『理想郷』がヒーローになる物語   作:zorozoro

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もうすぐ7期が始まるので再度、アニメを見直しています。


約束

「返せ?妙な話だぜ。爆豪くんと叶くんは誰のモノでもねえ…彼らは彼ら自身のモノだぞ!!エゴイストめ!!」

 

「いいから返せ!!」

 

「返せよ!!」

 

緑谷と耳郎がコンプレスに向かって叫ぶが球状の塊をコロコロと転がしながらコンプレスはそう答えた。

轟が個性を使用してコンプレスに向かって氷で攻撃をするが別の木に移り攻撃を回避した。

 

「我々はただ凝り固まってしまった価値観に対しそれだけじゃないよと道を示したいだけだ。今の子らは価値観に道を選ばされている」

 

「爆豪だけじゃない…常闇もいないぞ!」

 

「(後ろ二人を音も無くさらったってのかどういう個性だ…!!?)」

 

「わざわざ話しかけてくるたァ…舐めてんな」

 

「元々、エンターテイナーでね悪い癖さ…常闇くんはアドリブで貰っちゃったよ。ムーンフィッシュ…『歯刃』の男な…アレでも死刑判決控訴棄却されるような生粋の殺人鬼だ。それをああも一方的に蹂躙する暴力性…彼も良いと判断した」

 

コンプレスは持っている球をコロコロと転がしたりしていると一つの球を緑谷達に見せるように言った。

 

「だがそれ以上に叶くんは素晴らしい…理想を現実にする最強の個性に加え三人の(ヴィラン)を寄せ付けない圧倒的な強さと才能…彼がいれば世界をひっくり返す事すら可能だ。我々にとっての理想郷(ユートピア)を創り出せる」

 

「ふざけんな!!」

 

「この野郎!!貰うなよ!!」

 

「緑谷、耳郎落ち着け」

 

「麗日、こいつ頼む!」

 

「えっ…あっうん!」

 

轟が体育祭で大氷塊で攻撃をするがコンプレスは難なく回避した。

 

「悪いね俺ァ逃げ足と欺くことだけが取り柄でよ!ヒーロー候補生なんかと戦ってたまるか」

 

そう言うとコンプレスは球状の塊をコートのポケットに入れて無線で通信を入れる。

 

「『開闢行動隊!目標回収達成だ!短い間だったがこれにて幕引き!!予定通り、この通信後5分以内に回収地点へ向かえ!』」

 

通信を終えるとコンプレスは枝から枝へ飛び移りながら移動を開始した。

 

「幕引き…だと」

 

「駄目だ…!!」

 

「させねえ!!絶対逃がすな!!」

 

緑谷達はそう言うと急いで追いかけるがコンプレスの方が速く一向に追いつく事ができずにいた。

 

「ちくしょう速え!あの仮面…!」

 

「飯田くんいれば…!」

 

「絶対に…絶対に救ける!!」

 

耳郎がそう叫ぶように言うと脳内に大志と一緒にカラオケに行った時のことを思い出した。

 

「(約束したんだ…ピンチになったら救けるって…だから絶対に救ける!!)」

 

耳郎がそう決意していると緑谷が言った。

 

「諦めちゃ…駄目だ…!!っ…!追いついて…取り返さなきゃ!」

 

「しかしこのままでは離される一方だぞ」

 

「麗日さん!!僕らを浮かして早く!そして浮いた僕らを蛙吹さんの舌で思いっ切り投げて!僕を投げられる程の力だ凄いスピードで飛んで行ける!障子くんは腕で軌道を修正しつつ僕らをけん引して!麗日さんは見えてる範囲でいいから奴との距離を見計らって解除して!」

 

「成程、人間弾か」

 

「待ってよ緑谷、その怪我でまだ動くつもりなの…!?」

 

「お前は残ってろ。痛みでそれどころじゃあ…」

 

「痛みなんて今知らない…動けるよ…早くっ!!」

 

「デクくん…せめてこれ…!」

 

緑谷がそう言った後、麗日は自分の服を引き千切って緑谷の負傷している腕を固定し蛙吹が緑谷、轟、障子、耳郎を舌でグルグル巻きにして麗日が個性を使用して浮かせた。

 

「必ず三人を救けてね…ケロッ!!」

 

蛙吹が四人をコンプレスに向かって力一杯放り投げた。

 

