『理想郷』がヒーローになる物語   作:zorozoro

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物凄い悩んでやっと投稿できました。

そしてあの男が動き始めます。


急襲

連続失血死事件。ある中学校の男子生徒が女子生徒にカッターナイフで刺され、傷口にストローを刺して吸血していた事件である。

メディアには名前と顔が明かされていないため詳しいことは何も分からない。

 

「渡我被身子…それが連続失血事件の犯人なんですか?」

 

「ああ、そうだ。先日、体に多くの刺し傷がある遺体が発見された。奴は血を吸血するために過剰に傷つけて血を多く出させたのだろう」

 

血を多く出させるために傷つけ、そして死に至らしめるほど血を吸血する。まるで吸血鬼だなと思った。

 

「奴が再び、人を襲う前に確実に捕らえる!俺のサイドキックから事前に集めておいた情報がある、目を通しておけ。以上だ下がっていいぞ」

 

「はい!失礼します!」

 

俺はそう言うとギャングオルカに一礼して部屋を出た。

部屋を出た後、俺はギャングオルカのサイドキックから渡我被身子についての情報を貰い、目を通していた。

 

個性は血を飲むことでその人に変身できるというもの。

その個性によるものかは分からないが血に対して強い興味を幼少期から持っており、血だらけの生き物を見てしまうと可愛い、綺麗という気持ちを抱いてしまい血を吸血してしまうことがあった。

おそらく個性の影響だろうが両親はその行動を異常と判断し、渡我被身子を気味悪がり普通に生きてと言い続けて渡我被身子を普通の子にしようとしたらしい。

幼少期から血を吸いたい欲求を無理矢理抑圧して我慢しながら生きてきたのだろう。

 

だが中学卒業後、我慢の限界がきた。

当時、クラスメイトの一人である斎藤という男を渡我被身子は切り刻み傷口にストローを刺して血を吸ったのである。

目撃者によるとその時の渡我被身子の表情は嬉しそうに笑いながら涙を流す恍惚とした表情だったらしい。

 

それが連続失血死事件の始まりまでの渡我被身子の過去だ。

俺は資料を机に置き、ため息を吐いた。

 

「………無理矢理抑え込んだら爆発するに決まってんだろうが」

 

資料を読んだ限り連続失血死事件は起こるべくして起きた事件だ。

何かを無理矢理禁止したらどこかのタイミングでその反動がくる。例えばお菓子が禁止の家庭で育った子供は大人になると反動でお菓子ばかり食べてしまう。

両親は個性のことを理解して対処をすれば防げたかもしれない。

そうすれば渡我被身子はヒーローや警察に追われることもなく、平和に暮らせたかもしれないと思った。

 

「………同情しちゃ駄目だよ」

 

俺がそんなことを考えているとサイドキックの一人がそう言った。

俺はその人の方を向いた。

 

「どんな辛い過去でも渡我被身子は(ヴィラン)だ。彼女のせいで殺された人が大勢いる。だから俺達でこれ以上、人を殺させないようにしよう」

 

「…はい!」

 

サイドキックの人からそう言われると俺は甘い考えを捨てた。

そうだ、渡我被身子は(ヴィラン)だ。彼女の為と思うなら捕縛して殺人をさせないようにするしかない。

ここで連続失血死事件を終わらせると俺は心に誓った。

 

◆◆◆

 

それからギャングオルカ事務所総員で渡我被身子を捕縛するために作戦を考えたりパトロールを強化したが渡我被身子の足取りを掴めないでいた。

途中で事件があったらそこの対処に行くことがあったが特に問題なく解決することができたが俺にはまだプロヒーロー免許がなく、(ヴィラン)との戦闘が許可されておらずサポートに徹していた。

そして職場体験3日目、今日もパトロールをギャングオルカ達と一緒にパトロールを行っていた時に銀行強盗による立てこもり事件が発生。その対処を行っていた。

 

「現状は?」

 

「強盗は3人、現在は逃走用の車を要求して立てこもっています。人質の数は10人ぐらいです」

 

「分かった。俺の個性で確認したところ人質の近くに犯人達は集まっているな」

 

ギャングオルカの個性は『シャチ』、シャチっぽいことを陸でもできる個性で犯人の場所を特定していた。凄いなと思っていると頭に水をかけているギャングオルカが言った。

 

「ホープ、俺達と人質達を瞬間移動できるか?人質達の場所に俺達を転送しろ。人質達の避難を任せたぞ」

 

「分かりました!」

 

俺は個性を使用して強盗と人質の位置を把握した後、ギャングオルカと人質を入れ替えた。

入れ替えた後、すぐに銀行内で戦闘が始まった。

 

