叶大志:オリジン
中国の軽慶市での「発光する赤児」の報道以来世界各地で超常現象が報告され、世界総人口の約8割が超常能力”個性”を持つに至った超人社会。
“個性”を悪用する
そんな世界に俺、
俺の両親はヒーローでそんな両親を誇りに思い、そんな両親みたいなヒーローになることが俺の夢だった。
幼少期からずっと一緒の幼馴染に毎日の様に言っていたのを覚えている。
親戚が経営している養護施設で預けられることが多くあったが寂しくはなかった。
こんな日々が毎日の様に続くと思っていた。
だが、そんな日々は続かなかった。
両親が
初めは理解するのに時間が掛かった。
両親はいつもみたいに帰ってくる、あの幸せな日々が戻ってくると思っていたがいつまで経っても両親は帰ってこない。
その時にやっと理解した、両親は死んでしまったんだと。
その時、俺は絶望した。
何で何でと現実を否定した。
その時、俺の個性が発現した。
そこから先は覚えていないが、気づいた時には酷い状態だった。
辺り一面の地形は変わり、火の海になっており自分自身も血まみれで身体に激痛が走る状態だった。
唯一の救いはその時はまだ幼かったから力が全然なかったことと場所が幼馴染とよく遊ぶ場所で周りに誰もいなかったことだった。
何人かのヒーローが再起不能にされながらも俺を助け出してくれたがその時に俺は悟ってしまった。
俺はヒーローになることはできない。
それを俺が悟ったと同時に俺は意識を失った。
その後、俺は病院生活をすることになり、個性の制御もすることになった。
あの時の事故以来 個性の暴走はなく、俺はすぐに退院し親戚の養護施設で一緒に暮らすことになった。
だが事故以降、俺は笑うことがなくなった。
多分だが両親の死と自分の個性でヒーローを傷つけたことが心に大きな傷を負ってしまったのだと思う。
幼稚園でも笑わなくなった俺を幼馴染は必死に笑わそうとしてくれた。
変顔をしたり、馬鹿をやったりしてくれていたが俺は笑わなかった。
俺はそんな幼馴染と自然と距離を取っていた。
お前には俺の辛さなんか分かるわけないと心に決めつけて遠ざけてしまった。
その日以降、俺は個性を暴走させた場所で泣くのが日課になっていた。
もうどのように生きていけばいいか分からなくなっていた。
それと同時に俺は世界が憎くなっていった。
何で両親が死ななければならなかった。
何で自分だけがこんな目に遭わなければならないのか。
そんな事を心の中でずっと思っていた。
多分だが俺はあの時の感情を今も持ち続けていたら
別の日に変な男が話しかけてきたこともあったが俺は放っといてくれって言った後に逃げるようにその場を離れた時もあった。
そんなある日、幼馴染が久しぶりに俺に会いに来た。
何しに来たと思っていたが幼馴染は自分も個性が出たから見せに来たと言った。
俺の幼馴染の個性は『帯電』と言い、体に電気を纏わせて放出するというものだった。
幼馴染の体に電気が纏われ一気に放出した。
俺は幼馴染にピッタリな個性だと思った。
実際に幼馴染の名前に電気とついていたからだったが、そこで問題が発生した。
「ウェ~~~イ」
明らかに幼馴染の顔がアホ面になった。
どうやら電気を一度、放出すると脳がショートしてアホになるらしい。
俺はそんな幼馴染の姿を見てイラついた。
何でそんな風に笑っていられる?
俺の両親は死んだのにお前は何で笑っているんだ?
ふざけんな!!
