『理想郷』がヒーローになる物語   作:zorozoro

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指摘や評価などありがとうございます。


委員長と敵襲撃

オールマイトが雄英の教師に就任したというニュースは全国を驚かせ連日マスコミが押し寄せる騒ぎになった。

それを毎日のように対応する教師陣には疲れが見えていた。

俺達も登校時や下校時間の際にインタビューをされることがある。

このニュースは誰もが知っており、養護施設の子供達にもオールマイトはどうだったと聞かれている。

 

「昨日の戦闘訓練お疲れ。Vと成績、見させてもらった。爆豪、おまえもうガキみてえなマネするな。能力あるんだから」

 

「……わかってる」

 

「で、緑谷はまた腕ぶっ壊して一件落着か。個性の制御……いつまでもできないから仕方ないじゃ通させねえぞ。俺は同じこと言うのが嫌いだ。それ(・・)さえクリアすればやれることは多い。焦れよ緑谷」

 

「っはい!」

 

爆豪と緑谷に相澤先生がそう言うと雰囲気の変わったような気がした。

 

「さて次の本題だ……。急で悪いが今日は君らに……」

 

「「「(((何だ……!? また臨時テストかなんかか!?)))」」」

 

相澤先生の雰囲気が変わった瞬間、まだ出会って間もないはずのクラスメイトの心は一つになった。

 

「学級委員長を決めてもらう」

 

「「「学校っぽいの来たー!!!」」」

 

いい意味で予想は外れ、活気を取り戻したクラスメイト達は我こそはと手を上げる。

 

「委員長!!やりたいですソレ俺!!」

 

「ウチもやりたいス」

 

「オイラのマニフェストは女子全員膝上30センチ!!」

 

「ボクの為にあるヤツ☆」

 

「リーダー!!やるやるー!!」

 

「俺に!!やらせろ!!」

 

明らかに不純な動機の人がいたが、まぁ気持ちは分かる。

ヒーロー科の学級委員長は集団を導くというトップヒーローの素地を鍛えられる役だからな。

こういうことに熱心そうな切島や芦戸はともかく、爆豪まで立候補しているのが少し意外だと思った。

俺はこういうのには興味がないから手を挙げずにいると誰かに突かれる感覚があって、その方向を見ると耳郎がプラグで突いていた。

 

「叶は手を挙げないの?」

 

「俺はいい、興味がないからな」

 

「あー、大志はこういうのはしないぞ。どっちかというと大志は導くというより自分で解決したい奴だからな」

 

「静粛にしたまえ!!」

 

全員が好き勝手に喋っていたが飯田の一声で騒がしくなった教室が静まり返る。

 

「"多"を牽引する責任重大な仕事だぞ…!やりたい者がやれるモノではないだろう!!周囲からの信頼あってこそ務まる聖務…!民主主義に則り、真のリーダーを皆で決めるというのなら…これは投票で決めるべき議案!!!」

 

「「「腕そびえたってんじゃねーか!!」」」

 

飯田…、せめてその高くそびえたつ右手が下がってれば恰好がついていたのにな。

 

「何故、発案した?」

 

「日も浅いのに信頼もクソもないわ、飯田ちゃん」

 

「そんなん皆、自分に入れらぁ!」

 

「だからこそここで複数票を獲った者こそが真にふさわしい人間という事にならないか!?どうでしょうか先生!!!」

 

「時間内に決めりゃなんでも良いよ」

 

飯田の提案に相澤先生は寝袋に入りながら承諾し、誰が委員長にふさわしいかの投票が行われることになった。

俺は入学初日から委員長っぽい奴だなと思っていたから飯田に入れたのだが…。

 

「僕、三票ー!!!?」

 

結果は緑谷が三票、八百万が二票、俺と麗日と轟がゼロ票、他が一票となり、委員長は緑谷、副委員長は八百万に決まった。

 

「何でデクに!!誰が!!」

 

「まーおめぇに入るよか分かるけどな!」

 

緑谷に票が入っていたことに憤る爆豪が瀬呂に的確なツッコミをされていた。

 

「一票…誰かが俺に入れてくれたのか!だがさすがに聖職といったところか……!!」

 

「他に入れたのね…」

 

「お前もやりたがってたのに…何がしたいんだ飯田…」

 

地面に手をつき項垂れる飯田に八百万と砂藤がツッコミを入れた。

 

