『理想郷』がヒーローになる物語   作:zorozoro

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罪を背負う覚悟

『一時間程、昼休憩挟んでから午後の部だぜ!じゃあな!!!オイ、イレイザーヘッド飯行こうぜー!』

 

『寝る』

 

『ヒュー』

 

「悔しいわ。三奈ちゃんおめでとう」

 

「爆豪、轟の氷対策で私入れてくれてだけで実力に見合ってんのか分かんないよー」

 

「それはウチも同じだよ。叶の個性であそこまで戦えてただけだもん」

 

「でも響香ちゃん最終種目に進出できるじゃん!凄いよー!」

 

「飯田くん、あんな超必持ってたのズルイや!」

 

「ズルとは何だ!!あれはただの誤った使用法だ!」

 

そういう会話をしながら俺達は昼食をするために移動をしていたが俺は少し悩んでいた。

障害物競争は緑谷の策によって敗れて、騎馬戦は皆のおかげで1位で勝つことができたが電気の攻撃に気がつかなかったら俺達は敗れていた。

皆は全力で勝ちにきているのに俺は全力を出せないままでいいのかと悩んでいると背中をドンッと叩かれたので見てみると電気がいた。

 

「1位なんて凄えじゃん大志!少し前まで俺達が1位だったのに悔しいぜこんにゃろ~!」

 

「ああ、ありがとう。でも電気のあの攻撃も凄かった。耳郎に助けられなかったら確実に取られていた」

 

「ああ~あれな何で出たのか分かんないんだよなあ。あれを使いこなせれたら戦術の幅が広がるのにな」

 

そう話をしながら食堂に着き、食事を受け取るために列に並んでいた

 

「叶」

 

「心操、どうしたんだ?」

 

「良かったら一緒に飯を食わないか?あと(ヴィラン)が襲撃した際の話を聞かせてくれ」

 

「ああ、そんなことでいいなら良いぞ」

 

「ありがとう。じゃあ、あそこで話をしよう」

 

心操が(ヴィラン)が襲撃してきた時のことを知りたがっていたのでそう俺は返事をして俺達は一緒に食事をした。

 

「…話でしか聞いてなかったけど、そんなにヤバい奴らだったんだな。オールマイトを殺せるかもしれない奴らだったなんてな」

 

「ああ、俺の個性でも倒せなくて半殺しにされた…強かったよ本当に…」

 

俺はそこまで言うと胸が痛んだ。

俺が『理想郷(ユートピア)』の全力を引き出せていたら相澤先生と13号先生は怪我をすることもなく、皆を危険な目に遭わせることもなかったんだからな。

 

「…叶?」

 

「ああ、悪い心操。他に聞きたいことはあるか?」

 

「あっ、心操じゃん。オツ―」

 

「あれ!?こいつヒーロー科の奴じゃん!」

 

俺達の会話に一人の女性が入ってくると人が集まってきた。

心操と同じ普通科の人達かと思っていると初めに喋りかけてきた女性が隣に座って俺の顔をジロジロと見てきた。

 

「へえー中々のイケメンじゃん。心操と何を話してたん?」

 

「俺が頼んだんだ。(ヴィラン)と戦った話を聞きたかったからな」

 

「えっ!良いな~!なあなあオールマイトの戦いどうだった?ぜひ聞かせてくれ!」

 

「ズルいぞ!!俺も聞きたい!!」

 

「あの…ヒーロー科の授業ってどんなことをするんですか?…あっ…すみません…急に聞いてしまって…」

 

「気にするな。俺でよければ全部話すよ」

 

俺はそう言うと普通科の生徒達に入学してからのことを話したりして普通科の生徒達と昼を過ごした。

 

◆◆◆

 

普通科との昼休憩が終わり、俺は会場に戻ってきたのだが少しおかしいことが起きていた。

 

