ネタBOX   作:ヤン・デ・レェ

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かなり昔に妄想した、古代世界史から始まる進撃の巨人SSの設定集。書いてる時が楽しかった。詰めすぎて疲れたのでヤメタやつ。そのうち生かされるかも。


「設定書いて満足しちゃったやつ」進撃の巨人

 

 

・主人公 ドラコ

     

・男

 

・黒髪黒目

 

・職業 軍人 政治家 戦略家 歴史家

 

・称号 アルカーマインツ大公レベリオ王

 

 

 

・2100年以上前…

「丹心記聞」

著…スメラギ家初代当主ハライ・スメラギ

編…スメラギ家

再編…アズマビト家

 

ヒィズル国の正史。時代を追って順次記述が増やされていったが、最も古い記録は現在から約2100年以上前のものになる。この時代は旧アズマビト家のルーツとなるスメラギ家の更にその始まりとされるヒイズル国最古の支配者アマウガチ家の治世であったと考えられている。アマウガチ家のルーツに関してはかなり詳細に残されており、スメラギ家初代当主のハライ・スメラギにより明文化されるまでは約1000年もの間、口伝で絶えず伝えられてきたとされる。

 

 

 

1820年前…

「エルディア帝国史 巨人史」

著…タイバー家第5代当主フランクル・タイバー〜第11代当主デラノ・タイバー

編…エルディア帝国巨人学会 におけるユミルの巨人の力の起源。これはあくまでも改竄された記録であるため、これはエルディア帝国の誕生年にすぎない。実際の巨人の力の起源は更に約200年前に遡る。

 

 

2000年以上前…

「正史ベッティンブルク家」

著…第5代当主ワートラフ・アクトン・フォン・ローゼ=カレル

編…ボエミオ王ローゼ=カレル家 より

 

ベッティンブルク家の始まり。巨人の始祖ユミルと大地の悪魔の契約、真の始まり。

ユミルと「光るムカデ」の邂逅及び「死さえ存在しない世界」の誕生。この世界の誕生のきっかけは追っ手に瀕死の重傷を負わされた彼女が助けに来たドラコと共に生きることを望んだ事。

瀕死の彼女と同様に孤軍奮闘で満身創痍のドラコは血だらけであった。彼の血が今際のユミルの口に入ったことで、ユミルの体の中に存在する光るムカデに世界を作り出すだけの力が与えられた。この力によりユミルは元より巨人の力には肉体の修復能力が備わることとなり、ドラコを通じてユミルは死さえ存在しない世界への通行権を得た。彼女はこの時にドラコの不老不死を知る。ドラコの血によりユミルは息を吹き返した。生き帰ったユミルと共にエルディアの村落へ舞い戻ったドラコは集落の首長と決闘し、これに勝利。遂にユミル以外の村人も解放することができた。新たな首長として村に君臨することになったドラコにユミルは自身の想いと、未知の体験、そして手にした力について全てを打ち明けた。

ドラコはユミルの全てを受け入れ、ユミルの秘めた願いの通り、彼は自分の口から自分の肉体の不老不死について打ち明けた。この時からドラコとユミルは互いを愛し合う関係となった。ユミルは人並みに生き、そして死ぬことを望み、そしてその夢を果たし、肉体が失われた後は「死さえ存在しない世界」から…つまりはドラコの「碧い血の道」を通じて彼の生きる「死に囚われた世界」へと干渉し続けている。全てはドラコから離れないために。ドラコへ誓った永遠の愛を捧げ続けるために。

 

 

180年間…ドラコニア大公国(2年間)〜ドラコニア代帝国(178年間)の治世。

以降はアルカーマインツ大公国として一応は存続される。

 

743年前後…巨人大戦の終焉。パラディ島へ移住。

 

845年…ウォールマリアの破壊。

 

 

 

ヒロインなど

 

 

・ミソギ・アマウガチ

アズマビト家のルーツであるスメラギ家の開祖アマウガチ氏の始祖。

一帯の領主の娘。山賊に襲われているところを主人公に助けられる。帰る家のない主人公を恩返しに自分の村へと招く。そこで主人公と共に暮らす中、古代にありがちな近隣の村落との紛争が勃発。彼女の父親は死亡したため次代の領主として彼女が指名される。彼女は巫女でもあったため、統治権を返上し長老達との合議による統治を始めた。しかし、この機会に乗じて長老が連合して統治権奪取を画策したため村落は二つに分かれてしまう。結果的に村落全体の弱体化は時間の問題となり、抜け駆け的な形で長老達の一族が周囲の村に移住することで落ち着いた。しかし、これは結果的に財の流出と連帯感の欠如を呼び、負の連鎖の末に元長老による移住した村落で築いた手勢を率いての報復攻撃で村落は滅亡。命辛辛に逃げた彼女と主人公は果ての海沿いに二人で暮らし始めた。二人の間には多くの子が生まれ、皆黒髪黒眼の美麗な外見を持ち、それぞれが個性を持ち優秀であった。

