自分は用事があったため、デンリュウをコガネシティ近くの育て屋に一週間預けていた。それで、今日返してもらう予定だった。デンリュウは他の人にはあまり懐かない性格なので、上手くやれているか不安だった。
「おう、来たか」
育て屋さんに辿り着き、おじいさんとデンリュウの姿を見つける。この育て屋さんは、おじいさんとおばあさんが2人で運営していた。
「お前さんのデンリュウは元気にしとったぞ」
おじいさんはデンリュウを優しく撫でる。デンリュウは気持ちよさそうな表情をしながら、おじいさんに身を寄せていた。デンリュウはおじいさんにかなり懐いているようで、ほっとした。
「お世話していただき、ありがとうございました」
そう言いながらデンリュウをボールに戻す。
「そうじゃ。デンリュウがタマゴを持っておったぞ」
「え、なんで?」
育て屋にポケモンを預けると、たまにタマゴが見つかることは知っている。しかしそれは、二匹同時に預けた場合の話だ。一匹だけなら、タマゴが見つかるはずがないのだが。
「一匹だけでもタマゴって見つかるんですか」
「うちの育て屋はそうじゃ」
「いやいや、普通は二匹同時に預けないと見つからないでしょう」
「うちの育て屋は一匹でも見つかるぞ」
「……」
嫌な予感がした。
一匹でもタマゴが見つかった事実と、おじいさんにかなり懐いているデンリュウの様子から、自分は変な想像をしてしまった……。
「あの……つかぬことをお伺いしますがおじいさん、もしかしてデンリュウとなんかしました?」
「はて? わしは何もしとらんぞ」
「いや、なんか、デンリュウずいぶんおじいさんに懐いていたなあと思いまして」
「わしは遠くから見守っていただけじゃぞ。後は食事を与えただけじゃ」
「でも、絶対一匹でタマゴって見つかる訳ないじゃないですか。ということは、そういうことなのかなと」
「……何を言っとるんじゃさっきから」
「すいません。でも、やっぱりそういうことなのかなあって」
おじいさんは呆れ顔になって溜息をついた。
「このタマゴは、デンリュウとわしのポケモンのタマゴじゃぞ」
「え?」
「デンリュウは一匹で寂しそうだったから、わしのポケモンと遊ばせていたんじゃ。わしのポケモンとこのデンリュウは、たいそう仲が良くてのう。気がついたら、二匹はタマゴを持っていたんじゃ」
「なんだそういうことかあ……! 良かったー!」
「お前さん、いったい何を想像していたんじゃ」
「いや、なんでもないです。忘れてください」
「言っとくが、わしはおばあさん一筋じゃぞ」