「あれっ? 久しぶり」
僕は久しぶりに友人と出会った。同時期にマサラタウンから旅立って、それから会っていなかった。
「久しぶり。元気?」
「うん」
「君って今バッジ何個目?」
「僕は今六個目だけど」
「やっぱりそれぐらいか。僕まだ一つ目なんだよ」
「……そうなんだ」
「君はよくそんなにスムーズに進めるね」
「いや別に……僕なんてまだまだだよ」
旅立ってからもう日が経つのに、バッジ一つ目なのは正直遅い。
だが、もちろん失礼なので「遅いな」とは言わなかった。
昔が懐かしい。この友人とは幼い頃よく遊んでいた。
彼は学校に全く行っていなかった。
そのため友達がいなくて、野生のポケモンとばかり遊んでいた。そこに放課後は、自分が加わった。
ある日、一緒に遊んでいたポケモンが、事故で死んでしまった。
彼はそのポケモンを土に埋め、お墓を作った。そのときの彼の背中が、妙に記憶に残っている。
「君って、最初のポケモンはヒトカゲを貰ったんだっけ?」
「うん」
「ヒトカゲはどう? 元気?」
「ああ……ヒトカゲは今いないよ。ニビジムで負けちゃったから」
手持ちから外したのだろうか。ニビジムは岩タイプだから、ヒトカゲが負けるのは仕方がない。負けたからといって、手持ちから外すのは少し可哀想だ。
そう指摘しようと思ったが、他人の方針にあれこれ口を挟むのもよくないから止めた。
「君のゼニガメはどうなの?」
「僕のゼニガメはカメックスになってるよ」
「最終進化系までいったんだ。すこいね」
「最近まではカメールだったよ。ヤマブキジムがめっちゃ強くてね。負けた後に特訓したんだ。そしたらカメックスに進化できたんだ」
「ん?」
「どうしたの?」
「カメール負けちゃったの?」
「うん。一回目の挑戦ではね」
「負けたのに、なんでまだいるの?」
「……はい? いやいや、別に負けてもいるでしょ」
「……幽霊ってこと?」
なんか、嫌な予感がしてきた。
「幽霊じゃないよ。ちゃんと生きてるよ。バトルに負けただけで死んでないから。ポケセンで回復して元気一杯だから」
「バトルで負けたポケモンって回復できるの?」
「そうだよ。……え! もしかして知らなかったの、今まで! そんなの小学一年生のときに習っ……あ!」
彼が学校に通ってなかったことを思い出す。
「待って待って! 今までバトルで負けたポケモンどこにいるの?」
「……」
「ヒトカゲは? ヒトカゲはどこ?」
「……」
あのときの、ニドランを埋めているときの彼の背中が、鮮明に思い浮かぶ。
「まさかそういう、あれ、じゃないよね?」
「……冗談だよ! 回復できることぐらい知ってるよ!」
友人は笑いながら言った。
「そ、そうだよね。さすがにまさか、そんなことしてないよね」