主人公と二人で始めた暮らしは早くも数十年が経った。子孫と共に村を拡大していたある日、それまでの肥大が仇となったのか彼女達の故郷を飲み込んだ一大村落が瓦解分裂した。そこからの流民を受け入れたことを契機に東方の大村落へと発展を開始し、彼女は完全なる血族による統治機構を確立した。先進的な統治により順調に拡大した村落だったが、間も無く彼女は老衰、老いることのない男は子孫に村落を任せると旅立った。主人公と彼女の子孫はその後更なる発展を重ね、近隣の村落とのコンフリクトに対抗するための武力拡充の過程でモノノフ文化が生まれた。数世代ののちにモノノフは彼らの村落を中心として一大勢力に拡大。西方へと拡大を続け、遂に数百年越しに追われた故郷の土地を取り戻した。この地に開かれた幕府とその開祖将軍家の血族を万世一系の名家アズマビト家と呼ぶようになる。女は死に際に言ったという。「私は死んでもアナタを離しません。私は死してなおアナタのために全てを捧げます。故郷から追われたあの日、あの瞬間から、アナタが私のために全てを捧げてくれたように。100年、1000年でも…私は、私の血が後世に続く限り死を許されないアナタの幸せのために尽くすと誓いましょう。私は鬼神となってアナタを守り、記憶となって子等孫等へアナタへの愛を伝えましょう。さようなら愛しいアナタ。そしてまたいつか、どこかで…」

 

 

 

 

・ユミル・ベッティンブルク・ドラコニウス

後のエルディア帝国初代女帝。そして、主人公の二人目の妻となった女性。非エルディア系民族の出身。またしても漂流の末にどうにか漂着に成功した主人公の第一発見者。厚意で主人公を村へ招いたことが発端。当時の情勢はエルディア系民族による略奪と領地拡大による一方的な乱世であり、武力を持たないユミルの故郷もまたそんな暴力による被害をたびたび被っていた。ある日、大規模な強奪が行われたことでそれまでは服従に徹していたユミルの村の不満が爆発しついに反撃に出た。しかし、これは呆気なく鎮圧されたため、この報復としてユミルを含む女子供が攫われてしまった。報復の過程でユミルは両親を失い、瞳から光を失った。若い男衆があらかた殺されてしまい取り返したくても取り返せない状況で希望の光となったのが主人公であった。逗留させて貰った恩返しにとエルディア人への反撃に協力していたもの達の中で彼だけは実力で生き残った猛者であった。彼はユミルを取り返すために単身でエルディア人の集落へと乗り込んだ。彼は孤軍奮闘の末に集落の首長との一騎打ちに勝利したことでエルディアの集落の新たな首長として迎え入れられることとなり、その結果ユミル達を解放することに成功した。ユミルの村落は武力を手に入れた彼に併合されることを望み、また命を助けられたことで主人公への狂信を獲得したユミルの熱烈なラブコールもあってエルディア人と非エルディア人による集落が誕生した。主人公を中心として、防衛をエルディア人が、農耕や交易などをユミルの部族が担う形で分業と適材適所に徹した統治が功を奏し繁栄が始まった。約10年で大規模な都市を築くまでになった主人公の集落だったが、彼らの前に次代の壁が立ち塞がった。時の2大覇権国だった古代エルディア王国と古代共和制マーレの対立が限界を迎えついに戦争へと発展したのだ。エルディア王国側により戦端がおとされ、エルディア人が住む土地であるというだけの理由でなし崩し的にエルディア王国側に属することとなった主人公達の村へも兵士と女子供の労働力の供出が求められることとなった。佳境に際しての主人公の決断はギリギリまで出し渋ることであった。しかし、ここにきて彼の試みは達成されることはなかった。集落の一致団結は為されず、かつて服従したかに見えたエルディア人達による内部からの切り崩しにより財産を奪われた挙句両手に抱えられるだけの家財だけを頼りにユミルの一族と共に荒野へと放り出されてしまい、苦難の旅が幕を開けた。しかしこの旅の中で時に10代後半の青年となっていたユミルは一族のリーダーとしての役割を十分以上に果たし、献身的に主人公を支えた。主人公もまた貧しさに苦しむ旅の中でもユミルや彼女の一族の人々を第一に行動し、なんとか一人の餓死病死もなくなんとか旅を続けていた。そんな旅程に立ち寄った各地の都市村落にて噂が聞こえてきた。それはマーレが劣勢であるということ、そして兵士を募集しているということだった。収入が頼りなかったユミルの一族の内心を慮った彼は再び恩返しのための奉公を決心した。抜群の評価でマーレ軍の歩兵として採用された主人公の初陣は最前線だった。戦地送られた彼が目にしたのは残酷な人間同士の争いと、戦争の破壊によって齎された孤児や、戦争により全てを奪われた人間がやむに止まれず兵士となって誰かから全てを奪うことに加担するという負の連鎖そのものだった。しかし彼は働かなくてはならなかった、彼もまた止むに止まれぬものの一人に違いなかった。死ねない体を持ったが故にいかなる死地からも生還を果たす主人公は、戦時体制下マーレの実力至上主義の方針にも助けられてか着々と出世街道を邁進し、5年目には将軍にまで上り詰めた。この頃になると兵士の給金が良いことにつけてユミルの一族も主人公のコネにたよってマーレ軍へ志願兵として参加し、彼はいよいよ本格的にマーレ軍の中枢へと足を進めた。主人公からの補助を受けつつもユミルを除く一族の面々は自立の道を歩み、主人公が養わなければならない相手はユミルと主人公が毎度のように戦地から拾ってきた七人の孤児達の計八人だけとなっていた。エルディア王国と共和制マーレの戦争が6年目に突入した時、遂に今後の命運を決める一大決戦が開かれた。これに対して主人公をはじめとして両軍の主力が集結した。戦いの結末はマーレの勝利であった。これから1年後にエルディア王国はマーレに併合された。戦勝第一の要因は巨人の登場であった。10年以上前のこと、エルディア人に攫われたユミルは主人公から助け出される数日前に未知の体験を果たしていた。彼女は手にした力を主人公に打ち明けるも、その力を知った主人公は悪意ある人々による乱用を防ぐために秘密にするべきだと判断し、ユミルもその判断に従った。

