『理想郷』がヒーローになる物語   作:zorozoro

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自分で読み直して改稿することが多くあります。
マジで文才が欲しい。


全力の戦い

俺は電気との試合が終わった後、医務室で椅子に座りながら電気が目覚めるのを待っていた。

飯田と発目の試合が始まったアナウンスが聞こえると俺は自分の手を見ながら手を開いたり閉じたりを行った。

 

「……本当にデメリットなんてなかったんだな」

 

身体に痛みが全くなく、相澤先生の言うとおりだったんだなと思っていると電気が目を覚ました。

 

「う~ん…あれ、ここは?」

 

「電気、傷つけた俺が言うのもなんだが大丈夫か?」

 

「大志?……あ~そうか、俺負けたんだな」

 

電気はそう言うと右腕で目元を隠す。

俺は複雑な気持ちで見ているとバッと電気が起き上がった。

 

「すげーじゃん大志!!あんな力なんで隠してたんだよ!!」

 

「隠していたわけじゃないんだ。引き出せなかっただけなんだ」

 

「うん?引き出せなかった?」

 

そう電気が言うと俺は説明を始めた。

相澤先生に個性の暴走でヒーローを傷つけたことが原因で全力を引き出せていないと伝えられたこと、それを克服するために努力を重ねたが無理だったこと、流石にスターの名前は出さなかったが恩人に相談してやっと全力を引き出せたこと電気に伝えた。

 

「…なるほど、あの授業から大志の様子がおかしかった原因はそれか。親友なんだから一言、言ってくれたらよかったのによー」

 

「ごめん…」

 

「気にすんな。今はもう大丈夫なんだろ?じゃあ問題ないじゃん!」

 

電気は笑いながらそう言ってくれて俺は少しだけ心が救われた。

 

「ここまできたら宣言通りトーナメントを優勝しろよ!!応援してっから!!」

 

「ああ、任せろ」

 

電気は拳を前に出してそう言い、俺は拳を合わせた。

その後、俺と電気は医務室から移動して1-Aの観客席に付近まで移動したが皆からどんなことを言われるのかが不安で俺は立ち止まる。すると電気が背中を叩き、俺に笑いかける。それを見て俺は深呼吸をして皆のところに戻ってくると皆が俺の近くまできた。

 

「凄かったよ叶!!何なのあの力!?びっくりしたよ!!」

 

「今までの攻撃とは桁違いだった!?」

 

「『理想郷(ユートピア)』のどんな力を使ったらあんなことになるんだ?教えてくれ叶!!」

 

俺の近くまで来た皆に個性について質問されて俺は戸惑っていると爆豪が怒鳴った。

 

「うるせえぞモブ共!!黙れやクソッ!!!」

 

それを聞いて全員が黙ると爆豪が近付いてきた。

 

「何で力を隠してたかは聞かねェが1位になるのは俺だ!!だから俺にも使えやあの力。その力ごとテメェをブチ殺してやる!!」

 

「ああ、全力で戦うって決めたんだ。手加減なしでお前と戦うよ」

 

「それでいい。上から捩じ伏せてやる」

 

爆豪が笑うと俺に肩をぶつけながらその場を後にした。

 

「騙したなあああ!!!嫌いだぁあ君――――!!」

 

そんな会話をしていると飯田と発目の試合が終わったようだが何故か叫んでいる一体、何があったんだと思っていると耳郎が話しかけてきた。

 

「ウチとヤオモモがそろそろ出番だから行くね。あんな力を隠していたなんてビックリしたけど身体は大丈夫?」

 

「電気にも言ったけど俺のデメリットは力を引き出せていなくて出ていたものだって相澤先生に言われた。今は大丈夫だ」

 

「えっ!?じゃあデメリットがなくなったの?よかったね叶」

 

そう微笑んでくれる耳郎に少しドキッとした。

 

「耳郎さん、そろそろ」

 

「ごめんヤオモモ。行ってくるね叶、ウチの試合見ててね」

 

「ああ、頑張れよ」

 

そう俺が言うと耳郎と八百万は選手控え室に行くのを見送ると俺は電気の隣に座った。

 

『立て続けに行くぜ第5試合!攻防一体、黒影(ダークシャドウ)を従える暗きサムライ!!ヒーロー科、常闇踏影 (バーサス) あのツノからなんか出んの?ヒーロー科、芦戸三奈!!』

 