『最終種目発表の前に予選落ちの皆へ朗報だ!あくまで体育祭!ちゃんと全員参加のレクリエーションも用意してんのさ!本場アメリカからのチアリーダーも呼んで一層盛り上げ……ん?アリャ?』

 

『なーにやってんだ……?』

 

『どーしたA組!!?どんなサービスだそりゃ!!』

 

何故かA組女子が全員チア衣装を着ていた。

一体、どうしたんだと思っていると八百万が叫んだ。

 

「峰田さん上鳴さん!!騙しましたわね!?ああ、何故こうも峰田さんの策略にハマってしまうの私…」

 

「アホだろアイツら……」

 

「まァ本番まで時間空くし張りつめてもシンドイしさ…いいんじゃない!!?やったろ!!」

 

「透ちゃん好きね」

 

なるほど、電気と峰田に騙されたんだな。

そう思っていると照れながら怒っている耳郎の姿が目に入る。

何故かは分からないが耳郎のチア姿が凄い魅力的に見え、俺はスマホでその姿を撮った。

 

『さァさァ皆楽しく競えよレクリエーション!それが終われば最終種目、進出4チーム総勢16名からなるトーナメント形式!!一対一のガチバトルだ!!』

 

「トーナメントか…!毎年テレビで見てた舞台に立つんだあ…!」

 

「去年、トーナメントだっけ」

 

「形式は違ったりするけど例年サシで競ってるよ。去年はスポーツチャンバラしてたハズ」

 

「それじゃ組み合わせ決めをしちゃうわよ。組が決まったらレクリエーションを挟んで開始になります!レクに関して進出者16人は参加するもしないも個人の判断に任せるわ。息抜きしたい人も温存したい人もいるしね。んじゃ1位チームから引いてちょうだい!」

 

そうミッドナイトが言い俺達は順番にくじを引いていった。

 

「というわけで抽選の結果、組はこうなりました!」

 

第7試合 鉄哲 対 切島

 

「「またか!被りすぎだろ!」」

 

切島は鉄哲と戦うことが決まって被り対決になった。

 

第6試合 耳郎 対 八百万

第5試合 芦戸 対 常闇

 

「ヤオモモ、手加減しないから」

 

「望むところですわ!」

 

「全力で行く」

 

「手加減しないからね!」

 

常闇は芦戸、耳郎は八百万と戦うことが決まり両方とも燃えていた。

 

第1試合 緑谷 対 心操

第2試合 轟 対 瀬呂

 

「あんただよな?緑谷出久って」

 

「よモッ」

 

「緑谷!!奴に応えるな」

 

緑谷は心操と当たり、話しかけようとするがレクリエーションのために来ていた尾白に止められた。

轟は瀬呂と戦うことが決まって何か考え込んでいた。

 

第8試合 麗日 対 爆豪

第4試合 飯田 対 発目

 

「あぁ?麗日?」

 

「飯田ってあなたですか!?」

 

「ム?いかにも俺は飯田だ!」

 

「ひょー!!よかった実はですね…」

 

麗日の相手はまさかの爆豪で凄い顔をし、飯田は緑谷とチームを組んでいたサポート科の発目に決まった。

 

第3試合 叶 対 上鳴

 

「いきなりか」

 

「上等!!絶対に負けねえからな大志!!」

 

俺の相手は電気に決まった。

電気はやる気満々で身体から電流が漏れ出している。

 

「よーしそれじゃあトーナメントはひとまず置いといてイッツ束の間、楽しく遊ぶぞレクリエーション!」

 

そうアナウンスが入るとレクリエーションが始まった。

俺はその場を離れて一人でベンチに座り、神経を研ぎ澄ませるのと全力で戦えるように過去を乗り越えようと考えていた。

 

他の皆も神経を研ぎ澄ませる者、緊張を解きほぐそうとする者に分かれて時間を過ごしていると思う。

それぞれの思いを胸にあっという間に時は来たが満足な答えは結局、思いつかなかった。

 

「………行くか」

 

「あぁ、いたいた!叶くん!」

 

