今まで全く入ったことがない地方に、足を踏み入れた。この地方にはどんなポケモンがいるのか。とりあえず、草むらを歩いてみようと思った。
しばらく歩くと、野生のルカリオが技の修行をしていた。
『ルカッ』
「ルカリオなんて珍しい。こんなところにいるんだ」
左を見ると野生のミミロップもいた。
『ミミロップ!』
「へえ、進化前は多いが進化後もいるのか」
少し歩くと、ムンナというポケモンがいた。
「ムンナかあ。イッシュ以外にもいるんだ」
『どこか眠ってるポケモンいないかなあ。夢食べたいんだけど』
「!?」
一瞬空耳だろうと思ったが、そんな訳はない。
間違いなくムンナが喋っていた。それも流暢な日本語で。
「ムンナって日本語喋れたのか」
『あんなところに変な人間がいる』
振り向くとソーナンスがこっちを見ていた。
「お前もかよ……」
ソーナンスも、喋ることができるらしい。
お前の方が変なポケモンだろ、とツッコミたくなったが、それより喋るポケモンがいることに驚いた。
そして、俺は気がついた。
「……逆じゃない?」
ルカリオやミミロップが喋れなくて、ムンナやソーナンスが喋れる。この状況に違和感を持った。
「ルカリオやミミロップの方が、喋りそうなイメージあるが」
ルカリオは波導でやり取りできそうだし、ミミロップも人間に近い見た目だ。
どう考えても喋れそうなのは、こっちの二匹。
「ムンナやソーナンスは人間に似てないし、なんで喋れる?」
少し考えて俺は答えを出した。
「分かった。そういうことか」
ムンナやソーナンスは、特性がテレパシーだ。だから話せる。ルカリオやミミロップは違う。
「なーんだ。簡単なことじゃないか」
疑問も解決したところで、先へと進んだ。
トレーナー同士がバトルをしていた。片方のトレーナーは、ボールからオクタンを出す。
『うう……水中じゃないと戦いにくい……』
オクタンはボールから出た途端、日本語を喋り出す。
「まじかよ。オクタンも喋るのか。そんなイメージないのに」
オクタンもムンナやソーナンス同様、喋ることが判明した。
オクタンの特性はテレパシーではない。つまり先程の仮説は間違いだ。
「じゃあどういうことだ。ムンナ、ソーナンス、オクタンの三匹に、なんか共通点あるのか」
しばらく考えて答えを導き出した。
「そういうことか。完全に理解した」
三匹とも、耳がないのだ。耳がないポケモンは、聴覚を発達させられない分、喋る能力を発達させている。そうに違いない。ルカリオもミミロップも、立派な耳がある。だから喋れない。
「確定だなこれで。大正解だ」
オクタンがやられた後、トレーナーはボールからルガルガンを出す。
『オクタンの奴だらしねえな。仕方ねえなんとかするか』
「ルガルガンも喋れるのかよ!」
耳がないポケモンは喋れると言ったが、前言撤回。ルガルガンには、思いっきり耳がある。
「ちょっと待て。じゃあどうしてだ。ムンナ、ソーナンス、オクタン、ルガルガンはなぜ喋れる? テレパシーだからでもない、耳がないからでもない……」
そういうことか。俺は最強に完全に分かった。
「名前に『ん』が入っているポケモンは、喋れるんだ」
四匹とも名前に『ん』がある。ルカリオ、ミミロップには入っていない。
そうだ。もうそうとしか考えられない。他に共通点が見つからない。
正直全く納得いかない。だが、もうそういうことで結論づけよう。
今度は野生のクイタランが現れた。
『アイアント食いてえ。このあたりにいねえかな』
アイアントには『ん』が入っている。
法則通りだ。やはり『ん』がつくポケモンは喋れる、ということで正解だ。
『クイタランをストーンエッジでボコボコにしてえ』
野生のアイアントがいた。
アイアントも名前に『ん』がある。法則を乱していない。
「やはりこの説が正しい」
そして、今度はウツドンを見つけた。
『ついにリーフの石を見つけた!』
ウツドンはリーフの石に触ろうとしていた。
「や、止めろ! 進化するな! 法則が乱れる!」
俺の叫びも虚しく、ウツドンは進化してしまった。
望みは薄いが、ウツボットは喋らないことを祈った。
『やった! 俺も進化できる時がきた!』
「くそっ、途中まで法則通りだったのに!!」
結局、喋るポケモンと喋らないポケモンの違いは、分からない。