「くそっ、逃げられない」
探検隊のヒコザルとナエトルは、お尋ね者のストライクを追い詰めた。
「一か八か」
ストライクはナエトルを鎌で切り裂いた。
「うっ」
ナエトルの体のあちこちが切られる。
その間、ストライクにヒコザルが火炎放射を放つ。効果抜群の技にたまらずダウンした。黒焦げになりぐるぐる目で倒れている。二匹はお尋ね者の捕獲に成功した。
このヒコザルは元々人間だったが、ポケモンに転生した。ナエトルと出会い、現在探検隊として活動中。こっちの生活にも慣れてきた。
翌日、二匹はダンジョンの最奥までやってきた。
「ずいぶん奥まできたね」
「ここまで来た者は誰もいないらしい」
突然地面が揺れた。
「何?」
頭上から突如レジロックが現れた。レジロックは伝説のポケモンの一匹だ。
「そんな! レジロックが潜んでいたとは!」
「どうする?」
「戦うしかない」
厳しい戦闘になると分かっていた。だが、逃げ場もないので戦うしかない。
相性の良いナエトルが前線で戦い、ヒコザルが後ろでサポートした。
「全然攻撃が効かない」
相手は、効果抜群の技でもびくともしない。
レジロックは岩雪崩を繰り出す。ナエトルは諸に受けてしまった。
「大丈夫?」
「なんとか」
「え?」
ヒコザルはナエトルの姿を見て驚愕した。彼の右手から血が出ていた。
「どうした?」
「なんで血が出てるの?」
「ああ」
「ポケモンって血出ないでしょ。ストライクの切り裂くでも出てなかったし」
「知らなかったの?」
「え?」
「ポケモンはシリアスなシーンになると、血が出るんだよ」
「……はあ? なにそれ!」
「緊迫した戦闘になると、血液が外に飛び出しやすくなる」
「ごめん全く意味分からない。みんなそうなの?」
「うん。みんなそう。そっか、今まで軽いバトルばかりだったからね」
「というかシリアスって何!? なんで状況次第で血が出たり出なかったりするんだよ」
「そういうシステムだから」
「どういうシステムだよ!」
「あっ」
ナエトルは再び攻撃を食らった。
だが、今度は血が出ていない。
「あれ? 血出てないじゃん」
「……ありがとう! ヒコザルがツッコんでくれたおかげで、シリアスなシーンじゃなくなった!」
どうやらヒコザルのツッコみが場の空気を変えたらしい。
「そうなの!? 良かったー。これで痛々しくなくなった」
「でもレジロックには勝てないわ」
「そりゃそうだ。シリアスじゃなくても勝てないのは一緒だ」
「伝ポケだもん仕方ないよね」
レジロックの破壊光線を食らった二匹は黒焦げになった。