そう思った俺は幼馴染に怒った。
もう俺に話しかけんなと言い、俺はその場を立ち去ろうとしたが幼馴染は俺に謝りながら引き留めた。
それに怒った俺は幼馴染の顔を思い切り殴った。
そこからは幼馴染も怒り、殴り合いの喧嘩になった。
どれぐらいの時間が経過したのかは分からないがお互い、ボロボロの状態になって肩で息をしている状態だった。
「いい加減にしろよ!!もう放っといてくれよ!!」
「放っとけるわけないだろ!!お前がそんなに辛い思いをしているのに何もできなんて俺が嫌だ!!」
「何でだよ!!お前には関係ないだろ!!」
「ある!!」
俺は涙を流しながら幼馴染に向かってそう言うと幼馴染は反論した後に俺の胸倉を掴んだ。
俺は幼馴染の顔を見ると、幼馴染も涙を流していた。
「ここでお前を助けられなかったら俺は一生、後悔する!それに大切な
その言葉を聞いた俺は気づかされた。
勝手に自分だけの世界に逃げ込んで、大切なものが見えていなかった。
俺なんかのためにここまで一生懸命になってくれる大切な幼馴染。
それにおじさん、おばさん、養護施設の皆がいるのに辛い思いなのは自分だけだと思ってしまった。
自分は一人じゃないと知ると俺は大粒の涙を流しながら泣いた。
俺を救ってくれた
俺は泣き止むと今までのことを電気に謝った。
電気は笑いながら許してくれた。
それを見て俺は微笑むとやっと笑ったなと言って、まるで自分のことの様に喜んでくれた。
俺は自分の個性のことと個性でヒーローを傷つけてしまった事を伝えた。
ヒーローを傷つけた俺はヒーローにはなれない。
そう俺は言うと電気は言った。
「難しいことは俺には分からないけど、俺は大志がヒーローになれないなんて思わないぞ」
「えっ?」
「だって大志はすげー優しいじゃん!前に虐められていた奴を助けていただろ?俺は見てるだけだったけど大志はすぐに動いて虐めていた奴に向かっていったじゃんか!」
確かにそんなことがあったなと思っていると電気は言った。
「だから大志はすげーヒーローになれるって思うぞ!俺が保証する!まぁ、俺の保証なんて意味ないと思うけど」
その言葉に電気に言われて、俺の心の中が晴れたような気がした。
「そんなことない、俺はその言葉に救われた。ありがとう」
「おう!へへっ、素直に褒められると嬉しいな!」
電気が笑うと俺は本当に馬鹿なことを考えていたなと思っていると、電気が拳を突き出した。
「最高のヒーローになろうぜ!」
そう電気が言った後に俺は微笑むと。
「うん、この個性を完全に使いこなして皆の笑顔を守れる。最高のヒーローになる!」
俺はそう言った後に電気が突き出した拳に自身の拳を合わせた。
俺と電気が交わした大切な約束。
◆◆◆
それから数年が経過し、中学三年のある日。
「大志様!どうか愚かな俺に勉強を教えてくれませんか!」
「恥ずかしいからやめろ」
学校でいきなり土下座してきた電気に向かって俺はそう言った。
周りの人が見ているから本当にやめてほしい。
俺は電気を立たせてから聞いた。
「急にどうした?恥ずかしいから二度とするなよ」
「もうなりふり構っていられないの!それだけピンチだって察してくれ!!」
「…なるほど、それで何でいきなり勉強を教えてくれなんて言ってきたんだ?」
「高校受験の筆記試験が心配だからだよ!!実技は何とかなるかもしれないけど筆記だけが駄目なの!!」
「だから毎日の授業を真面目に受けろって言っただろ?そもそも毎日の授業を真面目に受けていれば赤点になるはずないだろ?」
「言葉に気をつけろ!!泣くぞ!泣き喚くぞ!!」
俺の言葉に若干、電気は涙目になっていた。
俺は頭を抱えて溜息をついた。
「…分かったよ、勉強を見ればいいんだな。これに懲りたら勉強しろよ」
「ありがとう大志!お前と親友で本当に良かった!!」
「…こんな事で親友である事を感謝するな。それで何処の高校を受けるんだ?」
「雄英高校だ!あそこで俺は最高のヒーローになる!」
「………もっと身の丈に合ったところを受けた方が良いぞ?」
「暴言!?」
国立雄英高等学校、現在のNo.1ヒーローオールマイト並びにNo.2ヒーローエンデヴァーを筆頭に多数のスーパーヒーローを排出した実績とネームバリューで、ヒーローを目指す日本全国の中学生の憧れの的となっている名門中の名門。
確かにヒーローを目指す者にとっては最適な学校かもしれない。
俺も一度は考えた、でも‥。