◆◆◆

 

「あれ?まだこんだけですか…ってどうしたんですかボロボロですね」

 

「叶大志にやられた…あいつを捕らえるのに苦労した。それよりイカレ野郎、血は取れたのか?何人分だ?」

 

「一人で~す!」

 

「一人ィ!?最低3人はって言われてなかった!?」

 

ある場所に開闢行動隊のメンバーである荼毘、トゥワイス、渡我被身子が集まってそんな会話をしていた。

 

「つーかよトガちゃんテンション高くねえか!?何か落ち込む事でもあったのか!?」

 

「お友達ができたのと気になる男の子がいたのです」

 

「それ俺!?ごめん無理!?俺も好きだよ!」

 

「うるせぇな…黙って待ってろ」

 

「それより大志くんは何処ですか!いっぱいお話がしたいのです!」

 

「話聞けよ…Mr.(ミスター)が持ってる。もうそろそろ…」

 

そう荼毘が言う途中で空からコンプレスを取り押さえながら緑谷、轟、障子、耳郎が降ってきた。

 

「かっちゃん達を返せ!!」

 

「知ってるぜこのガキ共!!誰だ!?」

 

Mr.(ミスター)避けろ」

 

了解(ラジャ)!」

 

「バッカ冷たっ!!」

 

荼毘が炎の攻撃を行うとコンプレスの身体が個性で小さい球状になり、炎が緑谷と障子の腕を焼いた。

 

「ぎゃあ!!!」

 

「緑谷!!障子!!」

 

「クソッ…ッ!?」

 

「死柄木の殺せリストにあった顔だ!そこの地味ボロ君とお前!なかったけどな!」

 

トゥワイスが轟にメジャーで攻撃しようとするが轟が氷で攻撃を行い、トゥワイスはその攻撃を避けた。

 

耳郎はイヤホンジャックを伸ばして荼毘に刺そうとするが炎で妨害されて不利な状態だった。

 

「熱っ!!?」

 

「…叶大志に比べたら…弱すぎるなお前」

 

炎の攻撃を受けた緑谷にチューブに繋がれた注射器が飛んで来て緑谷はそれを避けると渡我が走ってきて緑谷を押し倒した。

 

「トガです出久くん!さっき思ったんですけどもっと血出てたほうがもっとカッコイイよ出久くん!!」

 

ナイフを緑谷に刺そうと振りかぶると障子が渡我に攻撃をして緑谷から離れさせた。

飛ばされた渡我は地面に着地するとナイフを強く握り直した。

 

「そうですか…邪魔するんですか…貴方、少しも好みじゃないけど刺してあげます」

 

「イカレてるな…!」

 

「楽勝だぜ!かかって来いよ!いい加減にしろって!」

 

「何なんだコイツ…」

 

「お前の個性…戦闘向きじゃねえだろ無理すんな」

 

「うっさい!!」

 

それぞれ(ヴィラン)と戦闘をしていると球状になっていたコンプレスが元に戻り荼毘に向かって歩きながら服のホコリを払っていた。

 

「いってて…飛んで追ってくるとは!発想がトんでる」

 

「爆豪は?」

 

「もちろん………ん!?」

 

耳郎と対峙しながら荼毘と話をしていたコンプレスはコートの右ポケットに手を入れて探っているのをみた障子が緑谷達に言った。

 

「三人とも逃げるぞ!!今の行為でハッキリした…!個性は分らんがさっきお前が散々、見せびらかした右ポケットに入っていたこれが常闇・叶・爆豪だなエンターテイナー」

 

「障子くん!!」

 

「障子!」

 

「でかした!!」

 

障子がコンプレスから球状の塊を取り戻したのを見た全員が走り出した。

 

「アホが…」

 

「いや待て」

 

荼毘が逃げる緑谷達に攻撃しようとするとコンプレスが制止した。

すると緑谷が逃げ込もうとした森の木の陰から脳無が姿を現した。

 

「脳無!?」

 

「こっちだ!!」

 

脳無を避けて別ルートに逃げようとする緑谷達の目の前に黒霧が現れた。

 

「ワープの…」

 

「合図から5分経ちました。行きますよ荼毘」

 

「ああん、もうちょっと出久くんとお話ししたいです」

 

