろ、経験値を積ませろと、脇を締めながら両手で拳を作り上げ、僅かに跳ねながら命令するシャルル。

 

 恐らく全盛期の力を取り戻せるようにしたいと、無茶な手段を思いついたのだ。

 

 それはそれとして、脇を締めてジャンプなどするから、おっぱいがロケット状になった挙句、強調しながら上下に揺さぶられているので、アムトはシャルルの命令何て頭に入ってこない。

 

「おい人間っ! またお前はわらわの話を……ハッ!?」

 

 激しい乳揺れを誘発していた、やっと気が付いたシャルルは肌の色を深紅にさせながら、両胸を腕で覆い隠そうとするも、おっぱいが大きいので隠すには面積が足りていない。

 

「どうしようもないやつじゃっ……もういいっ、使えんやつめっ、さっさと部屋へ戻るぞっ!」

 

「ご、ごめんて……俺が悪いんだけどさぁ……」

 

 平謝りしながらも、伝説と古書物に記され、災いと恐れられた少女が、思いっきり頬を膨らませてツンツンしている、リアクションを見られるのも楽しいとすら、彼女のおやとなったアムトは思ってしまうのだ。

 

(もっと色々なシャルルが見たいな……現代を見せたいって約束もしたし、戦わせるとすれば何処の野生ポケモンを……でも力が万一戻っちゃったら、パルデアがまた崩壊しちゃうかも……それは避けたいけど)

 

 望み通りに戦わせてあげたいが、パルデア二度目の崩壊の肩入れになる可能性は、シャルルの性格や出生がご存じの通りなので、かなり高くなってしまい兼ねない。

 

 かわらずのいしのように、どれだけ戦っても経験値が入らなくなるアイテムが欲しいなと、手首を引っ張られながらシャルルの部屋へ戻った、その瞬間。

 

 

 ピン、ポーーンッ、インターホンがログハウス内へと反響した。

 

 

「お客様デスね、ワタシがご対応致しますデス」

 

玄関の近くにいたAiは、扉を開ける前に〝なにか〟を感じる、今アムトと行動をしている災厄ポケモン、シャルルと同じ〝なにか〟を。

 

 殺意を持つ者のカチコミか? Aiは念の為両肘に収納している刃を取り出し、一つに連結させてから表情を引き締めて、ドアの向こう側にいる〝なにか〟へと、インターホン越しに声をかけた。

 

「こんにちは、えっと、私は……初対面、なんですけど初対面ではなくって……」

 

(アヤシイですね、覗き穴からは見えないデス、隠れているのデショウカ?) 

 

 落ち着いた口調なのか、焦っている口調なのか、ビクビクしている口調なのか、判断がつき難いが性質はやたらとロリっぽい。

 

覗き穴の先に来訪者の姿はなく、仮にアムトの財産や名誉を狙っている危険人物が、姿を消しているのだとすれば即座に発見し、斬り捨てる必要性がある。

 

 Aiはとても温厚でユーモア溢れるロボであるが、アムトを敵対視する者には容赦がない、誰だろうと斬り伏せると公言しているし、本来のテツノブジンも相対する者を、躊躇なく叩き斬る性質である。

 

「ドアを開けマス」

 

 Aiは決意した、ドアを開けたと同時にターゲットの首にブレードを突き立て、怪しい者であったなら機能を停止させるのだと。

 

 クォークチャージも起動、未来の機関を躍動させ超高速で移動が可能となったAiは、破れんばかりの勢いでドアを――

 

「!? イー、ユイ? シャルルさん……?」

 

 その者は姿を隠していたのではない。

 

「初めまして……確かに私〝も〟イーユイです」

 

 単に覗き穴で見通せる範囲よりも、ミニマムな身体だったから視界に収まらなかった、それだけだった。

 

 訪れて来た者の瞳や表情、身に纏うものに敵意は感じられないので、Aiはブレードを肘に収納しながら、顎に手を置いて小首をかしげる。

 

 瞳の形がまんま ? となっており、この状態のAiは本当に訳も分からないで混乱しているのだ。

 

「いえ、着物も髪型も似ておりますがアナタは――ワザワイ?」

 

「そ、そうですね……そうなりますね、あのぉ、Aiさん……ですよね?」

 

「ワタシの名を? ドウシテ知っておりますのでショウカ?」

 

 シャルルはちんまいが、シャルル以上にちっこく目の前でビクビク小動物ムーヴする少女。

 

 炎のグラデーションロングヘアをツインテールにし、シャルル以上にちんまい身長、デザインは着物とチャイナドレスを合わせたかのようだが、色彩や模様はシャルルが着ているものと酷似する。

 

 こちらのツインテールは、シャルルよりもやや細めではあるが、長さは同じくらいである。

 

「えっと……もう一匹のイーユイ、私のお姉ちゃんを通してある程度知ってるから……」

 

 今にも泣きだしそうなのか、寝起きから頭がボッーとし回転していないのか、眉をハの字にしたままダウナーに語る少女。

 

 イーユイは二匹いた……? 

 

 妬みの感情が凝縮され、炎を纏い生まれた勾玉は、この世に一つだけの筈である、それはシャルルの口から直接聞いたものだが……

 

(判断ができまセン、このお方の申し上げている内容がリカイフノウ……)

 

 デジタルドット調な瞳を 謎 と表示させるAi。

 

 まだ目の前の二匹目のイーユイ? を信用したくても信用しきれない、話の内容がサイコパスを彷彿とさせる、突拍子もないものだから。

 

(デスガ……)

 

 話の内容はひとまず置いておくとして、Aiはもう一度目の前の少女の容姿を、よぉぉぉぉぉーーーーく、観察する。

 

 ツインテールに勾玉が纏わるように浮遊しており、しかもその数は4つ、シャルルの傘に付いている勾玉も4つだ。

 

 髪色も服装の色も、さらには髪飾りのように刺さる8本の杭、手足の鎖など、シャルルのコスプレにしては気合が入り過ぎているし、何よりも――

 

(胸、おっぱいデス、これは凄い、シャルルさんよりも身長が低いデスノニ、お胸はシャルルさんよりもおっきいデス、確実にッ)

 

 デカい、デカすぎる、ていうか長い、長乳だ、封印(と思われる)の鎖で抑えつけているのに、今にも千切れそうな程におっぱいがデカくて長いのだ。

 

「あのぉ……私のお話……信じてくれますか?」

 

「……説得力がアリマスネ、説得力が湧き出てきまシタ、何でしょう、小さいのに大きい、シャルルさんの妹というタチバを、強引にナットクさせてしまう圧倒的なヨウソ、カシコマリマシタデス、お入りくださいませマセ」

 

 おっぱいのデカさで納得せざるを得なくなったAiは、シャルルの妹を自称する少女の胸圧にブレインコンピューターがバグったのか、「失礼をお許しクダサイませデスデス」と、深々と頭を下げながら家の中へ通してしまった。




姉より妹の方がデカいのは趣味だぜ!
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