ブルーロック -淡い一等星-   作:埋もれたエゴイスト

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一次選考

 

ブルーロックに入ってから早三日、俺たちは体力テストとして様々な測定が行われた。

 

俺も原作知識として成早(自分)より身体能力が高い人間がたくさんいることを知っていたから、毎日のフィジカルアップトレーニングにも多少は力を入れていた。

けどまあ、情報として知ってても、実際に目の当たりにすると感じ方はまるで違うわけで…

 

 

 

ランニングテスト

 

國神「成早、お前…結構やるな!」

 

俺「く、國神こそ!でも、体力なら負けない!」

 

イガグリ「上等!勝負はこっからだ!」

 

バイトで体力がついたと思ってたけど、國神きんにくんといい勝負ができたことで割と満足できた。

まあ、真のスタミナお化けたる雷市には届かなかったが。

 

20km/h走 持続時間 0:52:12

 

 

 

ジャンピングテスト

 

俺「うひゃ~!伊右衛門ってジャンプも結構高いな!」

 

伊右衛門「そうか?俺の場合は身長が高いからそう見えるだけかも…」

 

俺「え?俺がチビだって言いたいの!?」

 

伊右衛門「なんでそうなる!?」

 

ちょっとした冗談を言っておちゃらけて見せたけど、やっぱり空中戦はほとんどあきらめざるを得ないな。

くぅ~!牛乳だって毎日飲んでたのに!

 

垂直飛び 高さ 63cm

 

 

 

 

スプリントテスト

 

蜂楽「へぇ…びっくりしたぁ。成早って割と足早いんだね♪」

 

俺「まあね!すばしっこさなら自信あるよ。」

 

蜂楽「じゃあさ、この後俺と1on1やる?」

 

俺「お!面白そうじゃん!」

 

久遠「はいはい、二人ともあと9本計ってからね。」

 

蜂楽&俺「「はーい。」」

 

低身長なのはわかり切ってたから、せめて多少のスピードはあったほうが有利だと思ってスプリントも頑張っておいたのだ。

まあ、千切とか剣城には簡単に負けるんだろうけど。

 

50m走 時間 6秒62

 

 

 

他にもいくつか測定があったものの、どれもなんかパッとしない結果ばかり残したことで、密かに思い描いていた「俺TUEEE」な展開は期待できないことが判明した。

いや、まあわかってたことではあるんだけどね。

 

っていうか、結構失礼な言い方になるけど、そんな俺より身体能力が低い潔が活躍していくって展開、改めて考えるとめっちゃ熱いな!

 

なんて、原作の良点を新たに発見できたことに喜びつつ食堂へ向かうと、ちょうど潔とイガグリが話しているところに遭遇した。

 

この三日間でようやくキャラ達に囲まれる生活に馴染みつつあった俺だが、原作でみたシーンに立ち会える時ばかりは興奮が勝る。

そんなわけで、()()()()()かと思った俺は確認のため、二人の会話へ聞き耳を立てた。

 

潔「あの人、なんで箸使わないんだろう?」

 

イガグリ「原始人かよ…」

 

 

こ、この会話は!?原作で成早()が我牙丸から『餃子』を一個拝借するシーンではないか!?

これは是非とも再現せねば!

 

いや、待て!たとえ原作再現のためとはいえ、我牙丸の食事を俺が横取りしてしまって良いものだろうか?

いやいや!これはきっと神様がくれた機会に違いないのだ!それを棒に振るほうが罰当たりに違いない!

 

そうだ!ここは天命に従うが吉なのだ!うっへっへ…

 

そう思いながら、俺は我牙丸の方へ近づいていったのだが…途中である事実に気が付いた。

 

 

 

あれ?()()()食べてる?

おかしいな?原作では確か餃子食ってたはずなんだけど…

 

そう思いつつ、困惑しながら周囲を見渡していると、少し離れた席で今村が餃子を食べているのが目に入った。

 

んん?ドウイウコト?