「えっ!?」

 

「皆さん大丈夫ですか!!すぐ避難を行ってください!!」

 

「助かったのか…?」

 

「ありがとう!ヒーロー!」

 

そう言われた後に俺は警察に人質の人達を保護してもらった。

銀行内の戦闘も終了したようでホッとし、周りを見ていると路地裏に入るフードで顔が見えない人影を見かけた。

それが気になり警察に後を任して俺も路地裏に入り少しの間、歩き曲がり角を抜けると怯えている男性と先程のフードを被っている女性をあり、その手にはナイフが握られていた。

そのフードの女性がナイフを持った腕を振り上げると同時に俺は咄嗟に動いて、男性を救った。

 

「大丈夫ですか!今のうちに逃げてください!」

 

俺がそう言うと男性は悲鳴をあげながら急いでその場を後にする。

するとフードの女性が話しかけてきた。

 

「何ですかぁ…邪魔をしないでください」

 

そう言うと女性はフードを外すと鋭く尖った犬歯、腫れぼったい目元、黄色い瞳と縦長の瞳孔と髪型は両サイドにお団子を作り、付け根から髪がハネている。

渡された情報では中学生時代の写真でしか容姿を見ていないが間違いない。

 

「渡我被身子…!」

 

「私のこと知っているんですか?嬉しいなぁ!そうです!トガです!」

 

そう渡我被身子が言うとナイフを持ちながら両手を口元に持ってきてクスクスと笑った。

 

「貴方の名前は確か…叶くん!お名前は何ていうんですか?」

 

「……大志だ」

 

「大志くん…大志くんっていうんですね!」

 

おそらくだが体育祭で俺のことがバレていると思っていると名前を聞かれたので警戒しながら答えると渡我被身子はそう笑顔で言うとナイフの切っ先を向けた。

 

「大志くんはカッコイイですね!でも血出てたほうがもっとカッコイイと思うんです!!だから…刺しますね!!」

 

「っ!?」

 

そう渡我被身子は言うと笑顔を浮かべながら向かって来た。

渡我被身子は途中で石を拾い投げつけるが俺はそれを避けた。

 

「そんなのが通用するわけ……っ!?」

 

避けた後に俺は再び、渡我被身子を見るが渡我被身子の姿が消えていた(・・・・・)ことに驚いた。

何が起こったのか分からずにいると突然、目の前に現れてナイフを俺に刺そうとするがバリアを咄嗟に張り未遂に終わった。

ナイフがバリアに当たりガリガリという音が鳴る。

 

「あん!もう少しだったのに!!刺させてよ大志くん!!」

 

「お断りだ!」

 

俺は渡我被身子を瞬間移動で真上に転移させる。

何が起こったか分からずにいた渡我被身子の右腕と首を掴んで地面に倒して拘束した。

 

「…目の前から消えた様に見せる技術、確か手品のミスディレクションだったか?他人に変身する個性に加えてそんなこともできるのか。そりゃ捕まらないわけだ」

 

「変なところを触らないでください」

 

「…そういうのは相手を見てやれ。俺には通用しないから諦めて捕まってろ」

 

「ぶー…」

 

脱出するために噓をついているんだが俺には無駄だと伝えると渡我被身子は不貞腐れた。

縄とかで拘束しようと思っているとスマホにギャングオルカから電話がかかっており出ると大きな声で怒鳴られた。

 

「もしも…」

 

『おいホープ!!貴様、一体どこをほっつき歩いている!!』

 

「すいません!そんなことより渡我被身子を捕縛しました!現在地を送りますので応援をお願いします!」

 

『っ!?了解した!!速やかに向かう!!』

 

俺がそう言うとギャングオルカはそう返事をして電話を切った。

これで連続失血死事件は終わりだなと思っていると渡我被身子が話しかけてきた。

 

「大志くんは正義感があるんですね。私の初恋の人と同じで素敵」

 

「はあ?何を言って…」

 

「大志くんは恋をしたことがありますか?恋は素敵なんです。その人みたいになりたいと思って同じものを身につけちゃったり、同じ癖をしてみたりしちゃうんです。でもだんだん満足できなくなっちゃってその人そのものになりたくなっちゃうんです。私の好みはボロボロで血の香りがする人大好きです。だから最後はいつも切り刻むの。でもその人のことがどうしようもなく好きだからしょうがないよねぇ」

 

何だコイツ?でもコイツの言っていることに似ている言葉を何処かで見た気がする………あっ!?