「そんなこと言うなよ!?大志も雄英を受験するのに俺だけ仲間外れにするなよ!?」
「はぁ?俺は雄英を受けないぞ」
「ええっ!?」
俺は雄英には行かないと決めていた。
確かに未だに諦めきれていないところもあるが今の俺には問題がある。
それは学費の問題だ。
中学まではおじさん達のおかげで行かせてもらっているが雄英は名門中の名門、それなりに金がいる。
養護施設で暮らしている俺には雄英は無理な話だ。
「何でだよ!一緒に最高のヒーローになるって約束しただろ!」
「ヒーローにはなるけどそれは別に雄英じゃなくてもいい。俺は近場の高校でヒーローを目指すよ」
「だ、だけど俺は…!」
「悪いな、これからバイトなんだ。先に帰るな」
そう言って俺はその場を後にする。
電気は俺と一緒に雄英に行きたかったのは分かってる。
だけど、おじさんとおばさんにこれ以上、迷惑かけられない。
だからバイトを始めて、奨学金の事も担任に話をしてある。
両親の遺産はおじさん達が管理しているらしいが詳しい事はまだ教えてもらっていない。
電気には悪いが俺の分まで雄英で頑張ってほしい。
◆◆◆
「ただいま」
「「「大志兄ちゃんだ!!」」」
バイトが終わり、俺は養護施設に帰ってきた。
養護施設の扉を開けて言うと、子供達が俺を出迎えてくれた。
「大志兄ちゃん、おかえり~!」
「ねえねえ絵本呼んで!」
「いつもバイトばっかじゃなくて俺達と遊べー!」
「そうだそうだー!」
「はは、ごめんな。休みの日にいっぱい遊んであげるから許してくれ」
俺はそう言った後にリビングに向かう。
リビングの扉を開けるとおじさんとおばさんが俺に気づいた。
「おおっ、帰ったか大志」
「お帰りなさい、大志」
「ただいま
俺はそう
だが、俺は一人足りない事に気がついた。
「あれ?栄子さん。
「ごめんなさい。あの子、執筆に忙しくて」
「ああ、もうすぐ即売会ですもんね」
俺は呆れた様にそう言った。
俺にはよく分からないがBLというのを書いているらしい。
男と男の恋愛物なんて分かるわけない。
前に俺と電気を参考にさせてと言ってきて軽蔑した。
そう思っていると栄子さんが話しかけてきた。
「大志。話があるから残ってくれる?」
「うん?分かりました」
そう言われた後、俺は食事をとった後に風呂に入った。
風呂から出ると一成さん、栄子さんが椅子に座っていた。
俺は二人の前に座った。
「大志、もうすぐ受験だがどうするつもりだ?」
「近場の高校に進学してヒーローを目指そうと思っています」
一成さんがそう聞いてきたので俺は正直にそう答えた。
二人は驚いていたが何処か納得していた。
「そうか、大志の両親もヒーローだったからな。大志もその道を進むと思っていた」
「二人とも立派なヒーローだったものね」
そう両親を褒めてくれて、俺は少し照れながら頬をかいた。
「でも、近場の高校にはっていうのは噓でしょ」
「えっ…?」
「雄英に行きたいんじゃないの?」
「っ!?」
そう栄子さんに言われて俺は驚いた。
栄子さんは雄英のパンフレットを出して言った。
「これが大志の部屋から出てきて行きたいんじゃないかって思って、それに雄英って貴女の両親の
「い、いえ!俺は別の学校を受験するつもりですし!」
「もしかしてお金の事を心配しているのか?それなら大丈夫だ。栄子」
一成さんがそう言うと俺に通帳を渡してきた。
「これは?」
「貴方の両親の遺産よ。貴方の将来のために残しておいたの」
「今までの学費に使わなかったんですか!?他の子供達の学費もあるのに!?」
俺はそう言った後に通帳に入っている金額を見て驚いた。
雄英の学費を払ってもお釣りがくるくらいだった。
「だから、やりたい事をやってもいいのよ」
「雄英でしっかりヒーローになってこい。それにもし大志が有名ヒーローになったら取材とか来ちゃうかもな!」
「そしたら私、自慢しちゃうかも。あのヒーローはうちの養護施設で育ったのよって!」
「一成さん…栄子さん…ありがとうございます」
それを聞いた俺は泣きそうになりながら、俺はお礼を言った。
その後、俺は自分の部屋に戻って電気に電話をかけた。
待っているとすぐに電気は電話に出た。
『大志!やっぱり俺…お前と一緒に!』
「電気、俺は決めたよ」
『えっ?』
「俺も雄英に行ってヒーローになるよ。一緒に頑張ろう」
『…おう!』
電気にそう伝えると、電気が嬉しそうに返事した。
その日、俺は雄英で最高のヒーローになると心に誓った。