ブルーロックに参加するため、ゲートを潜った先でバスに乗せられ、
受け取ったユニフォームには個人の番号と、配属先のチーム名が書かれている。
まあ、こんなものだろう
正直、各個人の番号までは正確に覚えていないが、原作でも上の方ではなかったと記憶している。
むしろ
一方的ながら見知った顔が、部屋に入った私に視線を向けてくるので少しドキッとするが、まずは軽く挨拶してみる。
「どうも、失礼しまーす!」
返事は無い。だが不快感は与えなかったようで、軽く会釈を返してくれる人もいた。
その後はロッカーで着替えて、後から部屋に入ってきた人にも挨拶してみた。
おおよそ悪くない印象を与えることには成功したと思う。
そして最後に、我らがチームZの主役となる潔が入室してきた。
同じ部屋に配属された顔見知りの吉良が声をかけに行き、國神の服が飛んでムキムキボディを拝見できたり、イガグリ*1が潔たちに
まさに原作通りの光景が目の前で繰り広げられ、私は内心ホクホク笑顔でその光景を見守っていると、部屋の上部に設置されたモニターが起動する。
「着替えは終わりましたか?才能の原石共よ…」
全員の注目を集めた先で「やぁやぁ」と語り掛ける絵心は、そのまま簡単な説明を始める。
1.この部屋にいる者たちは
2.ユニフォームの数値は絵心の独断と偏見でランキングされた順位
3.ランキングの上位五名は
4.
途中までは一喜一憂していた面々も、最後の内容で強烈な不安を感じさせられていた。
自分の将来を左右する重要な内容が、事前通達もなしに知らされたのだから当然だろう。
この部分に関してはあまり賛同できないが、予め記載があれば参加率が減りそうなので秘密にしておいた…とひとまず納得しておく。
そして、心がかき乱された12人へ「生き残るカギは
「さあ、"オニごっこ"の時間だ。
制限時間は136秒。ボールに当たった奴が"オニ"となり、タイムアップの瞬間に"オニ"だった一人が
絵心が最後に「ハンド禁止」とだけ言い残して画面は切り替わる。
「っ…最底辺の俺が最初のオニかよ。やってやんよ、恨みっこなしだぜ」
「ちょ…待てよ、
「マジだったらどーすんだよ!?…俺はやるぜ。負けたら一生寺の坊主…」
ついに始まったブルーロック最初の洗礼
イガグリの覚悟を決めた顔つきを見て、部屋にいる全員が臨戦態勢に入る。
ここで生き残るには、蹴られたボールをしっかり避けるか、或いは狙った場所へ正確にキックできるか、という技術力が必要になる。
しかし、単純に技術だけでクリアできるほど単純なものではない。
どうすれば、オニから距離を取り続けることができるか?
どうすれば、逃げる側に逃げる空間を与えず追い込むか?
相手の能力を封じる状況に持っていくことが出来れば優位を取れるので、少しは頭を使って立ち回る必要がある。
では私はどうするか?
ブルーロックに備えて鍛えてはみたが、
「悪いな、潔くん!
「うぉっ!?」
「あ!?くそ!これ意外と
だからこそ、取るべき戦略は頭を使った
中でも意識するのは死角を突いた
成早も原作で生き残っていたとはいえ、
どんなことにも警戒して挑むのは、生存戦略の鉄則なのだ。
「うらぁ゛!」
「フザけんなてめぇ!!」
「こんなやり方、絶対に間違ってる!
…っと意気込んでみたものの、予想以上に原作通りの展開をなぞってくれる様子に思わず安堵しかけたところで
「!?…はは、
ルール説明の時には床で寝ていた「
初見ではインパクトが強く印象に残るシーンだが、実際見ると鼻血より骨にヒビが入っていないか心配になる。
いきなりの攻撃に「あんなん
常識的に考えれば暴力がダメなんて当たり前だが、集団無意識をぶち壊すエゴイストを求める絵心が止める理由もないのだろう。
「おい、卑怯なのは嫌いだ。正々堂々と戦え」
「…マジメくんですかぁ?」
しかし、「
ボフッ
「しゃあ!隙ありぃ~!南無三!」
オニから目を離したことで
一度ならず二度までも卑怯な手段、しかも二度目は自分が狙われたことで堪忍袋の緒が切れたのだろう。
國神は額に青筋を浮かべながら、足元のボール目掛けてシュートモーションに入った。
「イガグリ潰す!」
「!? へい!」
「ちょっ!?やめ」
力強く撃ち出されたボールは見たことがない速度で飛んでいき、狙われたイガグリ…の盾にされた潔の腹部へ深く突きささった。
その威力は潔の身体を後方に吹き飛ばすほどで、尻もちをついて座り込んだ潔はしばらく咳き込んでまともに動けない程だった。
「あ、わりぃ…お前じゃねぇ」
冷静になった國神が謝罪を口にするも、ボールが当たったのは潔
痛みに顔を歪める潔だが、残り時間が回復に努める暇を許さない。
正直、今すぐ駆け寄って介抱してあげたいが、ここで変に
故に私は、彼ならきっと生き残れるはずと信じて次に備える。
四隅は部屋の中心から一番距離があり、オニから距離を取るため人が固まりやすい。
なので私は、四隅から少し距離を置いた壁際で待機して潔の行動を待つ。
すると、予想通り近場の角にいた集団へ向かったので、あえてその背後を狙って移動する。