緑谷達が驚いていると黒霧は荼毘達の後ろに黒い靄のワープゲートを作り出した。

コンプレスが黒い靄に向かって歩き始めると荼毘が言った。

 

「待て、まだ目標が…」

 

「ああ…アレはどうやら走り出す程嬉しかったみたいなんでプレゼントしよう。癖だよマジックの基本でね。モノを見せびらかす時ってのは…見せたくないモノがある時だぜ?」

 

コンプレスはそう言うと仮面を取り口の中から三つの球状の塊を見せ、障子の持っていた球状が氷の塊に変わった。

 

「「まっまさか…」」

 

「氷!?」

 

「俺の氷か!?」

 

「そう。氷結攻撃の際にダミーを用意し右ポケットに入れておいた」

 

「(圧縮して閉じ込める的な個性か!!?)」

 

緑谷達はコンプレスに向かって再び走り始めるが黒い靄の飲み込まれる荼毘とコンプレスの方が速かった。

 

「右手に入っていたモンが右ポケットに入ってんの発見したらそりゃ嬉しくて走り出すさ」

 

「待てえ!!!」

 

「そんじゃーお後がよろしいようで…ッ!?」

 

お辞儀をしてそうコンプレスが言っている最中、横からレーザーが照射されてコンプレスの仮面を破壊した。

茂みに隠れた青山がコンプレスに向かってレーザーを放ったからだった。

 

「青山くん!?」

 

「戻ってきてくれたの!?」

 

緑谷と耳郎が驚いているとコンプレスの口の中に入っていた球状の塊が吐き出され轟と障子が飛び出す。

緑谷も飛び出そうとしたか腕の痛みのせいで後ろに転がっていってしまった。

耳郎も飛び出そうとすると足にナイフが刺さり、痛みに耐えながらナイフが飛んできた方を見ると渡我が笑みを浮かべていた。

 

「いっ!!?」

 

「邪魔しちゃ駄目ですよ」

 

耳郎は倒れそうになりながらイヤホンジャックを伸ばして地面に刺してパチンコの様に身体を飛ばした。

障子が3つの内の一つの球状の塊をキャッチし、轟も手を伸ばすが荼毘に先にキャッチされてしまった。

 

「哀しいなあ…轟焦凍」

 

轟はそのまま地面を土煙を上げながら転がっていった。

 

耳郎は物凄いスピードで飛びながら必死に球状の塊に手を伸ばしたのだがキャッチ寸前のところでトゥワイスに取られてしまった。

 

「ヘタクソ!!大外れだな俺!!」

 

耳郎は土煙を上げながら転がるのを見たトゥワイスは渡我の近くに移動し、それを見た荼毘がコンプレスに言うのと同時に緑谷が荼毘達の方へ向かっていった。

 

「確認だ。叶大志のやつ以外を解除しろ」

 

「俺のショウが台無しだ!」

 

コンプレスがそう言いながら指を鳴らすと障子が持っていた塊が常闇に、荼毘が持っていた塊が爆豪に変わり荼毘が爆豪の首を掴んだ。

それを見た渡我が喜びながら変化がない球状の塊を見て言った。

 

「じゃあこれが大志くんなんですね!アジトでいっぱいお話ししましょうね!」

 

そう言いながら渡我とトゥワイスがゲートの中に入ると黒い靄が消えた。

 

「「叶!!!」」

 

轟と障子が叫ぶようにそう言っていると緑谷は何度も爆豪の名前を叫びながら必死に走った。

 

「かっちゃん!!かっちゃああああん!!!」

 

「…来んな…デク…」

 

黒い靄に爆豪は飲み込まれると靄が消え周りには蒼い炎で燃えている森しか残っていなかった。

 

「あ…―――っ…ああ!!!」

 

その後、ブラドキングが通報した警察と消防が到着し生徒達が倒した(ヴィラン)4名を現行犯逮捕したが結果は最悪だった。

 

プロヒーローの6名のち1名が頭を強く打たれ重体、1名が大量の血痕を残して行方不明となった。

 

生徒40名の内、重軽傷者12名。

ガスで昏倒していた生徒は叶大志により救助され数時間後に目を覚ました。

 

そして行方不明2名。

 

その日、ヒーローを目指す者達は(ヴィラン)達に完全敗北した――。

 

 

「叶…叶…っ…あああああああああああああああ!!!!

 

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