圧倒的兵力に押され、また内部工作によって諸将の裏切りにあったマーレが敗北の寸前まで追いやられた時、ユミルは主人公の為に遂にその力を顕現させた。突如として現れた巨兵の力により形勢は逆転。敵味方両軍が混乱の渦に置いてけぼりにされた中、主人公の率いる軍だけがいち早く勝鬨を上げたことで両軍は勝敗を悟った。混乱に駆られたエルディアの兵は四散し、大逆転勝利に沸くマーレ兵は先程の絶望を忘れんとするかのように猛追激戦を展開した。大戦は終結した。

主人公とユミルは救国の英雄となったが、しかし世界は巨人という圧倒的暴力装置の威力を目の当たりにしてしまった。そして、ユミルの主人公に対する想いをも読み違えてしまった。英雄として共和制マーレ軍内に不動の地位を築いた主人公の隣には変わらずユミルと彼女と共に主人公に育てられた七人の子供達がいた。彼らは各々が己の才を最大限に磨くことでユミルと共に主人公を支えていた。既にマーレ国内においてそれぞれが一角の人物として名を上げていた彼らの強力なバックアップもあって主人公の栄達は止まるところを知らず、戦後3年目にして主人公はマーレ軍の最高職である大将軍と軍政のトップである軍政長官に、5年目には政界に進出して執政官に就任した。

しかし、出る杭は打たれるものだ。

ましてや主人公はマーレ人ではない。それどころかこの大陸の人間ですらなかった。彼らの繁栄は戦後6年目に遂に陰りを見せ始めたのだった。そして、この陰りこそは結果的に更なる栄光への架け橋となるなどとは誰も思いもしなかったことだった。

まず初めに主人公とその派閥は丸ごと地方への移住を命じられた。これは名目上は地方官の最高職である総督への就任に伴う赴任とその護衛であったが、実際には更迭であった。その証拠に主人公はこの際に執政官の職を辞させられており、また主人公の派閥の者たちの中のユミルを除く主要な人物達は要職を解かれている。統治領は広いだけの辺境の地、現在のレベリオである。

次におこなれたのは主人公の派閥の切り崩しと軍内部の一新である。これは明らかにユミルの巨人の力を国家の切り札として組み込みたいという思惑に基づいていた。あからさまな程の好条件をたびたびユミルに提示することに始まり、賄賂による派閥の人材の引き抜き、果てには毒による暗殺などの汚い手まで使っての徹底的な弱体化策だった。また、軍内部の一新もかなり強引な編成や人事の刷新であり、最終的には主人公と懇意の者達が軒並み閑職へと追いやられるという暴挙にほかならないものだった。しかし、人事の刷新などが徹底的に行われていく中でユミルだけはどれだけの財や栄誉や顕職を提示されても見向きもしなかった。共和制マーレの中枢は苛立ちを募らせ始めていた。これには折角中央から追いやった主人公が追いやられた先での領地経営で大成功してしまい逆に蓄財を加速させてしまったことにも起因していた。

