ポケモン、クセが強い短編集   作:@逆行

5 / 100
5.育て屋さんに変な疑いをかける話

 自分は用事があったため、デンリュウをコガネシティ近くの育て屋に一週間預けていた。それで、今日返してもらう予定だった。デンリュウは他の人にはあまり懐かない性格なので、上手くやれているか不安だった。

 

「おう、来たか」

 育て屋さんに辿り着き、おじいさんとデンリュウの姿を見つける。この育て屋さんは、おじいさんとおばあさんが2人で運営していた。

「お前さんのデンリュウは元気にしとったぞ」

 おじいさんはデンリュウを優しく撫でる。デンリュウは気持ちよさそうな表情をしながら、おじいさんに身を寄せていた。デンリュウはおじいさんにかなり懐いているようで、ほっとした。

「お世話していただき、ありがとうございました」

 そう言いながらデンリュウをボールに戻す。

「そうじゃ。デンリュウがタマゴを持っておったぞ」

「え、なんで?」

 育て屋にポケモンを預けると、たまにタマゴが見つかることは知っている。しかしそれは、二匹同時に預けた場合の話だ。一匹だけなら、タマゴが見つかるはずがないのだが。

「一匹だけでもタマゴって見つかるんですか」

「うちの育て屋はそうじゃ」

「いやいや、普通は二匹同時に預けないと見つからないでしょう」

「うちの育て屋は一匹でも見つかるぞ」

「……」

 嫌な予感がした。

 一匹でもタマゴが見つかった事実と、おじいさんにかなり懐いているデンリュウの様子から、自分は変な想像をしてしまった……。

 

 

「あの……つかぬことをお伺いしますがおじいさん、もしかしてデンリュウとなんかしました?」

「はて? わしは何もしとらんぞ」

「いや、なんか、デンリュウずいぶんおじいさんに懐いていたなあと思いまして」

「わしは遠くから見守っていただけじゃぞ。後は食事を与えただけじゃ」

「でも、絶対一匹でタマゴって見つかる訳ないじゃないですか。ということは、そういうことなのかなと」

「……何を言っとるんじゃさっきから」

「すいません。でも、やっぱりそういうことなのかなあって」

 

 おじいさんは呆れ顔になって溜息をついた。

「このタマゴは、デンリュウとわしのポケモンのタマゴじゃぞ」

「え?」

「デンリュウは一匹で寂しそうだったから、わしのポケモンと遊ばせていたんじゃ。わしのポケモンとこのデンリュウは、たいそう仲が良くてのう。気がついたら、二匹はタマゴを持っていたんじゃ」

「なんだそういうことかあ……! 良かったー!」

「お前さん、いったい何を想像していたんじゃ」

「いや、なんでもないです。忘れてください」

「言っとくが、わしはおばあさん一筋じゃぞ」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。