ポケモン、クセが強い短編集   作:@逆行

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52.道中でポケモンを回復してくれるあの人達の話

 俺は、旅をするどこにでも有り触れたトレーナーだ。

 いきなりだが、この辺はトレーナーの数が多く、手持ちがピンチな状態になってしまった。しかも、傷薬や元気の欠片はもう残っていない。回復の道具は多めに買っておくべきだったと、いつも後悔する。

 だが、今回は慌てる必要はない。俺はタウンマップで現在地を把握する。後五分程度歩けば、洞窟の入り口に到着する。そのことを確認し、俺はそのまま歩いていった。

 回復せずに洞窟入って大丈夫? と思うだろう。大丈夫だ。

「よし! 予想通り洞窟の傍に白衣着た人発見!」

 十中八九この人は、ポケモンの回復をしてくれる人だろう。

「旅のトレーナーさん。よろしければあなたのポケモン元気にしますよ」

「お願いします!」

 この地方には、こういう風に、回復してくれる親切な人が道中に時々いる。手持ちがボロボロのときは、すごく助かっている。以前カントーを冒険していたときは、こんな人達はいなかった。

 こういう人は大抵、洞窟や山の入り口に立っている。だから「そろそろ回復してくれる人いそうだな」とだいたい予想がつくのだ。だから自分は、引き返さずにこのまま来た。

 

 

 数日後。

 俺は今度は、長い長い道路を歩いていた。手持ちはやはりボロボロの状態。

 まだ、半分ぐらいしか道路を歩いていない。

 だが、引き返す必要はない。

「こういう長い道路の真ん中らへんにも、回復してくれる人は大抵いるものだ」

 そう考え俺は、後少しの辛抱だと歩いた。

 ところが、自分の予想は大外れだった。

 長らく歩いても、回復してくれる人は見つからなかった。

「しょうがない……引き返すか……」

 結局、手持ちも限界だったので、前の町に引き返す羽目になった。

 

 

 数日後。

 この地方の旅も終盤だった。この辺りはエリートトレーナーがひしめいていた。

 手持ちはやはりギリギリの状態だった。

「こういう強いトレーナーが多い道中にも、回復してくれる人は大抵いるはず。だが……」

 つい先日、俺は思いっきり予想を外した。

「なんか、今回も予想を外す気がするな……。うーん、ポケモン達の体力もかなり危ないし。引き返すか」

 そう思って、ここは引き返すことにした。

 

「はあ……歩くの疲れた……」

 前の町でポケモンを回復させ、さっきと全く同じ場所に戻ってきた。

 そして、その場所にいた赤い服を着たトレーナーに、俺は声をかけた。手持ちが全快状態なので、バトルをこっちから申し込んでやろうと思ったのだ。

 

 

 ところが。

「旅のトレーナーさん。よろしければあなたのポケモン元気にしますよ」

「え? あなた回復役なんですか???」

「はい」

 俺はまたしてもしくじった。

 赤い服を着た人はトレーナーではなく、医者らしい。

「いや、医者だったら医者っぽい白い服着ててくださいよ。回復役だって分からないじゃん!」

「はあ……すいません」

「っていうか、さっきの俺の独り言聞こえてたでしょ」

「はい、聞こえてました」

「なんでそのときに『回復しますよ』って声かけてくれないんですか!」

「そう言われましても。基本的には、トレーナーが話しかけてきたときのみ、対応することになってますので」

「そもそも、あなたたちの目的はなんですか!」

「はい?」

「ずっと気になってたんですよ。なんでわざわざ、知らないトレーナーのポケモン回復してくれるのか」

「私は、困ってるトレーナーとポケモンを助けたいな、という意思でここに立っています」

「違うんですよ」

「え?」

「あなたたちのせいで、回復してくれる人がどうせいるからって、この地方のトレーナーはみんな、薬を多めに用意しなくなってるんですよ。どうしてくれるんですか!」

「……」

「俺たち、回復役がいないと旅ができない体になってるんですよ!」

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