何はともあれ、マーレの中枢に過激派が蠢いていたのと時を同じくして遠方のレベリオ総督府内部でもユミルと七人の子供達、そしてマーレ中枢からの協力者一名を含めた九名を中心とした新秩序を求める者達による壮大な計画もまた順調に進行中であった。

蓄財は全て武器と兵隊を揃えるためであり、時が来た時のための他の地方総督府への根回しは既に終わっていた。

後は主人公の鶴の一声か、或いは愚かな中央からの一撃さえあれば堂々と大義を掲げて新たなる秩序を構築できるのである。

そして時はきたのだった。

ある日の晩、レベリオ総督府の総督執務室で事件が起こる。総督である主人公が中央からの定期使節団によって暗殺されかけたのである。示し合わせたように凶刃が主人公に届くよりも早く扉を蹴破って突入したユミル達によって使節団は全員屠殺された。これを持って歪な平和は終わりを迎えた。

ここに古代最大の下剋上劇、「共和制マーレの滅亡」が演じられることとなった。

暗殺事件があったその日の晩に早くも総督府軍は全軍出陣を完了させた。前の晩に交易品として食糧、矢弾、予備の武具、薬品などなどの物資は全て首都への道に沿って配置されており兵站の憂いはない。まさに神速といっても過言ではない進軍速度で進む総督府軍は道すがら兵站の準備の為に先行していた兵士たちを飲み込み肥大しながら更に進んでいった。関所を賄賂、偽造書類、示威行為などによって次々に突破して、出立から3日目、遂に首都の包囲を完了した。補給と情報の伝達を即座に遮断。降伏勧告の代わりにユミルの巨人の力による城門の徹底的な破壊が数刻にわたってデモンストレーションとして披露された。総攻撃の開始時間を通告した総督府軍はむき出しの城内を一望出来る首都近郊に陣を張るとその晩は沈黙に過ごした。

翌日、降伏文書と共に中央の長老達の首が総督府軍の本陣に送り届けられた。そして勝鬨を上げるよりも早く総督府軍は首都への入城を果たしたのだ。

この日この時、共和制マーレは消滅。元レベリオ総督府総督ドラコ・レベリオ・ベッティンブルク・ドラコニウスを国家元首大公王とするドラコニア大公国が誕生した。

電撃的な新秩序の誕生に対して最も戸惑ったのは他ならぬ主人公ドラコであった。全てが終わってからユミル達に計画について打ち明けられたドラコの心境は言葉にならない複雑なものであった。しかし彼には悩む暇が与えられることはなかった、新秩序の誕生に乗じて独立を図る地方領主との平定戦争の勃発により、ドラコは大公王として否応なく戦争の指揮を執らなくてはならなかった。何処までがユミル達の計画であったかはわからないが、ドラコを慕うユミルと七人の子らの理想はドラコによる絶対王政であったことは間違いなく、平定戦争において各軍を率いたユミル達の反乱者たる地方領主軍への容赦の無さは冷酷無比の一言に済ませられるものではなかった。彼らはドラコに対する敵意を断じて許容せず、反乱を起こそうものなら全身全霊を持ってこれを滅却せしめた。一方で平時においては各員が極めて優秀な行政官として民草を慰めることに心を砕いていた。無論、民草とてドラコへの敵意をしめさば容赦はしなかったが。

さて、平定戦争を恙無く完走したドラコだったが、ここで彼は驚くべき行動に出た。それは大公王の位を返上し、代わりにユミルと子供達、そして中枢からの協力者一人を合わせた最初の九人による共和制を導入することを提案したのだ。

これに対してユミルは大反対したが、ドラコの穏やかに暮らしたいという願いもあってか遂に折れ、他の八人もドラコの意を汲んで共和制再導入に向けて準備に入った。このまま問題なく共和制へと移る…かに見えたが、その日のうちに大公国はドラコの願いとは正反対にドラコニア代帝国として生まれ変わったのだった。頑なにドラコの代理としてユミルが治める帝国という意味の代帝国を正式名称に用いたところからもユミルのドラコへの愛の深さがわかる。ともかくこれでドラコニア大公国は約2年で消滅したことになる。

驚くべきことに、この帝国の建案は他ならぬユミルによるものであった。彼女は諦められなかった。自分が愛する人が一番偉いに決まってる。一番すごい人なのだ、と純真無垢な想いは幼い頃から抱き続けてきた恋慕の情も拍車をかけて断固たる決意へと成長してしまった。