「じゃあ委員長緑谷、副委員長八百万だ」

 

「うーん悔しい…」

 

「ママママジでマジでか……!!」

 

「緑谷なんだかんだアツイしな!」

 

「八百万は好評の時のがかっこよかったし!」

 

委員長に抜擢されるとは思っていなかった緑谷は驚きのあまりガッチガチだった。

飯田は表情には出してなかったが悔しそうだった。

 

◆◆◆

 

「昨日も思ったけど、人すごいなあ……」

 

「ヒーロー科の他にサポート科や経営科の生徒も一堂に会するからな」

 

「お米がうまい!」

 

午前の授業が終わり俺と電気、耳郎、緑谷、飯田、麗日の六人は、食堂で一緒に昼食をとっていた。

 

「いざ委員長やるとなると、務まるか不安だよ……」

 

「ツトマル」

 

「大丈夫さ、緑谷くんのここぞという時の胆力や判断力は、多を牽引するに値する。だから君に投票したのだ」

 

不安を口にする緑谷を麗日と飯田が励ましていた。

というか緑谷に入った三票のうち一票は飯田か、麗日もゼロ票だったから緑谷に入れたんだな。

 

「でも飯田くんも委員長やりたかったんじゃないの?あんだけそびえたってたんだし、メガネだし!」

 

「何で自分に入れなかったんだよ。入れれば委員長は無理でも副委員長になれる可能性はあったのによ」

 

「"やりたい"とふさわしいか否かはまた別の問題…。僕は僕の正しいと思う判断をしたまでだ」

 

麗日と電気がそういうと飯田はそう返答をしていた。

 

あれ?今、僕って言ってなかったか?

 

「「「"僕"……!!」」」

 

飯田がしまった!というような顔をする。飯田ってもしかして…。

 

「ちょっと思ってたけど飯田くんて、坊っちゃん!?」

 

「坊!!!」

 

また麗日がばっさり言った…。悪気はないと思うけどそんなはっきりと言うなよ。

 

緑谷と麗日、そして電気はまじまじと飯田を見ていると。

 

「………そう言われるのが嫌で一人称を変えてたんだが…。ああ俺の家は代々ヒーロー一家なんだ。俺はその次男だよ」

 

「「「ええー凄ー!!!」」」

 

「ターボヒーロー、インゲニウムは知ってるかい?」

 

「もちろんだよ!!東京の事務所に65人もの相棒(サイドキック)を雇ってる大人気ヒーローじゃないか!!まさか…!」

 

「詳しい…それが俺の兄さ!」

 

「あからさま!!!すごいや!!!」

 

緑谷が知っていると答えたとたん、飯田はあからさまに機嫌がよくなって、メガネをくいっとしながら自慢げにそう言った。

言われてみれば飯田のコスチュームは明らかにインゲニウムを意識しているものだった。俺と同じようにヒーローの家族に憧れたんだな。

俺はそう思いながら食事を続けようとしたが…。

 

「………もしかしてだけど叶くんの両親って救いのヒーロー、『ホープ・フューチャー』?」

 

「っ!?」

 

その言葉に驚き、俺は緑谷を見た。気持ちを落ち着かせてから答えた。

 

「…ああ、そうだよ。よく分かったな」

 

「叶くんのコスチュームを見てなんとなくだけど、そうじゃないかって思って。ほら二人とも司祭に似たコスチュームを着ていたからさ」

 

「なんと、叶くんはホープのご子息だったのか…!そのヒーローのことは俺も知っている。とても残念な事件だったからね…」

 

「えっ?二人とも暗くなってどうしたの?事件って何?」

 

「…叶の両親に何があったの?上鳴は知ってんの?」

 

「えっ!?いや、その…」

 

(ヴィラン)に殺されたんだよ。俺が子供の時にな」

 

「「っ!?」」

 

「お、おい…!大志…!」

 

俺は両親が(ヴィラン)に殺されたことを伝えると耳郎と麗日が驚いていた。

まぁ、こんなことをいきなり伝えられたら驚くよな。

 

「そんな!?何で!?」

 

「理由は知らない。数名のヒーローと一緒に亡くなっていたということしかニュースになってないからな」

 

「叶くんは辛くないの?」

 

「辛かったよ、当時は絶望の淵に叩き落された。でも…」

 

