「本当に野生のポケモン多いね」
「きずくすり多めに持っておいて良かった」
ヒロト、ユイナ、ツムギの三人は、現在山から降りていた。この三人は同じ町から同時期に旅に出た、いわゆる同期だった。それぞれ別々に旅をしていたため、会う機会は中々なかった。本日、久しぶりに三人で再開した。そして今は、みんなで山を越えようとしているのであった。
「ん?」
「どうしたのツムギ?」
「静かに。なんかうねり声が聞こえてこない?」
「この辺りにポケモンが潜んでいる気が」
次の瞬間、三人の目の前に顔を出したのは、巨大なイワークだった。
「お、おっきい」
ユイナはイワークの姿を見て呆然と立ち尽くす。バトル慣れしているツムギが、即座にボールからカメールを出した。
「カメール、みずでっぽう!」
カメールが水を噴射するが、イワークはその攻撃をするりとかわした。
「避けられた……やっぱりイワークって意外と素早い」
ワンテンポ遅れて、ヒロトがボールからガラガラを出して、応戦しようとした。イワークは、まだポケモンを出していないユイナへ襲いかかろうとしていた。
「いやっ……こっちこないで!」
ツムギのカメールが甲羅に潜った状態でユイナを突き飛ばす。カメールはユイナの代わりにとっしんを喰らってしまった。しかしすぐさま体制を立て直し、再度みずでっぽうを放つ。
みずでっぽうはイワークに命中。効果ばつぐんの攻撃で呆気なくダウンした。
「あ、今ので倒れたのか。ガラガラ出す意味なかったな」
ヒロトは頭を掻きながら言った。
「危なかったー。ユイナ大丈夫?」
ツムギはカメールをボールに戻した。
「私は大丈夫。カメールは平気なの? とっしん思いっきり喰らってたけど大丈夫?」
「問題ないよ。イワークは意外と攻撃の種族値が高くないから」
「あれ? ……私生きてる? ヒロトのガラガラが助けてくれたの? ありがとう!」
「ん? ガラガライワーク倒してたの? ガラガラお疲れー」
ヒロトは首を傾げながらガラガラをボールに戻した。
「ふう、ともかくユイナが無事で良かった」
「怖かったー。死んだかと思った」
「ユイナがいなくなったらと思うとゾッとするよ。僕のたった一人の友達なのにね」
数時間後、ヒロトとユイナはようやく山を乗り越えた。
「ヒロトは次の町に用事があるんだよね」
「うん、ユイナは?」
「私はその次の町まで行かなくちゃ。次のコンテストがそこで開かれるから」
「分かった。じゃあ次の町でお別れだね」
「そっか……またいつか会おうね」
こうして、ヒロト、ユイナの二人は次の町まで向かったのであった。