彼女は瞬く間に権力を掌握、自ら他の八人からの同意を得て皇帝と称した。そして、大公王の位を解く代わりに自身の王配として最愛の父にして兄でもあったドラコを夫に迎えた。ドラコは様々な感情を抱きつつもユミルへの愛情は揺るぎなく、彼女を保護者ではなく今度は夫として支えようと決意したのだった。改めて一人の男として彼女を愛するというドラコの姿勢はユミルの乙女心を更に刺激し、彼女の溺愛に拍車が掛かり続けることは想像に難くなかった。

翌年、三人の娘に恵まれたことでドラコは改めて帝国唯一の大公家の当主としての地位を与えられた。ドラコによる大公家はアルカーマインツ家或いはマインツ大公家と呼ばれた。

三人の娘、マリア、ローゼ、シーナに恵まれたユミルはそれぞれに自らの巨人の力を継承させることを宣言した。これにより巨人の力のより一層の強化、ひいては皇帝権の強化を目指したのだ。全ては順調であった。

 

そして、治世40年目、ユミルは最愛の夫大公ドラコと三人の娘、そして夫と娘達の間に生まれた彼女達の血を引く9人の孫達に囲まれながら大往生を果たした。彼女の治世の間に帝国は内政へと注力し著しい発展を遂げた。大地を耕し、川に橋をかけ、人々の為に井戸を掘り、暴力を除く巨人の力の全てを以って帝国の、ひいては夫や子供達のために莫大な富を築いた。死の直前、彼女は一つだけ悔いがあると言っていた。それは、「…もし、もしも私に一つだけ悔いがあるとするならば…それは、愛する貴方と一緒に永い時を共にできないことです…貴方の側に誰よりも親しく、誰よりも長く、誰よりも深く侍り続けられないことです…ドラコさん…私もまたヒトに違いありません…だからこうして死なねばなりません…しかし、お約束します…私はこの肉体が朽ちようとも記憶となって、血となって、意志となって…貴方に何千年でも侍り続けますことを、今ここにお約束します…愛しております…これからも、ずっと一緒です…いままでと、おなじ、よう、に……」

 

彼女の言葉が果たされたかはまだ判らない。しかし、彼女の死後、間も無くドラコニア代帝国は歴史上から姿を消した。その衰亡の真実は鮮やかな裏切りによるものであり、その首謀者は他ならぬ最初の9人の開いた家に列するフリッツ家の当主第3代カールとタイバー家の3代当主ガウナであった。ユミルの3人の娘達は母の足跡をなぞるように父であり夫でもある大公ドラコを王配に迎えた。彼女達は母の血を飲むことで巨人の力を継承し、遺体は土葬された。巨人の力を権威の根拠として三脚統治を開始し、彼女達の死後は9人の子供達が其々の母の血を口にして巨人の力を受け継ぎ、ユミルの長女シーナの直系であるベッティンブルク家が正式に九つの王家の筆頭として皇室を名乗り、始祖の巨人を管理することとなった。他の8つの巨人はそれぞれ八つの王家が管理することとなった。

第三世代までは不拡大主義の名の下に徹底して内政に注力して国力の肥大に努めたことで隆盛を極めていた。

だが第四世代にバトンが渡される直前、彼らにも必衰の波が待ち受けていたのである。

八つの王家と一つの皇室による賢治の終焉は数百年前に他民族との融和を果たしたかに見えたマーレ人とエルディア人との間で起きたコンフリクトによる不和が始まりであった。

約200年の繁栄の狼煙となったのは骨肉の民族紛争による帝国の不可視の分裂だった。

3世代目までは大公ドラコを執政として不拡大による統治を達成していた帝国中枢では第四世代の非王族の若者の筆頭格と目されていたカール・フリッツによる非王族系の若年層を主軸とした官僚制の導入で旧来の最初の九人と王家と皇室を中心とした不拡大主義の合議体制が瓦解。官僚を率いるカールの声により地方動乱の混乱の最中に半ば強引に選挙が実施され、帝国の拡大派を味方につけたカールは執政に就任。就任後の第一声は大公家の政治への口出しを禁じるものであった。これに対して前々からドラコを疎ましく思っていた者たちと大公家を尊ぶ者達とで宮廷は二つに分かれてしまい、地方と中枢は完全に団結を欠いた混乱状態に突入した。

