ポケモン、クセが強い短編集   作:@逆行

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49.ポケモンを回復できることを知らなかった人の話

「あれっ? 久しぶり」

 僕は久しぶりに友人と出会った。同時期にマサラタウンから旅立って、それから会っていなかった。

「久しぶり。元気?」

「うん」

「君って今バッジ何個目?」

「僕は今六個目だけど」

「やっぱりそれぐらいか。僕まだ一つ目なんだよ」

「……そうなんだ」

「君はよくそんなにスムーズに進めるね」

「いや別に……僕なんてまだまだだよ」

 旅立ってからもう日が経つのに、バッジ一つ目なのは正直遅い。

 だが、もちろん失礼なので「遅いな」とは言わなかった。

 

 

 昔が懐かしい。この友人とは幼い頃よく遊んでいた。

 彼は学校に全く行っていなかった。

 そのため友達がいなくて、野生のポケモンとばかり遊んでいた。そこに放課後は、自分が加わった。

 ある日、一緒に遊んでいたポケモンが、事故で死んでしまった。

 彼はそのポケモンを土に埋め、お墓を作った。そのときの彼の背中が、妙に記憶に残っている。

 

 

「君って、最初のポケモンはヒトカゲを貰ったんだっけ?」

「うん」

「ヒトカゲはどう? 元気?」

「ああ……ヒトカゲは今いないよ。ニビジムで負けちゃったから」

 手持ちから外したのだろうか。ニビジムは岩タイプだから、ヒトカゲが負けるのは仕方がない。負けたからといって、手持ちから外すのは少し可哀想だ。

 そう指摘しようと思ったが、他人の方針にあれこれ口を挟むのもよくないから止めた。

「君のゼニガメはどうなの?」

「僕のゼニガメはカメックスになってるよ」

「最終進化系までいったんだ。すこいね」

「最近まではカメールだったよ。ヤマブキジムがめっちゃ強くてね。負けた後に特訓したんだ。そしたらカメックスに進化できたんだ」

「ん?」

「どうしたの?」

「カメール負けちゃったの?」

「うん。一回目の挑戦ではね」

「負けたのに、なんでまだいるの?」

「……はい? いやいや、別に負けてもいるでしょ」

「……幽霊ってこと?」

 なんか、嫌な予感がしてきた。

「幽霊じゃないよ。ちゃんと生きてるよ。バトルに負けただけで死んでないから。ポケセンで回復して元気一杯だから」

「バトルで負けたポケモンって回復できるの?」

「そうだよ。……え! もしかして知らなかったの、今まで! そんなの小学一年生のときに習っ……あ!」

 彼が学校に通ってなかったことを思い出す。

 

 

「待って待って! 今までバトルで負けたポケモンどこにいるの?」

「……」

「ヒトカゲは? ヒトカゲはどこ?」

「……」

 あのときの、ニドランを埋めているときの彼の背中が、鮮明に思い浮かぶ。

「まさかそういう、あれ、じゃないよね?」

「……冗談だよ! 回復できることぐらい知ってるよ!」

 友人は笑いながら言った。

「そ、そうだよね。さすがにまさか、そんなことしてないよね」

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