だが、少し考えた末に俺は一つの仮説を導き出した。

 

 

 

これたぶん、俺の順位が変わってるわ。

 

ブルーロックの食事はご飯と味噌汁の他にもう一品、順位によっておかずの内容が変化する。

例えば、最下位のイガグリは『たくあん』、その一個上の潔なら『納豆』という感じだ。

そして、我牙丸は本来『餃子』だったことを考えると、彼の食事が変わったということは、我牙丸の順位が上下しているということになる。

そして、おかず事情がどう見ても餃子よりランクダウンしてるところを見るに…

 

俺の順位、原作より上?

 

 

マジかぁ!うれしいような、今に限っては悲しいような…

成早は『餃子』だからこそ盗み食いしてたのに、サラダじゃ原作再現にならねぇよ…とほほ

 

 

なら、今村で原作を再現しようかな?

とも思ったが、あれは我牙丸との絡みだから面白いのであって、無理やり原作を再現しようとするのはなんか違う気がする。

 

そう思って俺は渋々原作再現を諦め、腹を満たすために昼食を取りに行った。

 

ちょっとブルーになりつつ、受け渡し口から出てきた『ベーコンエッグ』を配膳プレートに乗せる。

…これでもまあマシな方だしな。

 

 

 

今村「なぁ成早。その卵俺にくれない?」

 

俺「え?なんで?」

 

唐突に今村に声をかけられた。

手元に水入りのコップを持ってるから、たぶん水のおかわりに来たんだろう。

 

それはそれとして

 

俺「いやいや、俺だって腹減ってるんだし、無償(ただ)で上げるのは…」

 

今村「あぁ悪い。言い方悪かった。俺の餃子二個余ってるから、それと交換してくんない?たまには違うもの食べたいんだよね。」

 

俺「あ~…なるほど、そういうことね。」

 

案外悪くない提案だった。

俺は姉ちゃんがバイトの余り物で持って帰ってくる餃子をよく食べていたからか、前世でそんなに好きでもなかったのにいつの間にか好物になっていた。

 

それに、結果的に原作通り餃子を食べられるなら、それも良いと思った。

 

 

俺「ならOK!その代わりに餃子二個プリーズ。」

 

今村「サンキュー!じゃあこれ…よかったらまたトレードしよーぜ!」

 

俺「おう!いつでも大歓迎だ!」

 

 

よっしゃ!餃子GETだぜ!

 

いや~、原作通りとはいかなかったが、ある程度原作に近い流れで再現してくれるとは、神様もなかなか粋な計らいをしてくれるじゃないか。

 

今村とのトレードを終えた俺は、そのまま手近な席に着席して手を合わせ…

 

 

我牙丸「…ジー」

 

俺「…えーっと?」

 

何故か我牙丸に凝視されていた。

原作とは違って餃子盗んでないんだから、そんな風に見られてもちょっと怖い。

 

我牙丸「…ソレ、俺もトレードしたい。」

 

俺「え?…ベーコンと?」

 

俺が尋ねると、我牙丸はゆっくり頷いて肯定した。

どうやらさっきの今村との会話が聞こえていたみたいだ。

 

俺がチラッと我牙丸の配膳プレートの上を確認すると、サラダはおおよそ半分くらい食べられているが、まだまだ多少は量がありそうだった。

そこで俺も自分のおかず事情を確認してみると、どっちかと言うと肉系統に偏りがあるように思う。

ここは栄養バランス的に申し出を受けたほうが良いかもな。

 

俺「うん、いいよ。ベーコンとサラダを半分ずつ交換ね。」

 

我牙丸「!…いいのか?」

 

俺「え?別にいいけど?」

 

我牙丸「そっか……良い奴だな、お前。」

 

…心なしか我牙丸はちょっと嬉しそうだった。そんなにベーコン、と言うか肉が好きなんだろうか?