俺はそこまで言うと電気の方を見て言った。

 

「俺を絶望の淵から救い出してくれた、ヒーローになってもいいと言ってくれたヒーローがいてくれたから立ち直れたんだ」

 

俺がそう言うと電気は照れくさく頬を掻いて、皆もそれを見て微笑み先程の暗い雰囲気が和らいだような感じがした。

だが、けたたましいサイレンが鳴り響くと張り詰めた空気に変わった。

 

「警報!?」

 

『セキュリティ3が突破されました。生徒の皆さんはすみやかに屋外へ避難して下さい』

 

「3!?」

 

「セキュリティ3て何ですか?」

 

「校舎内に誰か侵入してきたってことだよ!三年間でこんなの初めてだ!!君らも早く!!」

 

先輩に促され食堂から出ようとしたが同じく避難しようとする生徒の波にのまれてしまった。

パニックになった人の波によって緑谷達と分断されてしまった。

 

「いてえ、急に何なんだよ!!」

 

「皆、迅速に避難しようとして逆にパニックになっているな…!」

 

「一体、何が侵入したの?痛っ!?」

 

「うわー!!しまった―!!」

 

「電気!!」

 

「上鳴!!」

 

「このままだと俺達も危ないな…!耳郎、先に謝るごめん!」

 

「えっ?ちょっと叶!?」

 

俺は耳郎の手を取った後に引き寄せ、窓側に移動して耳郎を守るように壁に手をついた。

貴理子義姉さんが漫画のシチュエーションの練習だと言ってさせられた確か、壁ドンという体勢になっていた。

耳郎の顔を見ると顔が赤くなっていた。

 

「悪い、嫌だと思うけど我慢してくれ」

 

「……別に嫌じゃない。その…ありがとう」

 

耳郎はそう言うと顔を赤くしたまま俯いてしまった。

言葉では嫌じゃないと言っているが内心、怒っているのかもしれない。

 

「大丈―夫!!」

 

そう思っているとそんな声が聞こえたので、声がする方向を見ると飯田が非常口のピクトグラムのようなポーズで、パニックを起こした生徒達に呼びかけていた。

 

「ただのマスコミです!何もパニックになることはありません大丈ー夫!! ここは雄英!!最高峰の人間にふさわしい行動をとりましょう!!」

 

その声に他の生徒達もその声に落ち着きを取り戻していった。

俺と耳郎の周りの生徒も落ち着くと壁ドンの体勢から整えた。

耳郎はまだ顔が赤い状態だった。

 

「…やるじゃん。飯田」

 

俺は飯田の姿を見て、ボソッとそう言った。

 

その後、警察が到着しマスコミは撤退。

他の委員を決める前に緑谷が飯田に委員長の職を譲渡した。

電気やあの時現場にいたらしい切島も賛成したことで学級委員長は飯田になった。

 

◆◆◆

 

「今日のヒーロー基礎学だが……俺とオールマイト、そしてもう一人の3人体制で見ることになった」

 

マスコミの雄英侵入騒ぎの翌日。ヒーロー基礎学の授業にて相澤先生はそう切り出した。

 

「ハーイ!なにするんですか!?」

 

「災害水難なんでもござれ。人命救助(レスキュー)訓練だ!!」

 

そう言って相澤先生はRESCUEのカードを取り出す。

個性把握、屋内戦闘と来て人命救助か。救助は戦闘と並ぶヒーローの必須科目、今回も気が抜けない。

 

「レスキュー…今回も大変そうだな」

 

「ねー!」

 

「バカ、おめーこれこそヒーロー本分だぜ!?鳴るぜ!!腕が!!」

 

「水難なら私の独壇場ケロケロ」

 

「おいまだ途中」

 

騒がしくなった教室を相澤先生が一睨みで黙らせる。

 

「今回コスチュームの着用は各自の判断で構わない。中には活動を限定するコスチュームもあるだろうからな。訓練場は少し離れた場所にあるからバスに乗っていく。以上準備開始」

 

相澤先生の合図で皆が一斉に用意を始める。

それぞれコスチュームに着替えると飯田が委員長として俺達を誘導し始めた。

 

「バスの席順でスムーズにいくよう番号順に二列で並ぼう!」

 

「飯田くんフルスロットル……」

 

