ポケモン、クセが強い短編集   作:@逆行

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26.ガラル地方で推薦状をもらった人が復讐される話

 彼はガラル地方を旅しているトレーナーだ。推薦状をもらい、ジムチャレンジをしている。

 彼は次の町に辿り着いた。この町はジムはないが、必ず通過しなければいけない。

 町には美味い和食店があると聞いていた。カウンター席しかないお店で、板前の腕がよいと評判だ。

 お腹も空いていたので、さっそくその店に向かった。

 

 

「着いたここだ」

 和食店のドアを開けた。

「いらっしゃい。おお! この辺りでは見かけない顔だな」

 板前がさっそく声をかけてきた。

「はい、旅をしている者なので」

「ジムチャレンジか?」

「そうです」

「おおー! すごいなあバッジは今何個とかだ?」

「七個目です」

「もうベテランさんじゃないか」

「いえいえとんでもない。自分なんかペーペーですよ」

 板前は気さくに話してくれる。まだ肝心の料理を食べていないが「よいお店だなあ」と思った。

「おじさんもジムチャレンジしたかったけどなあ。推薦状とかもらえんかったわ」

「自分ももらうの苦労しました」

「ええなあ推薦状もらえた人は。俺はそういう知り合いとか、一人もおらんかったから。で、兄ちゃん、今日はどうしたんだ?」

「こちらのお店は美味しいって聞いたんで、食べたいと思いまして」

「あーそれは駄目だわ」

「はい?」

「うちわな、一見さんお断りなんで」

「え?」

 一見さんお断りとは、店に関わりがない人は入店を断られること。

 店に入るには、関わりある人から何らかの形で紹介される必要がある。

「申し訳ないが、帰ってもらえる?」

「え? いや、でも」

「悪いな兄ちゃん。二十年そういうルールでやってるんですわ」

 納得行かなかったが、仕方なく店を出ていった。

「一見さんお断りなら、もっと早く言ってくれよ。なんであんなフランクに喋ってきたんだ」

 

 

 夜遅いので彼は、旅館に泊まることにした。近くによさそうな旅館を見つけた。

「いらっしゃい。まあすごくイケメンが来たわねえ」

 受付には、旅館の女将さんがいた。女将さんも気さくに話してきた。

「いや、そんなことないですよ」

「おいくつなんですか?」

「十四です」

「あらー私が若いときなら間違いなく狙っていたわ」

「はあ」

「ジムチャレンジをやってるの?」

「そうです」

「すごいわねえ。私にもね、あなたぐらいの年齢の息子がいるんだけど、旅とか全然やらないのよ。ずっと家でゴロゴロしてて、やんなっちゃうわ」

「今日はここに泊まらせてもらいますか?」

「あらごめんなさい。うちは一見さんお断りなのよ」

 彼は数分前に聞いたセリフを、ここでも聞かされた。

「ここもなんです?」

「三十年そういう決まりでやってるの。ごめんなさいね」

「早く言ってくださいよ」

「え? なんか言った?」

「いや、なんでもないです」

 彼は他の旅館やお店にも行ったが、全部一見さんお断りだった。

 この町には、彼の居場所はどこにもない。

「なんだよこの町。胸糞悪い。もういいわ」

 彼は怒りを顕にしながら、町から出ていった。

 

 

「ふん。どうだ『一見さんお断り』と言われる辛さは」

 先程彼が行った和食店の板前はこのように呟いていた。

 板前は、推薦状をもらったトレーナーが来店したとき、先程のような扱いを必ずしている。

「誰かからの紹介が得られないと何もできない苦しみを、味わうがよい」

 

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