荒涼とした大地。日が照りつけていたのは3時間前まで、今ではキンキンと響くような冷気が漂っている。
体から力が抜ける感覚を最後に、男が一人倒れ込んだ。男が背を預けて眠り臥した場所は天をつくような巨木であった。
男が意識を失ってから間も無く、傷ついた足を引きずりながら幼い少女が男の眠る大樹の元へとたどり着いた。今際の際に漠然とした渇きを覚えつつ、最後の力を振り絞って運命の場所へと彼女はたどり着いた。
弱々しい力だが、意志の強さと、何より求める自由の質は上等に違いない。
零れ落ちた少女は倒れ込んだ先に未知を掴んだ。
不自然なまでに沈黙を保つ、その骨格標本のような、あるいは脊髄のガラス管詰めのようなそれは少女の干渉に応じた。
熱波とともに現れたのは巨大な、力強い肉体だ。瞳からは幼い知性が垣間見えた。
天を見上げた彼女は星の美しい流れに初めて気づいた。何と美しいことか。感嘆の情感を最後に、彼女は意識を失った。
「朝起きたら隣に少女が寝てまちた。」
吾輩の名前はハルトルーク・ブラックバーン。歳の頃は忘れたが成人を済ませた立派な大人である。さてさて、私の事情はさておき先程の吾輩の嘆きとも歓喜ともとれる言葉の真意を説明しよう。
端的に説明すると、文字通り朝起きたら隣にえらい薄着の少女(ここ重要)が寝ていたのだ。
…落ち着いて欲しい、吾輩は決してそんじょそこらにちらほら出没するような変質者でも小児性愛者でもないのだ。あえて言うならばロリコンの修羅道を邁進する猛者であり、ストライクゾーンは広めなのでたとえ吾輩の横で眠る少女が妙齢になっても全然歓喜の唄を歌えるくらいのツワモノである。
またまた話が逸れてしまったが、問題は彼女がどうしてここにいるのか、というよりも吾輩の今の状態である。最後の記憶はこの果てしない荒野で唯一目立っていたこの大木にたどり着いたところまでである。陽が落ちたと思ったら唐突に寒くなったので間違っても死にはしないと思いつつもかなり寒い思いをした。やることもないし、疲れていたので眠りに落ちたら横に少女が!という展開である。
さらに言えば、吾輩には記憶がない。
正確に言うならば、吾輩自身に関することと以前の記憶というものが全くないのである。覚えているのは自身の名前のみ、ついでにロリコンという修羅道に生きるものだということだけだ。
このままでは埒があかない。自分のことも、これからのことも、何もわからないのである。
故に、この場合最も参考にすべきは自分の中にある根源的な優先順位である。最優先項目は無論のこと生き残ること、そのためにはこれから色々と足掻く必要があるだろう。
しかし、それとは別に、自分の今後にかんして最も重要だと言えるものは、これすなわち吾輩の夢の実現であろう。
吾輩の夢の…それはまさに天啓。
「おにゃのこをハスハスしたいでござる!」
そう!吾輩は腐ってもロリコンである。そのためには合法ロリとの婚姻届を役所に提出しなければならない。相手はまだいないが、それはそれとして、吾輩の道に最も重要なことは愛である。愛、つまり少女というものは全てを大体いいかんじに解決し得るものなのだ。
よって、吾輩の現時点での行動基準は第一村人兼第一夫人候補の少女を確保することであり、それは隣で眠るこの線の細い少女の線が濃いというわけである。
…案外、吾輩の夢の成就も遠からずと言ったところかな?
何はともあれ、まずは少女の寝覚を待つことが賢明である。
吾輩はしばし少女の学術的興味に基づく観察に勤しむのであった。