皇帝権の委譲を目する執政カールの思惑は逆の方向に功を奏し、帝国の弱体化に勘づいた周辺諸国連合による帝国侵攻が泣き面に蜂と如く襲来した。これに対してカールは時の皇帝へ前線指揮への出陣を奏上。不穏な空気を感じつつも皇帝は前線へ出発し案の定道中で不慮の事故により落命した。継承権争いの予防のためにユミルによって用意されていた暫定統治権制度が機能するかに思われたが、これは次の皇帝が八大王家による選挙で皇室の候補者から選出されるまで大公家のドラコが暫定統治権を持つという内容だったが、先手を打ってユミルの血が通っていないという理由で政界から大公家が追放されていたためにドラコによる代理統治は行われなかった。これに対して異を唱えたものは皇帝の死と始祖ユミルの血を軽んじる者として不敬罪または大逆罪が適用され投獄また処刑された。完全に執政カールの独壇場となったドラコニア代帝国は遂に周辺国による国境侵犯を許すに至り、ようやっと戦時体制へと移行した。しかし、カールの謀りで遠方の国境に追いやられていた皇帝直下の精鋭部隊はカールの思惑から外れて周辺国による侵攻を跳ね返し始め、時を同じくして政界からの追放を受けて国家鎮護へと方針を転換した大公家はドラコに率いられて戦支度の為に首都近郊から大公家の本拠地レベリオへ移動を開始した。この動きにはカールも対応しきれず、しかし無理に対応することは不要と捉えて宮廷内での権力掌握に没頭した。当初こそ周辺諸国連合に連戦連勝していた皇帝直下軍も徐々に弱体化が始まっていたが、何とか大公ドラコの親衛軍が増援に間に合ったことで盛り返し、多勢の侵攻軍を国境付近にまで追いやることに成功する。

帝国の武力はユミルとその子らの努力により巨人の力がなくとも確立されたものだったと言える。しかし、それ以上の交戦継続は困難と判断され、また宮廷内の権力紛争にひと段落ついたこともあって周辺国との和議が成立した。

束の間とはいえ団結した帝国が巨人の力を行使することを恐れた周辺国との間には相互不可侵の協定が結ばれ帝国は現状回復を果たした。だが、地方混乱、宮廷での皇室権威の失墜、非王族系のカールの台頭、他国による侵攻へ抗うための度重なる戦時徴税などなど…両手では抱えきれない問題は帝国の弱り切った支柱をもへし折った。

ユミル暦180年暮れ、第五代皇帝エレナ・ベッティンブルクによる執政カール・フリッツへの皇帝権委譲によりドラコニア代帝国は滅亡し、新たにカール・フリッツ1世によるエルディア帝国の建国が宣言された。この際、カール・フリッツは歴史改竄を行い自身をユミルの直系皇族であるとした。これにより後年の歴史書ではユミルの家名はフリッツとなり、巨人の始祖ユミル・フリッツの名前が刻まれたのである。

無論、ユミルの家名はドラコから譲られたベッティンブルクであり、正名はユミル・ベッティンブルク・ドラコニウス(ドラコニア代帝国の統治者の尊称)である。

建国に際して旧八大王家は建前のために巨人の力を奪われた上で辺境の諸侯に封じられその本来の牙を抜かれた。八大王家の代わりに巨人の力を継承する家として最初の九人が開いた家のうち、王家を除くタイバー家を筆頭とする八つの諸侯家が選出された。この際に家を継ぐものは拡大主義者や新皇帝カールの昇進を手引きしたとされるタイバー家のお眼鏡にかなう人物が各家の当主として選出された。唯一この判断に反対したライオンハート家はタイバー家との抗争の末に敗北。取り潰された本家ライオンハート家の代替として分家レオン宮廷伯家が新設され、女型の巨人の管理、継承を請け負った。遺された各家は新皇室フリッツ家との交雑により存続され、旧皇室であったベッティンブルク家は始祖ユミルの血族を騙る偽皇族として扱われエルディア帝国による激しい迫害を受けて、新帝国誕生を不服として伏わなかった大公家の治めるレベリオへと身を寄せた。

そして…建国宣言の3日後のエルディア暦元年初め、始祖ユミルと三代の女帝が眠るベッティンブルク皇室墓陵の破壊によりドラコニア代帝国の、ベッティンブルク家180年の栄華は終わった。

同じ日、墓陵の破壊の報を受けてドラコニア代帝国最後の5代皇帝エレナ・ベッティンブルクはドラコの腕の中で憤死、彼女とドラコの間に生まれたユミルの純系を継ぐエレン・ベッティンブルクだけが遺された。後にこのエレン・ベッティンブルクは大公家によりアルカーマインツ大公国内の地方貴族として領地を与えられ、家名を自由ゲルツ家と称した。

ユミルの意志は帝国の滅亡と共に潰えることはなかった。

拡大と膨張を続けるエルディア帝国の民に流れる血に刻まれ絶えることなく続いていく。

アルカーマインツ大公家、ベッティンブルク家、自由ゲルツ家、そして大公ドラコが再び歴史の表舞台に現れるのは千と数百年先の巨人大戦末期の話である。

 

 

 

 