可愛いとこあるなぁ。と思いつつ、我牙丸ともおかずをトレードして、結果的に餃子二個とベーコン、サラダをご飯のお供に昼食を堪能した。

 

 

 

 

そんな一幕を過ごしたりしながら就寝した翌日の早朝、目覚まし代わりに体力テスト集計終了のお知らせと、更新されたランキングを部屋で確認するよう放送があった。

 

起きて布団を片付けつつほかのメンバーを起こしていると、二人足りないことに気付いた。

 

潔と蜂楽だ。

 

そういえば、二人で夜に自主練してたの忘れてた…

原作シーンを一つ見逃したことを残念に思いつつも、まあ仕方ないと泣く泣く諦めつつ皆で部屋の片づけを始めた。

 

片付けを終えてしばらくすると、服のロゴに書かれた順位が自動的に更新された。

周囲の皆が一喜一憂するのをほほえましく思いながら、俺も自分の順位を確認した。

 

 

270

Z

 

 

おぉ!この順位は…原作と違うんだろうな、たぶん。

既に順位が原作からずれている以上、この順位も原作通りとは思えない。

 

それにしても、ブルーロックへの参加を目指して努力はしたつもりだけど、実は順位の変動もそのことが影響してたりするんだろうか?

だとしたら、食堂での件もそうだが原作通りの展開にはならないのかもしれない。

どのみち原作通りだと俺が困るから、ある意味では助かるんだけど…

 

原作の知識に頼りすぎるのは、もうこの先危険かもしれないな。

肝に銘じておかないと。

 

 

そう考えていると部屋の扉が開き、いなくなっていた潔と蜂楽が戻ってきた。

少なくとも成早()が関与しない部分は今のところ原作通りに進んでいるようだ。

 

くそぅ!二人が話し合うシーンはこの目に焼き付けたかったぜ!

 

 

絵心「やあやあお疲れ、才能の原石共よ。〝青い監獄(ブルーロック)〟での生活楽しんでるか~い?」

 

部屋のモニターに絵心が映し出され、改めてブルーロックという環境の話がなされた。

 

簡単に掻い摘んでまとめるとこうなる。

1.施設は1~5号棟の五つに分けられている

2.B~Zまでの25チームが各棟に5チームずつ生活している

3.入寮テストで25人が退寮(ファック・オフ)したため現在の人数は275名

4.ランキング上位から順にB~Zのチームへ割り当てられる

5.ランキングが上位になるほど豪華な待遇が与えられる

 

まあ、これにはちょっとした(カラクリ)があるんだが、今の俺にはどのみち関係ないことなのでスルーしておく。

それより重要な話がこの先にあるからだ。

 

絵心「それではこれより、一次選考(セレクション)を始めます。」

 

 

 

が、面倒だからざっくり内容を説明するとこうなる。

1.同じ棟内のV~Z5チームによる総当たりリーグ戦

2.勝ち点は勝てば3、引き分けで1、負けると0となる

3.勝ち点上位2チームはそのまま二次選考(セレクション)へ勝ち上がる

4.それ以外の3チームはチーム内の得点王だけが生き残る

 

そして、この一次選考(セレクション)最大の懸念事項は、チームメンバー全員がフォワードと言う点だ。

誰も彼もがFWを志望する上に、チーム内得点王だけは生き残れるというルール。

個々人が生き残るために自分のことしか考えられなくなるシステムは、まさに絵心の望むストライカーの才能を見極めるにふさわしいと思う。

 

けれど、俺は夢のためにここで負けるわけにはいかない。

絶対に世界一のストライカーになって、兄妹たちを、俺の家族を守って見せる。

 

 

成早 朝日

本来はお前が踏み外すはずだった栄光への道を、俺が代わりに歩み続けてやるからな。

 

 

 

そして俺は、モニター越しに己の持論を熱弁する絵心を見ながら、チームZが生き残るための算段を頭の中で思い描き始めた。

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