そう声をかけられて俺は見ると経営科の生徒が話しかけてきた。

もうすぐ緑谷と心操の試合が始まるから観客席に戻りたかったんだがな。

 

「どうした?俺に何か用か?」

 

「根津校長に叶くん宛の電話がかかってきたって連絡がきてね。これ相手の電話番号のメモ、かけ直してほしいってことだからよろしくね!」

 

経営科の生徒はメモを俺に渡すとその場を離れていった。

俺はスマホに電話番号を入力して電話をかけた。

わざわざ校長経由で俺に電話をかけてほしいなんて一体、誰だろうと思っていると相手が電話を出た。

 

『やあ坊や(ボーイ)、元気にしてたかい?』

 

「その声は…スター!?えっ!?何で!?」

 

『サンキューセメントス!ヘイガイズアァユゥレディ!?色々やってきましたが!!結局これだぜガチンコ勝負!!頼れるのは己のみ!ヒーローでなくてもそんな場面ばっかりだ!分かるよな!!心・技・体に知恵知識!!総動員して駆け上がれ!!』

 

そうアナウンスが入るが今はそんなことはどうでもよかった。

 

「な、何で雄英に電話をかけてきたんですか?」

 

『テレビでお兄ちゃん達(ブロス)と見ていてね頑張っている坊や(ボーイ)の姿を見て直接、話がしたくて雄英に電話をしちゃったぜ』

 

「アメリカだと深夜ですよね?大丈夫なんですか?」

 

『軍で働いているとそんなのしょっちゅうだから気にするな。HAHAHA!』

 

そういうものなのかと思っているとアナウンスで試合が始まり早々に緑谷の動きが完全停止されたらしい。

 

『凄いじゃないか。どちらの競技もトップの成績で見ていて叫んじゃったぜ!この後のガチンコも期待してるよ!』

 

「はは、ありがとうございます…」

 

俺はそうスターに言うが、俺は気持ちが晴れないままでいた。

俺は自分の今の状態をスターに言うことにした。

 

「…すみませんスター。こんな時に何ですがまた相談に乗ってもらっていいですか?」

 

『…うん?どうしたんだい?』

 

「前に会った際に個性を暴走させてヒーローを傷つけたことは話をしましたよね。実は過去の事件のせいでお前は個性の全力を出せれていないって先生に伝えられたんです。そこから過去を拭い去ろうと努力を続けてきたんですが拭いきれずに最終種目まできてしまったんです。皆は全力で戦っているのに…」

 

そこまで言っていると試合が終了して緑谷が勝ち上がったことが分かった。

俺は話を続けた。

 

「…もし、誰かを守ろうとした際にそれと同時に別の誰かを傷つけてしまったり守れないって分かったらどうしますか?」

 

俺は悩みをスターに言った。またスターに自分で解決すべきことだって言われるかもしれないが伝えておきたかった。

轟と瀬呂の試合が始まるアナウンスが聞こえるとスターは答えた。

 

『うーんそうだね。守りたい人を全員、助けれるわけじゃない。助けようと手を伸ばしても私一人の力じゃ限界があるからね。だから手の届く範囲で守りたい人を全力で守る、そのせいで傷つけてしまったり守れなかった人のことは私は決して忘れない。坊や(ボーイ)は過去を拭い去ろうとしようとしていたけど過去は決して変えられないからね。自分の罪を背負い続ける覚悟が必要だと私は思っている』

 

「…罪を背負う覚悟」

 

『それに全部、一人で解決できなくていいじゃないか。できる人なんてオールマイトぐらいしか私は知らないし私にだって無理だ。そのために仲間がいる。私はお兄ちゃん達(ブロス)がいてくれるおかげで全力で戦うことができる。坊や(ボーイ)の仲間はそんなに弱い人達なのかい?』

 

「そ、そんなことないです!皆は弱くなんてありません!!俺なんかよりずっと…」

 

