ポケモン、クセが強い短編集   作:@逆行

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44.名前で戦術バレするトレーナーの話

「いけっ! バトンハナ!」

 トレーナーが勢いよくボールを投げる。ボールからキレイハナというポケモンが登場した。

 キレイハナは、バトンタッチという技を持っていた。能力変化を残したまま、控えのポケモンに交代できる技だ。キレイハナは蝶の舞で能力を上げ、バトンタッチを使うのを基本戦術としていた。

 だが数分後。キレイハナは呆気なく敗れてしまった。

「うーん。上手くいくと思ったんだが」

 バトルを終えたトレーナーは、ポケモンセンターで頭を抱えている。

「悪いけどキレイハナ、少しの間ボックスで休んでてくれるか。他のポケモンも試したいんだ」

 こうしてキレイハナは、ボックスへ入れられた。

 

 

 ボックスに入れられたキレイハナは、トレーナーに不満を抱いていた。

「なんで私に『バトンハナ』って名前付けたの! 戦術バレるに決まってるじゃん!」

 キレイハナは『バトンハナ』という名前を付けられたせいで、バトンタッチを覚えていることが、相手にバレてしまっており、それが敗北の原因になっていたのだ。

「マスターは気が付いてないんだろうなあ……。私の名前に致命的問題があるってこと」

 すぐに名前を変えて欲しいと、キレイハナは切実に願っていた。

 

 

「君も同じ目にあってるの?」

 キレイハナに話しかけてきたのは、マリルリというポケモンだ。

「え? じゃあもしかして……」

「ボクは『ウタウリ』という名前を付けられてるんだ。おかげで、滅びの歌持ってることがバレバレさ」

「うわあ……私だけじゃなかったんだこの問題……」

「絶対駄目だよ。この名前の付け方」

 

「君たちもか。実は俺もなんだよ」

 今度はブラッキーが話しかけてくる。

「俺は『ブツリッキー』という名前を付けられてる。物理受けってことがバレバレ。特殊受けの可能性だってあるだろうに」

「『ブツリッキー』ってなんか、名前としても微妙だね……」

「まったくだ。死ぬほど語呂が悪い」

 

「はあ……私もなんだよね」

 続いてアブリボンが話に入ってきた。

「私は『コダワリボン』という名前なの。『こだわり系アイテム持ってそう』って相手が身構えるんだよねいつも。もう全然勝てなくて嫌になっちゃう……」

 

 

「はあ……みんな大変なんだね……」

「このままじゃ黒星が増えるばかりだ。早く誰かマスターに教えてあげないと」

「無理だよ。ポケモンの言葉は人間には伝わらないし」

「っていうかさ、周りのトレーナーも教えてあげろよ」

「絶対教えないよ。教えたら自分が不利になるんだから」

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