ポケモン、クセが強い短編集   作:@逆行

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47.『しねしねこうせん』とかいう技名を考えた奴らの話

 二人の人間が部屋で話合っていた。

「まずいぞ、納期まで三時間しかない」

「後一問考えれば終わりだ。このチャンスを逃す訳にはいかない」

 二人はクイズ作家として活動する身だ。主に、雑誌に掲載する用のクイズの作成依頼を受けている。

 今回は雑誌ではなく、なんとグレンジムからの依頼だった。

 グレンジムは挑戦者にクイズを出すらしく、そのクイズの作成を彼らに依頼してきた。いわゆる外注だ。雑誌のクイズよりも単価は遥かに高い。何が何でも二人はノーミスでクイズを納品したかった。

 部屋にあるホワイトボードには、このように書かれている。

 

 わざマシン28とは、○○である。(答えは×にする予定)

 

 〇〇に入れる言葉を、さっきから考え続けていた。

「〇〇に入れるのは、なんでも良いんだよな」

「ああ、答えは『×』だからな。ポケモンの技でなくていい。適当な技名を入れればいいだけ」

「しかし、その適当な技名で良いのが浮かばないんだよな。センスの良い架空の技名が思いつかない」

「とりあえずお前、頭に浮かんだ適当な技名を、ひたすら言ってくれないか?」

「は?」

「パッと思いついた技名を並べてくれ」

「……なんでも良いのか?」

「お前が言った技名を、俺が速攻で『ボツ』か『採用』か判定していく」

「お前が判定するのか」

「納期まで時間がない。とにかく数を出しまくって、それから良いものを抽出していこう」

 

 

「分かった。じゃあいくぞ」

「こい」

「ハイパーガトリングワイパー」

「ボツ」

「レーザーストロングフィンガー」

「ボツ」

「トルネードスプラッシュサンダー」

「ボツ」

「ファイナルパワフルアタック」

「ボツ」

「ゼルメルツガード」

「ボツ」

「スラッシュエレザード」

「ボツ」

「パワフルアンダーストリップ」

「ボツ。お前真面目にやってるのか」

「やってるよ」

「碌なのが一つもないぞ」

「お前が、頭に浮かんだ適当な技名を片っ端から言えって」

「本当に適当じゃねーか。なんだよ、パワフルアンダーストリップって」

「しょうがねーだろ。頭に浮かんだんだから」

「まあいい。もっと技名案出せ」

「サウザンドキラーファイヤー」

「ボツ」

「フリーズポイズンプッシュ」

「ボツ」

「セカンドナックルストーム」

「ボツ」

「デスキングドームパワー」

「ボツ」

「シニアゼルメルツサンダー」

「ボツ」

「メガサンダーグラデーション」

「ボツ」

「バタフライマシンガンG」

「ボツ」

「エターナルソードスラッシュ」

「ボツ」

「アナザーダークネススペース」

「ボツ。お前やっぱりふざけてんだろ」

「ふざけてねえよ。っていうか、これだけ出してるのに全部ボツかよ」

「全部ボツだよ。こんなの採用できるか」

「一個ぐらい良いのあっただろ」

「なかったよ。もっと格好良い技名考えろ」

「ロックンロールアタック」

「ボツ」

「ギカサイレントアタック」

「ボツ」

「ソーラーエレガントアタック」

「ボツ」

「ゼルメルツナチュラルアタック」

「ボツ」

「ジェネリックライトアタック」

「ボツ。なんでさっきからアタックばっかりなんだよ」

「もうネタがないんだよ」

「死ぬ気で捻り出せよ。最後のはなんだよ。ジェネリックライトアタックって一番弱そうじゃん。後ちょいちょい出てくる、ゼルメルツってなんだよ。意味不明だ」

「知らねーよ。お前が思いついた技名言えっていうから」

 

 

「なんだよ。俺が悪いっていうのか?」

「ああそうだよ。お前が悪い」

「そうかよ。じゃあ俺が一人で全部考えるよ。お前なんかいらん。お前はもう、しね!」

「じゃあお前はしねしね!」

「しねしねってなんだよ!」

「しねって気持ちがより強い事を表した言葉だよ」

「なんだよその意味分からん発想は。そんな幼稚な発想力だから、クイズもまともに考えられないんだよ!」

「なんだと!」

「ああ! やんのか!」

「おう上等だやってやるよ。外へ出ろ。ポケモンバトルで決着だ」

「上等だ! 俺のケンタロスのはかいこうせんでぶっ潰してやる」

「じゃあこっちはしねしねこうせんでぶっ潰してやる」

「なんだよしねしねこうせんって」

「『しねしね!』って気持ちを込めた光線じゃ」

 

 

「……ちょっと待て。しねしねこうせん……これだ!」

「は?」

「さっきのクイズだ。しねしねこうせん……。これは面白い技名じゃないか。これでいこう!」

「お前何を?」

「『わざマシン28とは、しねしねこうせんである。』最後の問題はこれで決まりだ」

「……いや、絶対駄目だろこんなの。ジェネリックライトアタックの方がまだマシだから」

「よし全部の問題を考え終えた! グレンジムにメール出すぞ」

「おいおい本気かよ。お前これジムに挑戦する少年少女に出す問題だぞ!」

「大丈夫だ」

「PTAから苦情来るぞ!」

「平気平気」

「最近のSNSの怖さ見くびるなよ。すぐ晒されて炎上するんだぞ!」

「グレンジムに送信っと。よし送った! 納品完了!」

「うわこいつ本当に送りやがった! 知らんぞ俺は」

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