「常闇やっちまえ!格闘ゲームみたいに服が破れる感じで倒せ!!」

 

「クソかよ」

 

『レディィィィィィイSTART(スタート)!!』

 

俺は峰田にそうツッコむと試合が始まった。

常闇が黒影(ダークシャドウ)を出して接近してくるのを見た芦戸は酸で黒影(ダークシャドウ)を攻撃しながら移動しているが避けられ、場外まで押し出されてしまった。

 

「芦戸さん場外!二回戦進出、常闇くん!!」

 

「瞬殺か、強いな」

 

「芦戸の酸を難なく躱して場外へ押し出した。俺とは相性が良かったから対処できたけど普通に強いな」

 

『さあ息する暇もなく第6試合と行こうじゃねえか!!ハートノイズロッキングガール!!ヒーロー科、耳郎響香!! (バーサス) 万能創造!推薦入学とあってその才能は折り紙つき!!ヒーロー科、八百万百』

 

「大志はこの試合、どう見るんだ?」

 

「時間がカギになるな。創造の隙を突けば勝てるがハッキリ言って耳郎が勝てるビジョンが見えないな」

 

「…大志は耳郎を甘く見てるぞ」

 

「えっ?」

 

「大志が悩んでいる間、ずっと耳郎は自分も大志と共に戦うんだって言って努力していた。その成果がこの試合で出るぞ」

 

『第6試合START(スタート)!!』

 

試合が始まると八百万が盾を創造して次に武器を創造しようとするが耳郎のイヤホンジャックのプラグが物凄い速さで盾に刺さり破壊する。

八百万がまた盾を創造するが今度は盾をイヤホンジャックで連打し、防いでいる間に突進して後方に飛ばした。

 

「速い…!前に訓練をしていた際とは段違いだ」

 

「だろ?大志に簡単に対処されたのを気にして自分で弱点を何とかしようとしていたらしいぞ」

 

そのままイヤホンジャックの連撃で徐々に後方に押していき再度、盾を破壊するとそのまま八百万を掴んで場外まで押し出した。

 

「八百万さん場外!!二回戦進出、耳郎さん!!」

 

耳郎は勝利するとガッツポーズし喜び、八百万は暗い表情をしながら会場を後にした。

 

「…凄いな耳郎。八百万に勝ちやがった」

 

「俺も耳郎も大志と釣り合うぐらいに強くなりたいからな。だからモタモタしてると俺らに抜かれるぞ?」

 

「…言ってくれるじゃねえか」

 

俺と電気は笑い合うと次の試合が始まった。

 

『そんじゃあ次いってみよう!!第7試合は個性ダダ被り対決!!男気一筋ド根性鋼鉄!!ヒーロー科、鉄哲徹鐵!! (バーサス) 男気一筋ド根性硬化!!ヒーロー科、切島鋭児郎!!』

 

「………いい加減にしろ」

 

「あばばばばばばばっ!!?」

 

『暑苦しい第7試合START(スタート)!!』

 

俺は寝ていた峰田に電撃を放って感電させると試合が始まった。

両者激しい殴り合いをしていると耳郎達が帰ってきた。

 

「今、どういう状態?」

 

「今は切島とB組の鉄哲が戦ってるところだよ。似た個性ってだけあってだいぶ膠着してるみたいだ」

 

耳郎は上鳴に聞いた後、俺の隣の席に座った。

 

「…凄かったよ耳郎。強くなったんだな」

 

「ありがと、でもまだまだだよ。手数でゴリ押しして考えさせる間も与えないようにしただけだから」

 

「それでも本当に凄いと思った。俺も負けてられないな」

 

俺達がそんな会話をしていると切島と鉄哲の拳が互いの顔にクリーンヒットして両者ともダウンした。

 

『個性ダダ被り組!!鉄哲 (バーサス)切島、真っ向勝負の殴り合い!!制したのは―』

 

『両者ダウン!!引き分け!!引き分けの場合は回復後、簡単な勝負…腕相撲等で勝敗を決めてもらいます!』

 

腕相撲で決めるのかと思っていると緑谷と飯田が帰ってきて席に着いた。

おそらく麗日のところに行っていたんだろう次の試合はある意味、不穏な組だからな。

 

『鉄哲と切島が回復してる間に次の試合を始めるぜ!一回戦最後の第8試合!中学からちょっとした有名人!!堅気の顔じゃねえ、ヒーロー科、爆豪勝己!! (バーサス) 俺こっち応援したい!!!ヒーロー科、麗日お茶子!!』