そしてシュートを放った潔が躱されたボールを拾いに向かう瞬間、潔の位置から部屋を見渡しやすい方向を見極め、その
結果的にはオニとの距離が近くなってしまうが、視界の端で見えにくい位置を陣取ることが可能で、仮に狙われても四隅に逃げれば狙いを散らせる。
そこそこ
そして潔がこの課題の難しさを理解し、
身体能力では潔にも分があったものの、先刻のシュート直撃による痛みやドリブルしながら走っているため距離が縮まらない。
このままではジリ貧で脱落が確定してしまうだろう。
「にゃは♪チャンスだよーん!」
「てめ、コラ!降りろって!」
その時聞こえてきたのは、國神を羽交い絞めしながら楽しそうに呼びかける蜂楽の声だった。
私も含めて誰もがつい足を止めるほど注目を集めたが、蜂楽をしっかり捕まえた國神が力任せに前方へ放り投げる。
そのまま落下すると怪我の危険性もあったが、幸か不幸か國神が飛ばした先にはクッション代わりになる人物がいた。
「どわ!?…ちょ、どけお前!」
「いてて…へへっ」
ぶつかった二人は倒れ込み、下敷きになったイガグリに急かされて蜂楽が悪びれつつ移動し、イガグリもすぐさま逃げ出そうとしたのだが
「ぃ!?……ヤベ、ちょ
左足を気にしながら願い出る様子に、全員が
その場の空気が別の緊迫感に変化し、多くの面々は
「潔くん、当てろ!今のうちに!」
タイムアップまで30秒を切ったが、手負いの標的に焦る理由は無い。
潔はイガグリの元へゆっくり歩いて近づいていく。
こんな
イガグリは
しかし、無情にもボールはイガグリの目の前まで転がされ、
自身の結末に絶望する者、これで終わりと安堵する者、敗者へ憐れみを向ける者…抱く思いはそれぞれだが、誰もが決着を確信した。
この入寮テストの敗者は…
「………へ?」
だが全員の予想を裏切ったのは、シュートを止めてせっかくの勝機を手放そうとしている潔だった。
勝って当たり前の状況。そんな勝利を手に入れて何の意味があるのか?強くなるために狙うべきは
誰に語るでもなく声を上げる潔は、自分の理想を追い求めるため動き出した。
「いいね、キミ」
その覚悟へ呼応するように立ちふさがったのは、ここまで自由気ままに行動し続けた蜂楽。
再び理解不能な行動で振り回されるのかと警戒したのか、動きが止まった潔と交錯する瞬間、蜂楽はその足元からボールを奪い去った。
「狙うなら、一番強い奴っしょ!」
ここで"オニ"になったら間違いなく脱落が確定する。
それを感じ取った他のメンバーは、困惑する気持ちを切り替えて一斉に逃げ出した。
そして、
「!? 俺かよ!?」
「吉良くん!?」
不意を突かれて少しもたついた吉良に、狂気的な笑みを浮かべる蜂楽が肉薄する。
そして流れるようにボールを吉良へキックするが、軌道を見切った吉良がジャンプでボールを躱す。
だが蜂楽は、そのまま吉良へ向かって走り込み、勢いのままジャンプと同時に吉良の頭部へ蹴りを放った。
しかし、吉良も咄嗟に屈んだことで蜂楽の攻撃は空を切り、直後の隙を突いて蜂楽から距離を取る。
蜂楽がもう一度吉良を追いかけるには時間が足りず、他を狙うかシュートを直撃させるしかない。
どちらにせよ、次こそが間違いなく
周囲がそう思い身構える中、蜂楽は壁から跳ね返ったボールを柔らかく蹴り出す。
この瞬間を観たかった!
吉良には悪いが、彼が狙われることは分かっていたので、吉良の背後から潔を正面から見れる位置に移動する。
蜂楽の放った浮き球が、吉良の頭上を越えて潔の元へ落ちてきた。
その目は誰より先にブルーロックを目指した時と同じく、荒ぶるような熱を帯び、勝者を屠らんとシュートモーションに入る。
「潔くん…」
「一番、強い奴…」
00:02
振りぬいた右脚が落下するボールに着地を許さず、高速でこちらに飛来する。
だがボールの軌道は吉良ではなく、明らかに
なぜ?私が狙われた?吉良が脱落するはずじゃ…回避しないと、このままじゃぶつかる!でも避けたら潔は?そもそも避けられるか?もう目の前まで来てる!なんとかしないと!
でないと私は…
瞬間、身体の奥底から感じた熱い衝動に突き動かされて動きだす。
予備動作を省いて無理やり足を上げ、ボールを弾き返そうとしたが時間が足りず、ボールは右足に当たってあらぬ方向へ飛んでいく。
その行方を目で追おうとするが、激突する痛みと衝撃を感じて視界がブレる。
混乱した脳が着地し損ねた結果だと気付いた時には、入寮テスト終了のブザーが鳴り響いていた。
終わった?
絶望が重くのしかかり、顔を上げて
もしそれを見たら、現実を受け止めなくてはいけなくなるのが怖かった。
パチパチパチ
けれど、そんな私の耳に届いたのは、勝者たちを称える拍手の音だった。
「才能の原石共よ、ここでは結果が全てだ」
あぁ…クソ、こんなところで
「敗れた者は出ていけ!」
イヤだ……認めたくない!まだ、サッカーを!!
内心に渦巻く
部屋のモニターは声の主ではなく、敗北者の名を晒し上げていた。
原作ルートの一部崩壊をお伝えします。
私は久遠の理想を「仲間たちと本気のサッカー」と解釈しているため、個人的にチームZで最もブルーロックに合わないと思っています。