そう言っている飯田の姿を見て、俺は中学生時代のことを思い出していた。

中学生時代に俺と電気を目の敵にしていた生徒会長のことを。

 

「…ああ、嫌な奴を思い出した」

 

「どうしたんだ?大志?」

 

「いや、鳴神雷火(なるかみらいか)のことを思い出していた」

 

「…ああー、生徒会長ね。俺、あいつ苦手」

 

「奇遇だな、俺もだよ」

 

「…鳴神雷火って誰?」

 

そう俺の隣の耳郎が聞いてきた。

俺は溜息をついた後に説明をした。

 

「俺と電気の中学生時代の同級生。生徒会長をしていた女だ」

 

「結構キツイ性格しててさ。俺は服装が整っていないや女性にむやみやたらに声をかけるなって言われた」

 

「それはしょうがない。はっきり言ってアンタはアホだし」

 

「ひでぇ!?でも俺なんてまだ優しいほうで大志なんてもっと酷かった。目障りだからあっちに行けとか消えてくれない?とか言われたんだぞ」

 

「…それは酷いね。叶は優しいし、か…かっこいいしそんなことウチは思わない」

 

「………俺との評価の差がエグくない?」

 

耳郎の言葉に電気はショックを受けていると俺は文化祭でのことを思い出した。

 

「でも、あいつ一回だけ気でも触れたんじゃないかと思った行動があったな」

 

「えっ?何をしたの?」

 

「文化祭のミスコンに出たんだよ」

 

「えっ!?聞いてた感じ真面目そうな人なんでしょ?何で!?」

 

「知らねえ、俺と大志ビックリしたもん。アイドルの服装して顔を真っ赤にしながら踊って歌ってたんだよ。まぁ、綺麗な奴だったからギャップが凄くてミスコン優勝したけど…」

 

「君達、早く並びたまえ!!皆、待っているぞ!!」

 

そう飯田に言われて俺達も急いで列に並んだ。

バスに乗り、皆は席についたのだが…。

 

「こういうタイプだった、くそう!!!」

 

「イミなかったなー」

 

生憎とバスは市バスタイプのシートだったので、飯田の奮闘は全く意味をなさなかった。

俺の席は轟の隣だったのだが轟はすぐに寝てしまった。

耳郎はスマホに耳のプラグを挿して音楽を聴いていた。

俺も一眠りしようかと思っていると話し声が聞こえた。

 

「私思った事を何でも言っちゃうの緑谷ちゃん」

 

「あ!?ハイ!?蛙吹さん!!」

 

「梅雨ちゃんと呼んで。あなたの個性、オールマイトに似てる」

 

蛙吹……梅雨ちゃんの言葉で緑谷はとても驚いた様子だ。

まあでも確かに、緑谷の超パワーの個性にはオールマイトに通ずるものを感じる。

拳の一振りでビルを半壊させるなんて凄まじいパワーはオールマイトに匹敵するだろう。

 

「待てよ梅雨ちゃん、オールマイトはケガしねえぞ。似て非なるアレだぜ」

 

確かに切島の言う通り、オールマイトは凄まじいパワーを使うけど一発撃って終わりの使い切りじゃないな。

 

「しかし増強型のシンプルな個性はいいな!派手で出来る事が多い!俺の『硬化』は対人じゃ強えけどいかんせん地味なんだよなー」

 

「僕はすごくかっこいいと思うよ。プロにも十分通用する個性だよ」

 

「プロなー!しかしやっぱヒーローも人気商売みてえなとこあるぜ!?」

 

そんな会話をしているが俺は皆の個性も十分、強いと思っているからそんなことないと思っている。

 

「派手で強えっつったら、やっぱ轟と爆豪そして叶だな」

 

「ケッ」

 

「爆豪ちゃんはキレてばっかだから人気出なさそ」

 

梅雨ちゃん…自分で言うだけあって思ったことをそんなはっきりと言うのか。

 

「んだとコラ出すわ!!」

 

「ホラ」

 

「この付き合いの浅さで既にクソを下水で煮込んだような性格と認識されるってすげぇよ」

 

「てめェのボキャブラリーは何だコラ殺すぞ!!」

 

爆豪が騒ぎ出して隣に座っていた耳郎も迷惑そうな顔をしていた。

はっきり言って迷惑だから注意するか。

 

「うるせえぞツンデレ。騒ぐんじゃねえよ」

 

