ポケモン、クセが強い短編集   作:@逆行

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25.しゃべるポケモンとしゃべらないポケモンの違いがわからない話

 今まで全く入ったことがない地方に、足を踏み入れた。この地方にはどんなポケモンがいるのか。とりあえず、草むらを歩いてみようと思った。

 

 

 しばらく歩くと、野生のルカリオが技の修行をしていた。

『ルカッ』

「ルカリオなんて珍しい。こんなところにいるんだ」

 左を見ると野生のミミロップもいた。

『ミミロップ!』

「へえ、進化前は多いが進化後もいるのか」

 少し歩くと、ムンナというポケモンがいた。

「ムンナかあ。イッシュ以外にもいるんだ」

『どこか眠ってるポケモンいないかなあ。夢食べたいんだけど』

「!?」

 一瞬空耳だろうと思ったが、そんな訳はない。

 間違いなくムンナが喋っていた。それも流暢な日本語で。

「ムンナって日本語喋れたのか」

『あんなところに変な人間がいる』

 振り向くとソーナンスがこっちを見ていた。

「お前もかよ……」

 ソーナンスも、喋ることができるらしい。

 お前の方が変なポケモンだろ、とツッコミたくなったが、それより喋るポケモンがいることに驚いた。

 そして、俺は気がついた。

「……逆じゃない?」

 ルカリオやミミロップが喋れなくて、ムンナやソーナンスが喋れる。この状況に違和感を持った。

「ルカリオやミミロップの方が、喋りそうなイメージあるが」

 ルカリオは波導でやり取りできそうだし、ミミロップも人間に近い見た目だ。

 どう考えても喋れそうなのは、こっちの二匹。

「ムンナやソーナンスは人間に似てないし、なんで喋れる?」

 

 

 少し考えて俺は答えを出した。

「分かった。そういうことか」

 ムンナやソーナンスは、特性がテレパシーだ。だから話せる。ルカリオやミミロップは違う。

「なーんだ。簡単なことじゃないか」

 疑問も解決したところで、先へと進んだ。

 トレーナー同士がバトルをしていた。片方のトレーナーは、ボールからオクタンを出す。

『うう……水中じゃないと戦いにくい……』

 オクタンはボールから出た途端、日本語を喋り出す。

「まじかよ。オクタンも喋るのか。そんなイメージないのに」

 オクタンもムンナやソーナンス同様、喋ることが判明した。

 オクタンの特性はテレパシーではない。つまり先程の仮説は間違いだ。

「じゃあどういうことだ。ムンナ、ソーナンス、オクタンの三匹に、なんか共通点あるのか」

 しばらく考えて答えを導き出した。

「そういうことか。完全に理解した」

 三匹とも、耳がないのだ。耳がないポケモンは、聴覚を発達させられない分、喋る能力を発達させている。そうに違いない。ルカリオもミミロップも、立派な耳がある。だから喋れない。

「確定だなこれで。大正解だ」

 オクタンがやられた後、トレーナーはボールからルガルガンを出す。

『オクタンの奴だらしねえな。仕方ねえなんとかするか』

「ルガルガンも喋れるのかよ!」

 耳がないポケモンは喋れると言ったが、前言撤回。ルガルガンには、思いっきり耳がある。

「ちょっと待て。じゃあどうしてだ。ムンナ、ソーナンス、オクタン、ルガルガンはなぜ喋れる? テレパシーだからでもない、耳がないからでもない……」

 そういうことか。俺は最強に完全に分かった。

「名前に『ん』が入っているポケモンは、喋れるんだ」

 四匹とも名前に『ん』がある。ルカリオ、ミミロップには入っていない。

 そうだ。もうそうとしか考えられない。他に共通点が見つからない。

 正直全く納得いかない。だが、もうそういうことで結論づけよう。

 

 

 今度は野生のクイタランが現れた。

『アイアント食いてえ。このあたりにいねえかな』

 アイアントには『ん』が入っている。

 法則通りだ。やはり『ん』がつくポケモンは喋れる、ということで正解だ。

『クイタランをストーンエッジでボコボコにしてえ』

 野生のアイアントがいた。

 アイアントも名前に『ん』がある。法則を乱していない。

「やはりこの説が正しい」

 そして、今度はウツドンを見つけた。

『ついにリーフの石を見つけた!』

 ウツドンはリーフの石に触ろうとしていた。

「や、止めろ! 進化するな! 法則が乱れる!」

 俺の叫びも虚しく、ウツドンは進化してしまった。

 望みは薄いが、ウツボットは喋らないことを祈った。

『やった! 俺も進化できる時がきた!』

「くそっ、途中まで法則通りだったのに!!」

 結局、喋るポケモンと喋らないポケモンの違いは、分からない。

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