・ライオンハート家 アニ・ルイーズ・ライオンハート

一人の皇帝、八人の王。帝国を支配した九つの大権力の一角、八大王家の一つである旧ライオンハート家の初代当主。金髪碧眼の美女であった。瞳の青が何処か陰りのある蒼だった、というのは主人公の談。

主人公との出会いは偶然だった。彼女の出自は戦災孤児であり、当時ユミルの養育の最中だった主人公にとっては二人目の子供扱いとなった。拾われた当初は目つきが悪かったらしいが、大陸からの移住者として苦労していた男からすれば子供の眼力など怖いものではなくむしろ可愛いものだったらしくユミル同様に可愛がった。

彼女はユミルについでドラコに最も近い存在であった。その関係はドラコのマーレ軍入隊から始まり、ドラコニア代帝国の隆盛期、ドラコとユミルの別れに重なる。ユミルがドラコの妻であり娘であるとするならば、ルイーズはドラコの妻にして妹だった。拾われた当初こそ心を開くことのなかった彼女だったが、マーレ軍に所属する前から差別されていたドラコの姿に自らと同じ何処か世界から弾き出された存在の雰囲気を感じ取り、それまでの態度を改め家族として接するようになった。青年期に入り多感な時期特有の憧れをドラコに求めるようになり、ドラコも意識してこそいなかったが兄として父として頼りがいのある存在となることを心がけたことで彼女の心を射止めることとなった。マーレ軍内での昇進に伴い部下を持つようになったドラコにユミルと共にどこへでも追従した。体術に優れた才能を持っていることをドラコが見出したことで彼女は彼女でマーレ軍内での立場を得、ドラコの隣に立って互いを守りながら戦う関係を手に入れた。

ドラコニア大公国建国の際は九人目の中枢からの協力者であるアドルフ・タイバーへの警戒をユミルと共に示した数少ない人物である。

ユミルの治世では親衛軍の長官職を親任され、此れを世襲し皇帝ユミルと皇配ドラコに対して絶対の忠誠を示した。第一の忠臣としての誇りは代々ライオンハート家に継承され、代帝国の滅亡に際しても唯一皇室に忠義を尽くした。ユミルの死の数週間後に二代皇帝の誕生を見届けてから老衰した。最期の言葉は「…泣かなくていいよ…ユミルも言ってただろ…アンタとは必ずまた逢えるって、私は知ってる…だから、その時はまた私を拾って欲しい、か…な……」

戦災孤児から帝国第一の忠臣に上り詰めた彼女の生涯には終始ドラコやユミルとの、家族の絆が存在した。アニ・ルイーズ・ライオンハートの赤誠の血は2000年の荒波を乗り越えて強い意志の力として継承され続けるのである。

設定 名家

 

 

 

 

・アマウガチ氏 2100年前頃〜

→スメラギ家  1000年頃〜

→アズマビト家 1500年頃〜

 

・ベッティンブルク家 2000年前頃〜

→「初代ドラコ・ベッティンブルク・ドラコニウス」

→「2代ユミル・ベッティンブルク・ドラコニウス」

マリア、ローゼ、シーナ

→「5代エレナ・ベッティンブルク・ドラコニウス」

→自由ゲルツ家

→「初代エレン・ゲルツ=ベッティンブルク」

→「140代エレン・ゲルツ・イェーガー」

「巨人狩り」(進撃の巨人を奪取)

巨人大戦後

→ゲルツ=イェーガー家

 

・アルカーマインツ家(1980年前頃〜)

→アルカーマインツ大公家(レベリオ大公)

→「初代ドラコ・アルカーマインツ(=ベッティンブルク)・ドラコニウス」<碧い血の巨人>

→アッカーマン家(マインツ守護公)

→「初代シャルル・アッカーマン」

→「165代ドナウ・アッカーマン」

→ケニー・アッカーマン/クシェル・アッカーマン

→リヴァイ・アッカーマン

(ミカサ・アッカーマン)

 

 

巨人の遍歴史(妄想)

 

・始祖ユミル・ベッティンブルク・ドラコニウス

 

・マリア・ベッティンブルク・ドラコニウス

 

<マリア=シュトラッサー家>

(プリンツクラッセ)

→「初代プリンツ・ヴィルフラム・フォン・マリア=シュトラッサー」

→「5代フライ・シュトラッサー」

 

<フリッツ=クルーガー家>

→「初代ジョージ・フリッツ=クルーガー」

→「140代ウィリアム・フリッツ=クルーガー」

 

<自由ゲルツ家>

→「140代エレン・ゲルツ・イェーガー」(ゲルツ=イェーガー家初代当主)(進撃の巨人を奪取)

 

巨人大戦後

 