『なら大丈夫じゃないか個性の全力を出しても。坊や(ボーイ)の『理想郷(ユートピア)』は皆を笑顔にできる力だよ』

 

そうスターに言われて俺は涙が零れそうになるが何とかこらえた。

その時、会場が大きく揺れた。

何故かドンマイコールが聞こえる。

 

『そろそろ出番だね。頑張りなよ坊や(ボーイ)!!応援してるからね!!』

 

「…っ…はい!!」

 

そう俺は返事をすると電話を切り、会場に向かった。

 

もう俺は迷わない。どんなことにも全力で戦い、傷つけてしまった人達のことは決して忘れない。この胸に刻み込んでいく。

 

俺は自分の罪を背負って皆の笑顔を守るヒーローになる。

 

◆◆◆

 

『ステージを乾かして次の対決!!彼の前では全ての理想が現実になる!!ファンタスティックチートボーイ!!ヒーロー科、叶大志!!(バーサス)スパーキングキリングボーイ!ヒーロー科、上鳴電気!!』

 

そうアナウンスされ大志と上鳴は向かい合う。

上鳴の表情が今までの浮ついた感じではなく真剣な表情をしていた。

 

「すまん電気!!」

 

「えっ!?」

 

いきなりの大志からの謝罪に上鳴は驚いた。

 

「俺は対等だって皆に言っていたのに俺自身は人を傷つけるのが怖くて全力を出せなかった!!でもこれからは違う!!全力で皆と戦う!!そして皆と同じスタートラインに立つために俺がトーナメントで1位になる!!」

 

『おおーっと!?まさかの叶大志が優勝宣言だあぁー!!?』

 

大志の優勝宣言に会場が沸いた。

その言葉を聞いた上鳴の口角が上がった。

 

「きやがれ大志!!!」

 

『レディィィィィィイSTART(スタート)!!』

 

試合が開始されると二人は臨戦態勢に入り、上鳴は右腕を振りかぶりながら考えていた。

 

「(騎馬戦の時は無我夢中だったけど勝つにはあの新技しかない!あの時の感覚を思い出せ…!腕に電気を溜めて…放出する!!)」

 

そう考えながら右腕を振りかぶると巨大な雷の腕が大志に向かって放たれた。

 

「よっしゃあ!!できたあ!!………え?」

 

上鳴は出来たことに喜んでいる時だった大志が右腕を上鳴に向かってかざす。

すると赤い螺旋状のエネルギーがステージを轟音と共に破壊しながら上鳴に迫り、雷の腕をかき消し上鳴に直撃する。

 

「ちょっとー!!?」

 

「何コレェエエ!!?」

 

あまりの威力の高さに会場全体に暴風が発生し会場にいる人に襲いかかる。

会場は煙に包まれ、煙が晴れると上鳴は会場の壁にめり込み気を失った状態だった。

 

「何だ…今の攻撃…」

 

「叶くんの今までの攻撃とはレベルが違う…」

 

大志の戦いを見たことがある尾白と緑谷は先程の攻撃を見て冷や汗をかいていた。

 

『し、瞬殺!!あえてもう一度言おう!瞬・殺!!!何だ今の攻撃!!?凄すぎだろ!!』

 

『…あいつ吹っ切れたな』

 

『吹っ切れた?どういうことだイレイザーヘッド!!』

 

『あいつは過去のトラウマのせいで全力を出せずにいた。だが理由は知らないがトラウマを克服して全力の攻撃ができるようになったんだろう』

 

『それでステージを半壊させるほどの威力ってヤバ過ぎだろ!!?』

 

『…この場所にいる奴ら誰一人として分かっていない。理想を現実にする奴と戦うということがどういうことかなんてな』

 

その言葉に全員が冷や汗をかいて黙る。

大志は気を失っている上鳴を見ていると地面に水滴が落ちた。大志が涙を流していたからであった。

大志は涙を拭うと言った。

 

「俺はもう力を出し惜しみしない。俺だって皆と同じように全力で戦う!」

 

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