 

「次、ある意味最も不穏な組ね」

 

「ウチ、何か見たくないなー」

 

「そういえば緑谷くん、先ほど言っていた爆豪くん対策とは何だったんだい?」

 

「ん!本当たいしたことじゃないけど…かっちゃんは強い…!本気の近接戦闘はほとんど隙無しで動く程強力になってく個性だ。空中移動があるけど…とにかく浮かしちゃえば主導権を握れる。だから…速攻!!」

 

START(スタート)!』

 

開始直後、麗日は爆豪に突撃した。緑谷と同じ考えになのか速攻仕掛ける作戦のようだ。

 

「事故でも触れられたら浮かされる!間合いはつめられたくないハズ!だからかっちゃん的には…回避じゃなくて迎撃!!」

 

そう緑谷が言っていたが、それでも爆豪は強かった。

爆豪は突撃してくる麗日を右の大振りで迎撃。麗日は一瞬回避しようと動いたが間に合わず爆撃をモロに受けてしまう。

 

「麗日さん!」

 

「モロかよ……!」

 

「女の子相手に容赦ないわね爆豪ちゃん」

 

爆豪の容赦のない攻撃に思わず声を上げてしまう緑谷。さっきまでゲスなヤジばかり飛ばしていた峰田も顔が青ざめる。

ステージ上にはまだ土煙が残っていて、麗日の様子は視認できない。すると突然土煙の中から影が飛び出した。

それを視認した爆豪が咄嗟にそれを捕まえるも、そこにあったのは麗日の個性で浮かされたジャージの上着。

 

『おおー!上着を浮かせて這わせたのかぁ、よー咄嗟にできたな!』

 

呆気にとられている爆豪の背後から襲い掛かった麗日の手が爆豪に触れようとした瞬間、爆豪が振り返り麗日に爆風を浴びせる。

 

「見てから動いてる!?」

 

「あの反応速度なら煙幕はもう関係ねぇな」

 

「触れなきゃ発動できない麗日の個性、あの反射神経にはちょっと分が悪いぞ……」

 

『おおっと麗日、間髪入れず再突進!!』

 

だがしかし再び爆豪の迎撃で吹き飛ばされる麗日。

 

「爆豪、まさかあいつそっち系の…」

 

「ウチ見てらんない…」

 

「しっかり見てろ耳郎」

 

「でも…」

 

「この試合を観察しろ。次、常闇に勝ったら耳郎が爆豪と当たる可能性がある。だからしっかり見ろ」

 

俺はそう耳郎に言うと再び試合を見る。

何度も吹き飛ばされるが負けじと何度も突進する麗日の痛々しい姿と、それを軽くあしらい続ける爆豪の姿に、次第にブーイングが起こる。

 

「おい!!それでもヒーロー志望かよ!そんだけ実力差あるなら早く場外にでも放り出せよ!!女の子いたぶって遊んでんじゃねーよ!!」

 

「そーだそーだ!!」

 

『一部から……ブーイングが!しかし正直俺もそう思……わあ肘っ』

 

『今遊んでるっつった奴プロか?何年目だ?素面で言ってんならもう見る意味ねぇから帰れ。帰って転職サイトでも見てろ』

 

唐突に実況に割り込んできた相澤先生の言葉に驚いたのか、ブーイングが止まる。

 

「相澤先生…!?」

 

相当苛立っている相澤先生の声にA組の皆も固まった。相澤先生が珍しく語気を荒げた喋り方だったからだ。

 

『ここまで上がってきた相手の力を認めてるから警戒してんだろう。本気で勝とうとしてるからこそ、手加減も油断も出来ねえんだろうが』

 

「勝あアアァつ!!」

 

麗日は観客席にまで届く雄叫びを放ち両手の指を合わせる物凄い量の瓦礫が振ってきた。

 

『流星群ー!!!』

 

それを合図にステージ上空から無数の瓦礫が降り注ぐ。

麗日は無意味な突進を繰り返すふりをして、爆豪の爆破で砕けた瓦礫を蓄えて反撃の機会を虎視眈々と狙っていた。

 

「そんな捨て身の策を……麗日さん!!」

 

落下する瓦礫の雨を掻い潜りながら、麗日は自身を浮かせる動作を取るが、上空から降り注ぐ数多の瓦礫を、爆豪は手を上に向けて放った一度の爆破で全て吹き飛ばした。

 

