ポケモン、クセが強い短編集   作:@逆行

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39.最初のポケモンを御三家から選びたくない話

 この少年は来週、オーキド博士から最初のポケモンを貰う予定だった。少年だけでなく、他のみんなもそうだった。フシギダネ、ヒトカゲ、ゼニガメの三匹から、一匹選ぶ。そしてトレーナーとして旅を始めるのだ。

 公園ではみんなが最初のポケモンを誰にするかで、盛り上がっていた。だが、少年は彼らの輪の中に入らず、遠くのベンチに座って彼らを冷ややかな目で見ていた。

「はあ〜なんで最初のポケモンは、三匹から選ばないといけないのか」

 この少年は、みんなと同じことをするのが嫌だった。

 他の人とは違うことがしたい。そういう捻くれた考えの持ち主だった。

 だから、最初の三匹には興味が持てなかった。出来ればそれ以外をパートナーにして旅したいと思っていた。

 

 

 公園から帰るときのことだった。

 森の方から悲鳴が聞こえた。少年は何事かと思い、森の中に入っていた。こういう時に好奇心が恐怖心に勝るのが子供らしいところである。

 森の中を歩いていると、倒れている一匹のポケモンを見つけた。恐らく、他の野生ポケモンに襲われたのだろう。明らかに虫の息の状態だった。

 少年は急いで、持っていた傷薬をポケモンに使ってあげた。しばらくして、ポケモンは元気になった。

 回復したポケモンは少年に体を寄せてきた。少年はポケモンと、仲良くなることができた。

 これは運命の出会いだと思った。少年は決めた。このポケモンと旅立とう。フシギダネでもヒトカゲでもゼニガメでもない、ポケモン。彼を連れて自分は、カントー地方を旅するのだ。

 そうだ、みんなとは違う道を行こう。

 少年は旅するまで使わないと思っていた、赤い球を取り出した。

 赤い球を目の前で見せたとき、ポケモンはこくんと頷いた。

 

 

 旅立ちの日。みんなはオーキド博士の研究所に集まる。最初のポケモンを順番に貰っていた。

 少年も、研究所へとやってきた。

「おお、君もようやく来たか。最初のパートナーを選んでくれ。みんなはもう決めたぞ」

 オーキドはそう言ったが、

「いえ、僕はこのポケモンと旅します」

 少年はそう答えた。

「どういうことじゃ?」

「僕はみんなとは、違う道を進むことにしました!」

 オーキドは、関心した表情を見せた。

「みんなとは違う道……ほう、面白い!」

 少年はボールを宙に投げ、堂々と自身のパートナーを出した。

 だが、ポケモンの姿が見えたとき、オーキドはなんとも言えない、憐れみの表情に変わった。

「君、これが何のポケモンか分からんのか」

「はい?」

「これはリザードじゃぞ。ヒトカゲが進化した姿じゃ」

「ヒトカゲの?」

 少年は御三家に興味がなかった。だからこのポケモンが、リザードであると知らなかった。

 つまり彼は「みんなと違う道を進みます!」と言いながら、御三家の進化系を出してしまったのだ!

 もう一度言う。「みんなと! 違う道を! 進みます!」と言いながら。

「(うわあ、ちょっと待って、なにこれ、めっちゃ恥ずかしい……)」

 ヒトカゲより一回り大きいそのポケモンを見た子供たちが、口々に言った。

「ずるいぞ! お前だけ進化系でスタートするなんて」

「うわあ……他の人より有利になろうとして、進化系で旅立とうとしてるよ……」

 少年は顔を真っ赤にしていた。「違う! そんなつもりじゃなかった!」と言いたかった。

「じゃ……じゃあ君はリザードを選ぶんじゃな……」

 気まずい雰囲気を打破しようとしたオーキドの一言が、少年にトドメを与えた。

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