「「「ブフォ!!?」」」

 

俺がそう言うと電気、切島、麗日が吹いた。

 

「誰がツンデレだコラ!!」

 

「お前ってアレだろ?いじめっ子が好きな子に対して照れ隠しで虐めちゃう感じで緑谷に因縁つけてるんだろ?」

 

「ちげえわ!!死ね!!」

 

「緑谷と友情深めたいなら、そんな態度改めたほうがいいぞ?嫌われても知らないからな」

 

「友情じゃねえわ!!殺すぞコラ!!」

 

「…つまり…愛情ってこと…!?お前ってそっち系だったの!!?」

 

「本気で殺されてえようだな!!理想野郎!!!」

 

「大志…もう止めてくれ…!腹筋が死ぬ…!」

 

「「アッハハハハハハハハ!!」」

 

貴理子義姉さんが好きそうな性癖を爆豪が告白して俺は驚いた。

電気は腹を押さえ、切島と瀬呂が笑っていた。

 

「オイ、もう着くぞ。いい加減にしとけよ…」

 

「「「ハイ!!」」」

 

相澤先生の一声で静かになる車内。

しばらくして俺達1-Aを乗せたバスは訓練場に到着した。

 

「皆さん、待ってましたよ。早速中に入りましょう」

 

「スペースヒーロー13号だ!災害救助でめざましい活躍をしている紳士的なヒーロー!」

 

「わー!私好きなの13号!」

 

緑谷と珍しく麗日まで興奮してる…よっぽど好きなんだろうなあ。

なんだかほんわかした気持ちのまま、13号に連れられ訓練場の中に入る。

 

「すっげー!!USJかよ!!?」

 

訓練場の中には小規模の山や湖などが所狭しと用意されて、電気の言う通りテーマパークにしか見えない。

 

「水難事故、土砂災害、火事…etc.(エトセトラ)あらゆる事故や災害を想定し、僕が作った演習場です。その名も……USJ(ウソの災害や事故ルーム)!!」

 

本当にUSJだった…。色々と怒られたりしないのかが心配になってくる名前だ。

 

「えー始める前にお小言を一つ二つ……三つ……四つ……。皆さんご存じだとは思いますが、僕の個性は『ブラックホール』。どんなものでも吸い込んでチリにしてしまいます」

 

「その個性でどんな災害からも人を救い上げるんですよね」

 

「ええ……しかし簡単に人を殺せる力です。みんなの中にもそういう個性がいるでしょう。超人社会は個性の使用を資格制にし、厳しく規制することで一見成り立っているようには見えます。しかし一歩間違えれば容易に人を殺せる、いきすぎた個性を個々が持っていることを忘れないでください。相澤さんの体力テストで自身の力が秘めている可能性を知り、オールマイトの対人戦闘でそれを人に向ける危うさを体験したかと思います。この授業では……心機一転!人命のために個性をどう活用するかを学んでいきましょう。君たちの力は人を傷つける為にあるのではない、(たす)ける為にあるのだと心得て帰って下さいな。以上!ご清聴ありがとうございました」

 

「ステキー!!」

 

「ブラボー!!ブラーボー!!」

 

「よし、そんじゃあまずは……」

 

話を終えた13号に代わり、相澤先生が次の指示を出そうとしたその時だった。

噴水前に黒い靄が生じる。その中から、顔に手を付けたような風貌の男が顔を出した。

俺はその男を見て、背筋に悪寒が走った。

 

「一かたまりになって動くな!」

 

「え?」

 

「13号!!生徒を守れ!!」

 

命を救う訓練時間に俺らの前に現れた。

 

「何だアリャ!?また入試ん時みたいなもう始まってんぞパターン?」

 

「動くな!あれは(ヴィラン)だ!!!」

 

ヒーローが何と戦い、何と向き合っているかを俺は忘れていた。

 

「13号にイレイザーヘッドですか……。先日頂いた教師側のカリキュラムでは、オールマイトがここにいるはずなのですが……」

 

「やはり先日のはクソ共の仕業だったか」

 

「どこだよ…せっかくこんなに大衆引き連れてきたのにさ…オールマイト…平和の象徴…いないなんて…子供を殺せば来るのかな?」

 

アメリカでスターアンドストライプに会うために戦った際にも感じた。

 

途方もない悪意が俺達に牙をむいた。

 

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