『会心の爆撃!!麗日の秘策を堂々、正面突破!!』

 

秘策すら突破された状況でも尚、麗日は立ち上がり突撃を仕掛けようとするもその場で崩れ落ちてしまった。

すぐさまミッドナイトが駆け寄り麗日の状態を確認する。倒れてもまだ這いずって立ち向かおうとする麗日だが、もう戦える体力が残っておらず。

 

「麗日さん……行動不能。二回戦進出、爆豪くん!」

 

「……控え室、行ってくる」

 

それを見届けた緑谷は悲痛な面持ちで席を立ち、控え室へと向かっていった。

 

『ああ麗日…ウン爆豪一回戦とっぱ』

 

『ちゃんとやれよやるなら…』

 

『さァ気を取り直して一回戦が一通り終わった!!小休憩挟んだら早速、次行くぞー!』

 

そうアナウンスが入ると爆豪が観客席に戻ってきた。

 

「おーう何か大変だったな悪人面!!」

 

「組み合わせの妙とはいえ、とんでもないヒールっぷりだったわ爆豪ちゃん」

 

「うっるせえんだよ黙れ!!」

 

「まァーしかし、か弱い女の子によくあんな思い切りの良い爆破できるな」

 

「黙れっつってんだろ雑魚!!」

 

そう爆豪が言うと電気が凄い顔をしながら黙った。

爆豪は電気の後ろの席に座った。

 

「…どこがか弱ェんだよ」

 

◆◆◆

 

あの後、切島と鉄哲が腕相撲を行い、切島が勝ち上がり二回戦目進出者が揃った。

 

『二回戦目進出者が揃った!つーわけで…そろそろ始めようかあ!』

 

そのアナウンスが入って少し時間が経った頃、麗日が戻ってきたのだが…。

 

「二人、まだ始まっとらん?」

 

「うら…らぁ!?」

 

「見ねば」

 

「目を潰されたのか!!!早くリカバリーガールの元へ!!」

 

目が赤く腫れている状態で帰ってきたので飯田が驚いていた。

おそらく悔しくて泣いていたのだろう。

 

「行ったよコレはアレ、違う」

 

「違うのか!それはそうと悔しかったな…」

 

「今は悔恨より、この戦いを己の糧とすべきだ」

 

「うん」

 

「タシカニ」

 

そう常闇に言われて二人は緑谷と轟の試合に集中する。

何故か飯田は白くなっている感じがした。

 

『今回の体育祭、両者トップクラスの成績!!まさしく両雄並び立ち今!!緑谷 (バーサス) 轟!!START(スタート)!!』

 

プレゼント・マイクが意気揚々と開始を告げたその瞬間、轟が仕掛けた。

右半身から冷気を放ち氷結攻撃を繰り出し、凄まじい勢いで緑谷に迫りくる。

それに対し緑谷は素早く腕を構えて衝撃波を放ち、氷を砕いて攻撃を打ち消す。

 

『おオオオ!! 破ったあああ!!』

 

再び轟が氷結を使うがそれを緑谷が二本目の指を犠牲に攻撃を打ち消した。

轟はその後も繰り返し氷結攻撃を仕掛け、それを緑谷が打ち消す。

試合の前に鉄哲と腕相撲勝負をして勝った切島が観客席に戻ってきた。

 

「ゲッ、始まってんじゃん!」

 

「お!切島二回戦進出やったな!」

 

「そうよ。次おめーとだ爆豪!」

 

「ぶっ殺す」

 

「ハッハッハッやってみな!…とか言っておめーも轟も、強烈な範囲攻撃ポンポン出してくるからなー…」

 

「ポンポンじゃねえよナメんな。筋肉酷使すりゃ筋繊維が切れるし、走り続けりゃ息切れる。個性だって身体機能だ。奴にも何らかの限度はあるハズだろ」

 

身体機能を酷使すればどこかおかしくなる。

なら緑谷の狙いは耐久戦を行うつもりなのだろう。

 

「あー、考えりゃそりゃそっか…じゃあ緑谷は瞬殺マンの轟に…」

 