 

「お前ってヤンデレってやつか?」

 

「ヤンデ…えっ?」

 

確か貴理子義姉さんが持っていた本の中にあった。貴理子義姉さんが言うには相手への好意が強く高まり過ぎた結果、病的な精神状態になってしまうこと。もしくはそうした精神状態といった意味合いの言葉で実際に、クレランボー症候群と言う名で愛されていると妄信する精神疾患を創作物を楽しむオタクがそう呼んでいると言っていたな。

 

「…なるほど、ヤンデレならお前の言っていることも分かる。好きな人とお揃いにしたりその人が左利きなら自分も左利きにしようとする感じでお前は血を吸って変身するわけか」

 

「………分かってくれるんですか?」

 

「うん?まあ実際に見たのは初めてだが理解できないほどではない。相手のことを殺したいほど好きになったってことだろ?」

 

「…っ…そう!!そうなんです!!やっと理解してくれる人がいた!!嬉しいなァ嬉しいなァ!!」

 

「…なっ!?暴れるな!!大人しくしろ!!」

 

俺との会話中に笑顔を浮かべながら暴れ始めた。

俺が押さえつけていると遠くからギャングオルカ達の姿が見えた。

 

「ホープ!!無事か!!」

 

「ギャングオルカ!こちらです!」

 

「もっと大志くんのことを教えてほしいなァ!!ねえねえ教えてよ大志くん!!」

 

「大人しく捕まったら教えてやるからいい加減…」

 

 

「お久しぶりですね」

 

 

「っ!?」

 

そう声をかけられると俺達の近くの空間から黒い靄が出てきた…コイツは!?

 

(ヴィラン)連合の黒霧!?」

 

「貴方に用があって参ったのですがどうやら取り込み中のようだ。そこのお嬢さん、同じ(ヴィラン)の誼みで助けてあげましょう。では少しご足労していただきましょうか」

 

「待て!!!」

 

ギャングオルカが黒霧に攻撃しようとするがその前に俺と渡我被身子は靄に飲み込まれた。

 

◆◆◆

 

「…っ…ここは…?」

 

大志は靄から排出されると大志は周りを確認すると何処かの廃工場のようだった。

大志はスマホを取り出すと電波があることに気がついた。

 

「…USJの時とは違いジャミングを行う(ヴィラン)はいないようだな」

 

大志は地図アプリを起動すると先程の路地裏から数十km先の工場地帯に飛ばされているみたいだった。

大志はギャングオルカに連絡をしようと電話をするとすぐに出た。

 

『ホープ無事か!!今どこにいる!!』

 

「路地裏から数十km先の工場地帯です。でも何で俺をこんな場所に転送したかはまだ不明です。工場地帯の人達の避難を優先してください」

 

『分かった。工場地帯の人達の避難が終わったら迎えに行く。それまで無事でいろ。今回は緊急事態だ。貴様の戦闘を許可する!責任は俺が取るから思い切りやれ!!』

 

「分かりました。では失礼します」

 

大志は電話を切った時だった空中に黒霧の靄が発生する。

その靄を大志は警戒すると何かが地面に向かって排出され着地した。

 

「………ああ、そういうことかよクソッ…」

 

大志は目を見開き冷や汗をかきながら呟いた。

そして大志はUSJ事件の時の死柄木弔の言葉を思い出していた。

 

『お前の100%にも耐えられるように改造された超高性能サンドバック人間さ』

 

「(改造…改造された人間なら時間さえあれば造れる。何でこんな単純なことを考えなかったんだ…!)」

 

手には大きな鉤爪、黒い体皮、ヒグマのような骨を露出させた頭部を持つ脳無が大志の前に立っていた。

 

「(脳無は……量産できる!)」

 

 

 

「依頼通り、叶大志に脳無を差し向けましたよ」

 

『ありがとう、黒霧』

 

黒霧は別の場所から大志を見ながら電話をしていた。

電話相手は礼を言うと黒霧が聞いてきた。

 

「…ですが宜しかったのですか先生?」

 

『何がだい?』

 

「あれほどの脳無をこんな場面で使用して…あの脳無は雄英襲撃の際の脳無より強い(・・・・・・・・・・・・・)個体ですよね?我々にとっても大きな戦力になるはずです。対策でもされたら…」

 

『構わない。それにアレぐらいのレベルじゃないとテストにならない。今はゆっくり見物しようじゃないか』

 

「分かりました。また何かありましたら連絡をください」

 

そう黒霧は言った後に電話を切った。

そして電話相手の先生と呼ばれる人物はモニターに映る大志を見て笑みを浮かべた。

 

「大志くん。君の強さを再確認させてもらおうか…」

 

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