町の外れにひそかに建っている研究所。ここでは、非合法なことが行われていた。
研究所の目的は、ポケモンの言葉を翻訳する機器を開発することだ。研究者たちは、翻訳機器を開発しポケモンとセットで売ることを企んでいた。
昔からこの組織はポケモン販売を行ってきた。だが最近、売上がガクンと落ちてしまった。
そこで考えたのが、ポケモンと翻訳機器のセット売りだ。ポケモンとコミュニケーションが取れるとなれば、みんな買いたい筈だ。彼らはそう考えたのだ。
研究所にはポケモンたちがいて、実験に使われていた。
ポケモンにストレスを与えないよう、高級な食事を与えるなど、快適な環境を用意する必要があった。ストレスを与えたら喋らなくなり、実験にならなくなってしまうから。多少出費が嵩むが、仕方ない。
「よし、今日こそ成功させるぞ」
研究者の一人は今日も実験を行っていた。ポケモンたちの中からペルシアンとニョロゾだけ別室に移動させ、二匹だけで会話させた。二匹の首輪には、翻訳機がついている。
ペルシアンとニョロゾの様子を、男はモニターで監視した。
『はじめました! 私はペルシンという種族のぽけっともんです。何のあなたはですぽけっともんか?』
『僕達はニョゾというぽけっともんです。おねがいよろしくします』
『そこって何の施設なんでしょうか?』
『そこはポの言葉を翻訳研究する施設とはでしょうか』
『へえーそこなんですね。我々の話し内容、人間間に伝わっ楽しいよです』
惜しい。実にもったいない。会話の内容は分からなくはないが、おかしい部分が多い。
「これでは、まだ売り物にはできないな……」
男は下唇を噛みながらそう言った。
『そこにして、最近暑くってきた。水系ですが暑いは苦です』
『暑いは私は苦ですね』
『最近冬へ夏に一気なる年多い。春が短なってきたする気がです』
もう少し続けたが、やはり上手くいかなかった。
「くそっ!」
男は苛立ちデスクを叩いた。
「だが惜しい所まではいっている。ここで諦めるのはもったいない」
男は一度深呼吸し、気持ちを落ち着かせた。
「全く翻訳できないなら諦めるんだがな……。よし、他のポケモンでも試そう」
一方その頃。研究所の控室にいるポケモンたちは、爆笑していた。
「ハハハ。あいつは馬鹿だよ。とっくに翻訳機はできているのに。それに気が付かないなんて」
そう。彼らはわざと『壊れた言葉』を喋っていた。「ポケモン」を「ぽけっともん」と言うなど、少しずつ言葉を間違えていた。「意味はギリ分かるがおかしい」会話を意図的に作っていたのだ。
彼らは、研究所のこの快適な環境に、できるだけ長く居たかった。売られたくなんてないに決まっていた。だから、こんなことをずっと続けている。
「でも、あれだよね。ここにずっといるのも飽きるよね。そしたらどうしよう?」
「飽きたらさあ、実験中『あああああああ』とか喋ればいいじゃん。そしたらさ、あいつは諦めて僕らを逃がすでしょたぶん」
ポケモンたちは「そうしよう!」と意気投合していた。