<ゲルツ=イェーガー家>

→「3代ミドハト・ゲルツ=イェーガー」

 

<クルーガー家>

(ゲルツ=イェーガー家→イェーガー家とクルーガー家に分裂)

→「初代ゲルツ・クルーガー」

→「マリア・クルーガー」

→「エレン・クルーガー」

 

<イェーガー家>

→「グリシャ・イェーガー」

→「エレン・イェーガー」

 

 

 

八大王家

(→公爵家)

(継承権第4位までは"プリンツ"を名乗ることができた。これをプリンツクラッセと呼ぶ。)

 

・シーナ=ハルトブルク家(断絶)

→<戦鎚> (ハルトブルク王) [継承権2位]

5代プリンツ・ヨハネス・フォン・シーナ=ハルトブルク(最後の当主)

反逆罪並びに巨人の力の違法利用により族滅

 

・シーナ=サクソン家(断絶)

→<鎧> (ザクソン王) [継承権4位]

5代プリンツ・ヤーコブ・フォン・シーナ=サクソン

反逆罪並びに巨人の力の違法利用により族滅

 

・シーナ=マルシャル家(断絶)

→<女型> (マルセイユ王) [継承権5位]

4代ホーラント・フォン・シーナ=マルシャル

反逆罪により当主死刑

 

・ローゼ=オルブレヒト家(断絶)

→<車力> (ローゼンシア王) [継承権6位]

5代フリンク・フォン・ローゼ=オルブレヒト

反逆罪により当主死刑

 

・ローゼ=カレル家(断絶)

→<超大型> (ボエミオ王) [継承権1位]

6代プリンツ・ワートラフ・フォン・ローゼ=カレル

反逆罪並びに巨人の力の違法利用により族滅

 

・ローゼ=ファフナー家(断絶)

→<顎> (キルン王) [継承権7位]

4代ベルンハルト・フォン・ローゼ=ファフナー

反逆罪により当主死刑

 

・マリア=シュトラッサー家(断絶)

→<進撃> (シュヴェリーン王) [継承権3位]

5代プリンツ・フライ・フォン・マリア=シュトラッサー

反逆罪並びに巨人の力の違法利用により族滅

 

・マリア=ハーバー家(断絶)

→<獣> (マンヘイム王) [継承権8位]

4代クルト・フォン・マリア=ハーバー

反逆罪により当主死刑

 

 

**ユミルの長女マリアが始祖ユミルから継いだベッティンブルク家が皇帝権を継承するため、皇位継承順位に公平性を持たせるために以上の様な継承権順位となっている。

 

 

 

 

八大諸侯家

八大貴族家

 

・タイバー家

→タイバー侯爵家

→「3代ガウナ・タイバー」

→「145代ユダ・タイバー」

巨人大戦後

→タイバー家

ヴィリー・タイバー

→「ラーラ・タイバー」

→「エレン・イェーガー」

(戦鎚)

 

・ライオンハート家 1980年前頃〜

→「5代アニ=アントニウス・フォン・ライオンハート」

→レオン宮廷伯家

→「初代ジョシュア・レオン」

→「140代グスタフ・レオン」

巨人大戦後

→レオンハート家

→「アニ・レオンハート」

(女型)

 

・ブラウンシュヴァイク家

→ブラウンシュヴァイク男爵家

→「145代ライノ・ブラウンシュヴァイク」

巨人大戦後

→ブラウン家

→「ライナー・ブラウン」

(鎧)

 

・ガーランド家

→ガーランド子爵家

→「145代ガリア・ガーランド」

巨人大戦後

→ガリアード家

→「マルセル・ガリアード」

→「ユミル」

→「ポルコ・ガリアード」

→「ファルコ・グライス」

(顎)

 

・フントグリル家

→フントグリル辺境伯家

→「145代マルコ・フントグリル」

巨人大戦後

→フィンガー家

→「ピーク・フィンガー」

(車力)

 

・クローバー家

→クローバー準男爵家

→「145代アクセル・クローバー」

巨人大戦後

→クサヴァー家

→「トム・クサヴァー」

→「ジーク・イェーガー」

(獣)

 

・ヘルベルト家

→ヘルベルト公爵家

→「145代ハーバー・ヘルベルト」

巨人大戦後

→フーバー家

→「ベルトルト・フーバー」

→「アルミン・アルレルト」

(超大型)

 

・フリッツ家

→フリッツ騎士爵家

→「3代カール・フリッツ」「初代ジョージ・クルーガー」

→フリッツ王家 クルーガー家

→「145代カール・フリッツ」

巨人大戦後

→レイス壁内王家

→「ウーリ・レイス」

→「フリーダ・レイス」

→「グリシャ・イェーガー」

→「エレン・イェーガー」

(始祖) (進撃)

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