ステージでは凍らせ砕くといった攻防が続いている。緑谷の変色した指の数は四本、早くも右手の指が全滅したことになる。

すると轟が地面を凍らせ坂を作って緑谷に接近し、考える時間を与えずに攻撃を仕掛けた。

その刹那、暴風が観客席に吹き抜けた。

暴風が収まるとそこにいたのは左腕を負傷した緑谷。どうやら咄嗟に腕一本を犠牲にして氷結を打ち消したようだ。

その風圧を受けた轟は背後に氷壁を作ることで吹き飛ばしを防いでいた。

氷壁から離れ、白い息を吐きながら緑谷に近づいていく。

轟はちらりと観客席に目をやり、とどめの氷結を繰り出すが緑谷は一度壊れた指を使って再び衝撃波を放った。

 

ステージ上では緑谷がボロボロの拳を握りしめ、轟に向かって何か話していると…。

 

全力(・・)でかかって来い!!」

 

観客席にまで聞こえるほどの大声で緑谷が叫ぶとその言葉を受けた轟は苛立った様子で緑谷へと近づく。

だが、その動きはさっきより鈍くなっており体に霜降りている。自分の冷気に耐えられる限界があるのだろう。

轟が接近したその時、緑谷が右腕を大きく振りかぶり、個性を発動して轟を殴った。さっきの衝撃波を生み出したパンチに比べるとかなり威力は落ちているけれど、それでも常人のそれとは比べ物にならないだろう。

 

『モロだぁ――生々しいの入ったあ!!』

 

勢いよく吹き飛ばされた轟は殴られたお腹を押さえながらも立ち上がり、緑谷を睨みつけながら個性を使う。

轟の右足から迫る氷結を緑谷はいとも容易く避けた。明らかに氷結のスピードも遅くなっている。

全身ボロボロの状態でなお轟の懐に飛び込み頭突きを食らわせ、殴り飛ばした緑谷。

またしても吹き飛ばされた轟はゆっくりと立ち上がると左半身に炎を纏った。

その熱は観客席にまで届き、轟の体に降りた霜を溶かした。

あんだけ使わないと豪語していた左側を使わせた。おそらく緑谷は何かを悩んでいた轟を救おうとしていたのだろう。

本領を発揮した轟とそれに相対する緑谷の顔は、ここからではよく見えないけど笑ってるように見えた。

 

「焦凍ォオオオ!!!やっと己を受け入れたか!!そうだ!!良いぞ!!ここからがお前の始まり!!俺の血をもって俺を超えていき…俺の野望をお前が果たせ!!」

 

突然聞こえたその大声に思わず目をやるとそこにいたのは轟の父親にしてNo2のヒーロー、エンデヴァーがそこにいた。

 

『エンデヴァーさん急に激励…か?親バカなのね』

 

そうアナウンスが入ると緑谷と轟が動いた。

轟が左を燃やしながら右で氷結を使う。その勢いは精彩を取り戻し、緑谷に向かって凄まじい勢いで進んでいく。

緑谷もこれまた凄まじい跳躍力で氷を躱して右手を振りかぶる。

その様子を見た静止役のセメントス先生が個性で素早く壁を構築し威力を抑えようとしている。

轟はゆっくりとした動きで左手を突き出し、身に纏っていたその炎を緑谷に向けて放った。

その瞬間、さっきのとは比べ物にならないほどの爆風が観客席を襲った。

 

「またぁアアアアア!!?」

 

凄まじい風圧に堪らず峰田が叫んだ。

ステージ中に煙が充満していて何も見えない。

 

『何今の…お前のクラス何なの……』

 

『散々冷やされた空気が瞬間的に熱され、膨張したんだ』

 

『それでこの爆風てどんだけ高熱だよ!ったく何も見えねー。オイこれ勝負はどうなって…』

 

未だ煙で見えないステージを見ながらプレゼント・マイクがそう呟いた。

でもそんな煙もだんだんと晴れていくと壁に寄りかかっているボロボロの緑谷の姿があった。そのまま体勢を崩し倒れこんでしまう緑谷を見て我に返ったミッドナイトが勝者を告げる。

 

「緑谷くん……場外。轟くん――……三回戦進出!!」

 

ハイレベルな戦いに歓声が沸き起こった。

ミッドナイトの指示でハンソーロボが現れ、倒れている緑谷を搬送していく。

 

「ちょっと私、デクくんのとこ行ってくる!」

 

「俺も同行しよう」

 

麗日がそう言うと飯田も立ち上がる。それに便乗する形で峰田や蛙吹も一緒に緑谷のいる保健所へと向かって行くのを見ると俺も立ち上がり保健所に向かった。

 

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