住んでいた森が住めなくなった関係で、コノハナはこの森へ移住した。
コノハナは引っ越した場所の隣に住むハスブレロに、引っ越しの挨拶をした。
「今日からこの森に……住むことになった。よろしく」
コノハナは元気よく声をかけた。
「え? そうなんだ。こちらこそ、よろしく」
ハスブレロはコノハナがやってくると、挨拶を返した。ハスブレロはオレンの実を齧っていた
「この森は良いところだよ。広いし、縄張り争いも少ない」
「そうなんだ。この森来て……良かった」
「近くに人間の町があるから、そこには行かない方が良い。前に行ってひどい目にあった」
「分かった。人間には……近づかない方が良いよね。気を……つけるよ」
ハスブレロは会話中、定期的にオレンの実を口に入れている。
「ところで君……なんでオレンの実ちょこちょこ……食べてるの?」
「え?」
「別に良いけど。気になったから」
「自分って体力勝手に減るんだよね。だからオレンの実で定期回復しないといけないんだ」
「はい?」
コノハナは言っていることが理解できなかった。
「体力って何?」
「HPだよHP。定期的に回復しないと、ひんしになっちゃうんだ」
コノハナは、嫌な予感がしていた。
「いつから……そうなの?」
「今から五年前。人間の町に迷い込んで、それからだった」
「そのとき何かなかった?」
「確か、人間のポケモンに追いかけられて火炎放射を喰らったなあ」
コノハナはなぜ、ハスブレロの体力が減るのか理解した。
「やけど状態じゃない……それ?」
「やけど状態?」
「状態異常って……知ってる?」
「知ってる。どく状態とかでしょ」
「やけどは……状態異常の中の……一つだよ。炎技を喰らうと、稀にそうなる。やけど状態になると、ちょっとずつダメージを受けるんだ」
「そうなの! 全然知らなかった。自分五年もやけど状態なのか」
「一旦ひんしになって回復すれば治るけど、オレンの実……食べ続けていたから……治らなかったんだ」
「マジか。この辺炎タイプいないから、やけどなんて状態異常があるって知らなかった」
ハスブレロは、五年も無駄にダメージを受けていた。不憫だなあとコノハナは同情した。
「やけど状態は……チーゴの実を……食べると……治るよ」
「教えてくれてありがとう! 長年の悩みがようやく解決だ」
「じゃあ、僕は……これで」
「あ、ちょっと待って」
コノハナは去ろうとしたが、ハスブレロは引き止めた。
「君、なんでたまに動きが止まっているの?」
「動きが止まるって……なんのこと?」
「ほら今『動きが止まるって』って言った後、一瞬固まったじゃん」
「ああこれのことか。なんかたまに……体が痺れて動かなくなるんだ。五年前からこうだから、もう当たり前に……なっちゃったよ」
ハスブレロは、嫌な予感がしていた。
「まひ状態じゃないのそれ?」
「何それ?」